第二次世界大戦中、ナチスドイツによりあるユダヤ系イタリア人家族が強制収容所に送られ、そこでの苦難にくじけず力強く生き抜いた親子の姿をコメディタッチで描いたイタリア映画です。収容所では母親とは離れ、父親と息子の生活を中心にストーリーは展開していきます。父親は、まだ何も知らない息子を心配させないため、「これはゲームなんだ。ゲームでポイントを稼いだら、戦車に乗って家に帰れるんだよ」と嘘をつき、日々の重労働に耐えながら、息子には一切辛い姿を見せず、明るくふるまい続けます。
 ホロコーストをテーマにした他の映画とはひと味違い、悲壮感をあえて表に出していないため、「強制収容所での生活はそんな生易しいものではない」と批判 する人もいるようですが、これはホロコーストのむごさを伝えようとした映画ではありません。どんな境遇に置かれても強く生きていかなければならないという 父親から子どもへの愛にあふれたメッセージなのです。コメディタッチで描いているからこそ、観ている人に人間の過ち、戦争の悲惨さや人生を生きる意味など を考えさせる奥の深い作品に仕上がっているのだと思います。父親の精一杯のユーモアと息子の純粋無垢な会話が切なく、何度見ても感動に感動を呼ぶ秀逸な作 品で、是非たくさんの人に観てもらいたいです。
 戦争を背景にしている映画にしては、作品を通じて画面も明るく、思わず笑ってしまう場面も結構あ ります。けれども、コメディタッチの中にも、ムッソリーニに対する辛辣な皮肉などが表現されているなど、イタリア語がわかる人にはもっといろんなメッセー ジが込められているそうです。ラストは、戦争が終わり、父親が死んだことを知らない息子が本当に戦車に乗って帰っていく姿がなんともかわいらしいのです が、涙せずにはいられません。辛い境遇のはずなのに、なぜか爽やかで前向きな気持ちにさせてくれます。
 この映画を見終わった後には、人間は命あ る限り、どんな苦しみの中でも笑いながら明るく強く生きられるんだ、どんな環境にも左右されることなく、それを言い訳とせず自分の人生を自分らしく生きて 行くことが人間に課せられた使命なんだということを思い知らされます。心がくじけそうになっているときに、励まされる要素がたくさん詰まっているので、少 し弱気になっている自分に喝を入れたい方におススメです。

ライフ・イズ・ビューティフル - 映画レビューブログ

ライフ・イズ・ビューティフル [Blu-ray]
ロベルト・ベニーニ
ワーナー・ホーム・ビデオ
2014-02-05