BLACKS


フロア脇のカウンターで食事をとる人も見え始めた、お昼時のBAR STAGE。黒シャツにネクタイ、黒いワンピースに金縁ベルトといった、シックなドレスコードに身をつつんだBLACKSは、大人の香り漂うポップスロック「言葉」を演奏しはじめる。会場はジャズダイニングのような空間へ切り替わった。椎名林檎の「丸の内サディスティック」を彷彿させる艶やかなポップネスで、彼女らが提唱する“昭和的歌謡曲のメロディーのよさ”を会場にうちだしていく。
4曲目のバラード「手の中の砂」。やましたまなほ(Vo/Key)の低音が安定した力強い声で、昭和歌謡曲を継承したキャッチーなメロディーを歌い上げる。オリコンチャートにのぼるアーティストがもつようないわゆる“プロ感”あふれる声。演奏前には食事中だった4、5人ほどの観客がいつの間にか、まだ食事が残された簡易皿に割り箸やスプーンをおいて、じっとステージをみつめていた。抜群の歌唱力をもった生声が、会場にいるすべての観客の耳を、目を、ステージへ引きずり込んでいく。
最後の「騒ぐ猿鬼を刺す」冒頭では、4つ打ちドラムにあわせて観客たちが手拍子。曲中で岩井佑樹(Ba/Cho)のシンプルなオルタネイトピッキングが時折グルーヴィーに切り替わる。ポップなダンスロックの随所にあらわれるオルタナディブな一面が、「昭和的歌謡曲のメロディーを演奏するポップバンド」だけでは片づけられない、BLACKSの個性をみせつける。
キャッチーな歌謡曲メロディーを“誰もが愛するエンターテイメント性”としてインディーロックに組みこむ彼らの姿勢。それはバンド界最高のエンターテイメント集団・東京事変のプロフェッショナル精神に似たものである。そして彼らの方向性の正しさは、食事を忘れてステージにまなざしをむけたり、ホール上でステップを踏みつづけていたりしていた、LOFT BARの観客たちが証明していただろう。(黒木貴啓)

■SET LIST


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