切なく哀しいダメ男の物語だ。

主人公の男はその昔、トップの人気を誇るレスラーだった。
20年前の伝説の試合は今もファンの間で語り継がれている。

その彼は今もなおプロレスを続けている。プロレスしかできない不器用な男だ。
もうすっかり過去の人で、小さな会場の小さな興行で細々と続けるしかない。
それだけでは食えないからバイトもしている。

ある日、20年前の伝説の試合をもう一度、という企画が持ち上がる。
しかし、長年体を酷使した事が祟って倒れてしまう。

果たして、最後の試合は。



こんなストーリーだ。
もちろん大ざっぱなあらすじだが、どんな話なのか想像してみてくれ。


うん、たぶんその想像と大きく違わないと思う。
突拍子もない逆転劇が起こるわけでもない。
別にそれは映画のなかだけで起こり得る世界ではなくて、その辺に日常的に転がっている物語だ。


オレは映画を見て、目に涙を浮かべることはほとんどないんだけど、これはキタね。

最近は歳をとってオレも涙もろくはなったよ。
ドキュメンタリー的なものを見ると、ちょっとしたことですぐ涙がでてくる(笑)
スポーツものなんかも、すぐグッとくる。

でも「つくり物」では、まず泣くことはないんだ。泣きたいんだけどさ(笑)
小説とかテレビドラマとか映画も泣くまで感動することはほとんどない。

なのに、この映画。ヤバかった。
理由はわかってるんだ。

オレは、この映画を途中から「ドキュメンタリー」として見ていたんだ。

それが低予算のためなのかテクニック的なものなのかは知らないが、画面が少々荒い映像なんだ。よく見る映画のそれではない。
だから、ホームビデオで撮った日常のように感じたのかもしれない。

映し出される出来事は、その辺にある日常だ。
いや、レスラーだから一般人から見たら特殊だよ(笑)金網デスマッチみたいなことやったりするんだから。
でも、つくられた世界観はまるでない。

主演のミッキーロークも、ミッキーローク!
実世界でいろいろあったらしい(苦労しているみたい)情報を目にしていたから、それもオーバーラップする。

体はレスラーそのものにまで作り上げられている。
どうみても、そのレスラーが実在しているようにしか見えない。

とても切ない物語だった。
だけど、救いがまったくないというわけでない。

ボロボロな生活の中で、この男はできるだけ陽気に振舞おうとする。見ていて気持ちがいい。

そして、仲間のレスラーたち。
その友情に涙しないものはいないだろう。

切なく哀しいダメ男の物語だ。

見る時は、エンドロール時の歌もしっかり聴いてくれ。泣けること間違いなし。

あ、あと、まぁまぁ過激なお父さん大喜びなストリップシーンあるから
子供とは見ない方がいいかな。トイレでやっちゃうシーンとかあるし(笑)
いかにも外人のそれって感じが笑うけど。