552012年1月29日(日)
トレイルラン諭鶴羽(ゆずるは)古道
午前10:00スタート
608mの諭鶴羽山の裏参道と表参道を辿る15k

結果:完走
記録:1時間45分21秒
順位:1位(35人中)




マラソン人生で初の優勝。
小さい大会で、しかもかなりタナボタ的ですが、やっぱり嬉しいものです。

つい数週前にランネットで発見した、今年で3回目のこのレース。
コース誘導は無く、事前に送付された地図とコンパスで、正しいルートを辿る。
かなりアドベンチャー的なロゲイニング要素がある大会です。
諭鶴羽山は淡路島最高峰で、その麓の諭鶴羽ダム湖畔がスタートゴール地点。
かなり寒いがよく晴れた日曜日、車で明石海峡大橋を渡り、家族と一緒に湖畔へ。
湖畔には宿泊施設や公園がある。
僕が走っている間にヒマを持てあますことなく遊んでいてくれるだろうと思って、家族を連れていったのだが、湖を囲む岩場が非常に険しく怖さがあり、想像していたよりも寂れたところ。
妻は
「だまされたぞ!」
と苦笑い。

出場者は事前名簿によると35人。
若干のDNSもいる模様。
過去の参加者のブログによると2時間ちょっとで3位という記録があったので、一応心の目標は2時間切り、3位以内とする。
しかしスタート地点を見渡すと、元気いっぱいの若いランナーやストックを持ったベテラン山屋さんなどつわものぞろい。
こんな中で上位に食い込めるのか?
何よりも道に迷うことなく完走できるか、不安でいっぱい。

5694_1_Image456それほどの緊張感もなく、グダグダした雰囲気のまま10時スタート。
先頭集団にくっついてまずは湖畔ロードを疾走。
ブルーシャツ君が飛び出し、遥か前方見えなくなる。
続いて白トレーナー君、緑ノース君。
僕は緑ノース君にくっついていく。
僕のすぐ後ろに黒ジャケ君、そのあとはだいぶ距離が開いている。
この5人で先頭集団。
僕は4位で登山口に取り付く。
緑ノース君と話をしながら、尾根道までの急峻ガレ場と格闘。
遥か頭の上に、1位と2位のランナーが小さく見える。
苦手な岩場、足を捻らないように慎重にかつ大胆に登る。

岩が多く登り基調だが、比較的走りやすい尾根道に到着。
ここから左折して南へ山頂方面への縦走。
帰りはこの辺りは同じルートを戻ってくるので、分岐では振り返って光景を目に焼き付け、帰りに道を間違えないようにしたい。
体も温まり、息も整ってきたので、緑ノース君に声を掛け、先に行かせて頂き、3位で快適に走る。
前方には2位の白トレーナー君、しばらくすると諭鶴羽山山頂への分岐点。
正しいコースは山頂の方ではなく左だが、そちらにはロープが張られている。
「ロープ無視」と説明にあったのを思い出し、迷っている白トレーナー君に
「たぶん左ですよ!」
と促し、先を走らせてもらう。

しばらくするとロードに合流、目の前は突然の海。
海!
絶景!
冬の太陽の光が青い海面にまぶしく反射し、本当に素晴らしい眺望。
海に飛び込んでいくかのような恐ろしさを感じつつ、ツヅレ折の劇下りを激走する。
また微妙な分岐点が現れる。
後ろから緑ノース君が
「右です!」
と叫びながら合流。
黒ジャケ君も加わり、2位集団4人が形成される。
「僕おととし出ました」
と緑ノース君。
「僕昨日試走しました」
と黒ジャケ君。
この2人がいれば、とりあえずロストの心配はないか。

ツヅレ折の遥か下、海岸に近い町に向かって走る1位のブルーシャツ君の姿が見える。
彼に向って、友達らしい白トレーナー君が手を振っている。
僕も手を振り存在をアピール。

引き続き長い長い下りが続く。
下っても下っても、海岸の町はなかなか近づいてこない。
コンクリートで固められた急峻なロードが足に響く。
太ももの前面が痛い。
苦しみながらも、4人集団は固まって、次々現れるヘアピンをクリアしていく。
ガーミンを見ると余裕で4分を切っている。
みんな速いな!

下るところまで下り切り、やっとロードが平坦になってきた。
海沿いの静かな集落に到着。
トップのブルーシャツ君がT字路に立ち止まり、やや戸惑っている。
彼は脚はめちゃくちゃ速いが、地図読みがやや苦手か?
T字路を右折、凄まじい角度のロードを走って登る。
僕もかろうじてブルーシャツ君についていく。
まだ20代、学生のように若いブルーシャツ君、激坂だが走るスピードは落ちない。
しんどい!

道迷い難ポイント、表参道入り口ヘアピンに到着。
ここでブルーシャツ君は道を間違い、右方向の太い道を登って行った。
正しくは鋭角に左折する極細道のはず。
死角にある表参道の看板を彼は見逃している。
僕は後ろから、
「オーイ、こっちじゃないですか〜?!」
と大声を掛けた。
ブルーシャツ君は照れながら戻ってくる。
後ろからは黒ジャケ君と白トレーナー君が徐々に登ってくる。

さて、ここからが今回のレースの最難関、諭鶴羽神社表参道。
ブルーシャツ君の脚力から考えて後ろから煽られるのは嫌なので、彼に先に行ってもらい、2位で表参道の登りに取り付く。
さあ正念場。
1位の彼は登りが強い。
最後の下り基調尾根道で追い抜く作戦を考える。
ここの登りでは温存するか。
たまに走りも入れながら、ブルーシャツ君はぐんぐん高度を稼いでいく。
素晴らしいスピード。
だんだん距離が離されていくが、負けじと僕も食らいつく。
走りと歩きと早歩きを交互に入れる。
カカトを上げて歩き、カカトを着けて歩く。
使う筋肉が集中しないように…。
若干緩やかなトラバース道を走って少しでも距離を縮める。
激登りで離される、その繰り返し。
ハイカー集団が登っている。
声を掛けて先行させてもらう。
「何か大会ですか?」
「すごいなー、走ってるよ!」
追い抜くときに時間が掛かっては悪いので、ついスピードを上げて走って登ると、ハイカーから歓声が上がって照れくさい。

少し緩やかになり、空が明るくなってきたと思うと、まだまだ見上げる登りが現れる。
どこまで続くの?!
地蔵の丁石があるが、何丁まで登ればいいのかが分からない。

ようやく眼前に青い空が広がった。
車道に出た。
目の前には諭鶴羽神社の鳥居。
登りが終了。
ほっとする。
「しんどいねー」
ブルーシャツ君と笑い合いながら、うっすら雪に覆われた山頂に向かう林道を駆け上がる。
彼は分岐でやや戸惑う様子、やはり地図読みが苦手なのか?

47山頂。
ブルーシャツ君は写真撮影、僕も写メを撮って眺望を楽しみ、しばしの休戦休憩。
さてここからは尾根道を下るだけ。
ブルーシャツ君を下りでかわせるか?
抜けば優勝だ。
しかし!
その淡い期待はあっという間に打ち砕かれた。
下りトレイル、ブルーシャツ君は恐るべきスピード。
水を得た魚のように、まるで忍者かスキーのように下っていく。
走るというより滑り落ちていく感じ。
必死になって追いつこうとするが、だんだん開く距離。
ツヅレ折もまるでピンボールの弾丸のようにガムシャラに落ちていく。
何てスピード・・・こりゃだめだ。
ここで彼を無理して追い掛け、転倒してはまずい。
作戦を変更。
1位はあっさりあきらめ、このまま2位を死守する作戦に。
路面は岩が多い踏みにくい難トレイル。
落ち着いて、しっかり足場を固めながら走る。
前方にちらちら見え隠れしていたブルーシャツ君は、いつしか視界から消えていった。
速いな…

ガレたトレイルが走りにくいが、何とかスピードを保って全力で走る。
浮き石で足を捻りそうになりながらも、5.6歩先の足場を目に刻みながら走る。
寒気で目には涙が浮かぶ。
鼻水をすするので息が吸いにくく苦しい。
もうすぐだ、ラストスパート!
ブルーシャツ君を捉えろ!
しばらく走ると、右側にスタート地点だった諭鶴羽ダム湖が見えてきた。
さぁ最後の分岐、行きの登りで光景を見て覚えていた地点。
間違いなく右に曲がる。
尾根を下り切り、登山口を経て湖畔のロードに出た。
前方にブルーシャツ君の姿は見えない。
もうゴールしているか?
最後のロードランが本当にしんどかった。
下りでダメージを受け、登りで酷使した脚。
脚がとにかく上がらない、進まない。
ズルズルしながら、ゴールの広場に向かう。

あれ?
ゴールに誰もいないよ。
家族もいない。
僕の姿を見つけたスタッフが車から降りてきた。
ゲートをくぐる。
ゴール!
1時間45分21秒。
「速かったですね〜!」
とスタッフに祝福をされる。
39[1]・・・な・なんと?
僕がトップらしい。
あれ?
ブルーシャツ君はおそらく最後の分岐を直進してしまったのでは?
何というまさかのタナボタ優勝!
マヌケな僕らしいね。

しばらくすると妻子が戻ってきた。
僕が予想以上の早い時間に帰ってきたので、ゴールの瞬間を見られなかったのを悔しがっている。
「えー?ゆうしょう?おめでとうー!」
うーん、ずっと2位と思っていたのであまり実感がないのよ。

4分後、2位で昨日試走したという黒ジャケ君、3位で白トレーナー君、4位で緑ノース君が戻ってくる。
「一緒に写真撮らせて下さい」
53と言う黒ジャケ君とのツーショット。
何か嬉しいですね。
だいぶ時間が過ぎ、あの弾丸ランナーブルーシャツ君が5位で到着。
やはり最後の分岐を間違って直進し、別のダム湖まで行ってしまったらしい。

大会記録は1時間57分だったらしいので、僕は12分も縮められた。
速いブルーシャツ君に引っ張ってもらったおかげです。
幻の1位は君のものだよ。
ありがとうございました!

特に表彰式は無く、みなさんとだらだらしゃべったり記念撮影をした後に、挨拶をして帰途に就いた。
温泉に入り、家族からの優勝賞品は回転すし。
100円じゃない、豪華なやつだぞ!