Chisitomare_Esamanihi

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上村英明さんに聞く(2) 先住民族・土人の定義について

http://www.janjannews.jp/archives/2854100.html

上村英明さんに聞く(2) 先住民族・土人の定義について

Esaman

前回記事:上村英明さんに聞く(1) 先住民族とCOP10の意外な関係
http://www.janjannews.jp/archives/2824354.html
 
 前回に引き続き、上村英明さんに先住民族とCOP10についてのお話を伺いました。

1

タイトルが「生物多様性」となっているが、これは生物多様性の話をしはじめたところで、先住民族の定義を教えてくれとの質問があったため。


 Q:先住民族の定義を教えてください。
 A:2009年7月の有識者懇談会の報告書にも政府の定義があるので参考にしてください。
 
 先住民族とは、
 
 ・植民地化をされ、自らの意思で国民となっていない。
 ・自分達の将来のために文化や伝統を次世代に伝える意思がある。
 ・土地や資源、領土の概念をもっている。
 
 以上の3つです。
 アイヌ民族が自らの意思で国民となっていないのは、84年のアイヌ新法案でも明言されています。
 
 「先住民族」には「民族」がついていて、この言葉に惑わされることがあります。
 アイヌはいま民族なんですかと、よく言われます。
 アイヌ語が話せないし、アイヌの文化で生活していないとも言われます。
 日本文化と同じじゃないかというわけです。
 
 これは、大変おかしな話です。
 日本人も西洋化して洋服を着ているし、日本文化を守っていません。
 アイヌの人たちにそのような事を言うならば、私達もちょんマゲを結わなければおかしいです。
 アイヌの人たちも西洋化しただけなのです。
 
 植民地化された人達は、言葉や伝統を奪われてしまいます。
 そのような人たちに対して「民族の独自性が失われていますね」というのは、やったことを反省していないことの現れであると言えます。
 その人たちに「残したい意思があるか」が大切なのです。
 
 先住民族には領域・領土があります。
 たとえば、米国南部のアフリカ系アメリカ人の人たちが、自分達も国を作りたい、という話がありました。
 彼らは確かにアフリカから連れてこられて、植民地化をされているし、自分達の伝統を守りたいと思っています。
 でも彼らは、アメリカ南部に独自の領土・領域はありませんので、先住民族ではなく少数民族にあたります。
 
 Q:定住をしていない人たちはどうですか?
 A:ジプシーやロマと呼ばれる非常に移動性の高い人たちは、少数民族であって、先住民族ではないです。
 ですが、遊牧生活の人達は先住民族になります。
 彼らは移動範囲が大変広いので、領域がないように見えます。
 ですが遊牧範囲は決まっていて、毎年寄る水場などがありますので、領土や領域があるといえます。
 現に北アフリカなどには遊牧民としての先住民族の人たちが居ます。
 
 Q:先住民族の国際的な認証はありますか?
 A:植民地化の形によって認識も変わります。
 北米では先住民族と条約を結んでいたので、それによって先住民族が認証されています。
 だからといって、アメリカやカナダが立派な国という訳ではありません。
 イギリス人がアメリカ大陸にやって来た時、中南米でスペインがしたことが国際的に強く批判されていました。
 スペインは、中南米で条約も結ばず、虐殺したり鉱山開発で先住民を酷使したりしました。
 それが非難されていたので、イギリスはもう少し紳士的にやろうということで、先住民族と条約を結んだわけです。
 ニュージーランドは条約を結んでいますが、オーストラリアは結んでいません。
 どういう関係で先住民族が認定されるかは、国によって違います。
 
 アジア諸国の場合、先住民族とは、ヨーロッパの連中が船でやってきて植民地化したときに発生するものだと言って、国内の先住民族問題を否定する場合があります。
 ですが、外から船で支配者が来なくても植民地化は発生しますから、アジアにも先住民族は沢山居ます。
 
 Q:先住民族には環境NGOを信用しない人たちがいるようです。
 A:アメリカなどでナチュラリストが国立公園などを制定する場合、人間が全く入らないように設定します。
 そのアメリカ方式を各国が真似します。すると先住民族も追い出されます。
 動物の権利の人たちにも、先住民族が攻撃されることがあります。
 罠猟で動物が苦しむと非難をされる訳です。
 ナチュラリストからは、スノーモービルに乗るなと非難されることもあります。
 先住民族の人たちが環境NGOの人たちを警戒する原因はここにあります。
 
 Q:アイヌ民族が同化して消えたというプロパガンダは何故言われるのですか?
 A:帝国時代には。国内に異質な者も居て、それは下だと教えていました。
 植民地がなくなって異質なものが排除されたので、均質な社会が実現したことになった。
 異質なものを認めると、めんどくさいしコストがかかるわけです。
 たとえば、女性の権利を認めると、選挙のコストも倍かかるわけですが、これを無駄と考えるのか、当たり前のコストと考えるのかと同じで、必要なものにはコストをかけてゆく必要があると思います。
 
 民族論は日本社会の中ではずっとマイナーなものでした。
 戦後の単一民族教育も問題ですが、日本のリベラルな人たちも、民族ではなく仲良くしましょう、みたいなことばかり言っていたのも問題です。
 民族の権利としての共生が、日本社会の中では理解されていません。
 
 Q:アイヌを先住民族として認めたことで、どれくらいコストがかかるのでしょうか?
 A:1997年のアイヌ文化振興法は、文化だけ認めるものでした。
 民族としての権利は認めませんでした。
 文化だけなら妥当なコストで済むだろうという計算を誰かがしたのだと思います。
 
 たとえば北海道は52%が国有林です。台湾一個分、スイスと同じくらいです。
 その管理をアイヌの人たちに任せるというのも一つの方法です。
 アイヌの人たちの民族の権利とされている、サケを獲ることや、伝統的な祭事に掛かるコストというのは、日本人が北海道から受けている利益に比べたら、たいしたものではないのです。
 
 ドロボウをした人は、自分がドロボウをしたので、少しでも相手に認めると、ゴッソリとられると下品な心配をするのです。
 しっかりと話し合いを行うことが必要です。
 
 Q:沖縄とアイヌには、どのような違いがありますか?
 A:沖縄とアイヌの場合、支配形態が違うので話も違います。
 農業をしていた先住民族は小さな王国を持っています。
 沖縄の場合も農業をしていたので王国があり知識階級が居ました。
 
 たとえば「日琉同祖論」というものがあります。
 日本人と琉球人は先祖が同じで、琉球には古い文化が残っているので、同化政策はしないでね、という理屈です。
 これは、琉球王国の知識階級がいろいろと考えて、日本の政策から沖縄をプロテクトするために考え出された理屈です。
 侵略されて色々と考えたわけです。
 そして、これを逆手に取られて「同じ日本人じゃないか」と言われたりもするわけです。
 このような「ねじれ」をどう評価するのか、あるいはしないのか、ということは、難しい話です。
 
 Q:先住民族の権利には、なにがあるのでしょうか?
 A:セルフディターミネーション(自己決定権)という言葉があります。
 日本の場合、この言葉を「民族自決権」と訳する人が居て、混乱しまくっていますが、そのような意味ではありません。
 
 アイヌの人たちの土地にダムを作るか作らないかは、アイヌの人たちが決める。
 沖縄に基地があってよいのかどうかは、沖縄の人がきめる。という意味です。
 
 日本には文化庁があって、いろいろと守られていますが、アイヌ文化は全く考慮されません
 民族が違うと価値観も違うので、アイヌの人たちにとって大切なものも、日本の文化庁にとっては価値がないので無視されるのです。

 Q:日本人も先住民族との主張を、よく聞きますが…
 A:日本人は植民地化されておらず、先住民族ではありません。
 問題となるのは、Indigenous Peopleをどう訳すかですが、中国では「原住民」と訳します。
 漢語の語彙では「先」は、亡くなった人の意味を指します。「先人」などです。
 最初に先住民と訳したのは、外務省ではなくて私です。
 
 Q:「先住民族」という言葉は誤訳ではないのでしょうか?
 A:わかりにくい点があるのはそうですが、さすがに「原住民族」という言葉は使えませんでした。
 もともとの言葉の意味を知っている人なら、そのような誤用はしないので、本当の意味をひろめてゆく必要があります。
 
 Q:Indigenous People は「土人」とは違うのですか? 「土人」の意味はなんですか?
 A:もともとは、ILOがIndigenous workerという言葉を使用したのが始まりでした。
 それを日本政府は「土民労働者」と訳しました。
 土人よりはちよっと格上げ? という感じでしょうか。
 
 江戸時代は「土人」という言葉は、土地の人という意味で差別用語ではないです。
 松尾芭蕉も土地の人という意味で使用していました。
 
 ロシアとの交渉の際に、日本政府はアイヌを日本国民だと主張して、その領土も日本だと主張しました。
 ですがその当時、アイヌは土人ではなくて「夷人」だったのです。行政用語としてそうでした。
 征夷大将軍の「夷」です。
 ですがアイヌを「夷人」と呼んでいると、やっぱり外国人だと言われるので明治政府は「土人」に変更しました。
 日本人ではない「夷人」から、もともとの「土地の人」という意味の言葉に言い換えたのですが、その意味には「夷人」という意味も入ってしまいました。
 ですから、当初は「南洋の土人」というのは、南洋の土地の人という意味で差別用語ではないのですが、夷人だったアイヌを土人と言い換えることによって、今度は「土人」が差別的な意味で使われるようになりました。
 
 ですから、いまの言葉の意味ではIndigenous Peopleを「土人」とは訳せないのです。
 
 この用語の混乱は、どの国も同じで、アボリジニと言ったりインディジナスと言ったり、ネイティブと言ったりしています。
 ネイティブというと、その土地で生まれた人の意味になってしまいます。
 バンクーバーオリンピックでは「ファーストネーションズ」となっているようです。
 
 Q:Indigenous Peopleという言い方は、最近の用語でしょうか?
 A:そうです。
 どちらかというと法律の定義に近い言葉です。
 
 ですが、ILOがIndigenous workerという言い方をしていた当時は、同化を前提として、人権を守りなさいという意味でした。
 たとえば国が先住民族のチーフに人を集めさせて働かせる、というようなことを禁止したり、同化は前提なんだけど、強制的な教育をしてはいけない、などでした。
 Indigenous Peopleという言い方になってから、同化政策が間違っていたことになり、集団としての権利などが認められだしました。
 
 Q:Indigenous PeopleとIndigenous Peoplesの違いが、先住民と先住民族の違いで重要だ、という話があったと思いますが。
 A:そうなんですが、いまは、あまり言ってないね。
 大事なのは集団の権利があるのかどうかです。
 
 国連でもずっとIndigenous Peopleを使っています。
 
 たとえば、personに対してのpersonsと、personに対してのpeopleでは、意味が違います。
 国民概念としてのpeopleなのか、そうではないpeopleに対してのpeoplesなのかで、意味が違ってきます。
 peoplesの場合は集団としての権利が含まれています。
 ピュアな民族性をもった民族なんていないので、意思を持っているかが大切なのです。
 
 日本政府は、人権には集団的権利は含まれない、という事を言っています。
 僕から見ると憲法の先生たちは、人権を集団的に考えたことがないのです。これは訓練の問題です。
 実は憲法は集団の権利を認めています。
 
 たとえば信教の自由。
 信教の自由には2種類あります。
 個人の信仰の自由と、宗教法人の自由です。
 
 個人が信仰の自由を守るためには、宗教団体がしっかりしていなければ、守れません。
 たとえば宗教法人や学校法人は、制服を設定して、それを守らない人を入れない、ということが出来ます。
 これは集団の権利としての例です、珍しいことではありません。

2

会場で販売していたパンフレット。上村さんの市民外交センターが出している「アイヌ民族から見た国連の先住民族宣言」の本がある。この本は、アイヌ民族無料、大和民族1000円とのこと。アイヌ民族が奪われたものを少しでも還元するための値段設定らしい。ちょっとややこしい国連の文章が、アイヌ民族の場合はどのような話になるか、ということが一条一条説明されている、よい本である。筆者は無料とのことだったが、協働の意思を込めて500円カンパした。


 Q:先住民族の信仰は原始的なアニミズムではないですか?
 A:たとえば探検家がオーストラリアを探検したときに、アボリジニがいるのは分かります。目に見えるので。
 ですが中国やインドのように、王様が出てこない。だから政治システムがないと思ってしまった。
 
 しかしそれは、ヨーロッバ型の政治システムがないだけです。
 政治システムがない民族はありません。
 書かれた法律がなくても、慣習法だけでやっていけます。
 
 いままでは、アニミズムというのは原始的なもので、教会や聖書のあるほうが、進んだ宗教だと考えられていましたが、そうではありません。
 現在は、今の文明と違うシステムをもっていた人たちが、圧倒的に不利な状況になっているといえます。
 
 たとえばアメリカ合衆国の「連邦制」というのは、アメリカインディアンのシステムです。
 ヨーロッパには連邦制はありませんでした。
 共和制はありますが、イギリスは連合王国、もっとも近いのはスイス連邦ですが軍事同盟です。
 
 ベンジャミンフランクリンは、バラバラだったアメリカの13州をうまくまとめるために、インディアンのイロコイ連邦の政治システムを学んで導入したのです。
 全く成文化されていなかったものが立派に運用されていた例といえます。
 
 Q:アイヌの人と接触するには、どこにいけばいいですか?
 A:一番アイヌ民族が人口として多いのは二風谷ですかね。
 最近では、旭川の博物館にも、アイヌ民族の学芸員さんがいますね。
 Esamanさんどうですか?
 
 A(ここだけEsaman):
 この質問、どう答えればいいんですかね?
 まず、アイヌが固まって伝統的な生活をしている村はありません。
 植民地化をされて、伝統的な生活をする人は食い詰めてゆきました。
 学校に行って背広を着て会社に行く人たちが生き残る社会の中で、アイヌは何世代か生活してきました。
 そうすると何が起きるか。
 日本人のフリをしている人が、必ず一定数います。
 本当に日本人になった人もいるし、フリだけの人もいるし、そのフリがうまく出来ない人も居ます。
 そういった人がいる中で、アイヌ同士結婚することもあるし、そうじゃない場合もあるので、その子ども自身も、アイヌのことに詳しいアイヌに会えるかというと、そうではありません。
 一番最初に接触するアイヌは、どちらかの片親なのですが、多くの場合、中途半端な知識しかありません。
 そのような親には、本当に日本人になってしまった人もいれば、日本人のフリをしていたのでアイヌのことに詳しくなれなかった人もいます。
 親の中には「アイヌとはこういうものだ」と明確に主張できる人もいますが、そのような親は「押し付けがましい存在」であるので、逆に子供がアイヌのことから離れる原因にもなります。
 アイヌ民族といっても、民族とはこうだ、というものがバシっと成立しているわけではない中に、当人達は生きているわけです。
 そのような話を理解したうえで接していただきたいです。
 
 たとえばいま、リトルワールド(愛知県犬山市)のアイヌの家に、アイヌの人たちが家を建て直すために何人かやってきていますが、その人たちの手の空いたときに、話でも聞いたらどうでしょうか?
 
 Q:アイヌ民族の現状はかなり厳しいもののように思います。
 A:いまでも格差が大きいです。
 アイヌ民族の農民の保有している農地は、道民の農家と比較して半分しかないです。
 逆に、よく半分までいったなと思います。
 そのような人たちも、なんらかの形でアイヌであると宣言した人たちといえます。
 今のシステムでは、日本の一般的な社会保障システムでは支援できない部分があると思うので、何か制度が必要だと思います。
 
 アイヌの中にはアイヌを差別する人もいます。
 自分がアイヌだということを知らずに差別していて、ある時、人にいわれて気がついてしまう。
 そういう人も居ます。
 
 アイヌであるとカミングアウトすると、アイヌを背負わされる不自然な状態が問題です。
 くだらない質問を、毎日のようにされるわけです。
 だからみんな隠すようになります。ナチュラルにアイヌをすることができないのです。
 
3

右が市民外交センターの上村英明さん。左は生物多様性フォーラムの理事で、この講座の主催者の原野好正さん


 上村さんの話をお聞きしましたが、あらためて確認できたてことは、COP10などの、先住民族も関係が深い、政治的なことに興味のある人たちの中ですら「日本人も先住民族だ」とか「日本人は混血で民族ではない」なとど言えてしまう人が、かなりいた、ということでした。
 これは大きかったと思います。
 
 日本人(和人)が「先住民族とは後先の問題で自分もそうだ」というような「間違った解釈」で、全く問題が見えていない(見ようとしない)のは、よくあることです。
 
 ですが実際に、爺さんの時代にはわかったはずの言語の使用をできなくなったり、伝統的な生活を禁止されたり、開拓されて貧困率が高かったり、差別されたり、わけのわからない質問を毎日されたり、という実感があるわけでもないのに、数千年前の出来事で、影響もなくなっている、真偽も定かではない出来事を出してきて「自分も先住民族だ」というのは、どう考えても「ズレている」としか思えません。
 
 COP10にやってくる「先住民族」というのは、そのようないい加減な話で「先住民族」なのではなくて、
 近代国家に植民地化されて損をしたから「先住民族」なのです。
 ですから、COP10について興味のある人たちは、そのような「縄文ルーツと先住民族の混同」をしないのではないか、と思ったのですが、全く違ったのでした。
 
 また筆者は「先住民族」と「先住民」について、明確に使い分けられている、という気がしていましたが、最近では、そうでもないことが判明しました。
 
 なぜなら、私は実際に、国内のメディア関係者に対して、国連の会議によく参加している研究者(?)の方が「先住民ではなくて先住民族です」と力説されていたのを、何度か目撃していましたし、実際に国際会議の場でも話されるのを見ていました。
 ですが、この用語の使い分けが強く意識されていたのは、先住民族作業部会において先住民族の権利に関する国連宣言が作られる過程で発生していた
 「Sの戦い」が、複数の国際会議にまたがって継続されていた頃(少なくとも1999-2003年、正確な期間は不明)の話であって、上村さんの話では、現在は言葉上の「S」の有無よりも、それに続く概念の説明に「集団の権利」が認められているかが大切なようでした。
 
 「先住民族」という言葉に関しては、必ずしも「適訳」とは言いがたいことが、最初に紹介した上村さんも認めていましたが、だからといって、たしかに「現住民族」と訳すわけにもいかないので、それしかなかった事情もわかりました。
 また「土人」という言葉が、日本政府の対外戦略(ハッタリ)によって、中身が変化していることも明確にわかって収穫でした。
 さらには以前から疑問に思っていた「先住民族」をあらわす用語について、各国語でも混乱があるのではないか、という疑問点も、確認できました。
 
 ほかの言語(英語、スペイン語、アラビア語など)で「先住民族」について書かれたものを読んだり、話をしていると、誰をさしているのかが、よくわからない部分に突き当たることが、ままありました。用語についての混乱…というか、おそらくは(先住民側・非先住民側ともに)政治的な思惑の影響も多大にある混乱が、日本語だけで発生しているわけではない、ということが確認されたのは、大きな収穫でありました。
 
 
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関連リンク:
 市民外交センター(SGC)
 先住民族の10年市民連絡会
 
 }{}{ Ainu puyarA }{}{ アイヌの生活と現在を考える窓
 『アイヌ』にまつわるQ&A(Esaman作成のQ&A)
 

◇記者の「ブログ」「ホームページ」など
 Esaman記者プロフィール
 http://profile.livedoor.com/esaman/

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コメント一覧

    • 1. m.a
    • 2010年03月30日 04:16
    • 先住民族とは、
       
       ・植民地化をされ、自らの意思で国民となっていない。
       ・自分達の将来のために文化や伝統を次世代に伝える意思がある。
       ・土地や資源、領土の概念をもっている。

      政府のつくった定義を読む元気がなかったのでわからないのですが、ここに述べられている先住民族の定義は日本政府が発表した定義なのでしょうか。

      そうなら、
      この定義だと沖縄も先住民族のようですね。


      アイヌが先住民族であると決まれば、日本にアイヌがどれだけいるかと知りたくなります。それに関連して混血の問題はどういった議論があるのでしょうか。

      よければ教えてください。

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