2011年12月30日

オーディオ用 高級LANケーブルが熱い!

オーディオ用高級LANケーブルオーディオマニアな人たちが、最近こぞってオーディオ用LANケーブルを購入しているらしいです。
あっ、このネタは

L3スイッチを介すとパケットのパワーが上がる?
http://blog.livedoor.jp/ese_admin/archives/51869051.html

オーディオマニアとコンセント
http://blog.livedoor.jp/ese_admin/archives/51982441.html

これらと同じようなネタです。
オーディオマニアの人たちは読まないほうが良いですよ。(一応、警告を)

まず、最初にネットワーク業界の真実を整理します。

LANケーブルの中を通る電気信号はデジタルです。
LANケーブルはデジタル信号を伝えるケーブルなので、求められる性能は、より正確にデジタル信号を伝えられるかどうか、という点に集約されます。

ツイストペア一般的なLANケーブル(UTP)の中には、2本ずつがねじってある銅線(ツイストペア)が4組、合計8本入っています。
それぞれのツイストペアは、プラス(信号)とマイナス(GND)で構成されていて、この2本の銅線をねじることで外部からの電気的なノイズの影響を減らしています。

しかし、LANケーブルの周囲に強いノイズを発生させる工業用の機械などがある場合、LANケーブルの中を流れる信号は影響を受けます。
STPケーブルそのような場合、LANケーブルの中のツイストペア銅線をアルミ膜で巻いたSTPケーブルを使用します。

ただ、LANという仕組み自体、ノイズの少ない環境でも、ノイズが非常に強い環境でも、LANケーブルを通る信号は、最終的には正確に伝えられるようになっています。

それは、LANに接続された機器同士は、通信が正常に行われているかどうか、常に監視しているからです。
そして、ノイズなどの影響で通信がうまくいかない場合、同じデータを再送します。
ノイズの影響で、データ自体が壊れてしまった場合も、同じく再送します。

その結果、LANケーブルを通るデジタル信号は、正確に相手の機器まで届くわけです。

一般に売られているLANケーブルの性能の違いは、つまり、この外部からのノイズに対する耐性の違いです。
ノイズの影響を受けにくいケーブルは、通常、価格が高く、また、通信時に再送される信号が少ないので、結果として、通信速度が速くなります。

LANケーブルはデジタル信号を伝送するものなので、LANケーブルに求められるのはケーブルの端から端まで正確にデータを伝えることだけです。

LANケーブルを交換した場合、変化する可能性があるのは、データの通信速度だけです。
他には何も変わりません。いえ、むしろ変わってはいけないのです。

このネットワーク業界の常識を踏まえると、オーディオ用の高額なLANケーブルという製品の存在理由が全く理解できません。

さらに、そのような高額なオーディオ用LANケーブルの製品レビューとして、「このオーディオ用LANケーブルに交換したら、音がものすごく良くなった」などと語っている人たちの気が知れない。

「NASにあるWAVデータを端末にコピーする場合に、このオーディオ用LANケーブルを利用すると、音が良くなる」とか本気で言ってるの!(笑)

だったら、MD5チェックサムでも付けて、データが変化したか確認してみるといい。
もし、WAVデータに何かしらの好ましい変化があったなら、それは、NASか端末PCか介在するネットワーク機器が壊れていることになる。
もし、MD5チェックサムの値に変化がないなら、そのLANケーブルはヤマダ電機やコジマで売ってる、普通のLANケーブルと同じものであり、正確にデータを伝送していることを喜ぶべきです。(笑)
(そして、無意味な買い物をしてしまったことを後悔しましょう。)

つまり、オーディオ用と称したLANケーブルも、OA用のLANケーブルも工業用LANケーブルも、性能差があるとするなら、それは通信速度という結果のみであり、それ以外の評価指標を挙げるなら、敷設環境の気温差や外部からの衝撃耐性ぐらいです。

もし、オーディオ機器を製造販売する業界に、薬事法のような法律があるなら、LANケーブルを交換したら音が良くなります!なんて宣伝するのは、事実に基づかない有効性の主張であり、全くの詐欺行為で違法行為になると思います。そういう法律が今のところ無くてよかったですね。(笑)

何度も言いますが、LANケーブルを高級なオーディオ用のものに交換したところで、音に変化が生じることなど100%ありません。
LANケーブルを交換した結果、その中を通るデジタル信号が変化することなど1000%ありません。


でも、実際に音が変わったことを実感しているって、言う人がいますか?

一応、念のために確認しておきますけど、

高級オーディオ機器のすぐそばに、ノイズを撒き散らすコンピュータ機器なんて、まさか置いてないですよね。
その高級オーディオ機器のすぐそばを、LANケーブルが通ってる、なんてことは無いですよね。
(笑)
ese_admin at 12:30│Comments(6)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by 通りすがりの者   2011年12月30日 23:26
医療用のコンセントで音質向上とかね。
でも屋内配線みればわかると思うけど、VVFケーブルならまだしも、隠蔽配管だとIV線(単線)が多いよ。しかもコンセントは差し込み式接続。
オーディオマニア相手に商売って詐欺みたい・・・笑っちゃいますね。
2. Posted by carblie   2011年12月31日 01:59
CDを凍らせて再生すれば音が良くなるとか…も同じ話題のようですが、これをある用語ではオカルトと言うのですね。
多分、気持ちや気分の問題で音は主観で変わるので好きにさせておくと良いでしょう。

そういやアナログの電話会議システムの回線をISDNに変えたとき、音が良くなったと曰っていた音響専門家もいたな。
3. Posted by Dyner   2012年01月05日 09:51
なんかすごく笑えますよね。
昔のアナログオーディオの名残でしょうかね?
昔はInPut、OutPutを色々と変更するとたしかに音が変わったと思うんですが。
今のデジタル時代にって思えるのですが、当人たちは必死なんでしょうね。
そのうち、ケーブルの中の材質が云々って出てくるでしょうね
光ファイバーの質とかね
なんかプラシーボ効果そのものでしょうね。
こうなると宗教ですから、あまり過激なことを書かないほうが良いかも >管理人様

4. Posted by あ   2013年11月28日 20:27
録音時には差が出ないでしょうが、再生時には差が生じる。

もっとも、デジタルデータのパケットロスが減らせればいいだけなので、
高価なオーディオ用LANケーブルは不要で、普及価格帯のカテ7で十分。

NASとアンプの間にHUBが介在するならば、
HUBの信頼性も音質に影響を及ぼします。
(再生時のみ)

録音の時は再送要求が掛かるのでパケットロスが生じても、
データは補完され、LANケーブルの品質に関わらず同じになるが、
再生時はパケットロスが生じるとそのまま再生される。
ここの違いはありますよっと。
5. Posted by ↑   2014年07月31日 18:44
TCP/IPで伝送する以上、再生だろうが録音だろうがパケットが不達の時点で再送要求が掛かるので、パケットロスで云々というのはダウト。

そもそも、よっぽど粗悪なケーブルやHUBを使わない限りパケットロスなんてまず起きない。(たまにロスしまくる地雷のHUBはあったりするが、それはまた別問題。)

頻繁にパケロスが発生しており、「パケットロスが生じるとそのまま再生される。」という主張が正しいなら、サイトの画像・文字や自分の投稿が化ける事象が多発するハズ。

それが発生してない時点で、この主張は間違ってるって事だわな。音楽データも、ネットの文字・画像データも、同じEtnernetのTCP/IPでやり取りされてるんだから。
6. Posted by エスアイアー   2016年09月02日 23:57
この手の話の噛み合わなさを見てると、改めてTCPって凄いんだな、と思ってしまう。
仕事で関わってでもいないと、再送とかイメージできないんでしょうね…
でも何も意識しなくても分からなくても、黙々と再送して正しいデータを届けてくれるTCP、正に匠の技でしょう。

とにかく多くの人はアナログの感覚で、データが壊れる遅れる=信号の品質が劣化して音質が下がる、
と思ってしまうだろうなと。
それに再送と言われても、そこでもたつく分で音が落ちる!
とか、そういう発想になる方が自然かもしれません。

実際は読み溜めてから再生してるので、ネットがまともに見れなくなるくらい不安定にならないと影響は出ませんけどね。
しかも影響が出てもそれは音の劣化ではなく停止にしかならない。

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