2024年03月04日

地獄のExcelファイルはどうして作られるか

先日、取引先からExcelファイルがメールで送られてきました。
ボクの感覚だと、Excelファイルというのは、社内で使うものであって、それを社外にメールで送るのは非常識だと考えます。
というのも、これは古くからこの業界にいるので過去に経験したことが関係するんですが、マイクロソフトのアプリのファイルってマクロウィルスが入り込む余地があります。
そんなファイルを相手に送るのはリスクをばら撒く行為だと思います。
それに、編集可能なデータを送るというのも変な話です。
改ざんされてトラブルになることを想定してないんでしょうか?

まぁそれはボクの勝手な価値観なので横に置いておいて。
で、受け取ったExcelファイルというのがその会社のファイルサーバのアクセス権限表だったんですね。
人事異動があったので、アクセス権限の変更をして欲しいという依頼です。

それ自体はよくある依頼です。
ところが、そのアクセス権限の一覧表がExcelワークシートに展開されていました。
このワークシートはウチの会社が作ったものではありません。

具体的に言うと、この会社のファイルサーバは2台あり、共有フォルダが10個、部署が5部署あります。
従業員は150名ほど。
全ての従業員がPC作業をするわけではないので、アクセス権限は100件ほどです。

で、Excelファイルには複数のタブがあり、最初のタブは「全リスト」というもの、それ以降は5つの部署の社員とアクセス権限が記されています。
全リストのタブにはそれらがまとめられている、というイメージです。

でね、このExcelファイルが地獄のような内容なんです。
一切、関数が使われてません。
セルの統合とか沢山あります。
ファイルサーバに設定されているアカウントとExcelファイルのアカウントが一致しません。
ファイルサーバの現在のアクセス権限とExcelファイルの一覧が一致しません。
全リストの内容と、各部署の内容に矛盾があります。

そんなExcelファイルをウチの送ってきたんです。

で、どうなるか?
全ての確認作業をしないといけません。
最初は、Excelファイル内の矛盾点を調べて指摘します。
次に、現状のファイルサーバのアクセス権限設定を調べてリストにして、Excelファイルとの矛盾点を指摘する作業です。
さらに、Excelファイルには無いアカウントをリストにして、削除する必要があるのかないのかを訪ねます。
そして、最終的にファイルサーバのアクセス権限の変更作業リストを作り、その内容で設定変更していいのかを訪ねる、という流れになります。

いえね、最後の「ファイルサーバのアクセス権限の変更作業リスト」まで作ってから依頼してきなさいよ、って言いたい。
社内管理の不具合の尻ぬぐいをさせるな、ということです。

それにですね、これと同じ作業を以前にもした経験があるんです。同じ会社で。
その時は、A3の紙にアクセスアカウントのリストと共有フォルダを表にして、現在のアクセス権限を「丸印」(読み書き)、「三角印」(読み)で書いて、全部署の管理職の人に回覧板のように回したんです。
手書きで変更点を書いてもらって、数日後にそれを回収してファイルサーバのアクセス権限の変更をしました。

この方法はウチの会社ではよくやる方法です。
Excelにまとめるよりも、紙媒体を回覧したほうが早いからです。

ところが、設定終了後にこの紙媒体をExcel化したアホがいたようです。
なぜアホなことをした、と言えるのかと言うと、情報の上流と下流を理解していないからです。
今回の上流の情報とは、ファイルサーバの「現在の」アクセス権限設定です。
下流はそれ以降の全てです。
下流で情報をまとめた場合、上流と下流で情報の齟齬が発生した場合の混乱を想定してないの。だからアホなの。

もっというと、信頼できない下流の情報って、参考程度にはできるかもしれませんが、当てにならない情報なのでできれば持たないほうが良い

今回の場合、現状のファイルサーバのアクセス権限設定の一覧をサーバ管理者が出す、もしくはウチの会社が出すのが最初の作業。これが上流の情報で、これが一番信頼できる情報です。
その後、変更したい点を依頼してもらい、変更作業をする。

この流れの中でExcelファイルをベースにするという作業が全く無意味なのが分かりますよね。
Excelファイル、いらないんです。
齟齬が発生しない保証があるならExcelファイルを作っても良いですが、そこに時間軸を含めて考えると、絶対に齟齬が発生するんです。そういうものなんです。

そういう意味で考え出されたのが「紙媒体の回覧板」方式だったんです。

じゃあ、なぜこの会社の誰かはExcelにまとめてしまったんでしょう?
その理由も良く分かります。
Excelに情報をまとめると、仕事をしている感が出るからです。
情報をまとめてやり遂げた感があるからです。

実際は仕事を混乱させるだけなんですが、Excelのセルに情報をまとめると、自分がちゃんと管理している錯覚に陥るんです。

なんかね、Excelの運用について、明確な方針を持ったほうが良い気がします。
全ての会社で。
ボクだって立派なこと言えた立場じゃないですが、Excelの使い方次第で業務の効率化は進みますし、逆に使い方が間違ってると作業量だけが増えて、無駄な残業が増えますよ。
そういうことに早く気付いたほうが良いと思います。
ese_admin at 00:00│Comments(0)

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
記事検索
最新コメント