ツイッターで気になって買いました。
傍から見れば奇人変人の奇行のような事が書き連ねてあります。
読んでて気になったのが、六本木ヒルズにあるクモの彫刻を作った作家の物語です。
六本木ヒルズの大きなクモの彫刻に「父親への怒り」や「母親への軽蔑」といった背景があるという事に驚きました。人々が行き来する場所に置かれてる作品が両親に対する憎しみが動機になってるって怖いです。
アートは人を幸せにするだの、癒すだの言われてます。自治体や企業は幸せにするアートだの癒しのアートだのをピックアップします。幸福感を感じる作風の作家は注目されます。負の要素がある作品を発表する作家は非難されます。
しかし奇人変人の奇行のような行いには相当なエネルギーが注ぎ込まれます。誰だって絵や彫刻を作れますが、その制作に並大抵ではない労力を注ぐことができる人はあまりいません。しかもお金になるとは限らないし、褒められるとも限りません。そういった事に寝食をも惜しみ取り組むことができる人がどれぐらいいるでしょうか?
そして、相当なエネルギーが注ぎ込まれた奇人変人の奇行のような行いには、大きな不幸が関わっているとこの本には記されています。投獄、迫害、いじめ、飢え、家族の死・・・。第二次世界大戦が現代美術に影響してると言われるように、大きな不幸は作家に影響を与えます。
こないだ、宮城県美術館で見た企画展は、戦後の日本の美術作品が展示されていました。第二次世界大戦の影響が作品からにじみ出てていて、気が重くなりました。
芸術には気が重くなる要素もあり、そういった負の面をきっちり書いた本でした。