2017年02月

2017年02月28日

わずか3cm・・・_| ̄|○

NET-IB NEWSに連載されていた、土地取引のトラブル事例。
興味深く拝読させていただきました。

間口が足らずに、再建築できなかったというトラブルですね。

どれだけ足りなかったかと言えば、
わずか3cm・・・_| ̄|○

記事によれば、仲介業者の担当者がちゃんと境界確認をせずに、
勝手に「現況間口の半分の約2.5m」と判断しちゃったのが原因。

怖いですね〜

占有状況と法律上の境界線(=筆界)とは必ずしも合致しませんよ。
土地取引の際には、必ず土地家屋調査士を入れてくださいね。


【決裂した土地売買契約、争点は『3cm』(1)】

 わずか3cm――この小指一本の長さに満たない差が、裁判に発展している。

 土地購入代金を巡り争っているのは、建築資材の販売や製作金物の設計・施工を手がける○○と、不動産売買や仲介などを手がける☆☆。○○が、☆☆を訴えている。

 ○○は、☆☆の仲介で福岡県※※町に約300屬療效呂鮃愼した。ところが、購入後に☆☆が提示した土地情報と測量で判明した土地の実状に重大な差違があることが発覚。☆☆が○○に持ちかけた土地の接道部分が、建築基準法第43条1項が求める「接道義務」で定められた2mに3cm足りなかったのだ。当然、建築基準法違反となったこの土地は、「建築物の敷地」として認められないので、建築工事を進めることはできない。

 ○○は☆☆と交わした土地売買契約が無効であると主張。土地購入に際して支払った代金の返金を求めた。しかし、☆☆は○○の求めを拒否。土地を巡る争いは、裁判所へ舞台を移すことになったのである。

 なぜこのような重大なミスが起こったのか。取材を通じて☆☆の軽薄な体質が明らかになってきた。
(2月2日 NET-IB NEWS)


【決裂した土地売買契約、争点は『3cm』(2)】

 ☆☆が『事前調査不足』のまま土地を仲介したことで、購入者の○○は多大な損害を被っている。問題の土地は、建築基準法第43条1項で定められた接道義務(道路に2メートル以上接しなければならない)を果たしていなかったのだ。土地売買に際して売主・仲介業者・買主に「実測義務」はない。しかし、今回のケースでは☆☆は買主である○○に対して再建築可能(=収益物件化可能)であるという旨を事前に説明したうえで仲介している。この点が問題になっているのだ。

信頼関係があればこそ

 ○○と☆☆は仕事を通じて旧知の間柄だった。○○としては、☆☆から土地取引の話を持ちかけられたことに何の疑いも抱いていなかったという。そんな☆☆に対して○○が不安を感じ始めたのは、取引前の重要事項説明に宅地建物取引士の資格を持たない人間(☆☆社員)がやって来た時である。

 宅地建物の取引においては、宅地建物取引業法第35条で、重要事項説明は売買契約や賃貸借契約が成立するまでの間に行なわなければならないと定められている。また、宅地建物取引業者は宅地建物取引士をして説明に当たらせなければならないとも定められている。

 ○○は当然同社員を帰し、有資格者を連れてくるよう指示。これを受け、☆☆は後日あらためて資格を持つ社員に重要事項説明を行わせている。☆☆のコンプライアンス遵守に対する姿勢に疑問符がつく一件である。

 それでも不動産売買に決して明るいとはいえない○○は、これまでの付き合いからくる安心感も手伝い、不動産業の『プロ』である☆☆を信頼した。手付金を支払い、その翌月には残金の支払いを完了。司法書士に依頼し所有権移転登記も済ませた。土地売買契約はここに無事成立した。

発覚した再建築不可

 「3cm足りない」。もたらされたのは○○にとっては予想外の凶報だった。

 ○○が☆☆から購入した土地に、ある賃貸不動産管理業者(以下、X社)が共同住宅用地として興味をしめした。○○は「条件が合えば」と前向きに検討。早速X社は土地家屋調査士に依頼し測量を実施。そこで判明したのが接道2mに「3cm足りない」という事実だったのである。

 ○○は☆☆から、土地に建っている建物(2階建、延面積185.48屐砲浪鯊里靴萄瞳築すれば収益物件として活用できる、と説明を受けていた。だからこそ共同住宅建築に向けて、解体工事まで済ませていた。しかし、建設基準法が求める接道義務2mを満たしていないとなれば話は根底から覆ってしまう。言うまでもなく再建築はできないのだ。○○に残されたのは、資産価値が著しく目減りした土地だけとなったのである。

 ☆☆が○○と取り交わした重要事項説明書には「本物件は、前面道路に対して間口約5mありますが、持分としては間口半分の約2.5mとなると思われます。」とある。気になるのは”思われます”という表現。なんと☆☆は実測せずに、「歩行や自動車の進入等については、なんら支障がない状態だった」として、”目分量”で判断していたのである。問題の土地は、1977年11月18日に建築確認申請が下りている。このことがまた、☆☆に目測で確認を済ませるという行為を是とさせたのである。

 さらに、☆☆は土地所有者となった○○に知らせず、接道2mを満たすために勝手に隣接する土地に境界プレート(土地と土地の境界の位置を表すための標識)を3cm移動させ、そこが正しい境界であると主張を始めている。☆☆のこの行為は、2社の争いに関係のなかった隣接する土地所有者までも巻き込んでしまったのである。

 賃貸不動産管理業者であるX社でさえ、土地売買に際して土地家屋調査士に依頼し土地の寸法チェックを徹底している。不動産業のプロである☆☆がそれを怠ったというのが信じられない。宅地建物取引士の資格を持たない社員に重要事項説明をさせようとしていたこと。ろくに現地調査もせずに土地売買取引の話を○○に持ちかけたこと。25年以上の業歴を誇っているにも関わらず、プロとは思えない軽率な行為を重ねてしまった☆☆。

 次回、☆☆の言い分を紹介する。
(2月3日 NET-IB NEWS)


【決裂した土地売買契約、争点は『3cm』(3)】

 接道義務2mを満たしていない土地を、再建築できるとして○○に仲介した☆☆。事前調査不足に加え、土地売買契約前の重要事項説明に宅地建物取引士の資格を持たない人間を向かわせたり、土地所有者となった○○の同意を得ずに土地境界プレートを勝手に移動させるなど、不動産業に関わる『プロ』とは思えない行動が目立つ。土地購入代金返還等を求める裁判にまで発展した今回の件における、☆☆の言い分を紹介する。

事前調査不足は認めるものの・・・

 ☆☆は “目分量”で接道義務2mを満たしていると判断し、重要事項説明書に「本物件は、前面道路に対して間口約5mありますが、持分としては間口半分の約2.5mとなると思われます」と記載した。「敷地と道路との関係図」でも「2.5m間口」と明記している。
 目測の件について☆☆の担当者は「コロコロ(ロードカウンター・距離測定器)で実測も行ったと話す。実測を行ったというなら、余計に接道義務2mに足りないことが、なぜ事前にわからなかったのか、不可解な話である。☆☆は、2mを満たしていると思っており、決して(○○に再建築不可の土地を仲介したのは)意図的ではなかったとしながら、「(土地の売買契約に際して)説明は、不正確な点があったことは認める」と述べている。

 事前調査に甘さがあったとしながら、それでも☆☆が非を認めないのは、1977年11月18日付で交付された建築物に対する確認済証の存在が大きい。建築不可能なら確認済証はおりない。つまり問題の土地は接道義務2mが満たされているというわけだ。しかし、その事実を拠り所にしているのならばなぜ○○に黙って土地と土地の境界の位置を表すための標識(境界プレート)を勝手に3cm移動させたのか。これについて☆☆は、「境界プレートは、(問題の土地の)隣家がブロック塀を築造した時にズレたと考えて、元の位置に戻した」と話す。だがこれは、土地所有者となった○○に行為を秘匿した理由にはならない。○○に対して後ろめたさがあったのではないだろうか。

巻き込まれた隣人

 ☆☆は境界プレートを“元の位置に戻す”という目的をもって、2015年10月末、問題の土地を訪れていた。そして、隣地の土地所有者に土地の筆界(=土地の堺)の確認を依頼し、「立会証明書」に署名・押印をもらっている。これにより、☆☆は「正しい筆界について、確認ができているのであるから、“実測においても、間口2.0mを確保できている”ことがより明確になった。したがって、今後の確認申請や完了検査等に支障がないことは明らかといえる」と主張を開始。接道2mになるように○○に知らせず3cm勝手に境界プレートをずらしているのだから、“実測においても間口2.0mを確保できている”のは当然である。

 災難なのは、この☆☆の勝手に巻き込まれた隣家の方(以下、A氏)である。A氏は、境界プレートを元の位置に戻しに来た当時の☆☆の様子を次のように述べている。「『急いでいるので、覚書は後からでもよいので、まず境界のプレートだけでも打たせてください』と訪問され、よく考える間もなく立ち会ってしまいました」。さらに、この時A氏は☆☆から「(境界プレート移動後)記念に写真を撮りましょう」と言われ、これに応じている。この時の写真が、☆☆側の裁判資料として利用されているのだ。A氏は「(写真が裁判資料に利用されたことを知り)ひどく不愉快に感じました」と述べている。

 ☆☆は、一貫して問題の土地を“仲介しただけ”であるから、土地購入代金返還については売主である元土地所有者に請求すべきであるという態度だ。しかし、勝手に境界プレートを移動させたのはいただけない。これは刑法262条2項の「境界損壊罪」に抵触する可能性がある。○○や隣地所有者への不誠実な対応が、自らの首を締める結果になった。次回、問題の土地をめぐる第三者の動きを見ていく。
(2月8日 NET-IB NEWS)


【決裂した土地売買契約、争点は『3cm』(4)】

 再建築不可の土地を○○に「再建築可能(=収益物件化可能)」と説明し、仲介した☆☆。取材を通して見えてきたのは、☆☆の軽率な行動の数々だった。取引前の重要事項説明に宅地建物取引士の資格を持たない人間を向かわせる。土地の寸法を“目測”で済ませる。問題の土地が接道義務2mを果たしていなかったと知り、土地所有者となった○○に報告せず、勝手に境界プレート(土地と土地の境界の位置を表すための標識)を3cm動かす。25年以上の業歴を持つ☆☆だが、その仕事ぶりは“プロ”らしからぬものだ。

県土整備事務所も認めた資産価値の減少

 問題の福岡県※※町の土地で建築工事を進めることは出来ない。建築基準法第43条1項が求める「接道義務」で定められた2mに3cm足りないからだ。第三者(賃貸不動産管理業者X社)の報告によってその事実を知ることになった○○は、改めて問題の土地の実測を建築設計事務所Y社に依頼。依頼を受けたY社は問題の土地を実寸し、2mの接道義務を満たしていないことを確認。さらに、同土地を管轄区域に持つ福岡県※※県土整備事務所・建築指導課への確認も実施。同建築指導課の担当者は、Y社の「(問題の土地の)敷地に建築が可能か確認お願いします」との問い合わせに対し「2m以上接道していない部分がありますので建築は不可となります。ただし、基準時(昭和45年)に建物が建っていて、通路部分が“2項道路という判定が出れば建築可という可能性はあります”」と答えている。

 2項道路とは、建築基準法第42条2項の規定による“みなし道路”のことである。昔の住宅地は道路幅が狭いことが多いため、建築基準法施行時に「すでに建築物が立ち並んでいた道路」は、建築基準法上の道路として認める(寸法起点を2m下げることで規定に合うようにする)というもの。
 Y社は早速問題の土地の通路部分が2項道路判定になるか調査を開始。昭和44年当時の現地空中写真を入手することに成功し、問題の土地は田んぼだったことか判明。住宅地ではなかったという事実を受け、同建築指導課の担当者は「2項道路としての判定は不可」としている。
 Y社の調査結果を受け、○○は※※町役場税務課に対して固定資産税の納金還付を求めた。もともと田んぼで、今後も建築工事が出来ない土地に宅地として税金を支払っていたためである。同税務課は○○の求めを認め、固定資産税税額を更生し、納付済みの固定資産税に関しては過誤納金として還付した。再建築の可能性は完全になくなったのだ。

☆☆が失ったもの

 これまで、土地購入を巡る○○と☆☆の裁判を第三者の意見・行動を交えて紹介してきた。非はどちらにあるのか――係争中の案件であるため、断じることはできない。しかし、はっきり言えることが一つある。それは、今回の☆☆の仕事は決して“プロ”と呼べるものではないということである。
 当件に関する☆☆の主張は一貫して“仲介しただけ”であるため土地購入代金等の返還義務を負うことはない。また、接道義務に関しても「昭和52年11月18日に確認済証が交付されているから2mの接道義務は果たされている」というもの。しかし、そうした態度を示す一方で、☆☆は勝手に境界プレートを3cmズラしたりするなどの行動を起こしている。暗に自らの至らなさを認めているといえる。
 プロらしからぬ仕事ぶりと態度を露見させてしまった☆☆。今回の○○との土地売買を巡る裁判は、☆☆が今後不動産取引を行う際に背負わねばならないリスクになるだろう。実績を積み上げ信頼を勝ち取ることは容易ではない。しかし、信頼を失うのは一瞬である。
(2月17日 NET-IB NEWS)


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月27日

「住居用の不動産を住居として利用しようというのがもう限界」

逗子駅徒歩12分の空き家が、一棟貸しのゲストハウスに生まれ変わったそうです。
その名も、「貸別荘 Vacation+ZUSHI Guesthouse」。長っ!(^^;

ここのスキームは、以下の通り。
・内外装の修繕費用は不動産業者負担
・宿泊料金の一部を運営費として業者が受け取る

予約状況を見ると、結構な稼働率ですよ。
逗子駅徒歩12分でこれなら、超優等生ですよね。

同社がブログでお書きになっている言葉が刺さります。
「住居用の不動産を住居として利用しようというのがもう限界なんです。
 住宅の住宅以外の利活用を考えていきましょう。」

空き「住居」の未来像に、柔軟な発想が必要ですね。


【空き家を丸ごと宿泊施設に 東京五輪にらみ施設不足解消に民間も一役】

2020(平成32)年東京五輪のセーリングの会場となる神奈川・湘南エリアでは、今後、周辺を訪れる外国人観光客の増加が見込まれる一方、宿泊施設不足が懸念される。そうした中、湘南エリアで相続時に住まなくなるなどの理由で増加している空き家を一棟丸ごと宿泊施設として提供し、宿泊施設不足解消につなげようとするビジネスが民間主導で動き始めている。

JR横須賀線逗子駅から徒歩12分。閑静な住宅街に白を基調とした洋風のおしゃれな建物が目に飛び込んでくる。昨年4月に開業した「貸別荘 Vacation+ZUSHI Guesthouse」の建物だ。しかし、外に看板はなく、一見しただけでは、宿泊施設とは気づかない。

◆修繕費を負担

実は、この建物は約1年間、空き家の状態だった。オーナーから活用法の相談を受けた地元の不動産会社、ユニークホームズ(本社・神奈川県鎌倉市)の阿部真美代表が提案したのが、一棟貸しの宿泊施設として稼動することだった。

建築から27年がたっていたため、内外装の修繕費用を同社が負担。オーナーには、昨年4月の開業後、毎月、相場よりやや高めの家賃を同社が支払う一方、運営費として宿泊料金の一部を同社が受け取る仕組みをとることにした。

施設内は、食器や冷蔵庫、テレビなども備え、調理もできる。大人7人まで宿泊でき、人数やシーズン、宿泊日数によって設定は異なるが、1泊1人6000〜1万5000円程度。

あくまで、「自分の別荘のように使ってほしい」(阿部代表)との思いから、宿泊当日は、阿部さんが出向き、鍵の受け渡しと簡単な施設の説明にとどめる。ただ、近隣住民や宿泊にまつわるトラブルを避けるため、宿泊者とは事前にメールや電話で要望などのコミュニケーションをしっかりとる。

◆トラブルなし

逆に「コミュニケーションをしっかり取れない方とは、こちらから宿泊キャンセルできるルールにした」(阿部代表)ことで、マナー違反などのトラブルは起こらずにいるという。

神奈川県や湘南エリアの訪日観光客数は年々増加傾向にあり、すでに人気の鎌倉や江の島は宿泊、公共交通、ともに飽和状態だ。さらに、東京五輪では江の島がセーリング会場に決まり、根本的な宿泊者対策が求められている。

湘南エリアには、古くからの立派な建物が多く存在する一方、例えば親世代が住まなくなって、子世代が移り住まずに放置し、結果、空き家になるケースが目立っているという。

今回のビジネスは、この点に目をつけ、宿泊施設不足、オーナーの土地活用、ともに満足できる仕組みとしてスタートした。逗子海岸まで徒歩1分という好立地も手伝ってか、稼働率は「ほぼ8〜9割」(同)という。

◆1社では限界も

阿部代表によると、鎌倉でも同様の施設の開業を目指しているほか、問い合わせもあるという。ただ、「1社では限界があるので、同じような事業を行う人が増えてくれたら。そのためには協力を惜しまない」と話す。

空き家をめぐっては、自治体も定住を促進するために「空き家バンク」などで空き家の活用を進めているが、今回のような新しい発想による民間の取り組みもさらに求められそうだ。

空き家バンク 自治体が中心となって、定住促進のために空き家を紹介する制度。自治体によっては各種助成金制度などの優遇措置や、空き物件に関する情報提供を優先的に行うところもあり、県内では、相模原市や横須賀市、小田原市などで取り組みが行われている。
(2月26日 訪日ビジネスアイ)


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月24日

地面師が跋扈する理由

先日逮捕された「地面師」。
その輝かしい戦歴(?)が記事になっています。

ライター曰く、この手の事件は、次の理由でクローズアップされません。
・被害者は、詐取されたカネが返ってくるわけでもないと情報開示に消極的
・大手メディアは、「古めかしく、ありふれた事件」として大きく取り扱わない

その一方で、高齢化に伴う空家の急増などで、狙われる土地が増えている・・・
これが、地面師が跋扈する理由。

あなたの土地は大丈夫ですか?


【☆☆ホテルから12億円を騙し取った「地面師」驚きの手口 カネはどこに消えたのか?】

鮮やかすぎる手口

 凄腕の地面師が逮捕された。

 ここ数年、地面師グループのリーダーとして都内近郊に出没、私が把握しているだけで4件の架空不動産売買で約25億円を詐取した。警視庁捜査2課の調べが続けば、さらに被害金額が積み上がるに違いない。

 ※※容疑者(54)――。

 都内各地で何社も経営するが、その多くはペーパーカンパニー。調査会社の報告書によれば、1985年に大学を卒業して損保会社に入社。不動産業に転じて、99年に会社経営者となり、その後、不動産売買、ホテル運営会社、米ハワイ州不動産会社の販売代理店、医療コンサルタントなどを経営するものの、「各社とも実態把握できない」という。

 少なくとも4〜5年前からは、グループを組んで「成りすまし犯」を用意、偽造書類等で売買代金を詐取する地面師が本業になっていた。

 2月13日の逮捕案件は、墨田区の80代の女性が所有する土地や建物について、各種書類を偽造、横浜市の不動産会社から7000万円をだまし取ったというもの。

 この件もだました相手はプロだが、※※容疑者の名が不動産業界で一躍有名になるのは、東京・赤坂の一等地を舞台に、精力的な不動産買い付けとホテル建設で知られる☆☆ホテルをだまし、約12億6000万円を詐取した事件からである。

 この件は、13年12月、売主に対して損害賠償請求訴訟を起こした☆☆が全面勝訴。判決文によれば、☆☆の解除権を認めて売主への支払いを命じているが、当然のことながら☆☆に至るまでにも売買は繰り返され、資金の多くは費消され、損害は回復していない(後述のように☆☆は回答せず)。責任追及は、警視庁に委ねられた。

 手口は、鮮やかというしかない。

 ※※容疑者らが目をつけたのは、赤坂2丁目の外堀通りの近くにある四角い形状の約120坪だ。当時、駐車場として使われていたが、土地所有者は過去にこの土地を担保に借金をしたことがない資産家だった。

 所有者が住んでおらず無借金――地面師にとっては狙い目である。※※容疑者らは、13年6月頃から動き出し、☆☆の仲介業者に、物件購入を持ちかける。

 所有者はSY氏だが既に死去。相続したのは、その息子のSS氏とSK氏の兄弟。両氏は、△△(※※容疑者が代表を務める上野の不動産会社)に売却することで合意している。ただ、△△は中間登記を省略(登記には登場せず、直接の売主にはならない)し、千代田区のK社に売却するので、☆☆はK社からの購入になる――。

 不動産登記簿謄本上の流れは、SS氏とSK氏がまず相続して所有権登記。それをK社で購入の上、☆☆に売却する。

 全国に200軒以上のビジネスホテルを展開する☆☆は、元谷外志雄会長の積極的な拡張戦略で知られるが、全国で物件を取得しているだけに不動産のプロを各所に配備、備えは万全の“ハズ”だった。

 赤坂案件では現地調査は仲介業者が行い、建築設計事務所がホテル建設用地としての可否を検討。登記実務は経験豊富な司法書士に委ねられ、社内で検討の末、購入が決定する。

 価格は12億6000万円で契約締結日と決済日は、13年8月6日に決まった。

 同日午前12時、メガバンクの赤坂見附支店に一堂が会した。大正15年生まれのSS氏(当時87歳)と昭和4年生まれのSK氏(同84歳)、△△代表の※※容疑者、K社代表、☆☆から受任を受けた司法書士。他に、双方から弁護士、司法書士などが立ち会い、売買契約が成立し、☆☆からK社への支払いがなされ、法務局に登記が申請された。

 このSSとSKの両氏が、※※容疑者から依頼を受けた「成りすまし犯」だった。☆☆サイドは本人確認を住民基本台帳カードで行うが、実は、これが偽造されたものだったのだ。不動産権利書、固定資産評価証明書、印鑑証明書など契約に必要な書類もすべて偽造だった。

 契約が成立し、振込が完了した時、数十万円から数百万円で雇われるという成りすまし犯の2人はホッと胸をなで下ろす。※※容疑者ら地面師グループ(どこまで仲間かは現段階では不明)は、小躍りして喜んだに違いない。

地面師が跋扈する理由

 犯行が露見したのは、売買から6日後である。

 契約の主だった参加者は、東京法務局港出張所に呼ばれ、「印鑑証明書など登記の申請書類は偽造」と告げられた。その時には、麻布署の捜査員が待機、私文書偽造・同行使の疑いがあるとして、事情聴取を行っている。

 だが、「成りすまし犯」の2人は既に行方知れずで、※※容疑者は取引直後、海外に“脱出”し、連絡が取れなくなっていた。

 この頃の※※容疑者グループは、実に精力的だ。☆☆事件の3ヵ月前には、医療法人が品川区の一等地に所有する145坪に目を付け、港区の不動産会社A社に、「所有者が土地売却を急いでいる。知人の不動産会社○○を通じて買わないか」と、持ちかけた。この時も△△は中間登記省略で、所有権は医療法人→○○→P社と、移転することになった。

 売買代金は3億6000万円で、13年4月5日、所有権移転手続きが行われた。※※容疑者、○○、P社の代表などの契約当事者の前に現れ、医療法人理事長として署名捺印したのは55歳の「成りすまし犯」で、司法書士らが行った本人確認は、運転免許証で行なわれた。○○の××代表は、冒頭の80歳代の夫人の土地売買代金を詐取した疑いで、2月13日、※※容疑者とともに逮捕されている。

 この他にも※※容疑者は、茨城県日立市の不動産を都内の不動産業者に同じような手口で売却、約7億円を詐取したと報じられている。

 逮捕案件の7000万円が最も被害金額が少なく、☆☆の赤坂の土地、医療法人の品川の土地、日立市の土地を合わせると4件約25億円になる。そのカネはどこに消え、グループは何人なのか。

 被害者は、詐取されたカネが返ってくるわけでもないと情報開示に消極的で、大手メディアは「古めかしく、ありふれた事件」として大きくは取り扱わない。だが、高齢化の進展に伴う空家の急増などで狙われる土地が増え、地面師の跋扈が続く。

 知名度が高いうえ、こうした犯罪への対抗策を備えている☆☆がだまされたことを報じることで、警視庁管内だけで60件近いとされる未解決地面師事件への警告にしたかったが、☆☆は「捜査中」を理由に取材に応じることはなかった。
(2月23日 現代ビジネス)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170223-00051035-gendaibiz-bus_all


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月23日

51%が「誰も検討していない」・・・_| ̄|○

不動産の比較サイト「スマイスター」を運営する株式会社シースタイルさんが、
今後の不動産相続についての行動」調査の結果を公表しました。

土地を相続する可能性があると答えた方が91%、建物は80%。

しかし、相続財産に預貯金をカウントした方はわずか45%。
半数が不動産オンリーという現実。

そして、大多数が相続を受ける予定の「土地」についての今後の行動は、
51%が「誰も検討していない」・・・_| ̄|○

たしかに、不動産は複雑です。
とりあえず先送りにしておきたいお気持ちはわかります。

でも、遺言や税対策や境界確定など、
「今」やっておかないと将来ひどい目に遭うことが多いんですよ。

とにかく、早目にご相談くださいね。


【土地を相続する予定はあるけれど 検討状況は・・・】

将来、相続を受ける可能性のあるものは?

 相続税も問題だけれど、相続人が複数いれば、“どう相続するか“も問題だ。特にお金のように簡単に分けられない不動産は。土地などを相続する可能性がある人の半数以上が、相続についての検討をしておらず、親族間の話し合いにいたっては、2割に満たないことが、「今後の不動産相続についての行動」についての調査(シースタイル・東京)で分かった。
 将来不動産を相続する可能性がある、という30〜70代の全国300人を対象にした調査。それによると、相続予定の財産は、「土地」という人が最も多く91.0%、「建物」は80.7%、不動産以外として「預貯金」が45.3%、「株式」10.3%。金融資産も一緒に相続する人は約半数だ。
 相続を受ける予定1位の「土地」について、今の検討状況をたずねたところ、51.3%が「誰も検討していない(何も進んでいない)」と回答。検討が進んでいる人の合計は16.5%と2割弱となり、分配の難しい不動産相続は、家族間の話し合いを先送りにしている様子がうかがえた。相続を受ける可能性のある「建物」については、「自分で住む」という人が33.9%だった。
(2月22日 オーヴォ)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170222-00000003-ovo-life


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月22日

サブリース訴訟

先週開催した勉強会テーマの「サブリース」、
新たな裁判が勃発したようです。

記事によるとオーナーは、2005年に「30年間、賃料は減額しない」と説明され、
契約書には「賃料は当初10年間は不変」と明記されていたんだとか。

ところが2011年に、経営難を理由に減額を求められたんだって。

で、業績回復後も家賃が元に戻らないため、訴訟に踏み切ったというわけ。

さらに、少なくとも100人以上のオーナーが一斉提訴を検討しているみたい。
これは大変ですね。(^^;

この火は広がるんでしょうか。
行方に注目ですね。


【家賃減収、大家が提訴へ ※※「10年不変」】

 家賃収入は10年間変わらない契約でアパートを建てたのに、6年後に減額されたとして、愛知県の男性(80)が22日、サブリース大手「※※」(東京都)を相手に、減額分の支払いを求める訴訟を名古屋地裁半田支部に起こす。同様の減額事案は全国で相次いでおり、少なくとも100人以上のオーナーが一斉提訴を検討している。

 サブリースは、オーナーが建てたアパートを業者が一括で借り上げ、空室に関係なくオーナーに一定の家賃を支払う仕組み。しかし、思うように入居率が上がらず、オーナーへの支払いを減らし、トラブルになるケースが相次いでいる。国土交通省は昨年9月、契約時に「将来的に家賃が減る恐れがある」との説明を業者に義務づけた。

 訴状などによると、男性は愛知県知多市に2階建てアパート(20戸)を建て、2005年1月に同社と月額77万7800円のサブリース契約を結んだ。同社は「30年間、賃料は減額しない」と説明。契約書では「賃料は当初10年間は不変」と明記されたが、経営難を理由に11年10月に約10万円の減額を求め、男性はやむなく受け入れた。だが業績の回復後も家賃は戻らないことから、男性は家賃の増額と、交渉を始めた16年7月からの差額約81万円の支払いを求めている。

 一部オーナーで作る※※・オーナー会(名古屋市)によると、同様に減額された会員100人以上も訴訟を検討。☆☆代表は「倒産すると言われ、やむなく減額を受け入れた人がほとんど」と話す。

 同社の広報担当者は「家賃を増額した例もあるが、当物件は近隣の相場と比較しても妥当な家賃と考えている。裁判所の調停による解決を目指したが、先方が取り下げた」としている。
(2月22日 朝日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170222-00000011-asahi-soci


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月20日

お寺の境界標

実は私、自他共に認める境界オタクなんです。
えっ、知ってる?・・・(^^;

で、いろんな場所でいろんなものが目に飛び込んでくるんですが、
以前から気になっていたのがお寺の境界標。

たとえば下の写真は、和歌山市の報恩寺の境界標。
報恩寺石杭

かなりの年代モノとお見受けしますが、
なぜお寺が境界標を入れるのかがずっと疑問でした。

その答えが、先日の研修会で判明したんです。

現在の土地所有制度の始まりが、明治6年の地租改正事業にあることは
これをご覧いただいている皆様ならすでにご承知の通り。

ただ、お寺の境界を知るには、その少し前、
王政復古の大号令に遡る必要があります。(^^;

新政府は、「復古」、つまり神武天皇に立ち返って、天皇を神格化したたため、
そこにつながる「神社」は国有地、お寺は民有地としました。

ところが、版籍奉還によって大名ですら領地を国に返したのに、
お寺だけが相変わらず広大な土地を所有していることが議論になったんですね。

そして、明治4年に、いわゆる「寺社領上知令(じょうちれい)」というのが出され、
境内地を除く社寺領は国有地とされたわけです。

で、明治8年に出された「社寺境内内外区画取調規則」で、
境内は、祭典法要に必需の場所を区画し、「標示を建て置くこと」とされました。
社寺境内内外区画取調規則
第一条 社寺境内ノ儀ハ祭典法用ニ必需ノ場所ヲ区画シ更ニ新境内ト定其余悉皆上地ノ積取調ヘキ事 
第二条 新ニ経界ヲ定ムルニハ溝塹堤墻又者道路等ノ地形ニ拠リ判然区域取調標示建置クヘキ事

上の報恩寺の境界標はこれっぽいですね。

個人的には、とりあえずスッキリ!
これからも、どんどんマニアックに掘り下げていきますよ。(^^;


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月17日

「元営業マンが語る 土地有効活用提案営業と相続について」

昨日、SGお初天神の勉強会を開催しました。

テーマは、「元営業マンが語る〜土地有効活用提案営業と相続について〜」。
講師は、ナガムネFP事務所の長棟治夫さん。

ここには書けないウラ話も交えながら、迫力あるお話をお聞かせいただきました。

いろいろ物議を醸している「一括借上げ」ですが、
自分で客付けできないオーナーにとって、重要な選択肢であることは事実。

ただ、各社ビミョーに条件が異なるんですよね。
ここをしっかり比較・検討することが大切ですね。

(一例)
       A社        B社          C社
借上料率   85%       85%         90%
賃料見直し  当初10年固定   2年毎         2年毎
待機期間   建物完成後3ヶ月  入居可能日より60日  建物完成後3ヶ月
更新料    無し        管理会社が取得     管理会社が取得
原状回復費  管理会社負担    オーナー負担      オーナー負担
修理修繕費  管理会社負担    オーナー負担      オーナー負担


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月15日

司法書士もグル・・・_| ̄|○

先週の「地面師」事件、何人かの司法書士から
「偽造文書は見破れない」とコメントをいただきましたが・・・

司法書士がグルって、それ以前の問題だわな・・・_| ̄|○

ま、それはともかく、地面師については「現代ビジネス」に
何度かコラムが掲載されています。

手口を知るためにも、一度ご覧になってくださいませ。


【架空の不動産取引で詐欺容疑、「地面師」を逮捕】

 架空の不動産取引で現金をだまし取ったとして、警視庁は14日、東京都中央区月島、会社役員※※容疑者(54)や目黒区東が丘、司法書士☆☆容疑者(52)ら男6人を偽造有印私文書行使と詐欺の容疑で逮捕したと発表した。

 同庁は、「地面師グループ」とみて調べている。

 発表などによると、※※容疑者らは2012年12月〜13年1月、横浜市の不動産会社に対し、東京都墨田区の80歳代の女性が、所有する土地と建物(約350平方メートル、3階建て)から立ち退くことを記した偽造の「立退承諾書」を示すなどし、「数か月後に9000万円で買い戻す」などとうそを言って、7000万円をだまし取った疑い。
(2月14日 読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170214-00050098-yom-soci


【二重のなりすまし詐欺!一見善良そうな老人が「地面師」一味だった こうしてあなたも土地を乗っ取られる】

 他人になりすまして土地をだまし取る詐欺が東京を中心に続発中。犯人たちはどのような手口で犯行に及ぶのか? 偽の地権者を仕立てる手法から、印鑑証明を偽造するテクニックまで詳細に迫る。

地団太を踏む捜査員

 〈死亡女性になりすまし無断で不動産売買 容疑の4人逮捕〉(日経新聞)
昨年11月30日、警視庁捜査2課の発表に基づき、小さな記事が新聞に掲載されたことがある。

 逮捕された4人組は、地主が死亡し、何年も放置されていた東京都内の土地に目を付けた。パスポートや不動産売買契約書を偽造し、'12年4月に杉並区の不動産業者に物件を4700万円で売りつけた典型的な地面師詐欺である。

 詐欺のスキームをつくった58歳の主犯を中心に、地主になりすました67歳の女、その世話係だった54歳の男、土地の買い手を探してきた50歳の男。4人は役割分担がきっちり決まっていた。犯行から4年後の摘発は、なりすまし犯の身柄を押さえられたことが大きい。

 ところが逮捕から起訴まで22日の留置・勾留期限を迎えると、東京地検は不起訴処分を下し、彼らは無罪放免となってしまう。当然のごとく現場の捜査員たちは地団太を踏んだ。が、ことはそれだけでは済まない。

 実はこの間、土地は被害者の不動産業者によって転売され、一軒家が建った。事件のことなどつゆほども知らないごく普通の家族が、そこに住んでいるのである。

 通常、相続人のいないこうした土地は、財務省に物納される。つまり現在、真の所有者は国だから、住人は土地を借りていることになる。普通なら国に借地料を支払うか、あるいは改めて買い取らなければならない。

 しかしそこに住む家族は土地代金を支払っている善意の第三者。そこをどう扱うのか。詐欺の事実が明らかなのに、手の打ちようがなく、そのまま放置されているようなのである。

 目下、都内で進行中の地面師詐欺の現場では、そんな混乱と矛盾が生じている。まるで土地の所有者が定まらない明治初期か終戦後に迷い込んだかのような事態だ。

 複雑怪奇な地面師詐欺の捜査は、難航を極める。先週号で紹介した杉並区浜田山の駐車場などのように、捜査が成就した地面師詐欺のほうがむしろ珍しい。

 取材に取り組んできた港区新橋駅前、世田谷区中町、渋谷区富ヶ谷、中野区中野弥生町、墨田区東向島における事件も、警視庁が捜査に着手している。だが、思うように進んでいない案件が少なくない。

 たとえば中野弥生町の事件もそうだ。地下鉄丸ノ内線中野新橋の駅から5分ほど歩くと、その大地主の家がある。現地に行くと、広い敷地に、古ぼけたぼろぼろの民家が鎮座している。

 敷地面積1709.3屐建物は'67年8月に改築された木造瓦葺2階建てで傷みは激しいが、延べ床面積は138.99屬△襦N派な門の奥に広がる庭の樹木は伸び放題、荒れ寺のような風情だ。

劇場型詐欺

 近所の人に聞くと、家主の春山信夫(仮名/68歳)はここら一帯の地主の息子として育ったという。結婚して'79年8月、不動産を相続した。家は現在まるで廃屋のようだが、時折、その姿を見かけるともいう。

 事件の発生は昨年春のことだ。他の地面師詐欺と同じように、当の春山自身の知らないあいだに、土地・建物が千葉県の建設会社に売却されたことになっていた。

 だが、ことは単なるなりすまし地面師詐欺とも様相が異なる。劇場型詐欺とでもいえばいいか。事件はよりいっそう複雑な経過をたどる。

 くだんの土地取引にタッチした経営コンサルタントが、その内幕を明かしてくれた。

 「もともとこの物件は、地上げ屋が目をつけていて、春山のところへはその手合いが頻繁に出入りしていた。春山には子供がなく夫婦二人で住んでいたが、奥さんが病気で施設に入り、本人はフィリピンクラブに入り浸りになってしまったらしい。それで、家を空けることも多くなっていた」

 地面師にとってそこが付け目だ。関係者の証言をもとに再現すると、事件は、印鑑登録証の偽造という通常の地面師詐欺のパターンから始まった。

 「実印をなくしてしまったので、新しい印鑑を登録したいのですが」

 昨年3月28日、春山を名乗る70がらみの老人が中野区役所を訪れ、窓口でこう切り出した。

 「身分を証明するものはお持ちですか」

 そう問われることも計算済みだったに違いない。男は運転免許証を差し出した。実は春山は運転資格を取得したことがない。すぐにばれる偽造免許だが、窓口ではすんなり印鑑登録廃止の申請を受け付け、新たな印鑑登録をした。ニセ春山は、偽印鑑登録証と偽免許証を使い、公証役場で本人確認の証明を取得する。

 4月5日、一味が買い手として見つけてきた千葉県の建設会社との間で売買が成立した。売却額は優に4億円を超える。こうして地面師たちは、まんまと大金を手にしたのである。

 本物の春山が詐欺だと気づいたのは、不動産の移転登記から3週間ほど後の4月末だった。別の機会に自宅を訪ねてきたブローカーから、すでに所有権が移転されている、と聞かされたという。懇意にしていた住友不動産の営業マンに調べてもらったところ、地面師詐欺が判明した。だが、事件はそこからもうひと山もふた山もある。

 「物件の新たな所有者となった建設業者が転売したがっている」

 不動産業ブローカーの間でそんな新たな売買話が持ち上がった。

 「その取引の仲介に乗り出して騙されたのが、ほかでもない、私なのです」

 先の経営コンサルタントが、そんな驚くべき話をする。ここからもう一つの地面師詐欺が発生するのだ。

 「すでに物件の所有権が移っているため、私の交渉相手は千葉県の建設会社です。で、千葉ではなく会社が借りているという虎ノ門の貸会議室で社長と会い、名刺交換をしました」

 コンサルタントが記憶をたどってこう悔しがる。

 「前の所有者の春山がまだ立ち退いていないという話だったので、現地の中野にも確認に行きました。そうして春山の家を訪ねたら、門が閉まっていた。朝の10時前でした。

 留守かな、と思っていると、タイミングよく向こうから建設会社側の関係者が歩いてきたのです。『おや社長、こんな時間にどうしたの? と言う。それでそのまま、ファミレスのココスへ行ってお茶を飲んだんです」

 コンサルタントは、この日の午前11時に建設会社側と打ち合わせする予定だったが、その前に物件を下見しようとした。そこで建設会社側の人間とばったり出くわしたのだという。

 「納税確認書なんかの書類を整えなければならなかったので、その件を伝えて、ココスから春山の家の前に戻った。すると、草が伸び放題の庭の奥から老人が門のほうへ歩いてきたのです。門から玄関までは10mくらいあり、玄関の右隣には幅5mほどの庭が続いていた。そこから出てきたんです」

 言うまでもなく、この老人はニセ春山だ。

 「そして、その『ニセ春山』は家の隣で建物の工事をしている現場の職人と、話し出したんです。『おはよう』みたいな感じで、まるで顔馴染み。まさかそれが演技だなんて思わないでしょ」(同前・コンサルタント)

ニセモノだらけ

 工事現場の職人までが偽者ではないだろうが、単純に挨拶されたので言葉を交わしたのだろう。だが、コンサルタントはニセ春山を本物の地主だと信じ込んでしまい、そのまま取引に応じたのだという。

 「しかも、なりすましは春山だけではなかった。名刺を交換して本物の買い手だと信じていた建設会社社長もニセモノだったのです」

 つまるところ、地主と買い主を騙った二重のなりすまし詐欺。それが、立て続けに発生しているのである。第一のなりすまし事件では、建設会社が4億円あまりの被害に遭っているが、二回目はまだ所有権の移転登記はなされていない。どのくらいの被害になるのか。コンサルタントがこう臍を嚙む。

 「あそこの土地には借地権もあるので、6億円以上の価値になる。まあ、うちの場合は金の流れが途中で止まっているから、その一部。2億3000万円ぐらい消えている。

 虎ノ門の貸会議室で会ったニセ社長に対しては、うちの司法書士の先生がパスポートで本人確認までした。だから、司法書士保険で処理しようと話し合っている最中です。2回目の詐欺は加害者がわからないので、訴訟もできないし」

 一方、本物の春山は5月20日、東京地裁に購入者となっている建設会社に「所有権移転禁止」の仮処分を申し立て、丸の内警察署にも被害相談をした。

 2度目のなりすまし詐欺の被害者となったコンサルタントは、今になってこう首を捻る。

 「よくよく登記簿謄本を見ると、本物の春山自身も怪しい。不思議な相続税の支払い方をしているのです。土地を担保にして銀行からいくらでも借りられるし、一度に納税すればいいのに、少しずつ小分けに払ったせいで、税務署から差し押さえを食らっています。

 フィリピンパブにはまりすぎたのかどうか知らんけど、相当金に困っている感じなんです。そこに付け込まれたのか、それとも詐欺と知っていて手を貸したのかも」

 肝心の地面師グループの手掛かりはつかめていないのか。

 「どうやら実行犯は、埼玉を地盤にしたグループのようですが、やつらは横のネットワークがあるから、どこでどうつながっているかわからん」(同コンサルタント)

実の両親までダマす

 まるで江戸時代の盗賊のオツトメのように機略縦横、変幻自在に策を巡らす地面師集団。ときには地主やその親族を一味に加え、不動産を騙し取るケースもある。

 「'07年のことでした。僕自身は弁護士ではないけど、オーナーとして法律事務所をやろうと思い立ち、そのために1000万円必要だった。で、父親の土地を担保に銀行借り入れしようとしたのですが、そのうち妙な連中が言い寄ってきた。その何倍も金をつくるから、いっしょにやろうとね」

 そう語るのは、首都圏郊外に住む土地持ちの息子だ。当人は若くして道を外れ、闇金などを生業とするようになったという。その筋のネットワークから言い寄ってきた一人が、先週号で紹介した地面師の頭目、○○一派の△△だった。

 △△自身は頭目と呼ぶほどの大物ではなく、集団の後ろには、常に○○クラスの別の有名な地面師が控え、犯行を指揮しているのだという。

 地面師たちにとって資産家の息子は、盗賊一味の「引き込み」役のようなものだろう。親族が一味に加われば、オツトメをやりやすい。

 「まずは僕自身の印鑑登録証を申請し、それを△△たちに手渡しました。印鑑証明はホログラムや透かしなどが入った特別な用紙に印刷されているので、本当は偽造が難しい。

 だが、僕の登録書だと、住所と姓までは父親と同じだから、本物の原紙の名前と生年月日、実印を書き換えればいい。字は特殊な薬剤で溶かすのです。彼らはその高度な技術を持った印刷屋を仲間に抱えていました。日本橋小網町の路上で待ち合わせ、印鑑証明をその印刷屋に渡しました」

 偽造の代金は証明書3枚で100万円。うち印刷屋の取り分は半分だったそうだ。そこから先は、いつものパターンだ。

 資産家の息子は以前に闇金をしていた関係で、多重債務者の知り合いが多い。そこで父親と同じ年齢の債務者をなりすましに仕立て、公証役場に連れて行った。そうして父親の土地をマンションディベロッパーに数千万円で売り渡した。

 やがて土地の名義変更を知った実母が警察に訴え出た。当の息子も一度は逮捕されたが、これも立件されず、すぐに釈放されたと言う。

 「本来は被害者のはずのマンション業者が、からくりを承知の上で金を振り込んだのではないか、と疑われたのです。本当なら土地はもっと高いが、息子が加担しているので、そこを盾に格安で土地を手に入れられると。

 おまけにマンション業者は広域暴力団とのつながりがあり、他の地面師にも金を出していた。共犯に見えなくもなく、事件としては成立しなかった」

 たしかにこうなると、捜査はやりづらい。地面師集団には弁護士や司法書士も加担し、法の網からすり抜ける術を研究し尽くす。数十万から数百万円のオレオレ詐欺に比べ、土地持ちの億単位の資産を狙う。闇の住人たちは、なかなか根絶やしにできない。
(2月14日 現代ビジネス)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170214-00050934-gendaibiz-bus_all


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月14日

「現金・預貯金等」が「土地」を上回る

相続税の課税財産が、土地から現預金に変わりつつあります。

平成27年分では、全国12ヶ所の国税局・事務所のうち、
6ヶ所で現預金が土地を上回ったんだって。

ちなみに大阪国税局でも、土地31.8%に対して現預金が32.2%。
「相続財産の半分は土地なんですよ」なんて言ってたのは遠い昔・・・

相続財産の金額の構成比の推移

この変化の原因として挙げられているのが次の2点。
 ヾ霑湛欺の引下げで、土地を持たない人にも相続税がかかるようになった
 核家族世帯が増え、施設に入居するために自宅や土地を売却する人が増えた

それぞれの事情に応じて、相続対策のあり方が異なりますね。

「子どもらが困らんようにしときたいねん。」
痒い所に手が届く、オーダーメイドの相続対策はお任せください!(^^;


【「現預金に相続課税」増加 対象者拡大で「土地」超す 15年、新たに6国税局で首位】
(2月12日 日本経済新聞)


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2017年02月13日

行政境界変更のその後

昨年の12月、町田市と相模原市の境界が変更され、
それぞれの一部が区域変更しました。
変更された部分はこちら

で、実際の生活者が受けた影響を取材した記事がありました。

ところが・・・
結局、今回の変更で住所が変わったのはアパート1棟だけだって。(^^;

ま、川沿いの土地ですから、そんなものかもしれませんね。

ちなみに、豊中市に存する大阪市の飛び地は下記の通り。
ここの影響はメチャメチャ大きそうですよね。(^^;

無題


【運送業者も大混乱!? 東京・町田と神奈川・相模原の“市境界変更”で「住所が変わったけど変わってない」怪現象が…】

 昨年12月、東京都町田市と神奈川県相模原市の境界線が変更され、町田市の一部が相模原市に、相模原市の一部が町田市となったが、ちょっとした混乱が起きている。

「ウチは自宅の一部が町田市から相模原市になったけど、住所は変わってないんだよ」

 2004年〜13年の間に、約30世帯が神奈川県民から東京都民になったと伝えられていたのだが、一体どういうことなのだろうか。

「この家は、建物が町田と相模原の境界線上にまたがっていたから、最初に住民登録をするときに住所はどちらか好きな方を選べたんだ。そのとき、ウチは相模原にした。今回の変更では自宅の町田市だった部分が相模原に変わっただけだから、結果として住所は変わらない」

 要するに、境界変更にともなう編入先の市をもともとの住所として登録していたので、今回ほとんどの家の住所が変わらなかったのである。このように自宅が町田と相模原にまたがっていた人には、今回の境界線変更で自宅のすべてが町田あるいは相模原に編入されたので、今まで二カ所に固定資産税を払っていたところを一本化できるメリットはあった。

 今回の境界線の変更は、両市境を流れる境川の河川改修に伴ったもので、1期約3年の9期計画で事業を進め、今回の変更で6期目。境界線の変更には手続きに時間がかかるため、両市は3年ほど前より対象区域の住民に説明し、同意を求めてきた。よって、ある日とつぜん境界線が変わったわけではない。

 それにしても、現場を境界線変更区域の地図に沿って歩いてみると、新たに「町田市になった」、あるいは「相模原市になった」という土地は道路や空き地ばかり。相変わらず、相模原市の中にポツンと町田市の家が建っているような「飛び地」も見受けられる。結局、取材を進めていくと、今回の変更で住民の住所が変わったのはアパート1棟だけだったことがわかった。このアパートの住人は、今回の変更で相模原市民から町田市民になっている。そこで、住人に話を聞いてみた。

「神奈川県民から東京都民に変わったんですけど、ゴミ出しや行政サービスについて何か大きく変わったことはありません。ただ、住所の変更手続きをしないといけないのが面倒で、宅急便や郵便などがきちんと届くかという不安はあります。友人の車やタクシーなどで送ってもらうときも説明が面倒ですね」

 話を聞いた感触では、少々の不便がある、という程度のものではあるのだが、これはあくまで事前の説明で状況を理解している住人の話。当人が言うように運送業などではちょっとした混乱が生じているようで、行政サイドへの問い合わせがあったという話だ。

「ネットの位置表示では相模原になっているのに現地は東京都の住所だったりするので、非常に困惑しています」(運送業者ドライバー)

 この問題は年明け、「国内の領土問題が勃発」などと一部ネット上で騒がれてもいたのだが、町田市役所には「市自体を神奈川県に編入すればスッキリするのでは」という極端な意見も届いているという。河川改修に伴う境界変更は、今後3回予定だ。
(2月13日 日刊サイゾー)


土地家屋調査士 大阪 和田清人