2018年04月

2018年04月27日

小中学校の屋上にヘリサイン

高知県公共嘱託登記土地家屋調査士協会(相変わらず長い・・・)が、
高知市内の小中学校の屋上にヘリサインを設置したそうです。

2015年からの取り組み。
先月、改修中を除く市立55校全てに設置完了。

土地勘のない救援ヘリが、上空から確認するのに役立つんだって。
素晴らしい取り組みですね。


【<高知>小中学校の屋上にヘリサイン 南海トラフ地震に備え】

 南海トラフ巨大地震が発生した際、高知県外の救援ヘリが上空から確認できるよう、県公共嘱託登記土地家屋調査士協会(高知市越前町2)が、小中学校の屋上にヘリサインを設置する取り組みを続けている。

 社会貢献事業の一環で、2015年から高知市立小・中学校などの屋上にヘリサインの設置を始めた。サインは各校舎屋上に敷いた緑色塗料上に、黄色の反射板を張り付けて学校名を表示。1文字は縦横4メートルの枠に収まる。先月28日、市立初月小(高知市南久万)での工事を最後に、改修中の校舎を除く全ての市立学校(55校)で設置を完了した。

 協会は南海トラフ巨大地震で特に大きな被害が予想される須崎市、中土佐町の学校にも順次ヘリサインを設置する方針。協会の泉清博理事長は「東日本大震災でもヘリサインが土地勘のない救援ヘリの助けになった。今後、他の市町村にも広げたいと思っており、賛同してくれる団体にも協力してもらえたら」と話している。
(4月25日 毎日新聞)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180425-00000039-mai-soci


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2018年04月26日

「住まいのことを考えよう〜空き家になる前に〜」

昨日、空き家のことに触れたので・・・

6月9日(土)、大阪市住まい情報センターと大阪府不動産コンサルティング協会との
タイアップによるセミナーが開催されます。

テーマは、「借地や長屋の空き家対策」。

大阪特有の借地や長屋の現状に始まり、「空き家になったら」、「空き家になる前に」
を3人の講師がお話します。

不肖私は、「空き家になる前に」のパートを担当させていただきます。
お時間よければ、ぜひ覗いてみてくださいね。

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土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 09:18|この記事のURLComments(0)空き家 

2018年04月25日

たまに里帰りすることもひとつの「空き家利用」

実家の断捨離」というコラム。

東京在住の女性が、岐阜県山間部の実家を相続なさった事例。
実家は16代目の本家。正月やお盆に人が集まるので、湯呑が100個!(^^;

東京の自宅から車で片道6時間。最寄駅からはタクシーで5000円の立地。
この家を継ぐ必要があるのか、息子の重荷にならないか、と悩んだそうです。

ところが、少しずつ片づけを進めていくにつれて、
残された物を通じて、改めて親の愛情を感じることができたり、
地元の友人や親戚との人脈が復活したり。

そのうち、東京から友人が同行して、数日間の田舎暮らしを楽しみ始めたんだとか。

曰く「この女性にとって、実家の断捨離は故郷の良さの再発見になった。」

まさに、「空き家とは 活かすも壊すも 人次第」。
東京土地家屋調査士会空き家川柳入選作品)

空き家は放置せず、まずは一歩踏み出すことが大切ですね。


【『実家の断捨離』(5)〜遠方の一軒家と山林を相続して〜】

 今回紹介するのは東京都在住50歳女性の『実家の断捨離』。3年半前に一人暮らしの母親が亡くなり、一軒家を相続することになりました。

時期:2014年11月〜現在進行形
実家:岐阜県 東京の自宅から車で片道6時間 
広さ:11LDK一軒家 他に庭、畑、山林、製材工場の木材倉庫
住人:空き家 隣家に叔父一家
きっかけ:一人暮らしの母親が亡くなり実家を相続した

◆実家は遠く離れた山間部の古き良き日本の『田舎の家』

 この女性の実家は岐阜県の山間部。東京の自宅からは車で片道6時間。最寄駅からは公共交通機関はなく、タクシーを使うと20分(5,000円)ほど。国道から山道を少し入った所にあり、天井が高く土間がある昔ながらの日本家屋です。他に畑、山林、庭には亡くなった父親が従事していた木材の製材所とその倉庫もあり、筆者も写真を拝見しましたが、まるで映画に出てくるような懐かしい古き良き日本の『田舎の家』です。

 「うちは父親が16代目の本家なんです。正月やお盆は人が集まり、昔は結婚式もやりました。食器も御湯呑100個とか大量にあって、普段使わない部屋には客用布団も大量にあります。家財道具の処分を考えただけで気が遠くなりますよね」

◆当時は「空き家問題」とニュースで騒がれていた

 この女性が実家を相続した頃「空き家」が社会問題化していました。核家族化、高齢化、そして親世代の他界により空き家が増え、その中でも適正に管理されず防犯・防災上危険がある空き家が増加し問題になっていたのです。

 このような危険な空き家を「特定空き家」と認定し、行政が取り壊しや手を加えることができる「空き家対策特定措置法」が施行されたのが平成27年5月のこと。

◆受け継いだ家や山林をどうすればよいか…判断出来ないまま時間が過ぎる

 「実家のある岐阜に親戚や幼なじみがいるとはいえ、10代で実家を離れて今も東京で暮らしている自分がこの家を継ぐ必要があるのか、その意味があるのか?」

 「代々のご先祖様から受け継いだ財産。簡単に手放す気持ちにはなれない……」

 「でも手放さず誰かに有効に使ってもらいたいと思っても、山奥で不便な田舎の土地や家屋、誰が何に使うというのか?」

 「この財産を一人息子に残すのはむしろ重荷なんじゃないだろうか?」

 ニュースなどで空き家問題を耳にしていたこともあり、いろいろな思いがめぐったと言います。

◆悩みに悩んでその結果……

 当時、自分自身や家族にも様々な問題が降りかかり、日々その対応で精一杯。子供も小学校低学年でまだまだ手がかかる時期。母親の看病、また亡くなった時の弔事の対応をその時々でこなすのがやっとだったと振り返ります。

 自宅からの距離の問題だけでなく、現実に追い立てられやらなければならないことをこなす中で、なんとか帰省している状況だったそう。

 「……結局、実家の中のモノを処分することも、実家そのものを売ることも貸すことも譲ることもできなかったです。……もちろん最低限の管理はするつもりでしたけれど」

◆時間をかけての『実家の断捨離』は空き家管理から

 幸い、実家の隣りには父親の実弟である叔父一家が住んでいて、空き家となった実家の管理をある程度お願いすることができました。

 「とはいっても、毎日風を通してもらうわけにはいかないし、電気も止めているので行った時にはブレーカーを入れるところから始めなければなりません。はじめての冬は水道管を凍結させちゃって修理代に何万円もかかったりと失敗もしました。実家に行くたび、人が住んでいない家屋は痛むのが早いなと思いますし、とにかく空き家を一軒維持管理するのは手間と労力がかかります」

◆遺品整理は「親の思い」と向き合う時間

 そうやって遠方の空き家を維持管理しながら、そこに残された両親の物を少しずつ処分していきました。そんな中でその物にまつわる思い出などを親戚から聞かされることもあり、幼い頃には知ることのなかった両親の苦労話なども、なにげない過去の出来事として話を聞くことができたそうです。

 「改めてどれだけ自分を大切に育ててくれていたのかとか、間接的にでも話を聞けて、自分が親になってから聞かされたこともあって、すごく身に染みました」

 実家の断捨離は残された物と向かい合うことで改めて親の愛情を感じることができる時間にもなるのです。

◆子供と一緒に『里帰り断捨離』

 お盆や正月、ゴールデンウイーク。子供と一緒に里帰りをしての『実家の断捨離』は、お祭りや季節の行事が重なる事も多いそう。

 また帰る度に、地元の友人や親せきが顔を出して片づけや大きな物の処分を手伝ってくれるなど、地元の人脈が復活し広がっていきました。

 「自分も懐かしい友人と再会できたり、都会生まれ都会育ちの一人息子に自分のルーツを感じてもらえる貴重な機会が増えていました」

◆『みんなの田舎の家』

 そんな風に繰り返し里帰り断捨離に取り組む彼女に、東京からも友人が同行してくれることになっていきます。岐阜への6時間の旅に車を出してくれる友達もあらわれ、子供もつれて数日間田舎での時間を過ごす。空き家管理と実家の断捨離の手伝いが主な目的ですが、いつも都心で忙しく過ごしている友人たちも、疑似『田舎のおばあちゃんの家』を楽しんでいるそうです。

 「都会で生まれ育って両親も都会育ちだと、田舎がない人って結構いるんですよね。そういう友達には、自分の田舎と思ってこの家を使ってもらえらたなと」

 またある時は、東京でお世話になっているお茶の先生が帰省に同行てくれたそう。

 「従姉から茶道具を譲られて、とりあえず実家に置いておいたのをどうしようか悩んでいたら『岐阜に一緒に行ってみてあげる』とおっ しゃっていただいて。モノを処分しようと思ったら人を引き寄せた(笑)。本当に面白いですよね」

 皆で茶花を摘んだり、田舎の季節のお菓子を楽しんだり、とてもゆったりした時間を味わえたそうです。

 そんなこともあり、最近では『田舎の家』としてもっといろいろな使い方ができるのではないかと考えるようになってきたといいます。

◆故郷には貴重なモノがたくさんあると再発見

 里帰りに同行する友人たちには「広くて空気も景色もきれい」「不便だけれどそれがいい」「『何もない』がある!」……故郷をそんな風に言ってもらえて、古い家も『古民家』と呼んでもらえる。懐かしい場所やモノであっても、不便だし、何もないところだし、たいした価値を見いだせていなかった自分の故郷での時間を、友人がとても喜んでくれる。

 この女性にとって、実家の断捨離は同時に故郷の良さの再発見になったのです。

◆時間をかけたことで見えてきたこと

 「相続した実家を今後どうして行けばよいのかゆっくり考えるつもりでしたが、こんな風に『たまに里帰り』することもひとつの『空き家利用』と思うようになりました」

 確かに空き家は維持管理が大変です。無駄なことも多く、コストもかかります。でも故郷全体含めてその空き家である実家が今の自分には大切な場所だと再認識できた。『実家への里帰り』は、かかるコスト以上のモノが自分にもたらされている。

 故郷の実家は、自分を含めて今現在必要としている人が使うことで、それは過去の思い出の場である『空き家』ではなく、有効利用されている『生きた家』となるのです。

 「相続した直後はそんな風には思えなかったです」

 時間をかけて、ゆっくり無理なく、実家のモノと向き合ったことで、いろいろなことを感じ、受け取ることができたと語るこの女性の実家の断捨離は、こうして数年単位で続き、現在も進行中です。

 「自分自身の状況も考え方も、周りもどんどん変化しますし、実家への考え方も、見方も変わります。先の事はどうなるかわかりませんが、その時その時で無理のないかたちで、故郷そのものである『実家』を自分なりに大切にしていけたらいいなって思っています」
(4月25日 ライフ総合)
https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukijunko/20180425-00084394/


土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 10:35|この記事のURLComments(0)空き家 

2018年04月24日

内部崩壊マンション

空き家問題や所有者不明土地などがクローズアップされるようになりましたが、
実はあまり注目されない(触れたがらない?)のが、分譲マンション。

倒壊しそうってわけでもないし、通行を妨げているわけでもない。
行政も手を出す理由がありませんからねぇ・・・

紹介されている築45年のマンションは、入居者の平均年齢が71歳。
総会案内を認識できない、車いすがなければ総会に参加できない・・・

今回は、委任状を含むぎりぎり過半数で大規模修繕を決議できたけど、
次回は総会自体が成立しないだろうって・・・_| ̄|○

おそらく、あちこちのマンションで、この春の総会議案に上がっているであろう
民泊禁止の規約変更なども特別決議(4分の3以上)が必要ですから。

それこそ、信託などを検討していかないと、
管理組合の機能不全→スラム化まっしぐらってことになりかねませんね。

※「まっしぐら」の漢字は「驀地」だって。難っ!


【密かに増える「内部崩壊マンション」の恐怖】

 東京ミッドタウンから歩いて数分。築40年の現在も億を超える金額で取引されるマンションで昨夏、異臭騒ぎが起こった。100崢兇僚燦佑1人暮らしをする70代女性の住戸がゴミ屋敷化し、エレベーターを降りた途端に臭いに気づくほどの状況になっていたのである。

 害虫も発生しており、同じフロアの住民からの訴えで管理組合の理事長以下何人かが繰り返し接触し、ゴミの廃棄を呼びかけたが、彼女はそれを拒否。当初は話し合いでの解決を目指していた管理組合も現在は弁護士に依頼し、法的な措置を検討しているという。

■外観は管理が行き届いているように見えても

 だが、行動できる管理組合があるだけ、同物件はましだ。「表には出てきてはいないものの、すでに総会が成立しない、管理組合が機能していないマンションがあるのでは」とマンション等の維持管理コンサルを主業務とするKAI設計の菅純一郎氏は懸念する。

 菅氏が懸念を抱くようになったきっかけは、3年前に行った江戸川区にある築45年、全309戸のマンションの大規模修繕。外観だけなら手入れが行き届いて見える同物件だが、入居者の平均年齢は71歳。総会案内を認識できない人、杖、車いすがなければ総会に参加できない人も多かった。幸い、そのときには決議に必要な過半数ぎりぎりの参加(委任状含む)で可決できたが、次に何かを決議するとしたら総会自体が成立しないだろうと菅氏は話す。

 高齢化の進展がマンションを内部から蝕み始めているわけだが、物件によってはそれを加速させるマイナス要因を抱えていることもある。その要因は大きく2つ。ひとつはコミュニケーション不足による居住者の孤立だ。

 同マンションでは、共用の排水管が各住戸のトイレの奥に敷設されていたため、専有部に立ち入る必要があった。そこで全戸を訪問した菅氏が出会ったのは70代の孤独死予備軍ともいえる引きこもりの男性数人。住宅ローンは完済、年金もあって経済的には困っていないものの、妻に先立たれ、周囲との付き合いはまったくない。

 どの部屋もコンビニの弁当殻やビールの空き缶、焼酎の空きボトルが積まれたゴミ屋敷状態で靴を脱ぐのもためらわれるほど。これまでも年に1人くらいは孤独死があったというが、今後は加速する可能性がある。

 付き合いがないだけでなく、居住者名簿もないため、居住者が所有者か、賃貸人かがわからない。当然、相続人の有無や所在もわからず、亡くなった後に所有者不明となるケースは容易に想像できる。

 相続人がわかる場合でも相続放棄されたり、管理費などを払わないまま放置されるケースはあるが、所有者不明はよりシリアス。ゴミを片付けられないまま、管理費・修繕積立金の滞納が続くのだ。きれいに清掃された廊下と扉一枚を隔てて廃墟化が進展していると想像すると、マンションの先行きへの不安と同時に孤立の深さに身が震える。

■区分所有者の無関心が崩壊を招く

 もうひとつのマイナス要因は、区分所有者の無関心だ。

 静岡県のあるマンションは2年前に臨時総会で解任した管理者と称した男Aに対し、約20年間分の使途不明の管理費6600万円余と、彼が所有していた3室の未払い管理費480万円などの支払いを求める裁判で係争中である。1984年に竣工した同マンションは当初、分譲会社が管理に当たっていたが、翌年に同社が倒産。区分所有者が自主管理を行うことになり、管理者となったのがAだった。

 区分所有法は第3条で、区分所有者は管理を行うために団体(一般に管理組合と呼ぶ)を構成し、管理者を置くことができると定めている。理事長と呼ばれる管理組合の代表者は法律でいえば「管理者」なのである。

 だが、紛らわしいことに分譲マンションには、「管理人」もいる。管理を請け負った会社=管理会社から派遣されて、清掃や日常業務を行う現場スタッフだ。つまり、「管理者」と「管理人」の任務はまったく別。管理者は基本的にボランティアで、無報酬の管理組合が多いのはご存じのとおりだ。

 ところが、Aは前管理人が病気で退職した後、区分所有者から委任状を取り付けて「管理者」となり、月額12万円を「管理者」報酬として要求した。管理者であるから管理人としての仕事はせず、日常の清掃は区分所有者2人を勝手に管理者補助に指名して行わせていた。

 しかも徴収した月額約32万円の管理費のうち、共用部の電気代約4万円を除いてはほぼすべてAが着服していたようで、大規模修繕はおろか、消防設備点検や受水槽の清掃、エレベーターの日常定期点検なども一度も行われていなかった。管理組合の総会も分譲会社倒産後に1回だけ開かれたようだが、その後は一度も開かれていない。

 30年余間、まったく手の入っていないマンションがどうなったか、想像できるだろうか。エレベーターは止まり、一部の外壁ではコンクリート内部の鉄筋がむき出しで、各部屋のドアは錆びだらけ。受水槽や汚水桝は悪臭を放っていたという。

 さすがにおかしいと疑問を抱いた一部の区分所有者がマンション管理士の木村幹雄氏に相談。その時点では管理組合の口座残高は10万円を切る状態で、しばらくは共用部廊下の電気代にも事欠くほど。その後、木村氏が区分所有法に基づいて管理者に選任され、この2年間、マンション再生に奔走した。300万円以上の未納管理費を回収したほか、汚水桝の修繕や鉄部塗装などが行われたことで、状態は改善。賃貸に出された部屋には数人が入居した。

■エレベーターはいまだに止まったまま

 だが、それでも全50戸のうち、20戸以上は空室。エレベーターはいまだ止まったままである。中にはゴミ屋敷のままで放置されている住戸もあり、それが何戸あるかは木村氏にも正確に把握できていない。管理組合側の提訴に対し、Aも管理者報酬、コンピュータ使用料の支払いを求めて訴訟を提起しており、解決、再生までの道はまだまだ遠い。

 「Aが悪いのはもちろんですが、管理に無関心のまま、Aにすべてを丸投げしてきた区分所有者にも責任があります」と木村氏。「私が管理者になってからも、相変わらず管理人と区別がつかないのか、『自分たちが外部から管理者を雇っているんだから、区分所有者である自分たちの言うとおりにしろ』と考える人もいるほどです」。

 管理費などの収納・支払いに関して木村氏が一部管理委託を打診した管理会社5社のうち、4社から断られており、委託できた1社も木村氏が手を引くなら辞めるという。そんな状態に陥ってもまともに管理と向き合おうとしない区分所有者。無関心の怖さである。

 さらにもう1つ、マンションを内部から崩壊させるものがある。それが建物の老朽化で、特に問題は給排水だ。定期的に大規模修繕を行っていても築30年前後になると専有部からの漏水が始まり、次第に拡大し、収拾がつかなくなることがあるのだ。

 なぜか。簡単である。大規模修繕は外壁や防水、塗装など建物を中心に行われ、その対象は共用部分である。専有部の漏水は大規模修繕の対象外だ。だが、放置しておくと階下に影響が出て人間関係がこじれる。外装はきれいでも漏水する物件では資産価値も下がってしまう。

 そこで管理組合が全体の資産価値維持のためとして工事をするのだが、管理組合には専有部のみの工事はできない。結果、共用部のバルブを15万円で交換するのにあわせて専有部の給排水を1億円で工事するといったいびつな形を取ることになってしまう。それも、できればまだマシだ。築30年前後といえば、2度目の大規模修繕を終えた頃。修繕が終わった途端に漏水が始まっても、修繕費用が底をついている、ということもある。

 1980年に建てられた大田区の全100世帯のあるマンションでは、毎月2世帯が新たに漏水するような状況だが、工事費用がない。そこで仕方なく組合が入っている保険を援用し、補填していたが、あまりに頻繁だったため、適正な利用でないことが発覚。保険金が出なくなってしまったという。

■リフォームはしても給排水は変えていない

 築20年以上の場合、給排水管がコンクリートスラブ内に敷設されていることが多く、床を一度壊して工事をする。完了後は床を復旧する必要があり、その分費用が嵩む。「100戸のマンションで共用部のみなら戸あたり40万円の工事が、専有部が入るとプラス30万〜40万円かかる。内装の仕上げによっては戸あたり100万円に跳ね上がることもあり、当初予算の倍になることも少なくありません」と菅氏は話す。

 そのうえ、修繕前に室内をリフォームしていた住民がいると反対も出る。大金をかけたリフォームが無駄になるからだ。2017年11月の大規模修繕時に住戸内の給排水管交換を行った世田谷区のマンションでは122戸のうち、6戸が管理組合の説得に応じず、工事ができなかった。今後、漏水が起きたらどうするか。理事たちは今から頭が痛いという。

 菅氏は築35年、1000世帯を越すマンションで大規模修繕を前に住民アンケートを実施したことがある。リフォームの有無に加え、給排水管交換について尋ねたところ、交換したという世帯はゼロ。リフォーム時に給排水管の交換をするように義務付けておけば多少なりとも延命できるものの、リフォーム業者の多くは、給排水管は面倒といじりたがらない。所有者も交換の重要性を知らないから頼まない。それが続いてある日、どかん。時限爆弾のようである。

 築40年以上の建物では排水管は下階の天井に配されていることがあるため、上階の所有者が修繕するためには他人の部屋を工事することになる。「最高裁の判例ではこのケースに限っては専用の排水管を共用部とし、管理組合が負担とすべしとしましたが、その判決を知らないことで、現場ではいまだに混乱するケースがある」と、不動産管理に詳しいmachimoriの三好明氏は話す。

 早急に管理規約、あるいは運用を変える必要があるが、そうこうしているうちにもあちこちのマンションが危険な状態に陥りつつある。大丈夫なのか、日本のマンション、である。
(4月23日 東洋経済オンライン)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180423-00217671-toyo-bus_all&p=5


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2018年04月23日

相続前後が狙われる・・・

原野商法の二次被害に関するコラム。
トップランナー(?)たちの手口はますます巧妙になっているようですね。

記事にある勧誘手口は3類型。

‥效呂隆浜費を請求する「管理費請求型」。
 これは時々ご相談をいただきます。
 状況を調査した上で、ブロックする方法を提案させていただいています。

売却のために測量等が必要という「サービス提供型」。
 これもご相談をいただきます。
 同じく、ブロックする方法を提案させていただいています。

E效呂魏室茲辰董⊃靴燭陛效呂鮃愼させる「下取り型」。
 これは初耳だ!
 困っている所有者には、さぞや福音に聞こえるでしょうね。

で、狙われるのは相続の前後。

生前中に片づけておきたいお父様や、
何も分からずに相続してしまった奥様やお子様がターゲットですね。

ま、最近の傾向として、営業電話やDMにはロクなものがありませんから。
まずは、第三者に相談なさるようにしてくださいね。


【相続前後が狙われる。宅建業者も危険!? 深刻化する原野商法二次被害続出】

1970〜1980年代にかけて社会問題になった原野商法が再燃、被害が深刻化している。当時の手口は将来、値上がりの見込みのない原野や山林などの土地をさも値上がりするかのように装って販売したものだが、現在問題になっているのは長年塩漬けにしていたその土地を買い戻す、売買するために測量、広告費が必要などと言われて、高額を支払ってしまうというもの。

原野商法の二次被害トラブルのイメージ

2013年〜2014年にかけて増加、その後、一時減少したものの、2016年に再び増加に転じ、2017年度には前年比1.8倍になるなど、急増傾向がある。かつて原野を購入した人たちの名簿が出回っており、それを元にアプローチが行われていると見られるが、再燃にはひとつ、理由がある。

原野商法の二次被害における勧誘手口

それは当時購入した人たちが高齢になっており、マイナスの資産を子どもたちに相続させたくないという気持ちが利用されているという点だ。騙された話である、家族、特に子どもにはあまり言いたくない人もいるはずで、それをなんとかできると言われ、つい、話に乗ってしまうという流れが推察できるのである。

相続してしまったものの、なんとかしたいと思っていてひっかかったという例もある。相続して事情が分からなくなっていることを狙ってか、管理費20年分を払えなどという要求が来たケースもある。いずれの場合も当時引っかかった人が相続を迎えた、迎えるタイミングが狙われているのである。

かつては売却のための測量費用、広告費用などを請求される例が多かったが、近年は新たな土地の購入がセットになった、より高額をだまし取られるケースなども増えており、注意が必要だ。

また、悪質と思われるのは宅地建物取引業の免許を取得している業者が関わっているケースもあること。契約書面などに宅地建物取引業法云々と記載されていると、いかにも本当らしく見えるが、山林や原野は宅地ではないため、基本的には宅地建物取引業法の適用はない。それを承知で書面をでっちあげているのである。

こうした業者の中には事業所を転々と移転、それによって追及を逃れようとしているケースもあり、特に登録番号の若い事業者には注意が必要だ。

その他、根拠のない、でももっともらしく見えるような書面を多種用意して騙す手口については国民生活センターホームページで詳細に書かれているので、一度チェックしておくことをお勧めしたい。

現状被害になっているのは高齢者が中心だが、中には50代、60代も。また、自分の親がかつて買っている可能性もある。こういう場合、子どもには黙って金を工面しようとすることもあるので注意したい。

国民生活センターでは口数が減る、買い物をあまりしなくなるなどいくつかの兆候を上げ、周囲も注意するようにと呼びかけている。もし、何かあった場合には早々に消費者ホットライン(局番なしの188)などに相談しよう。
(4月23日 健美家)


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2018年04月20日

「ホームステージングの魅力と早期売却手法」

昨日、SGお初天神の勉強会を開催しました。

テーマは、「ホームステージングの魅力と早期売却手法」。
講師は、ソルトステージングの田中正彦さん。

不動産コンサルティング協会の研修会でお話をきいた時、
「これはぜひ、SGお初天神でも!」って思ったんです。(^^;

前回よりもパワーアップした事例の数々、楽しく拝聴させていただきました。

「143 対 40」。
何の数字だと思います?

本場アメリカで、住宅を売りに出したけど売れずに、
困った売主がホームステージング業者に駆け込むまでの平均日数が143日。

で、ホームステージングを施してから売却に至るまでの日数が40日だって。

この差は大きいですね。

さらに、
最初からホームステージングを施した物件は、なんと23日で買付けが入る!

40日より短くなる理由は、
ステージングしていない物件をスルーした人は、
後からステージングしても見てくれないってこと。

これから中古住宅の流通が活発になっていく時代において、
サイトに掲載する段階で演出を施しておくことはとても重要ですね。


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2018年04月19日

安心R住宅

安心R住宅」がテレビで取り上げたようです。
いよいよ、普及に本腰が入ってきた感じですね。

中古住宅の「不安」「汚い」「わからない」というマイナスイメージを払拭するために
国交省が品質基準を作りました。

このマークが付いていれば、とりあえず安心ってことね。

ちなみに、安心R住宅の「R」は、リユース、リフォーム、リノベーションのこと。
ついつい別の「R」が頭をもたげたのは、私だけじゃないはず・・・(^^;

少なくとも、シロートに中古住宅の目利きができるわけないですから、
こういう制度があるってことを頭の片隅に置くようにしてくださいね。


【国が中古住宅にお墨付き制度 「安心R住宅」認定】

中古住宅市場の活性化につながるのか。

中古住宅を安心して購入できるように、国土交通省が導入した「安心R住宅」という新しい制度のマーク。

「R」は、それぞれリユース、リフォーム、リノベーションを指している。

このマークがある住宅は、いわゆる国のお墨付きを与えられた、安心して購入できる住宅という意味を持ち、4月から導入された。

実は今、中古住宅市場は上向き。

中でも中古マンションの成約件数は、2年連続で、新築マンションを上回っている。

新築が高騰する中、国交省は、中古住宅を安心して買えるようにして、全国的に増加している空き家の有効活用につなげたい考え。

今回、番組は、建物の調査に同行。
中古マンションが、安心R住宅に認定されるまでを取材した。

住宅あんしん保証・鈴木啓之さんは、「(まずは、どこをチェックする?)部屋内の天井と壁と、あと床面ですね。まず目視と、あと床面の方は計測をしていきたいと思います」と語った。

3ページにわたるチェックシートをもとに、床面や外壁、コンクリートの強度など、さまざまな調査が行われる。

安心R住宅と認められるには、震度7程度の地震でも、人命に関わるような倒壊はしないとされる、新耐震基準を満たしていることが条件。

さらに、過去のリフォームの有無などを開示し、内装や水周りの写真を広告に載せる必要がある。

この物件は、すでにリノベーション済みで、古さも汚さも感じない、きれいな造り。
見事、条件をクリアし、安心R住宅に認定された。

今後、物件の広告などに安心R住宅のマークを載せることができ、購入者も一目でわかるようになる。

調査を依頼した中古住宅販売会社「エフステージ」の河村昌哉さんは、「今まで、買い主さんも目印っていうのがなかったので、それを見て、『あ、これ、安心R住宅ついてるな』っていうところで、メリット感じていただけると思いますし、安心して買っていただける形にはなるのかなと思っています」と語った。
(4月18日 Fuji News Network)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20180418-00000967-fnn-bus_all


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2018年04月17日

特別国税調査官が・・・_| ̄|○

上京税務署の特別国税調査官が逮捕されたようです。
嫌がらせ目的で、元カレを婚活サイトに登録したんだって。

55歳エリート女性が冷静さを失うなんて、
恋愛ってコワい・・・(^^;

この人、相続税調査部隊のレアな存在。
退官後はご縁があったかもしれないのに、残念ですね。


【元彼へ嫌がらせ?国税調査官の55歳女が勝手に登録】

 元交際相手の男性になりすまして勝手に婚活サイトに登録したとして、55歳の税務署職員の女が逮捕されました。警察の取り調べに対して、「嫌がらせが目的だった」と供述しています。

 15日、逮捕されたのは大阪府豊中市の※※容疑者。※※容疑者は上京税務署で主に相続税がきちんと申告されているかについて、調査を行う特別国税調査官という役職だった。そんな女性エリートの逮捕容疑は私電磁的記録不正作出。要は、データを不正に作ったということだが、税に関するデータではなかった。※※容疑者はスマートフォンで婚活サイトにアクセス。実在する男性の名前やメールアドレスなどを送り、登録をしたとされる。実は、※※容疑者はおととしまでこの男性と交際していた。事態は男性に登録完了メールが届き発覚したというが、こうした被害は決してひとごとではない。専門家によれば、過去には企業内でシステム担当者がメールを自分宛てに転送していたというケースもあったという。
 谷原誠弁護士:「会社が意図する(システムの)動作と反する動作をさせたということで、私電磁的記録不正作出の罪が成立している。今回のような成りすましだと防御のしようがないということになる」
 今回の事件、※※容疑者の目的は元カレの登録だったのか。それとも登録したうえで何かをしようとしていたのか。警察は余罪があるとみて捜査している。
(4月16日 テレ朝News)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20180416-00000053-ann-soci


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2018年04月16日

QGIS3.0 Hackfest Nagoya

土曜日、「QGIS3.0 Hackfest Nagoya」というイベントに参加してきました。

GISというのは、地理情報システム(Geographic Information System)。
で、「QGIS」は、それを編集できる無料ソフト。

わかったようでよくわからないでしょ?(^^;
そこで、実際に操作を教えてくれるイベントに参加してみたワケです。

結果、わかったようでよくわかっていない・・・_| ̄|○

ただ、世の中には、座標を持ったいろんな数値データが公開されていて、
それらを上手く活用すると、様々な分析が可能だということはわかりました。

たとえば、総務省統計局のe-Statでは、国勢調査や企業統計調査のデータを、
国土交通省の国土数値情報では、交通網や災害警戒区域などを入手できます。

だから、「小学校区と地価」とか、「鉄道路線と将来人口」などは、
簡単に地図にできちゃう。たぶん。

復習かたがた、十三周辺の浸水想定と避難施設を図にしてみました。

浸水想定-避難施設(淀川区)

水色は4m超、青色は5m超のエリア。
ただの広場が避難施設になってるけど、大丈夫か?(^^;

応用範囲は無限ですね。
もう少しいろいろ勉強してみます。


土地家屋調査士 大阪 和田清人

2018年04月13日

住宅セーフティネット制度・・・

住宅セーフティネット制度が普及していません。

28都県が登録ゼロ!
ま、普及しない理由があるんですが・・・(^^;

制度上は、最高4万円の家賃補助。
半額を国が、残りの半額を都道府県と市区町村が折半する仕組み。

でも、今のところほとんどの自治体が次年度予算に計上していない・・・_| ̄|○

完全に、絵に描いた餅ですね。

それ以前に、家主側にとっては致命的なリスクがあるんです。

それは、普通借家契約。

いったん入れてしまうと、ボケようが迷惑行為をしようが、
「正当事由」がなければ追い出せない。

やはり、定期借家契約がマストじゃないでしょうか。

1割の不良入居者を追い出せないがために、
残り9割の方々にも住居が供給されにくいんですよね。


【高齢者、低所得者を支援する「セーフティネット住宅」が広まらない理由】

● 低所得の高齢者が多い集合住宅

 札幌市の3階建て集合住宅「そしあるハイム」で2018年1月31日の深夜、火災が発生し11人の入居者が亡くなった。住宅困窮者を受け入れ、入居者は相互扶助の考え方による共同生活を送っていた。ボランティア活動に近い運営が成され、地域の評判も良かった。

 運営する合同会社「なんもさサポート」が食事を提供していたため、無届けの有料老人ホームともみられたが、札幌市は調査の結果2月末に「該当しない」と判断した。厚労省が示す「居室の利用を高齢者に限定」という有料老人ホームの規定に合致しなかったからだ。実際、高齢者でない入居者もおり、生活困窮者向けの下宿として運営してきたことも判断材料に加わった。

 また、実質的には社会福祉法の第2種社会福祉事業の「無料・低額宿泊所」の機能を果たしていたが、短期利用者でないことでこれにも該当しない。

 有料老人ホームであれば、部屋面積の下限やスプリンクラーの設置などの基準を守らねばならない。無料・短期宿泊所なら4畳半(7.43平方メートル)以上の個室や消火器の設置などの指針がある。いずれも法的な強制力はないものの、自治体からの指導は受ける。

 この痛ましい事件は、2009年に群馬県渋川市の施設「静養ホームたまゆら」の火災事件を思い起こさせる。入居者たちの大半は、住まいを求めて東京23区の福祉事務所の紹介で遠隔地に移らざるを得なかった。生活保護受給者が多かったことも共通している。

 有料老人ホームの届けを受けるのは都道府県か政令市、中核市である。「たまゆら」を調べた群馬県は、「高齢者だけの施設ではない」とみて有料老人ホームではないとしていた。

 2つの集合住宅の入居者はいずれも低所得の高齢者が多い。もし要介護度が高ければ特養など介護施設に入居できた。だが、心身の状況が施設に入居するほどでもない。施設入居が適っても、低所得のため相部屋しか選択肢はない。個室は高額で手が出ないからだ。あるいは、窮屈な施設暮らしに馴染めない高齢者も少なくない。

● 「セーフティネット住宅」が登場したものの…

 普通の高齢者でも、独り暮らしだと賃貸住宅の入居はままならない。家主にとって、孤独死や死亡後の対応が煩わしいからだ。残された家財道具の処分だけでも手がかかる。

 一方で、今後日本全体で身内が近くにいない一人暮らしの高齢者や高齢世帯は急増する。要介護度は軽いが、自宅暮らしは難しい状況に陥る。その人たちを受け入れる賃貸住宅が少ない。そこで、国交省はこうした普通の賃貸住宅を供給する新しい住宅制度をスタートさせた。皮肉なことに、札幌火災の直前の昨年10月のことだ。

 「セーフティネット住宅」である。「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法」(住宅セーフティネット法)が施行されたことによる。

 法律による入居対象者は、高齢者だけではない。障害者や被災者、月収15万8000円以下の低所得者である。省令では、外国人やホームレス、犯罪被害者、DV被害者、生活困窮者を加えている。さらに自治体の判断で新婚世帯や児童養護施設退所者、UIJターン転入者、LGBTの人などに広げることができる。

 高齢者だけでなく低所得者も一緒に入居できる。生活保護受給者が多かった「そしあるハイム」や「たまゆら」の入居者はすべてカバーできる。現行制度では受け入れられない人たちが今度は丸ごと入居できる。

 セーフティネット住宅は、戸建ての空家かマンションやアパートなど集合住宅の空き室を家主が自治体に登録すると、改修費や家賃補助を受けられる。

 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と違って、新築ではなく既存の住宅に限定される。ただの賃貸住宅と異なるのは、自治体ごとに設ける「居住支援協議会」が入居相談を受けたり入居者の見守りをすることだ。具体的には、地域の企業やNPOなどが「居住支援法人」の指定を都道府県から受けて生活支援に入る。

 制度が始まって半年近く経ったが、4月9日時点での登録戸数はわずか78件、607戸に過ぎない。国交省は、開始後3年半で17万5000戸という壮大な目標を掲げたが、出足で躓いてしまった。とても目標には達しそうにない。

 都道府県別の登録状況をみると、大阪府の237戸が突出して多い。全体のほぼ4割を占める。88戸で2位の山梨県を大きく引き離している(図1)。

セーフティーネット住宅の登録戸数

 賃貸住宅の需要は都市部で多いと見られているが、東京都や愛知県、滋賀県ではまだ0戸だ。東北地方は宮城県の1戸だけで他の5県はゼロ。四国も愛媛県の2戸のほかは他の3県でゼロ。ゼロの都県が28にも及んでおり、制度はほとんど普及していないことがよく分かる (図2)。

セーフティーネット住宅の登録

 これらの登録している部屋の詳細は、利用希望者など誰でもネット上の「セーフティネット住宅情報システム」で見ることができる。よくみると、「空室」とある一方で「入居中」と表示した部屋がかなりある。実際に住んでいる人がいる部屋まで登録されている。利用できない部屋まで制度上は登録できる。おかしな話だ。

 利用者、消費者向けの情報提供にはなっていない。利用できない部屋まで含めて登録し、それでも半年で1000室に及ばないだろう。このままの登録件数の状況では、3年半でも1万室に届くかどうかだ。17万5000室とは、対財務省を意識した予算獲得のための数字に過ぎないようだ。

 「家主や入居者の意欲をそそるような仕組みが心許ない」と関係者は指摘する。まず、家賃の補助だが、制度上は最高4万円の補助が可能だ。半額を国が、残りの半額の半分ずつを都道府県と市区町村が負担する。だが、市区町村が手を上げてはじめて成り立つ。今のところほとんどの自治体は次年度予算に計上していない。

 東京都墨田区は28年度予算にこの家賃補助を一件当たり5000円計上した。これにより墨田区内のセーフティネット住宅は、東京都から同額の5000円、国から1万円を引き出すことができ、総額2万円の家賃補助ができることになった。極めて珍しい事例だ。

 多くの市町村自治体は家賃負担を引き受けたがらない。「公営住宅が既に存在している」というのが表向きの理由だ。恒久的に続く支出になり、議会での承認が難しいこともある。

 かつて、建設費と家賃を自治体が補助する高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)という制度があったが、あまり広がらなかった。自治体が家賃補助を渋ったのが「失敗」の原因と言われる。

● 登録数が多い大阪のケースは?

 では、全国的に低調な滑り出しの中で、唯一気を吐いている大阪府の中味を覗いてみよう。総数237戸といっても一棟のマンションで多数の部屋を登録しているケースが大半である。

 その中で、最多個数なのが吹田市江の木町の「ロハス江坂」だ。築10年、10階建てのマンションで69室も登録している。何と一棟だけで大阪府全体の30%近くを占める。

 そのうち「入居中」が49室と示されているので、すぐに借りられるのは20室だ。登録したのは管理者の住友林業レジデンシャル。同社によると、高優賃として建設されたマンションで、入居者を募るためにセーフティネット住宅に登録したという。というのも、高優賃の制度は今ではサ高住制度に吸収されたため、高優賃としての認知度が低い。そこで、新しい制度の枠内に入ることで、サイトでの訴求効果が期待できるとしている。

 高優賃であるため、当初から入居対象者は高齢者で、セーフティネット住宅の入居対象者と重なる。また、高優賃制度による自治体などからの家賃補助が設定されており、この点はセーフティネット住宅としては異色の存在だ。同社では、あと8棟の高優賃を抱えており、順次登録していくという。

 サ高住との二重登録もある。株式会社IRORIが運営する八尾市幸町の「だんらん空間いろりの家」である。2階建て30室の建物で、現在全室に要介護の入居者がおり、同社の訪問介護サービスなどを受けている。「入居中」と表示して登録した。

 登録した理由について「建物の改修費で補助が得られると聞いて登録しました。廊下や玄関などの共用部を改修しようと思っています」と話す。

 確かに、このようなマンション型では、国から最高50万円の改修費が助成され、自治体が加われば最高で100万円の補助金が利用できる。

 大阪府の登録件数が増えているのは、実は早くから独自の手立てを講じているからでもあるようだ。セーフティネット住宅には国交省が25平方メートル以上という最低面積基準設けているが、大阪府は18平方メートル以上に緩和した。この効果は大きい。小規模なマンションでもかなり登録できることになった。

 いまだに登録戸数がゼロと出遅れている東京都も、マンション型の面積基準を4月1日から緩和した。2006年以降に着工していれば20平方メートル以上、96年から05年なら17平方メートル以上、95年以前なら15平方メートル以上と3段階に分けて大幅に引き下げた。また、共同利用設備があれば着工時点に関わらず13平方メートル以上にした。

 マンション型並ぶもう一つのタイプ、一戸建て空家を活用する「共同居住型」では、国基準の9平方メートル以上を7平方メートル以上と引き下げた。

 「不動産事業者や低所得者支援の団体から家賃の引き下げ要望が強かった」ことから思い切った措置に踏み込んだ。

 この新制度の最大の「売り」でもある「居住支援法人」についても、まだ指定されたのは33法人しかない。住まい探しなど入居相談を受けるほか、入居後の定期的な見守りや就労支援、家賃の債務保証などを多様な活動内容を掲げている法人もある。

 大阪府内では16の法人が指定を受けており、全国の半数近くを占めている(図3)。大阪府庁や「居住支援協議会」の積極的な活動が功を奏しているようだ。

指定を受けた「居住支援法人」数

 セーフティネット住宅は、国交省が鳴り物入りで始めた割にはいまだに知名度が低く、不動産関係者の関心も高くない。なによりも家主に情報が行き渡っているとは思えない。現在の登録住宅には、まだ入居契約が成立したところはない。家賃補助を受けた物件もない。前途は多難ではある。

 だが、世代を超えて住宅困窮者を受け入れる良い制度なことは間違いない。厚労省が提唱し始めた全世代型の社会保障政策「地域共生社会」でも住宅はその土台を成す。

 制度の歯車を回すのは市町村や都道府県である。とりわけ、地域を知悉しているはずの市町村が率先して家主に呼びかけないと、制度は動かない。まずは、地元の不動産関係者や家主、それに住まいの支援活動に熱心なNPOや企業などを集めて「居住支援協議会」として組織化することが肝要だろう。

 自治体の奮起に期待したい。厚労省も、サ高住と同様に国交省と共同所管体制をとって臨むべきだろう。住まいと福祉の連携は、日本の社会保障政策の最も脆弱なところである。
(4月11日 ダイヤモンド・オンライン)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180411-00166716-diamond-soci&p=1


土地家屋調査士 大阪 和田清人
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