2018年04月13日

住宅セーフティネット制度・・・

住宅セーフティネット制度が普及していません。

28都県が登録ゼロ!
ま、普及しない理由があるんですが・・・(^^;

制度上は、最高4万円の家賃補助。
半額を国が、残りの半額を都道府県と市区町村が折半する仕組み。

でも、今のところほとんどの自治体が次年度予算に計上していない・・・_| ̄|○

完全に、絵に描いた餅ですね。

それ以前に、家主側にとっては致命的なリスクがあるんです。

それは、普通借家契約。

いったん入れてしまうと、ボケようが迷惑行為をしようが、
「正当事由」がなければ追い出せない。

やはり、定期借家契約がマストじゃないでしょうか。

1割の不良入居者を追い出せないがために、
残り9割の方々にも住居が供給されにくいんですよね。


【高齢者、低所得者を支援する「セーフティネット住宅」が広まらない理由】

● 低所得の高齢者が多い集合住宅

 札幌市の3階建て集合住宅「そしあるハイム」で2018年1月31日の深夜、火災が発生し11人の入居者が亡くなった。住宅困窮者を受け入れ、入居者は相互扶助の考え方による共同生活を送っていた。ボランティア活動に近い運営が成され、地域の評判も良かった。

 運営する合同会社「なんもさサポート」が食事を提供していたため、無届けの有料老人ホームともみられたが、札幌市は調査の結果2月末に「該当しない」と判断した。厚労省が示す「居室の利用を高齢者に限定」という有料老人ホームの規定に合致しなかったからだ。実際、高齢者でない入居者もおり、生活困窮者向けの下宿として運営してきたことも判断材料に加わった。

 また、実質的には社会福祉法の第2種社会福祉事業の「無料・低額宿泊所」の機能を果たしていたが、短期利用者でないことでこれにも該当しない。

 有料老人ホームであれば、部屋面積の下限やスプリンクラーの設置などの基準を守らねばならない。無料・短期宿泊所なら4畳半(7.43平方メートル)以上の個室や消火器の設置などの指針がある。いずれも法的な強制力はないものの、自治体からの指導は受ける。

 この痛ましい事件は、2009年に群馬県渋川市の施設「静養ホームたまゆら」の火災事件を思い起こさせる。入居者たちの大半は、住まいを求めて東京23区の福祉事務所の紹介で遠隔地に移らざるを得なかった。生活保護受給者が多かったことも共通している。

 有料老人ホームの届けを受けるのは都道府県か政令市、中核市である。「たまゆら」を調べた群馬県は、「高齢者だけの施設ではない」とみて有料老人ホームではないとしていた。

 2つの集合住宅の入居者はいずれも低所得の高齢者が多い。もし要介護度が高ければ特養など介護施設に入居できた。だが、心身の状況が施設に入居するほどでもない。施設入居が適っても、低所得のため相部屋しか選択肢はない。個室は高額で手が出ないからだ。あるいは、窮屈な施設暮らしに馴染めない高齢者も少なくない。

● 「セーフティネット住宅」が登場したものの…

 普通の高齢者でも、独り暮らしだと賃貸住宅の入居はままならない。家主にとって、孤独死や死亡後の対応が煩わしいからだ。残された家財道具の処分だけでも手がかかる。

 一方で、今後日本全体で身内が近くにいない一人暮らしの高齢者や高齢世帯は急増する。要介護度は軽いが、自宅暮らしは難しい状況に陥る。その人たちを受け入れる賃貸住宅が少ない。そこで、国交省はこうした普通の賃貸住宅を供給する新しい住宅制度をスタートさせた。皮肉なことに、札幌火災の直前の昨年10月のことだ。

 「セーフティネット住宅」である。「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法」(住宅セーフティネット法)が施行されたことによる。

 法律による入居対象者は、高齢者だけではない。障害者や被災者、月収15万8000円以下の低所得者である。省令では、外国人やホームレス、犯罪被害者、DV被害者、生活困窮者を加えている。さらに自治体の判断で新婚世帯や児童養護施設退所者、UIJターン転入者、LGBTの人などに広げることができる。

 高齢者だけでなく低所得者も一緒に入居できる。生活保護受給者が多かった「そしあるハイム」や「たまゆら」の入居者はすべてカバーできる。現行制度では受け入れられない人たちが今度は丸ごと入居できる。

 セーフティネット住宅は、戸建ての空家かマンションやアパートなど集合住宅の空き室を家主が自治体に登録すると、改修費や家賃補助を受けられる。

 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と違って、新築ではなく既存の住宅に限定される。ただの賃貸住宅と異なるのは、自治体ごとに設ける「居住支援協議会」が入居相談を受けたり入居者の見守りをすることだ。具体的には、地域の企業やNPOなどが「居住支援法人」の指定を都道府県から受けて生活支援に入る。

 制度が始まって半年近く経ったが、4月9日時点での登録戸数はわずか78件、607戸に過ぎない。国交省は、開始後3年半で17万5000戸という壮大な目標を掲げたが、出足で躓いてしまった。とても目標には達しそうにない。

 都道府県別の登録状況をみると、大阪府の237戸が突出して多い。全体のほぼ4割を占める。88戸で2位の山梨県を大きく引き離している(図1)。

セーフティーネット住宅の登録戸数

 賃貸住宅の需要は都市部で多いと見られているが、東京都や愛知県、滋賀県ではまだ0戸だ。東北地方は宮城県の1戸だけで他の5県はゼロ。四国も愛媛県の2戸のほかは他の3県でゼロ。ゼロの都県が28にも及んでおり、制度はほとんど普及していないことがよく分かる (図2)。

セーフティーネット住宅の登録

 これらの登録している部屋の詳細は、利用希望者など誰でもネット上の「セーフティネット住宅情報システム」で見ることができる。よくみると、「空室」とある一方で「入居中」と表示した部屋がかなりある。実際に住んでいる人がいる部屋まで登録されている。利用できない部屋まで制度上は登録できる。おかしな話だ。

 利用者、消費者向けの情報提供にはなっていない。利用できない部屋まで含めて登録し、それでも半年で1000室に及ばないだろう。このままの登録件数の状況では、3年半でも1万室に届くかどうかだ。17万5000室とは、対財務省を意識した予算獲得のための数字に過ぎないようだ。

 「家主や入居者の意欲をそそるような仕組みが心許ない」と関係者は指摘する。まず、家賃の補助だが、制度上は最高4万円の補助が可能だ。半額を国が、残りの半額の半分ずつを都道府県と市区町村が負担する。だが、市区町村が手を上げてはじめて成り立つ。今のところほとんどの自治体は次年度予算に計上していない。

 東京都墨田区は28年度予算にこの家賃補助を一件当たり5000円計上した。これにより墨田区内のセーフティネット住宅は、東京都から同額の5000円、国から1万円を引き出すことができ、総額2万円の家賃補助ができることになった。極めて珍しい事例だ。

 多くの市町村自治体は家賃負担を引き受けたがらない。「公営住宅が既に存在している」というのが表向きの理由だ。恒久的に続く支出になり、議会での承認が難しいこともある。

 かつて、建設費と家賃を自治体が補助する高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)という制度があったが、あまり広がらなかった。自治体が家賃補助を渋ったのが「失敗」の原因と言われる。

● 登録数が多い大阪のケースは?

 では、全国的に低調な滑り出しの中で、唯一気を吐いている大阪府の中味を覗いてみよう。総数237戸といっても一棟のマンションで多数の部屋を登録しているケースが大半である。

 その中で、最多個数なのが吹田市江の木町の「ロハス江坂」だ。築10年、10階建てのマンションで69室も登録している。何と一棟だけで大阪府全体の30%近くを占める。

 そのうち「入居中」が49室と示されているので、すぐに借りられるのは20室だ。登録したのは管理者の住友林業レジデンシャル。同社によると、高優賃として建設されたマンションで、入居者を募るためにセーフティネット住宅に登録したという。というのも、高優賃の制度は今ではサ高住制度に吸収されたため、高優賃としての認知度が低い。そこで、新しい制度の枠内に入ることで、サイトでの訴求効果が期待できるとしている。

 高優賃であるため、当初から入居対象者は高齢者で、セーフティネット住宅の入居対象者と重なる。また、高優賃制度による自治体などからの家賃補助が設定されており、この点はセーフティネット住宅としては異色の存在だ。同社では、あと8棟の高優賃を抱えており、順次登録していくという。

 サ高住との二重登録もある。株式会社IRORIが運営する八尾市幸町の「だんらん空間いろりの家」である。2階建て30室の建物で、現在全室に要介護の入居者がおり、同社の訪問介護サービスなどを受けている。「入居中」と表示して登録した。

 登録した理由について「建物の改修費で補助が得られると聞いて登録しました。廊下や玄関などの共用部を改修しようと思っています」と話す。

 確かに、このようなマンション型では、国から最高50万円の改修費が助成され、自治体が加われば最高で100万円の補助金が利用できる。

 大阪府の登録件数が増えているのは、実は早くから独自の手立てを講じているからでもあるようだ。セーフティネット住宅には国交省が25平方メートル以上という最低面積基準設けているが、大阪府は18平方メートル以上に緩和した。この効果は大きい。小規模なマンションでもかなり登録できることになった。

 いまだに登録戸数がゼロと出遅れている東京都も、マンション型の面積基準を4月1日から緩和した。2006年以降に着工していれば20平方メートル以上、96年から05年なら17平方メートル以上、95年以前なら15平方メートル以上と3段階に分けて大幅に引き下げた。また、共同利用設備があれば着工時点に関わらず13平方メートル以上にした。

 マンション型並ぶもう一つのタイプ、一戸建て空家を活用する「共同居住型」では、国基準の9平方メートル以上を7平方メートル以上と引き下げた。

 「不動産事業者や低所得者支援の団体から家賃の引き下げ要望が強かった」ことから思い切った措置に踏み込んだ。

 この新制度の最大の「売り」でもある「居住支援法人」についても、まだ指定されたのは33法人しかない。住まい探しなど入居相談を受けるほか、入居後の定期的な見守りや就労支援、家賃の債務保証などを多様な活動内容を掲げている法人もある。

 大阪府内では16の法人が指定を受けており、全国の半数近くを占めている(図3)。大阪府庁や「居住支援協議会」の積極的な活動が功を奏しているようだ。

指定を受けた「居住支援法人」数

 セーフティネット住宅は、国交省が鳴り物入りで始めた割にはいまだに知名度が低く、不動産関係者の関心も高くない。なによりも家主に情報が行き渡っているとは思えない。現在の登録住宅には、まだ入居契約が成立したところはない。家賃補助を受けた物件もない。前途は多難ではある。

 だが、世代を超えて住宅困窮者を受け入れる良い制度なことは間違いない。厚労省が提唱し始めた全世代型の社会保障政策「地域共生社会」でも住宅はその土台を成す。

 制度の歯車を回すのは市町村や都道府県である。とりわけ、地域を知悉しているはずの市町村が率先して家主に呼びかけないと、制度は動かない。まずは、地元の不動産関係者や家主、それに住まいの支援活動に熱心なNPOや企業などを集めて「居住支援協議会」として組織化することが肝要だろう。

 自治体の奮起に期待したい。厚労省も、サ高住と同様に国交省と共同所管体制をとって臨むべきだろう。住まいと福祉の連携は、日本の社会保障政策の最も脆弱なところである。
(4月11日 ダイヤモンド・オンライン)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180411-00166716-diamond-soci&p=1


土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 07:00│Comments(0)空き家 

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