2018年05月10日

成年後見制度の「大問題」って・・・

成年後見制度に関するコラム。

成年後見制度の闇」というタイトルの本がベースになっているためか、
そういう内容ですが・・・(^^;

もともとは、めちゃくちゃな親族後見人がいたことへの対応。
今では、がんじがらめで、使いづらい制度になっちゃったわけですね。

ただ、一つだけハッキリ言えるのは、
長寿・高齢社会において、認知症は他人事ではないってこと。

自分の老後に対して「何もしない」ことが、
お子様たちに負担をかけることになるということを知ってくださいね。


【老親の貯金が突然他人の管理下に!?「成年後見制度」の大問題】

● 問題が多い「成年後見制度」

 「人生100年時代」の掛け声の下、高齢者の生活と資産の管理が注目を集めている。筆者は、お金の運用を専門としているので、高齢者の資産運用について考える機会が多いのだが、実は、自力ではどうしても解決しきれない重要な課題の存在が胸につかえている。

 筆者が、高齢者の資産運用についてアドバイスしたい主な内容は、(1)高齢だからといって特別な運用法はない(運用にまで歳を取らせる必要はない!)、(2)配当・分配金などのインカムゲインにかかわらず、最も効率的な運用方法を選べ、(3)金融マンのような利害関係のある他人を簡単に信用するな、(4)認知症・死亡など自らの判断力の喪失に備えよ、というものだ。

 しかし、本人に判断力がある場合の資産運用についてはこれでいいとして、なかなか満足・安心のできる具体策がないのが最後の「自らの判断力の喪失に備えよ」の部分なのだ。

 家族などに信頼のできる人を確保し、自らの財産の置き場所を知っておいてもらうとともに、金融マンや不動産業者などにだまされないよう自らをチェックしてもらえ、というのだが、「信頼のできる人」を確保することが難しい人がいることに加えて、信頼できる身内を確保したとしても、安心できないリスクがあるのだ。

 こうした問題意識があったので、筆者は、近刊の「成年後見制度の闇」(ジャーナリストの長谷川学氏と、一般社団法人「後見の杜」代表の宮内康二氏の共著。飛鳥新社刊)を読んだ。

 書名通り、わが国の成年後見制度の問題点を指摘しているのだが、事例があまりにかわいそうなものであること、法律・制度に明らかな不備がある一方でその完全な解決案がないこと、自分や家族の身にも十分降りかかる可能性があるくらい身近な問題であることのそれぞれに慄然とした。記述は平易で、紹介される知識は実用的なのだが、テーマが何とも「重たい」。

 端的に言って、65歳以上のあなたには、いきなり家庭裁判所が指名した見も知らぬ弁護士、ないしは司法書士が後見人としてつく可能性がある(きっかけは親族であることも、自治体であることもある)。

 その後見人は、あなたの財産を管理する権限を持ち、あなたや家族は後見人の同意なしには自分のお金を使うことができなくなる。加えて、後見人は資産額に応じた少なからぬ報酬を、被後見人の財産から勝手に差し引いて受け取る。こうした状態が、あなたが死ぬまで続きかねないのだ。

 高齢者や知的障害者などが、弁護士、司法書士など士業の食い物にされかねないのだが、家庭裁判所や自治体のような司法・行政がこれを後押ししがちなのだ。

 本人や家族が望まない後見人から身を守る方法はいくつかあるのだが、筆者が読んだ限りでは、完璧な防御は難しいと思えたし、成年後見制度に関する知識を持っていなければほとんどの人が無力だろう。

 ご自身の身に不幸が降りかかってこないうちに、成年後見人制度の問題点を知っておくべきだし、その上で、自分や家族の財産と生活をどう守るか、最晩年期の資産管理の方法を考えておくべきだ。老後のお金の問題を考える全ての人に、一読を勧めたい大事な本だ。

● 「後見人ビジネス」の怖さ

 成年後見人の制度、及びこれに関連する法律は相当に複雑なので、詳しくは前掲書に当たってほしいが、後見には本人と親族などの後見人候補者が契約を交わす「任意後見」と、家庭裁判所が後見及び後見人を決定する「法定後見」があり、後者は、本人や家族ら4親等以内の親族及び自治体の首長などが、申し立てを行うことができる。申し立てがあると、本人の近くの家庭裁判所が、職権で後見人を選任する流れになる。

 問題は、こうした後見人が、家族や親族ではなく、成年後見人候補者として自らを登録しただけの弁護士や、司法書士などが指定されることが多いことだ。

 家族や親族が後見人となった場合でも、被後見人の財産を勝手に使ったり、被相続人間でトラブルが起こったりするケースがある。だが、それはマシな方で、いきなり見知らぬ“士業”の人物が後見人として現れ、財産を管理し、しかも少なからぬ費用を勝手に、かつ被後見人が死亡するまで取り続けるようになることに納得がいかない本人や家族は少なくない。

 家庭裁判所は、原則として本人への意思確認や、精神鑑定などの「審査」を行わなければならないのだが、明らかに必要ないと認めるときにはこれを行わなくてもいいという人道的に“粗末”な例外規定があり、審査を飛ばして後見人を選任することがあるのだという。

 後見の開始について、本人や家族は後見が不要だとの即時抗告をすることができるが、その期限は後見人の選任から2週間以内である。しかも、後見の通知自体が後見人に行くことがあり、後見人が2週間以上経過した後に通知を被後見人に送り、「家裁に選任された後見人だ」と名乗り出るような悪質なケースもあるという。

 後見人の報酬の額は、被後見人の預貯金額に比例し、たとえば被後見人の預貯金が1000万円以下でも“職業後見人”へは毎年24万円、預貯金額が5000万円以上だと年間60万〜72万円程度の報酬を取られるのだと前掲書にはある。

 しかも、職業後見人が被後見人のために行うのは、被後見人の通帳を預かることと、年1回、家裁に後見事務の報告書を提出するだけというケースがほとんどなのだという。

 この手数料の水準を金融取引にたとえるなら、死ぬまで解約できないラップ運用を契約してしまったくらいの大失敗だ。報告書の作成は1時間も掛からない程度の作業であり、被後見者本人とほとんど会ったことさえない後見人が少なくないという。職業後見人にとっては、効率のいいビジネスだ。

 さらに、職業後見人は、被後見人に対して生活費の支払いを渋るケースが多く、「月額10万円くらいで生活せよ」と判断する場合が多いようだ。

 金融マン的な常識で判断すると、被後見人の預金残高に応じた手数料を取るのであれば、被後見人及びその家族にお金を使わせたくないと思うのが、後見人としては当然のビジネス判断だろう。

 預金額に応じて手数料を取ることができるなら、例えば自宅を売り払って被後見人を施設に入れようとするかもしれないし、生命保険などを解約させて預金額を増やそうとするかもしれない。もちろん、生活費以外の支出も抑えたいにちがいない。

 そもそも、後見の作業内容に対して手数料が高すぎるし、被後見人の預金残高に応じて手数料が設定されるのだとすると、この仕組みは、被後見人の幸福追求に対して逆行しやすい悪いインセンティブを持っている。加えて言うならば、被後見人を献身的に介護する家族にとっては、後見人が家族の財産を取りあげた上に、手数料まで貪り取る悪魔のような存在だと感じられるだろう。

● 後見人から財産を守る方法

 読者ご本人、あるいは読者が介護されているご家族に対して、親族や自治体が後見の申し立てを行う可能性があることは前述の通りだ。

 兄妹など家族間でも、親の財産の処分や家族の暮らし方などをめぐって対立が生じる場合があるだろうし、自治体が何らかの情報を下に後見の申し立てを行う可能性がないとはいえない。

 筆者が、前掲書を読む限り、例えば孤独な高齢者が、意に染まない後見を回避できる完璧な手段があるようには思えなかった。

 しかし、次のようなケースでは、愚かな家庭裁判所や悪徳後見人の魔の手から逃れることができそうだった。

 例えば、高齢の親がいて、仲の良い信頼し合っている子どもが2人いるとする。この場合、子どもの一方が老親の任意後見人となって、もう一方の子ども(兄弟)の口座に親の財産を移すと、法定後見人が介入してくるリスクが小さくなる。このケースでは、後見人となった子どもは、自分の口座に親の資金を移すと横領を疑われてしまう可能性があるので、兄弟の管理下に親の財産を置くのだ。

 しかし、子どもが任意後見人になっても安心はできない。親の預金残高が1000万円(地域によっては500万円)を超えると、家裁が後見人に対して弁護士・司法書士などの監督人を付けようとするケースがあり(親の財産の横領を防ぐためという趣旨らしい)、そうなると自動的に手数料を取られることになる。

 こうした状況を避けるためには、被後見人の預金残高を小さく保つことが有効らしいのだが、財産を移動する際に贈与税が発生しないか、生命保険に預金の資金を退避させてもそれを財産と見なされないかなど、将来の制度や司法・行政の判断の変更も含めて、筆者には判断しかねる心配が残る。

 なお、後見人は認知症を患った高齢者ばかりでなく、知的障害者にもつくことがある。知的障害を持った子どものために、子どもの名義の預金にお金を貯める親が少なくないが、この預金は実質的には親のお金であるにもかかわらず、“職業後見人”に狙われるリスクがある。要は、被後見人名義の預金にお金を集めると危険なのだが、子どもの将来に備えてお金を貯めているつもりの親は、このようなリスクを知るまい。

 加えて言うなら、世の中には、信頼できる若い親族が複数いるような恵まれた高齢者ばかりとは限らない。高齢化では、他の先進国の先を行くわが国なのだが、高齢者が安心して老いることができる仕組みは未だ十分整備されていない。

 職業後見人の報酬は仕事の内容に対して恐らく高すぎるし、算定方法を改める必要があるだろう。また、後見人が、被後見人が死ぬまでへばりついて離れない現行制度は改める必要がある。

 後見人の任期を数年ごとの更新制として、本人や親族の意思による交代請求を認めるべきだろうし、個々の後見人の仕事ぶりに対するユーザー側の評価が蓄積・公開されるべきだ。ウーバーの運転手でさえ評価される時代なのだから、それ以上に複雑・高価なサービスである後見が、無評価で被後見人が死ぬまで交代のあり得ないものであっていいはずがない。

 加えて、後見人制度について相談できる、職業後見人と利害関係のない中立な相談サービスや、さらに後見人の行動をモニターしつつ、過去のパフォーマンスを評価するチェックシステムが必要だろう。要は、ユーザー側の保護体制がまるでできていないのだ。

 どのような制度を設計したらいいのか、特にメカニズム・デザインの研究者には、知恵を絞っていただきたいと思う。
(5月9日 ダイヤモンド・オンライン)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180509-00169412-diamond-bus_all&p=1


土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 20:07│Comments(0)相続専門FP 

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