2019年03月07日

シングルマザー向けマネー講座

東洋経済に、シングルマザーの収入に関する記事がありました。

厚労省の「全国ひとり親世帯等調査」によると、
母子世帯の43%が非正規雇用。
で、母親自身の平均年収が200万円・・・_| ̄|○

これは、シングルマザーに正社員の道が閉ざされていることが原因。
日本の多くの企業が、全ての社員に同じ行動様式を求めるため。

このあたりは、橘玲さんも著書で指摘してらっしゃいますね。

さらに、同調査によると、母子世帯になった時の末子の年齢は、
0〜2歳が最も多く、38.4%。

20年近く、身体を張って生きていかなきゃなんない。

ご自身に万が一のことがあった場合、残されたお子様のことが気がかりですよね。
生命保険などでお金を残せたとしても、元ダンナが寄ってくるかもしれない・・・

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【シングルマザーへの偏見が建設的でない理由】
データを見ればやるべきことは決まっている

厚生労働省が発表した「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査」によれば、親が非正規雇用の割合は母子世帯が43.8%に対し、父子世帯だと6.4%だけである。当然、この就業形態は世帯収入の格差に直結する。母親自身の平均年間就労収入が200万円なのに対し、父自身の平均年間就労収入は398万円と約2倍の差がある。

このような男女間における雇用形態の違いによる収入格差を埋めるために、養育費があるわけだ。

しかし、同資料によれば、毎月養育費を支払われている(または支払われたことがある)世帯のうち、決められた養育費の平均額は、母子世帯で月額4万3707円にすぎない。しかも、養育費の支払い額の取り決めを文書でしている母子世帯は全体の42.9%と半分にも満たないのだ。そのうえ、養育費が支払われない場合に支払い義務がある者の資産を法的に差し押さえられる「強制執行認諾条項付き公正証書」を所持しているのは、25%と全体のわずか4分の1である。

その結果、シングルマザーの56%は、一度も養育費を支払われたことがない。また、15.5%が一時的に養育費を支払われていたものの、あるときから支払いが途切れたままになっているという。

シングルマザーに関する記事は偏見に満ちている

どのようなテーマで記事を書いても、ポジティブな反応とネガティブな反応の両方が寄せられるものだ。大まかに言って、シングルマザーの貧困の記事は、主に2つに分けられる。そのうちの1つのタイプは当事者が書いているか、当事者に同情的な立場の人が書いている記事だ。このタイプの記事には、2種類の反応が見られるという。

まずは、当事者など書き手に近い人たちから寄せられるポジティブな反応だ。こうした人々は記事に対して、「シングルマザーは大変だけど頑張っている」といったコメントをしている。一方、こうした問題と無関係な人たちは、当事者に対して「あなたに責任がある」「子どもが可哀想だ」というネガティブなコメントを残している。この2つの反応は、ともに同性から向けられることが多いようで、あまり男性は反応しないという。

もう1つのタイプの記事は、シングルマザーの現状をネタにしているような記事だ。

例えば、生活苦のシングルマザーは、子どもを預けて時給の高い水商売をしているというような内容である。この類の記事には両性から反応が見られる。記事内で用いられる偏りのある誤った情報に対して無神経なコメントを残していく人たちと、それを読んで不快な思いをする当事者たちという構図である。

筆者自身はシングルマザーにとくに肩入れをするわけでも、ネタにするわけでもなく、公的データを分析した結果、「彼女たちの貧困の解消が国全体で見てもプラスに働く」と書いただけだが、それが彼女たちにとって非常にフェアに感じられたという。

この経験を通じて感じたのは、最初から過度に肩入れしたり、偏見を持ったりして解消策を論ずるのではなく、あくまでデータに基づいた解消策を淡々と論ずることの重要さだった。

さまざまなシングルマザーを取材してまず気づいたのが、当然のことながら、シングルマザー全員が貧困に苦しんでいるわけではないということだ。相対的に見てレアケースではあるが、同年代の男性よりも稼いでいる裕福なシングルマザーもいれば、平均をやや上回る収入を確保しつつ、ある程度自由に育児と仕事を両立して、人生を謳歌しているシングルマザーもいる。

シングルマザーが正社員になれない根深い理由 

彼女たちの話を聞いていると、リモートワークでも価値を発揮できるスキルや知識がある人が多い。彼女たちに共通しているのは、結婚や出産を経ても、キャリアを途切れさせていなかったり、自営業者として自分が現場で働かなくてもお金を稼ぐ仕組みをつくり上げていたりという共通点がある。女性が離婚する際、これらの重要性を強く感じる。

女性が離婚に踏み切れない理由の1つに、経済的な理由を挙げることが多い。しかし、もし経済的に夫に依存しなくてもいい状態にあり、離婚が最適な選択であれば、あまり悩むことなく離婚を決断できる。経済的に独立できないと、最悪な状況下でも婚姻関係を続けることを余儀なくされる。そのため、いつでも離婚できる状態を、女性側がつくっておくことは非常に重要である。

離婚という言葉にネガティブな印象を持ちがちだが、必ずしもそうではない。子どものことを考えて、「両親がいる環境で育てるのが最善」という固定概念を持っている人は多いが昨今の虐待問題に限らず、夫婦関係が極端に悪化している中で育児するほうが、子どもに悪影響を与えかねない。無理に夫婦関係を続けるより、離婚が最適な場合もある。

ただ、仮にシングルマザーが正社員の地位を得たら得たで、育児と仕事の両立で非常に苦しむことになる。なぜなら、多くの企業では現状、子育てしていないほかの社員と同じ行動様式を求められることが多いからだ。つまり、定時の就労時間である9時から17時までオフィスにいなくてはいけない。場合によっては、社員や取引先との関係を深めるために食事や飲みに行くなどのイベントもこなしていく必要がある。残念なことに、多くの日本企業ではいまだに、このような「付き合い」が評価基準になっているのが現実だ。

しかし、1人で育児もしなくてはいけないシングルマザーがこのような働き方をするのは極めて難しい。午前9時にオフィスに行くとすると、午前6時には起きて子どものお弁当や着替えの準備をし、朝食を作り、その後、保育園や幼稚園に送りにいくことになる。そして、満員電車に揺られオフィスに向かう。お迎えを考えれば、正社員とはいえ、時短勤務の制度を使う必要があり、結果的には通常の正社員より収入は低くなり、当然ながら業務後の付き合いには参加しづらく、それが将来のキャリアに響いてくるのだ。

このような現状を打開するには、完全なフレックス制度やリモートワーク、そして副業(複業)を多くの企業で認めることだ。

ネットに接続できれば、毎日同僚と机を並べなくても仕事ができる時代だからだ。スキルや知識、経験があれば、自宅にいながら育児にウェイトを置きつつ、収入を確保できる。そのための環境整備を会社側が用意することが非常に重要であろう。逆にこれを実現させている会社であれば、優秀な人材を採用しやすくなるはずだ。

ダラダラ働くことが結果につながらないのは明白

貧困に苦しんでいるシングルマザーの中には、子どもが生まれる前は証券会社や商社で働いており、ファイナンスの知識やネイティブレベルの英語力を持つ人もいる。

しかし、能力が高かったとしても、子どものお迎えによる時短勤務や、子どもの急病による欠勤などを嫌がられ、なかなか正社員として採用してもらえないという。本当は能力があっても、旧態依然とした今の会社環境では能力を発揮できずにいる女性は思っている以上に多いだろう。国が主導する働き方改革によって、時間で縛る仕事のやり方はもはや古い遺物になりつつある。

しかし、それでも、日本では「長く働いている人間こそが評価される」という考えがいまだに根強い。しかし、ダラダラ会社にいることが成果につながるとは言いがたいのは言わずもがなだろう。

「シングルマザーなんて、一部の人の問題だ」などと切り捨てるのではなく、日本の社会全体が、いかに彼女たちの能力を生かせる環境をつくることができるかが、わが国の生産性の向上につながると考えている。

こうした環境づくりは、国や本人たちだけでなく、優秀な社員を確保できる会社にとっても、いいことずくめではないだろうか。国を挙げて解消策の実現に経営資源を割き、早急に現況が改善されることに強く望みたい。
(3月7日 東洋経済オンライン)


土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 23:02│Comments(0)相続専門FP 

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