2019年03月11日

災害復興住宅融資(通称:災害リバモ)

災害によって住宅が傷んでしまった場合でも、
年金生活の高齢者は修繕をあきらめることが少なくないですね。

半壊や一部損壊では、各種助成金も受けられず、
すきま風や雨漏りのする家での生活を余儀なくされる・・・

そこで威力を発揮するのが、「災害復興住宅融資(高齢者向け返済特例)」、
通称「災害リバモ」(災害リバースモーゲージ)。

リフォーム費用を借りて、毎月の利息だけを支払う仕組み。

お亡くなりになった後で、自宅を売却して元本を返済。
売却後に残債があっても、それは相続人に請求されません。

「どうせ子どもは住まないから、今さえしのげればいいわ。」などと言わずに、
快適な生活をして、放置空き家の芽も摘んでおける方法も
視野に入れてみてはいかがですか?


【高齢被災者の住宅再建、「災害リバモ」で後押し】

 「8年ぶりに自宅の風呂に入ることができた。夢のような話です。それもこれもみんな、お膳立てをしてくれたボランティアさんのおかげです」

 宮城県石巻市の70代女性が笑顔を浮かべた。

 8年前の3月11日、床上1メートルほどの高さの津波が押し寄せ、女性宅は「大規模半壊」の被害を受けた。資金の制約から修繕できたのはわずか2部屋。風呂も使えない不自由な暮らしが8年近くも続いた。

■存命中は利子だけを払えばいい

 そんな境遇が大きく変わるきっかけとなったのが、住宅金融支援機構が創設した「災害復興住宅融資(高齢者向け返済特例)」(通称、「災害リバモ」=災害リバースモーゲージ)の活用だった。震災発生以来つながりのあったボランティア団体「チーム王冠」代表の伊藤健哉さんから、「高齢者を対象にした融資制度がある。存命中は、毎年、利子だけを払えばいい」と教えてもらったのがきっかけだった。

 女性は最初は半信半疑だったが、伊藤さんらボランティアの助けを借りつつ、夫とともに修繕資金の融資を申請。石巻市の住宅再建のための補助金も活用して風呂やキッチンなどの修繕が震災8年後に初めて実現した。災害リバモの毎月の利息の支払いは3000円程度。夫婦の年金から何とか支払うことができる金額だという。

 災害リバモが登場したのは、2017年1月。「前年の熊本地震で、高齢被災者の住宅再建の課題が顕在化した。国からの要請に基づき、もともと住んでいた土地での住宅再建に資する制度として創設した」。住宅金融支援機構の佐藤綾子・団信・個人業務部災害融資グループ調査役は、災害リバモ誕生のいきさつをこう説明する。

 災害リバモの融資条件はきわめて異例だ。対象者は60歳以上の高齢者。熊本地震や最近の水害などの大規模自然災害のみならず、東日本大震災の被災者も利用できる。

 借入人が存命の間は利息だけ払えばよく、死亡時に担保不動産の売却によって元本を返済する。残った債務については相続人に請求しない。一方、元金を返済すれば、相続する子どもが自宅を持ち続けることもできる。

 特筆されるのが、半壊や一部損壊など建物被害の判定が比較的軽微であっても申し込むことができる点だ。

 東日本大震災などの大規模災害では、住宅の被害の判定が大規模半壊以上であれば、「被災者生活再建支援金」の支給を受けることができる。修繕を目的として受け取れる支援金は100万円(単身世帯は75万円)。これが元手になる。

 一方、半壊以下の被害は被災者生活再建支援金の対象外。それだけに、「半壊や一部損壊の家屋で暮らす被災者に、国の機関が支援の手を差し伸べたことは画期的だ」と、日本弁護士連合会で災害復興支援委員長を務める津久井進弁護士は災害リバモの商品設計を高く評価する。

■8年も続いた損壊家屋での生活

 石巻市の小松和子さん(74)の自宅は、半壊の判定だった。津波の被害は床下浸水でとどまったが、地震で住宅が傾いた。すきま風が入り込み、キッチンやトイレは修繕できないままだ。「このままでは健康も損なわれる」と考えた小松さんは災害リバモの説明を受け、3月中にも申請する予定だ。

 津波の浸水被害を受けた家屋を一通り修繕するには最低でも500万〜600万円かかる。しかし、資力が乏しい高齢者は修繕をあきらめることが少なくない。石巻市の住宅再建補助金(上限100万円)は、工事代金を被災者本人が立て替え払いすることが必要だ。資力がないために補助金を利用できない被災者は少なくない。

 同じ石巻市の古座登美子さん(65)は、弟、長女との3人暮らし。修繕資金が不足し、生活できる部屋が2部屋しかない。その2部屋も家財道具であふれ返り、こたつに足を突っ込んでの雑魚寝生活を8年にわたって続けてきた。被災した自宅は雨漏りがひどくなっている。

 古座さんも住宅金融支援機構からの災害リバモの融資を元手に、屋根や壁の修理を決めた。石巻市の独自補助金と併せた予算は約300万円。うち約200万円が災害リバモによるもので、1カ月の利息の支払いは3000円程度だ。古座さんを支援してきた前出の伊藤さんは、「住宅金融支援機構から災害リバモの承諾を得られたことで、住宅再建の道筋がようやく見えてきた」と安堵する。

 このように災害リバモは画期的な制度だが、制度の仕組みが独特でもあり、被災者が独力で借り入れ実現にたどり着くことは難しい。住宅金融支援機構によれば、東日本大震災の被災者による申し込みの受理件数は2017年1月から今年1月までの2年間でわずか8件。熊本地震の112件と比べても少なさが際立つ。

 そこで、融資実績増加のカギを握るのが、被災者に伴走しながらサポートするボランティアや専門職の存在だ。

 仮設住宅に入らずに、壊れた自宅に住み続ける「在宅被災者」を支援する伊藤さんは、住宅金融支援機構・東北支店東北復興支援室の村田健三シニアアソシエイトから「こんな制度がある」との説明を受けたのをきっかけに、ともに支援活動にたずさわる弁護士と災害リバモの勉強会を開催。以来、在宅被災世帯の住宅再建の最後の切り札として、災害リバモの利用を働きかけている。

 「在宅被災者の多くは過酷な生活が続く中で、自宅の修繕をあきらめている。高齢者の多くは、自身が借入できるとも思っておらず、災害リバモの仕組みを理解することも容易でない」(伊藤さん)

 そこでチーム王冠のボランティアが被災者宅を繰り返し訪問するとともに、不動産取引や相続に詳しい弁護士や建築士とも連携して、融資実現に取り組んでいる。

■多職種連携で被災者を支援

 冒頭の女性宅の修繕計画立案を手助けしたのは、二級建築士の藤井明人さん。女性のニーズを丹念に聞き取り、高齢夫婦が望む修繕計画の作成につなげていった。

 古座さん宅の支援にかかわった中尾健一弁護士は「自宅に出向くことで生活実態や困りごとの詳細を知ることができた」と手応えを感じている。

 こうした多職種連携による被災者個人に焦点を当てた支援活動は「災害ケースマネジメント」と呼ばれ、2005年に米国を襲ったハリケーンカトリーナの被災地で展開されたと言われる。石巻で取り組まれているボランティアや弁護士などによる支援活動も、災害ケースマネジメントに相当する。日本国内では、鳥取県が条例を制定し、鳥取中部地震の被災者を対象に災害ケースマネジメントを導入した。

 津久井弁護士は、「被災者一人ひとりの復興を実現するために、大規模災害では災害ケースマネジメントの導入が急務だ。災害リバモも、災害ケースマネジメントの取り組みがあってこそ、活用が進む」と指摘する。

 東日本大震災から8年、被災者一人ひとりに寄り添う支援の歯車がようやく回り始めた。
(3月11日 東洋経済オンライン)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190311-00270133-toyo-bus_all


土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 09:01│Comments(0)不動産よもやま話 

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