2021年02月06日

後見制度支援「信託」と後見制度支援「預貯金」

昨日書いた後見制度支援信託や後見制度支援預貯金。
何人かからお問合せいただきましたので、ちょっと解説しますね。

この制度を理解するために、成年後見制度を軽くおさらいします。

内閣府の平成29年度版高齢社会白書によると、65歳以上の認知症者は
 2020年で16.7%(≒6人に1人)、
 2030年で20.2%(≒5人に1人)、
 2060年で24.5%(≒4人に1人)。

40年後は、ご夫婦の両親の誰かが認知症って時代・・・

久しぶりに一人暮らしのお母様の実家へ行くと、羽毛布団が山積みに!
なんてことを防ぐために、成年後見という制度があるわけです。
民法7条
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者等の請求により、後見開始の審判をすることができる。

これはいいんですよ。
問題は、「誰が」成年後見人になるかということ。
民法843条
家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。

普通は、親族が手を挙げますよね?
ところが、そうは問屋が卸さない。

2000年には、親族後見人が92%を占めたのに、
着服などが社会問題になって、2019年にはたった22%・・・_| ̄|○

弁護士や司法書士などの職業後見人が69%を占めるようになりました。

それでも不正がなくならないので、裁判所は、
後見人に多額の現金を扱わせないにしようと考えます。

で、2012年に後見制度支援「信託」という制度が始まりました。

これは、被後見人のお金のうち、日常生活に必要な分だけを後見人が管理、
それ以上の分は信託銀行に信託しろっていうもの。

メリットは、後見人の手間が減ることと、横領の防止。
デメリットは、信託契約や信託報酬などの費用がかかることと、
金融機関が限定されること。
生活圏内に信託銀行ってそうそうありませんもんね。

そこで、2018年に後見制度支援「預貯金」がスタート。
これは、日常生活以上の分を、後見制度支援預貯金口座に預け入れるもの。

銀行や信金など、対応できる金融機関が多いのと、
手数料が不要(例外あり)というのがメリット。

こうなれば、普通はこっちを選びますよね。

なぜなら、後見を申立てる動機の42%が、預貯金等の管理・解約。
お母様の入院費をお母様の口座から引き出すためだけに後見を申立てて、
その結果、信託報酬を取られ続けるって、ねぇ?

でも、この制度、あまり情報発信されていないんですよね。

後見の申立てをして、22%の親族後見人になった場合で、
かつ多額の現預金があれば使えと言われることがある、という頻度だから。

専門家も商売にならないから、積極的に発信しませんし・・・

だから、シロートの後見人ご自身が、高圧的な裁判所と、
制度を知らない金融機関との間を行き来する必要が生じちゃうわけです。
→昨日のブログ:「成年後見支援預金〜申請の経過と結果報告〜」

結局のところ、判断能力を失った後で成年後見を申立てると、
誰が後見人になるのかわかりませんし、財産保全の手段も求められます。

だったら、お元気な間に、任意後見契約を結んでおく方がいいですね。
後見人を決めておけますし、後見監督人が付くから支援信託・預貯金も不要。

終活の第一歩は遺言でなく任意後見契約じゃないかと、最近つとに感じます。


土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 08:52│Comments(0)相続専門FP 

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔