2023年02月02日

「所有者不明土地問題の解消に向けた法改正の概要」(相続にかかわる部分を中心に)

昨日、SG阪神いきかた研究会を開催しました。

テーマは、「所有者不明土地問題の解消に向けた法改正の概要」。
講師は、梅ヶ枝町法律事務所の神山公仁彦弁護士。

4月1日に施行される民法改正のうち、
遺産分割の新ルールと共有制度の見直しを中心に解説いただきました。

神山弁護士のセミナーの特色は、設例を与えてくださること。
とてもイメージしやすくなるんですよね。

たとえば
「A、B.C、Dの4名は共有私道を持分各4分の1で共有している。
 AとBは、砂利道の私道をアスファルトで舗装したいと考えているが、
 Cは所在不明で、またDは遠方に居住しており連絡に応答がない。
 A・Bにはどのような方策が考えられるか。」
という感じ。

現行民法では、変更行為には共有者全員の同意、
管理行為には過半数の同意が必要とされています。

そのため、共有者の一部が不特定または所在不明である場合は、
共有物の変更・管理ができないケースがありました。

また、不在者財産管理制度は報酬等の負担が重いという問題がありました。

今回の改正では、所在が不明だったり、賛否を明らかにしない共有者がいる場合
に対処する非訟手続きが新設されました。

具体的には、
a.所在等不明者がいる場合、裁判所の決定を得て、不明者以外の全員の同意で、
 共有物に変更をを加えることが可能になります。(民法新251条2項)

b.所在等不明者がいる場合、裁判所の決定を得て、不明者を分母から除外し、
 残りの共有者の過半数の同意で管理が可能になります。(同252条1項)

c.賛否を明らかにしない共有者がいる場合も、その者を分母から除外し、
 残りの共有者の過半数の同意で管理が可能になります。(同252条2項2号)

動かせなかった不動産を動かせるようになる転換点ですよね。

今回の民法改正は盛りだくさんの内容ですが、
大切なのは、これらが4月1日からスタートするってこと。

宅建業の皆さん、準備オーケーですか?


土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 19:44│Comments(0)相続専門FP 

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