2023年09月04日
永代地上権・・・
滑川市に、「永代地上権」設定地が多数存在するようです。
江戸時代の大火の後、契約期間を永代とする慣習ができたとのこと。
明治に入って次々と登記されたんだとか。
今回、問題となっているのは固定資産税。
納税義務者は、原則、土地の所有者ですが、
100年より永い地上権があれば、地上権者が納税義務者なんですね。
でも、市は、土地所有者への課税を続けてきたのね。
で、今年4月に、最高裁で地上権者課税の判決が出ちゃった。
市内で永代地上権の設定があるのは、約600筆で地上権者が約450人。
相続等が登記されていないことも多く、課税の切替えは難航中・・・
ズルズル年月を重ねてきたツケが回ってきた形ですね。
土地に関しては、時が解決してくれる要素はありませんから。
ご自分の土地に欠陥がないかどうか、この機会に点検してみてくださいね。
【「永代地上権」多い富山・滑川市、土地所有者への固定資産税が裁判で認められず徴収難航】
全国的にもほとんど例がないとされる「永代地上権」が設定された土地が富山県 滑川市に多数存在し、市が固定資産税の課税に苦慮している。これまでは土地の所有者から徴収してきたが、「地上権者(土地の借り主)に課税するべきだ」との司法判断が4月に確定した。ただ、永代地上権の設定はいずれも100年以上前で、権利放棄や相続の実態が分からないケースが多く、地上権者の特定は難航している。(吉武幸一郎)

地上権は、借りた土地を自由に使える権利で、家を建てたり畑にしたり、また貸しをすることもできる。貸し主と借り主の間で契約期間を永代(永久)としたものが「永代地上権」だ。
滑川市によると、設定された土地は市内に約600筆あり、海沿いの旧滑川町地域に集中している。江戸時代の大火の後、契約期間を永代とする地域特有の習わしができ、明治に入って次々と登記されたという。郷土史料などをめくっても、なぜなのかは分からない。
地方税法では、土地の固定資産税の納税義務者を原則、所有者と規定している。このため市は、永代地上権の設定地でも所有者への課税を続けてきた。
ところが、市内で設定地9筆を所有する東京都内の60歳代男性が2020年7月、「正しい納税義務者は地上権者だ」として、市に課税の取り消しを求める訴訟を富山地裁に起こした。地方税法は納税義務者について、「百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする」との例外規定を設けており、男性は「永代」が「百年より永い存続期間」に当てはまると主張した。
男性の請求は昨年1月の地裁判決、11月の高裁判決で認められ、最高裁で今年4月に確定した。
これを受け、市税務課は約600筆の設定地で課税対象の見直しを迫られ、地上権者の特定作業に追われている。設定地には空き家や空き地も交じり、地崎紀子課長は「登記簿上では約450人の地上権者がいるが、権利放棄や相続が登記簿に反映されていないことも多く、実態は分からない。作業完了のメドが立たない」と打ち明ける。
地上権者側も困惑している。自営業の女性(79)は「50年以上前にここに嫁ぎ、地上権の話を聞いた気もするが、細かいことまで覚えていない。借地代は先の分までまとめて支払い済みなのに、『これからは税金も納めて』と突然言われ、びっくりしている」と漏らす。
市には、設定地の所有者にこれまで徴収してきた税金を返還する作業もある。還付金額は過去20年さかのぼって計約3500万円かかるとみられる。
北海道大の佐藤修二教授(租税法)は「確定判決は法令の解釈として自然な判断で、市側の解釈や認識が甘かったように感じる。市は速やかに還付作業を進め、地道に地上権者を特定していくしかないだろう」としている。
(9月4日 読売新聞)
土地家屋調査士 大阪 和田清人
江戸時代の大火の後、契約期間を永代とする慣習ができたとのこと。
明治に入って次々と登記されたんだとか。
今回、問題となっているのは固定資産税。
納税義務者は、原則、土地の所有者ですが、
100年より永い地上権があれば、地上権者が納税義務者なんですね。
地方税法343条
固定資産税は、固定資産の所有者(百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その地上権者とする。)に課する。
でも、市は、土地所有者への課税を続けてきたのね。
で、今年4月に、最高裁で地上権者課税の判決が出ちゃった。
市内で永代地上権の設定があるのは、約600筆で地上権者が約450人。
相続等が登記されていないことも多く、課税の切替えは難航中・・・
ズルズル年月を重ねてきたツケが回ってきた形ですね。
土地に関しては、時が解決してくれる要素はありませんから。
ご自分の土地に欠陥がないかどうか、この機会に点検してみてくださいね。
【「永代地上権」多い富山・滑川市、土地所有者への固定資産税が裁判で認められず徴収難航】
全国的にもほとんど例がないとされる「永代地上権」が設定された土地が富山県 滑川市に多数存在し、市が固定資産税の課税に苦慮している。これまでは土地の所有者から徴収してきたが、「地上権者(土地の借り主)に課税するべきだ」との司法判断が4月に確定した。ただ、永代地上権の設定はいずれも100年以上前で、権利放棄や相続の実態が分からないケースが多く、地上権者の特定は難航している。(吉武幸一郎)

地上権は、借りた土地を自由に使える権利で、家を建てたり畑にしたり、また貸しをすることもできる。貸し主と借り主の間で契約期間を永代(永久)としたものが「永代地上権」だ。
滑川市によると、設定された土地は市内に約600筆あり、海沿いの旧滑川町地域に集中している。江戸時代の大火の後、契約期間を永代とする地域特有の習わしができ、明治に入って次々と登記されたという。郷土史料などをめくっても、なぜなのかは分からない。
地方税法では、土地の固定資産税の納税義務者を原則、所有者と規定している。このため市は、永代地上権の設定地でも所有者への課税を続けてきた。
ところが、市内で設定地9筆を所有する東京都内の60歳代男性が2020年7月、「正しい納税義務者は地上権者だ」として、市に課税の取り消しを求める訴訟を富山地裁に起こした。地方税法は納税義務者について、「百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする」との例外規定を設けており、男性は「永代」が「百年より永い存続期間」に当てはまると主張した。
男性の請求は昨年1月の地裁判決、11月の高裁判決で認められ、最高裁で今年4月に確定した。
これを受け、市税務課は約600筆の設定地で課税対象の見直しを迫られ、地上権者の特定作業に追われている。設定地には空き家や空き地も交じり、地崎紀子課長は「登記簿上では約450人の地上権者がいるが、権利放棄や相続が登記簿に反映されていないことも多く、実態は分からない。作業完了のメドが立たない」と打ち明ける。
地上権者側も困惑している。自営業の女性(79)は「50年以上前にここに嫁ぎ、地上権の話を聞いた気もするが、細かいことまで覚えていない。借地代は先の分までまとめて支払い済みなのに、『これからは税金も納めて』と突然言われ、びっくりしている」と漏らす。
市には、設定地の所有者にこれまで徴収してきた税金を返還する作業もある。還付金額は過去20年さかのぼって計約3500万円かかるとみられる。
北海道大の佐藤修二教授(租税法)は「確定判決は法令の解釈として自然な判断で、市側の解釈や認識が甘かったように感じる。市は速やかに還付作業を進め、地道に地上権者を特定していくしかないだろう」としている。
(9月4日 読売新聞)
土地家屋調査士 大阪 和田清人
esouzoku at 09:04│Comments(0)│土地家屋調査士