東日本と西日本の文化・民俗の様相、エッセイ214

2015.12.09 東日本と西日本の文化・民俗の様相、214
1.はじめに
 地方創生や地方重視の施策が叫ばれ実践されている今日、地域においては地域・文化のルーツからの魅力づくりが必要不可欠となっている。これには、日本全体の社会的要件もさることながら、地質地形条件を古の時から広範囲に展望してみることが必要と考え、特に、日本が島国であること、中部山岳が日本を東と西に二分していることに着目すべきと思っている。
 ここでは、後者の「日本の東西二分」について、その様相を把握し、次いで文化性を論ずることにする。もちろん、究極の目標は富山地域の文化・民俗に関する地形的・社会的な諸様相を紐解くことにあるが、それには日本全体を対象として、中部山岳地帯の果たす役割の歴史的意味が必要であるとした。
具体的な論の展開においては、日本を東と西に二分する分断線はどこにあるのかが最大の関心事となる。これは、分断線北端は後立山連峰末端の親不知域や糸魚川域と明確であるが、南側の境界では北端部程の明確さはない。それでも東西は二分されている。そこには、地形学的に加えて地の利の要因(地勢的要因)も見え隠れする。
 そこで、何がどのように関与して列島が二分され、東と西の各域が文化的・民俗的・風土的にどのような様相を呈しているか、整理することにした。なお、富山についても触れておく。なお、本稿では東日本を東、西日本を西と略記することもある。

2.東西日本の相違
(1)地域のくくり方
 全国各地にはそれぞれに個性があり、特徴がある。この場合の各地とは、市町村や県レベルであり、道州的レベルでもあり、いわゆる生活圏のくくり方で生み出される領域とする。このうちもっとも際立ったくくり方が日本を東と西とで分けることであり、地域間相違には日本の東西間相違が基本になっていることが多いからである。そこで、そうした東西二分のくくり方で、日本文化の特徴、あるいは各地域の根源的な地域性の把握に努めることにした。
(2)東西間の境目
 日本を東西に二分した場合、境目はどこなのか、なぜそうか、が問題となる。これには、地形的要因が一番であり、連山の存在や河川の存在がある。もちろん、技術の発達した近代ではそのような障害が完全に克服されていることはいうまでもない。
a.まず山について;連山が交易路を塞ぐ(中断)ような難所となると、難所を挟んで手前側路と後側路とが分かれてしまい、生活の交流も円滑さを欠いてしまう。ちなみに、人為的難所としては関所があり、これは山間部鞍部に設けられ、地形を利用して人為的に交流を制御・遮断する機能を持っている。
b.次に河川;大河川が関所の様相ありと思われるが、平野の真ん中を流れる大河川は船による水上交易の要であり、渡河なら渡し舟で何てことはない(今は橋)。むしろ、関所の様相となる河川は、人里離れたど田舎のものである。
(3)東日本と西日本の盟主
 東と西に分けた場合の各地域の盟主は、京都・大阪と東京である。歴史的には京都が日本の盟主であり、京都文化が各地に伝わり、各地を文化的地域にしていった。一方、新興勢力は西に対抗して東に栄え、逆に東の文化が西にも伝搬し互いに交じり合っても、根底部では交じり合うことはなかったのである。かくしていわゆる東西の境目が発生し、東と西でそれぞれの文化が関東文化や関西文化として独自性を保ちながら後世へと受け継がれていったといえる。
(4)生活面での様相
 東西二分により交易が十分ならずとあらば、東西それぞれにおいて、食文化や言葉が独自に発展し、民俗的な差異が生ずるのは自然の理である。

3.東西二分の境界線(地質学的論)
 東日本と西日本との区分けであれば、東京と京都の中間域に境界を設ければいいようなものだが、そうはならず、境界線は地形的要因や地勢的な要因による交流不活発な所に定まる。この観点で境界線を考えてみる。
・大規模断層線は、大規模地殻変動の結果として地表に出現する地層不連続形状であり、また断層線付近には地殻変動による連山がそびえたっている。断層線は地表では段丘になることがあっても、文化性二分の境界線とはなりにくい。
・連山による国境線は交易には難をもたらすので境界線として適している。中部地方の北部と中央部の連山は東西二分の境界となっている。
・南部には境目となる明瞭な山が少ない。南部では地形的要因が関与するものの地勢模様が加わり、また連山に代わるものとして河川がある。このような様相を状況に応じて使い分け、境界線が設定されている。
ここに、境界線を3種記すことにする。
a.断層;糸魚川静岡構造線(これは東日本と西日本の文化的二分には適さず)
  糸魚川・・・・大町・・・・松本・・・・諏訪・・・・・韮崎・・・・静岡
b.連山A;北アと南ア及びその付近を通過する線として
  後立山連峰・・・・穂高連峰・・・南アルプス連峰や中央アルプス・・・→
  中央アルプス以南は;矢作川と知多半島の2説。
c.連山B;富山・石川・福井・滋賀・三重の県境連山を通る線
  富山県東・南境界・・・石川県東南境界・・・福井県東南境界・・・滋賀県東境界・・・不破関所・・・三重県鈴鹿・・・三重県南部(伊勢湾に注ぐ)の川
d.日本の中心域の関所で区分する方法もあり。関西と関東の区分けはそこ (不破の関)からきている。区分線は、越前南部の愛発の関、美濃の不破の関、伊勢の鈴鹿の関の三つの関所を結んだ線である。現在の関東は箱根の関所の東側としている。

4.東と西の文化的民俗的差異
東日本と西日本とでは文化に相違がある。これについて、「食」、「言葉」、「建築(畳)」に着目して、東と西での相違を箇条書にし、文化の核心に若干迫る。
(1)言葉 
・地形;西では「谷」、東では「沢」
 「谷」は弥生期以降の漢字文化が(中国から)入ってきて西日本で定着した。それまでは日本古来の言い方が「沢」であり、東日本では漢字文化の影響をあまり受けず、古来の言い方をしていたとみれよう。
・味 ;西では「辛い」、東では「しょっぱい」
 西は塩や唐辛子の柄井を一括して辛いといい、東は塩分多用で塩味だけがと吐
出し、塩はからいとした。
・イントエーション;西では言葉の「後半で高く」、 東では「前半で高く」
 例えば、雲という語の発音には、西では「く」より「も」が高く、東では「く」が高い。
西に対し東では、語尾簡略化により単語の先頭音節を高くした
(2)食 
・味付;西では「薄味」、東では「濃味」
 上品な味(西)、労働向けの味(東)
・餅 ;西では「丸餅」、東では「角餅」
 円満イメージで手で丸め(西)、板状餅を角状に切断(東)
・豆腐:西では「絹豆腐」、東では「木綿豆腐」
 繊細な滑らかさ(西)、煮物にしようしても形崩れず(東)
・稲荷寿司;西では「俵形」、東では「三角(狐耳形)」
 お稲荷を五穀豊穣(西)とする、稲荷山形状や狐耳形状(東)とする
・寿司;西では「巻寿司・押寿司」、東では「握り寿司」
 華やかさの西、粋の東
・汁粉;西では「こし餡」、東では「粒餡」
 繊細で滑らか口あたり(西)、触感をそのまま粒で(東)
(3)味とたしなみ;西日本の繊細さに対し東日本の無骨さ
 京文化は繊細さと優美さから成るのに対し、東の文化は新興勢力らしく独自流でつくられた。すなわち、東では新興勢ゆえに普請・作事の仕事(社会基盤づくり)が多く、力仕事(労働)の世界であった。このため、食には塩分が欠かせず、しかも大量の食事が入用となれば、手間暇かけず、味は繊細にはならず、合理性追求の無骨なたしなみが定着していったといえる。
(4)畳の大きさ;畳敷き居室の基本寸法も東日本では合理的
 京間(西日本):6尺3寸(191cm)、江戸間(東日本);6尺(182cm)、
居室では、畳を敷き詰めるので、部屋の大きさは畳の枚数で決めている。畳は、本来は京都流に大きさが決まっていたところ、江戸期では人口増・住宅増の状況にあわせて合理的に対応した。それは畳寸法の見直しである。京都風では畳の寸法には端数が出ていたので、江戸では切りの良い寸法6尺にして建物施工を容易にした。これにより部屋は端数分だけ空間が狭くなった。
(5)文化のルーツ
 西日本は弥生文化(大陸文化)であり、東日本は縄文文化である。古代や中世では、西の文化は中国からの文化を取り入れより洗練されていった。一方の東の文化はは上述のように無骨者(江戸っ子気質も)の独自性を発揮していった。

5.富山の自然や気風の特徴
 東西文化の相違を念頭に置いて、西側文化圏である富山について、自然的風情を述べるとともに、京文化との関係で論じてみよう。
(1)地形
中部山岳系が列島軸に直交していることにより、アルプス山系が異常に高くかつ連山になり、富山平野の東部域には屏風のようにそそり立ち、富山以東の新潟域が遠避けられているかのようになる。また、北アルプスが日本海に突き出している親不知域は北陸街道の難所として名高い。
(2)自然災害
・対地震;「立山が地震から我らを守っている」といった願望として立山信仰が(2024年の能登地震があっても)実は今なお健在である。当時の方々が経験的にそう思ったのか神にすがりたかったのかは定かではないが、地震学からは以下のような理論根拠が最近出された。北アルプス黒部川(黒部ダム付近)直下に大規模マグマ溜りが確認され、このマグマ溜まりによって太平洋側で生起した地震は勢力を弱めて富山に到来する。by川崎先生(京都大学名誉教授、元富山大教授)
・対台風;列島南岸域は台風の直撃域だが、富山に到来の台風は南岸域に上陸の後に勢力を多少落として富山に到来している。最近では、2010年10月、大規模学会の富山開催日1~2日前に富山直撃と予想されていた台風が富山の手前でわざわざ南に進路方向を変え(ていただい)た。これまた専門家の間でも立山が守っているという信仰(願望)につながっている。
・対降雨;富山は自然災害の少ないところ、というのが定着している。しかしながら、1969年豪雨は富山に大被害をもたらした。とはいえ、富山では災害が少ないことは確かである。だからといって災害は発生しないということではない。これを認識したいものである。
(3)言葉
 富山はいうに及ばず全国どこでも、TVの普及とともに、標準語(東京言葉)が昔使っていた各地の方言を駆逐していった。今となっては昔の方言を知る由もないが、かつての富山言葉をまとめてみたい。
・相手を主とした用語;相手のところに行く場合、50~60年前までは「あなたの家に来る」といっていた。今は「あなたの家に行く」である。この表現はあくまでも相手を敬うかのような富山独特な気風によるのでは。
・方言では語尾を簡略化している。「行きます」を「行くちゃ」、「そうなのです」を「そいが」という。言葉の意味ある基幹部のみが明確に伝わるようにとのことか、基幹部以外どうでもいいということなのか。親しみや簡略化のなせる業のようか。

6.諸分野での東西二分
諸分野に目を転じて東西二分の様子を垣間見る。
(1)行政区分
日本の東西二分の他には首都圏とそれ以外の分け方や道州制もあり
・道州的区分;北海道、東北、関東、北陸、中部、東海、近畿、中国、四国、九州
・首都圏;茨木、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨
・広域関東圏;関東、甲信越(山梨、新潟、長野)
・広域首都圏;関東、甲信越、静岡、福島
・東西二分の境界
東西二分の東側:関東甲信越の西側
東西二分の西側:富山・岐阜・静岡の東側
(2)電気事業
民間企業による勢力分布
東京電燈(東電の前身)と大阪電燈(関電の
前身)で勢力圏住み分け
・事業体の勢力圏
西日本系;九州、四国、中国、関西、中部、北陸
東日本系;東京(新潟、関東)、東北、北海道
・交流周波数も勢力圏ごとに設定、
日本と西日本で発電機輸入先が異なる 
東日本は独逸系で50Hz、西日本は米国系で60Hzの仕様
周波数の東西境界;富山の東側、長野の東側、東海では富士川
境界線付近(糸魚川域、長野北西部);周波数混在
(3)鉄道
政治経済的な事情からの区分
東日本;JR北海道、JR東日本
中間粋;JR東海(東海は東や西に族せず独立。政治経済的理由より)
西日本;JR西日本、JR四国、JR九州

7.おわりに;文化の俯瞰考
日本の文化は伝統的京風の西の文化と江戸風の東の文化の二系統を中心に、各地域文化をも構成しながら栄えていた。近年に入ると、欧米文化の摂取で東京文化が(江戸文化を超えて)発展し、国内を席巻するにつれ、どこも変わらぬ風情や民俗の様相が定着してきた。これに伴い、東京文化(文明)の一元化が批判されるようになり、改善として近代前の文化をも含め現代文化との俯瞰的広がりを持たせることが叫ばれるようになってきた。もちろん、無骨な文化や風情の伝統を守る文化や各地固有の土着文化をもの現代的な繁栄はいうまでもなく、これらをもって全国一律文化の対極としたいものである。すなわち、空間軸として地形的・地理的・地勢的・民俗的な視点で日本東西二分や各地域固有の文化構成を含めて、時間軸として歴史かおる味わい深いものなればと思う。
実は列島二分論の背景としてそんなことを考えており、その延長として富山の文化が特徴化されることを望んでいる。

8.あとがき
 我ら、富山平野の東側にある立山連峰・後立山連峰については西側文化圏の東側境界(果て)という感覚はあまり持ってはいない。これは地勢的に不自由なく生活していることもあるが、立山連峰を風光明媚な存在として見とれているからであり、時には大伴家持のように自然を愛好し、文化性も味わっているのである。これが地域により奥みをつけるといいたい。だからこそ、文化のルーツについて俯瞰的にアプローチしたいのである。

諸問題解決に向けた社会的基礎土壌づくりと活用に関する建築的基礎研究2025、エッセイ213

2025.11.28 諸問題解決に向けた社会的基礎土壌づくりと活用に関する建築的基礎研究2025(申請2024)、213
▲目的
社会の複雑化に伴い、専門分化・効率化・経済性の主導のもと、社会ではシステム的歪みが「居住環境悪化、(地球環境含む)環境破壊、災害激甚化、等」(諸問題と記)として噴き出しており、諸問題解決に際しては問題発生の専門分野による対処だけではなく、関連する幾つもの分野に跨って連携・複合・融合といった方法が用いられている。しかしながら、社会運営の視点からいえば、そのような解決(いわば対症療法)も必要だが、根本的持続的な解決を図るべき発想もあるはず。これについては、社会の基礎体力の向上(いわば健康増進と予防対処)の考えがあり、そこでは基礎体力を社会の意識総体そのものとし、その下には社会的基礎土壌が支えている。また、基礎土壌には、個人・社会における自由・自然な感性・理性が宿り、そこから意識総体として良識・見識や哲学・倫理等が湧き上がっている。
本研究では、上記の社会基礎体力・社会的基礎土壌の考えのもと、諸問題解決に向け社会基礎体力の醸成(基礎土壌の活用)を図ることを目的として三段構えで臨む。
まず、基本論整備として基礎体力や基礎土壌の機能について明確にする。次に、社会における本考の実践・運用の構想を練り、特に専門分化に基づく各種の対処に関する限界と改善を論ずる。さらに、人間と技術の交錯する建築系において、街・都市、防災、地球環境、等の問題について、解決への先導的構想を本考流に練る。
なお本研究では、諸問題解決の細部にわたる具体的研究ではなく、問題を俯瞰して市民や専門家の声が届くよう社会構成の基礎固めすることにあり、このノリで建築系の諸問題について俯瞰的アプローチを先導的に実施するとした。
▲委員会設置
 建築学会2017年設置の特別研究委員会で「災害と社会」について研究し、その後2020年設置の特別研究委員会(第二次)をへて2022年度から任意の「災害と社会」研究会に模様を変えて頑張っている。そこでは、体系間の融合や連携といった次元を乗り越えて、リベラルアーツの議論により人間性・社会性を広範囲に捉えることが肝要としている。また、本団体と兄弟分にあたる任意団体の人新世生存実践研究会とのタイアップや学会のいくつかの研究委員会とは個人次元で交流を進めている。しかしながら、本団体が委員会としての制度的な位置づけを持たないため、本団体による社会に向けての発信力は高まらず、本団体の理念が学会内で認知されにくい状態にもある。そこで、本考をより広く多くの方々と共有しかつ目的遂行を加速させるために、ここに委員会設置を申請する次第である。
▲研究目的
(1) 基礎土壌の概念の確立について研究
 基礎土壌における市民や専門家の感性・知性や良識・見識を基本に、思考・行動や哲学・倫理、さらに社会意識・社会システムとの関連性を社会の良識・見識の基礎固めとして検討。社会システムにおける経済性等の構成論理についても本考との関連で検討。
(2)各体系運用における本考受け入れ余裕や人間との関わりについて研究 
・本考のもとで専門分化や人文・社会系軽視の理工系至上思考をリベラルアーツと対比させるとともに、体系間の各種協力関係の総ざらいにより各体系の余裕の創出を検討。
・各体系に従事する専門家について、より高い教養がより効果的に発揮されるような社会ムード(基礎土壌)づくりの検討。狙いは専門体系における専門家をより引き立たせることや、学術体系論理(専門行為含む)と技術倫理・技術者倫理を複合させることにある。この考えは教育として専門家育成とともに市民に関わり合う体系としての裾野の拡大を図ることにもなる。なお、ここでの専門家は市民以外のものとした。
(3)市民パワーの醸成の研究
・専門家による専門行為に市民の意向を反映させるばかりではなく、市民主導の方法について市民会議や各種市民運動をも含め広範囲に検討。
・市民と専門家とのタイアップとして、基礎土壌の次元からつくりあげる方策を検討。狙いは、市民の自然発生的・自発的な素養磨きにある。
(4) 防災、地球環境、街・都市、教育、等の問題を主に基礎土壌論を念頭に解決への構想を練る。そこには、市民運動やそれを支持する社会からの支援に加えて行政等の社会システムに関する議論をも入れる。以下に任意研究会からの主な懸案事項を記す。
・災害・公害・事故問題;法整備を含めたシステム化、弱者や過疎・高齢化への対処、復興に見られる中央主導の歪、企業・行政責任、等。
・街・都市問題や地球環境問題;気候危機、食糧問題、エネルギー需給、大規模再開発、住宅政策の歪み、住宅存在の軽視、過度な市場依存、困窮者の住生活保障、狭少敷地住宅、既存住宅の耐震、省エネ改修、都市基盤施設の老朽化対応、等。
▲メンバー
委員会では、多岐多様な分野を対象とするので、各分野の方々を結集する。委員や協力者の多くは学会の各種委員会の委員。採択後には委員や協力者を公募等により増員としたい。なお、下記表記中のepは名誉教授のこと。
▲予想される成果
 ぜひとも期待に応えることを旨として記す。
(1)一番の狙い処は社会であるだけに、社会における基礎的土壌の醸成として社会大気(雰囲気)への浸透が期待できよう。市民においては感性が理性的方向にも広がり、専門家には理性の感性的な対応も生まれる、といったことが社会における潜在的活力となれば十分である。
(2)専門系では、効率社会(専門分化)においてもリベラルアーツ復権の基礎固めができよう。これが市民活動と相まって市民パワーの醸成にも繋がり、市民パワーが諸問題解決に向け大きな後押しとなろう。
(3)学会では、年次大会における研究集会の実施により、この種の問題を大いにアピールし、討論を通して社会的基礎土壌の形成を図れよう。これは学会の懐の深さとなって輝くことにもなろう。なお一般社会にはweb版集の発刊ににより広く訴えかけれよう。
▲過去の業績
建築学会2017年の特別研究委員会を皮切りに「防災イコール社会の健全化」として「災害と社会」の研究を進め、任意団体になってからは着眼点を社会構成の根本思想に求め、哲学論議を経てリベラルアールを超え、(未踏の地なる)社会的基礎土壌の概念にまで達した。この時点をひとつの区切りとして、任意団体なる有志連合の個性(特質)を生かして、諸問題に関する社会性からの研究を一堂に集め、論文集としてweb上に公表としている(25年11月刊行)。また、本考への結集として、哲学系、工業デザイン系、文学系等の他分野の方々にも加わっていただき、我らの陣容はより充実した次第となた。こうして我らの熱い想いにより機を熟させた。これらをもって十分な足跡と考える。
▲特記事項
本研究は2017年から始まる長年の研究のもと、リベラルアーツが専門分化にとってかわられている現状に鑑み、如何に人間性・社会性の復権を目指すかという大命題に行きついたのである。そこに至るまでには、俯瞰と深堀の姿勢が効を奏し、また市民感覚が専門系に良識見識の面から影響を与えていることも改めて認識する次第である。もちろん、専門分化の弊害の克服は並大抵ではないので、だからこそ諸問題をあえて一堂に俯瞰する構想づくり・先導的実践に挑戦する次第であり、また個々体系の専門家方々には枠外思考のもと、より一層の鋭気に包まれて欲しいとも願ってもいる。

地球を含む環境諸問題の市民・技術からの総アプローチ2025、エッセイ212

2025.11.27 地球を含む環境諸問題の市民・技術からの総アプローチ2025(起案2024)、212
▲研究の目的
 近年、人口減少、少子高齢化、格差拡大、人間性能劣化の問題に加え、環境破壊などの問題や温暖化問題などがあり、解決に向けては各分野の各事象の枠を超え、総合的統合的な検討のもと対応策が進められている。しかしながら、多くの対応策では、事の本質(根源)である成長経済や過度な効率が社会の歪みに関わっている事実を避けているためか、改善の勢いが不十分といえ、それゆえ抜本的改善が待たれている。
 本研究では、そうした状況に応えるために、各種問題の根源(根子)がすべて一緒であることかつ社会の改善恩恵先は市民であることに着目して、市民存在を念頭に「各種問題の根源からの俯瞰により、各種問題による社会への歪み形成の構造を明確にすること」とした。この目的の遂行として以下の三段階で研究する。
 一段階目は、例えていうなら、根子そのものを関連体系のもとで深堀し、根子の上にある幹・葉との連動や逆(幹・葉から根子へ)連動について、幹・葉側を中心に市民視点のもと構造形態を明らかにする。二段階目は、市民生活の営みの充実として街づくりや自然環境との連動、災害、公害に的を絞って、上記段階の知見に基づき具体的問題を可視化する。三段階目は、早急な問題として地球温暖化、エネルギー浪費、原発、再開発街壊し、縮小社会、技術イノベ先行、環境改変について、一段・二段階研究に基づく包括的な問題体系を形作り、本格検討への基礎を固める。
 以上を持って、本研究は諸問題について根源と市民思考行動の二視点から各種問題による社会の歪み構造を明確にし、次の段階への礎を築くことができると考える。
▲委員会設置の理由
(どのような横断的研究または新たな研究であるかを含めて説明すること。) 我らは、2017年には「災害と社会」の枠組みで自然災害防止に向けた技術・社会の在り方について特別研究委員会を設置して研究し、2019年には第二次研究として研究を継続させ、「自然災害の激甚化は社会の歪なり」として、社会の健全化を提唱し結果を公表した。2021年からは、災害はいうに及ばず、都市や街の環境の改変や地球環境の危機にも対応すべきとして、委員会OB を中心に任意の研究会を立ち上げ、問題への解決に向け特別委の時代と同様、月一回の討論会を実施している。そこでは、地球環境委員会からも主旨に賛同する方々が有志で参加をいただき、また地球問題論議の研究会ともタイアップして研究を進めている。その結果、今では老若男女多数の陣容で災害・社会・人文などに迫り、能登半島地震、東日本大震災復興、原発事故、社会構成、社会システム、縮小社会、市民運動、哲学、技術哲学、教育、街と都市、大規模再開発、等、事を進めている。
しかしながら、任意の研究会では自由闊達を看板に掲げているとはいえ、社会に与える影響及び社会への働きかけには組織的力不足は否めない。
そこで、ここに学会の特別研究委員会として体を成して、今度は地球委員会の各WG並びに教育系の委員会ともタイアップを可能にし、若い方々の視点による取り組みにも期待した研究が推進できる。ここに特別委を申請する次第である。
▲研究の項目
(A)第一段階;根子から幹・葉までの連動と市民の役割の深化に関する検討;
a.諸問題の根源からの全貌把握に関する検討;諸問題の共通する根子に着目し、根子の特性・様相から幹・葉までの基本構成を明確にする。特に、根子に起因する社会繁栄の歪は、思考歪・停止ぎみ、諸格差、不安・危険、切り捨て、等として現れるメカにも言及する。
b.市民側体系に向けての思考行動の検討;市民側の思考行動の在り方として市民と専門家の枠組み深化とともに市民哲学の新たな確立の可能性を検討する。
c.各体系や実務(行政含)における根源との関わり方の検討; 各体系を変えるのではなく、市民側体系の活用の仕方、市民側への専門行使としての実務、さらには行政・ガバナンスの在り様を検討する。
(B)第二段階;特定分野のみにおける幹・葉の詳細検討;上記の社会システム論考のもと各専門各分野について、やれる範囲内で薄く広くの具体的理論の構築。システム化には法整備の可能性も探る。対象は住まい・街づくり、生活自然環境、災害、公害、等である。
研究の深堀について;例えば災害問題の一分野を述べれば、被害想定段階からの弱者対応、過疎と高齢化の問題、復興姿勢に見え隠れする自主再建・自己責任なる押し付け、成長路線からの延長なる中央主導復興路線、などに、明快な論理を作り上げること。
(C)第三段階;多くの問題に関する全貌プラン策定の基礎づくり;第一段階を経て第二段階の心意気を継承し第三段階として、多くの問題に対し次のステージにつなげる。対象の各種問題として、地球温暖化、エネルギー浪費、原発問題、再開発街壊し、メガロポリス、縮小社会、技術イノベ先行、環境改変、を取り上げ、根子・幹・葉の論からの全貌プラン(市民受けにはブックレットやweb版)を作成し、今後に向けての礎を築く。
▲予委員候補者
委員会は、多岐多様な分野を対象とするので、各分野の 方々を結集する。毛採択後には委員や協力者を公募等により増員としたい。      
▲予想される成果・効果、達成の可能性
 今日的な社会矛盾による諸問題の深刻化について、早急な対策に迫られている状況に応えるため、本研究では、諸問題の根源(根子)からの深堀と俯瞰により、諸問題を互いに関連させてその全貌が明確となり、また諸問題対処や改善に向けた展望基礎プランを描くことが可能となる。これでもって、社会の期待に応えれる。
まず市民にとっては、各種問題を各種連携させて諸問題全体の展望が可能となり、即市民行動に向けての下支えの原動力となると考える。次に、各分野の専門家にとっては(各種委員会各位も)本研究の展望基礎プランがひとつの大きな拠り所になろう。
以上、市民や専門家を含め世の中に一潮流が根付く下地ができよう。なお、市民や若手向けとして作成のブックレット(web版)you-tubeが効果的に機能するといえる。
提案にかかわる
▲過去の業績
 我らは、技術からの社会の在り方論究を目的に、まず2017-18、20-21年、学会特別委のもとで災害激甚化と社会の関連を研究した。続いて2022年からは、研究対象を災害はもとより建築のあらゆる分野に加えて地球環境にも広げ、今日的重要問題である、能登半島地震、東日本大震災復興、原発事故、社会構成、社会システム、縮小社会、市民運動、哲学、技術、教育、街と都市、大規模再開発、気候変動等、について議論を重ね諸問題の根源の検討を深め、今は各種問題の全体を網羅する準備を進めているところである。
▲特記事項
・地球から街や住まい周辺までをも扱う環境には多くの分野が介在。これを技術・社会・市民の広がりで(総合、連携、個々独立、等)総なるアプローチ。技術と理念の両面で建築系(建築学会本委)がオピニオンリーダとして主導。・諸問題の共通根源(根子)まで掘り下げて全貌を把握。学術が政治とは別にそこまで立ち入り、各種の諸問題をその視点で広範囲に論考。・研究の社会還元として市民意識(在野エネルギ)向上及び今日的環境危機の全貌(市民向けにブックレット)の作成。市民哲学の整備。
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