2018.06.01 人災防止の構想づくりに向け勉強会を、170

◆人為的要因による震災防止に向けた技術・社会に関する勉強会(研究会)を17年4月に立ち上げました。災害問題を広範囲に扱いたいというのがそもそもの思いです。ここで、何がどう問題となっており、その背景は何か、といった観点の構想を描いてみた。以下に紹介する。
◆地震災害の防止や軽減に向けてこれまで地震が起こるたびに施工不良、現場技術の未熟さ、設計不備、未耐震化などの人為的な要因が指摘され続けてきた。にもかかわらず、この種の要因による被害がなくなるどころか却って激しさを増している。このため、問題は技術の枠を超えて社会にも及び、種々の改善が進まないのは社会そのものに温床があるといわれるようにもなってきた。

そこで、本勉強会では人為的要因による震災の防止軽減を目指して人為的要因を社会における制度や経済活動等と関連させ、技術と社会のあり方を検討し、今後に向けての改善を図ることにした。勉強(研究)は二か年にわたっておこうなう。


◆第一年度は、研究目的遂行のための戦略を練ることにした。本来この種の問題には建築のすべての分野を網羅しかつ社会性の次元からの展開を必要とするゆえに、具体的な問題考究を前にして研究の入口と出口
(研究成果の社会還元)を戦略構想として固めた。実際には、勉強会では全国からこの種の問題に関心を示す多岐分野のつわもの達が集まり(設立時から委員)、人為的要因の温床を技術・社会の次元から捉えた自由奔放な熱い論議により勉強会の共通理念・共通姿勢を作り上げた。そして、第二年度にて大規模なシンポジウム開催を念頭に戦略を下記のように練り上げた。

(1)基本方針:委員会では人為的要因の設定から始め、人為的要因を技術そのものや社会システムそのもの不都合と捉え、災害イコール人災とした。

(2)扱う対象:対象を社会システムとしての建築とし、構成の切口を技術と社会を横断する形で「専門分化分業、市民参画(市民主権)、経済優先、(倫理含めた)理念・情念」の四系統とした。また、対象分野は、住宅、大型建造物、街、都市といった形系と、設計、施工生産、メンテ、マネジメント、教育、市民活動といった行為系とに分けた。

(3)アプローチ:実際に問題においては、行為系や形系についての社会的次元での検討と、社会的次元を前提に行為系や形系を絡み合わせての検討とがあるとした。ここでは、研究成果の一層の発展と社会的還元とをバランスさせて、現実の技術の問題として社会的次元の四系統を適宜組み合わせ、設計、コミユニテイ、社会、エコに絞って主題を設定し、人為的要因から災害までの一連を念頭に置いたアプローチが適切と判断した。

 設定した主題は;・構造設計の視点、・住宅設計(意匠と環境)の実務、・防災と災害時における市民参画、・小地域経済圏のコミユニテイ、・建築物の地域社会における価値ある資産、・本気エコの視点 

◆第二年度については、シンポジウムを念頭に設定の主題について深堀し、この種問題の本質を社会的・技術的に明確にして、これを提言にまとめ、併せて研究成果の社会への還元に向けて方策を練ることにする。なお、シンポジウムでは本勉強会委員全員に加えて多くの協力者にも論文執筆により、積極的に成果の各分野への拡散を図ることにする。