1.過剰投資とは
ァ銑の記事までは、電子政府の具体的な取り組みを見て、目的や目標と現状を比べて現状が劣っていた場合を問題点としてみなしてきた。の記事では、目的や目標に対して現状が優れすぎていた場合を問題点としてみなす。過剰とみなす投資物は、人・物・金のうち金を対象とする。目的や目標に対して現状が優れすぎていた場合は問題ではなくむしろ良いことかもしれない。しかし、政府の大幅な財政赤字である現状を考えると、電子政府構築に多大な資金を投じすぎると、財政赤字を増幅させたり、他の有益な投資対象に資金を回せなくなることがあるので、目的や目標に対して現状が優れすぎていた場合はこれを問題としてみなす。


2.過去の経緯
過去に費やした電子政府関連予算は以下の通りである。

年度       2001 2002 2003 2004 2005
金額(億円)   9269 9540 5755 4185 4145

日経コンピューター「検証電子政府」(2005年11月28日号)P.41による。
内閣官房IT担当室が集計した全省庁のe-Japan戦略のうち、「行政サービス」項目と「行政の情報化」項目を足し合わせた金額。2003年度は郵政省の公社化、2004年度は国立大学や国立病院の独立行政法人化などにより、その予算が政府の電子政府予算額から外れた。結果、電子政府関連予算は下がっている。


3.問題点
2004年度の電子申請システムの申請1件あたりのコストで金額が多い上位5システムは、以下の通りである。

                       金額(万円)
文部科学省オンライン申請システム       3400
外務省汎用受付等システム           2100
環境省電子申請・届出システム         330
国家公安委員会・警察庁電子申請・届出システム 270
経済産業省汎用電子申請システム        24

日経コンピューター「検証電子政府」『利用者不在の電子申請』(2005年11月28日号)P.43による。
申請1件あたりのコストは、構築費用の5分の1(減価償却費)と、2004年度の運用・保守費用を合計し、2004年度の申請件数で割ったもの。日経コンピューターのアンケート結果から算出した。


4.改善に向けて
単純に電子申請の1件当たりの費用を下げるためには、「システム構築・運用にかかるコスト/申請・届出の件数」の分子を減らすとともに、分母を増やす必要がある。利用件数、あるいは利用率をあげるための改善策は4章で触れたとおりである。分子を減らすためには、ITベンダーとの高額な随意契約を見直すことが必要である。
これまでに、ITについての専門知識を持つCIO補佐官の設置などで対処し、改善も見られているようであるが、改善の余地はまだあると思われる。