ルネ・ラリック展は、これまでにない決定版ともいえる大規模なもので、工芸の魅力を再認識しました。展示品は当然のこと、展示や照明の工夫も興味深かったです。東京展は9月7日でおしまいですが、MOA美術館に巡回します。
「光 松本陽子・野口里佳」は、世代も分野も異にする二人を光という大きなテーマの中でセレクションした展覧会。会場も分けられ、実質的には二つの個展という質と量を備えたものです。
松本陽子さんは好きな作家の一人ですが、アクリル絵具によるピンクのシリーズで一室が構成された部屋は圧巻でした。愛知県美の作品が広報のメインになっているのがうれしいですね。近作ではより物質性の強い緑の油絵具によって新しい試みが行われています。両者の間では味わいは異なりますが、物質性とイリュージョンの狭間で生起する絵画的空間の揺らぎが作品ごとに表情を異にし、視るものを惹きつけます。