100%再生可能エネルギー地域のブログ

ヨーロッパの各国、ドイツ、スイス、オーストリア、デンマーク、イタリアにおける再生可能エネルギー(新エネルギー、自然エネルギー)によって自立を目指す地域や自治体を紹介した本をより詳細に知るためのページです。

※今日はミット・エナジー・ヴィジョン社のメールニュース2017年春号(3月18日発行)を転載します。

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皆さま、こんにちは。アメリカ東部ではブリザードが吹き荒れたり、日本の一部ではまた冬に逆戻りといった状況もあるようですが、ドイツ南部やスイス北部はもう春の日差しが到来し、早咲きの桜もあちこちで開花しています。

まだまだ、これから1か月は寒くなったり、温かくなったりの繰り返しですが、カーニバルもすでに終わり、4/16のイースターを迎えるころには、欧州は初夏が到来しているように思います。

さて今回も、MITメンバー3名から、皆さまにコラムと各種の告知についてメールニュースをお送りします。今回は、滝川池田村上という順で告知を挟みながらコラムを書いています。最後までお楽しみください(村)。

 

MIT:滝川
北ドイツ農村の元気なバーチャル発電所会社

北スイスに住む私にとって、同じドイツ語圏と言っても北ドイツは、風土や文化、方言も大きく異なるとても遠い場所、という感覚があります。先日、そんな北ドイツの北端で再エネの直売代行業とバーチャル発電所を運営している中小企業N社の経営者の方に電話取材する機会がありました。

N社のある地域は風力利用が非常に盛んで、地域の需要よりも多くの再エネ電力が生産されています。取材では直売義務化の流れの中で、需給に合わせて大量の変動電源を運用する再エネビジネスが、(水力中心のスイスと比べて)思った以上に進んでいることにまず驚きました。

N社では、再エネ設備1,1ギガワット分(設備1000台)のバーチャル発電所と、デマンドサイドマネジメント800メガワット分を活用したビジネスを展開しています。再エネのポートフォリオは風力、太陽光、バイオガスから成ります。これらを独自のアルゴリズムに従って制御し、顧客や市場への直接販売や、調整用出力(予備力)の市場で収益を上げています。

記事には活用できませんでしたが、経営者の方は受話器に充てた耳が痛くなるまで、たくさんの面白い話を聞かせて下さいました。例えば、予備力市場にこれまではバイオガスのプールだけで参加していたのが、今後は風力や太陽光のプールでも参加できるようになる話。瞬時予備力市場に顧客の大型バッテリーを参入させる話。

デマンドサイドでは、地域の都市エネルギー公社のパワートゥヒート設備の運用を委託されている話(再エネ余剰時に地域熱供給のお湯を作る)。同様に顧客のパワートゥガス設備の制御を準備中の話。そして大型消費産業に安い再エネを供給していく具体的な計画・・・等々。北ドイツからいち早く、需給を一致させた100%再エネ社会を実現するという目標に向かって猛進している印象でした。

そんなN社が人口900人の農村に拠点を置いて、たった17人の社員で最先端のエネルギー・ロジスティック・サービスを提供していることにも驚きました。もちろん大容量のインターネットとコンピュータがあれば、この種のサービスに立地は関係ないのでしょう。単なる顔の見えない都会の直売代行業者ではなく、地域の再エネ生産者とのパートナーシップを大切にし、再エネ流通を通じて北ドイツにより大きな付加価値を創出せんとするエネルギッシュなN社。年内に是非一度訪問したいと思っています。

 

!お知らせ!

★3月末に募集締め切り! MIT視察セミナー

「ポストFITの再エネ・省エネ事業」 66日~11日 

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、6月に下記の日程で募集型での視察・セミナーを企画しました。

テーマは「ポストFITの再エネ・省エネ事業」で、下記のようなプログラム概要を予定しています。

ドイツでは小型PVを除いてFITが終了し、FIP・入札制度に移行しています。そんな社会の中での法制度、新事業モデル、進捗中の新しいプロジェクトなどについて視察とセミナーの機会を提供します。

参加をご希望の方は3月末までに弊社にメールでご一報ください:
info@mit-energy-vision.com
※4月5日追記:催行決定しましたが、まだ数名の参加が可能です。

プログラム概要

66日(火) 夕方(18時ごろまでを想定)、フランクフルト空港に集合

67日(水) フランクフルト市:
・集合住宅団地における太陽光電力の賃貸人への販売事業(賃貸人販売モデル)
・省エネ改修についてなど予定、レクチャーと視察

68日(木) 黒い森北部:
・市民エネルギー協同組合による新電力(再エネ発電&電力小売り事業)
・再エネ電力の直売と産業における自家消費事業についてなど予定、レクチャーと視察

69日(金) フライブルク市周辺:
・コージェネによる電力直売
ESCO事業
・電気自動車のカーシェアリング
・セクターカップリング、VPPについて、レクチャーと視察

610日(土) 黒い森南部:
・午前中:森林散策と自然の多様性について
・午後:フライブルク市内で自由時間

611日(日) フライブルク市:
・午前中:取りまとめのワークショップ
・午後:移動の後、夕方(17時ごろまでを想定)、フランクフルト空港で解散

参加費用: 2600ユーロ(現地集合、現地解散、シングル利用)

このMIT視察セミナーのプログラムがはじまる直前の531日(水)~62日(金)は、ドイツ・ミュンヘンにおいて欧州最大規模のソーラーメッセ『インターソーラー』が開催されます。昨年はテスラ社のバッテリーが脚光を浴びたように、今年の注目は、Sonnen社などのバッテリー&ヴァーチャル発電所になることでしょう。
http://www.intersolar.de/en/home.html

MIT視察セミナーと合わせてこちらも訪問されると、ドイツ再エネ市場の「今」を垣間見ることができます。また、「インターソーラー」のアテンド・通訳もMITでは引き受けています。こちらも個別にお問い合わせくださいませ。

 

MIT:池田

お金には換算できないソフトなファクター

今週火曜日から、「木の文化」と称して、オーストリアと南ドイツで、視察セミナーを開催しています。木工、家具、建具、キッチン、建築における古き良き木の文化の復古の事例、伝統とイノベーションを組み合わせた事例、健康と快適さを求めたコンセプトやデザインなど、見学視察しています。

ここ10年あまり、制度的な後押しもあり、省エネ建築に関心が集中し、高断熱、高気密住宅の建設や省エネリフォームが増え、私もそのテーマでたくさんの視察を組んできましたが、今回は、伝統技術や古材の再利用、個性的なデザイン、省エネと健康・快適さの両立と、住まいと生活を多角的で包括的な観点から捉えて見ました。

また、200年、300年の建物に使用されていた古い梁や柱を加工し、モダンなデザインの古材キッチンやテーブル、壁板が作られている現場も見ましたが、それは持続可能な木材利用であり、ロマンがある、人の感情に訴えるものでもあります。木材は、しっかりとしたコンセプトで使用し、手入れすれば、数百年、千年もつものです。日本には、法隆寺という世界最古の木造建築があります。

そこで見えてきたものは、人々は、省エネ=ランニングコストの減少=経済的なメリットという狭い観点だけでなく、快適さや個性、古いものへの憧れと繋がりを求めており、お金や数字には換算できないソフトなファクターが大切だということです。また、現代の建築における様々な問題や課題も、過去の古き良きものの中に、解決のヒントがあるということにも気づかされました。

 

!お知らせ!

★MIT村上の本の出版 『ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか』

ドイツでも、日本でも、1万人程度の人口の自治体において、市民や経済活動の「移動の自由」という「便益」を得るために、毎年およそ5060億円の「コスト」が支払われています。問題は、その大金の大部分は、地域経済をそれほど潤すことなく、特定の地域や国に流出していることです。人口流出や高齢化が叫ばれているこのご時世に、この状況を続けてゆくことは可能でしょうか?

エネルギーの場合と同様に、交通・移動という部門において支出されているお金を、どのようにしたら地域内の経済的な付加価値の創造につなげられるのか、そのための変革の鍵を紹介する、これが本書を貫くテーマです。著書『kWh=¥』に続く、交通・まちづくりを取り扱った『km=¥』のコンセプト。315日に発売となりました。
http://amzn.to/2ki1U0u

 

MIT:村上

お金の規模が分からない

保守系のシンクタンク「日本経済研究センター(JCER)」が新たにまとめたレポート「エネルギー・環境選択の未来 福島原発事故の国民負担」を読みました。ここでは、福島第一原発事故の処理費用にかかる費用の見通しとして、廃炉・汚染水処理・賠償・除染を合わせた合計で、合計40年間で50兆~70兆円までとする試算が公表されています。
http://www.jcer.or.jp/policy/concept2050.html

この巨大施設・巨大事故処理という抽象的にもなってしまう対象について、「兆」の位の計算根拠が示されても、まったく何が正しくて、何が異常なのか分からなくなります。

国は当初の見積もりを11兆円としていました。それが突然201612月に22兆円へと倍増しました。そして、国会の決議もないままで、国民負担として電力系統の託送量に2.4兆円分も上乗せされることが決まっています。

さらに上述した資料のように保守系のシンクタンクですら50兆~70兆円とするような試算が出てきています。なにやら嫌な予感だけが漂ってきます。子どもたちに負の遺産をたっぷり残してしまうのではないか、という予感です。

日本国内の総電力消費量は微減を続けており、年間1kWhの大台を震災後は下回るようになり、現在は9000kWh程度に落ち着いてきています。もし、これらの発電原価の平均値が10/kWhだとしたら、1年間の発電のために必要なコストは9兆円、もし70兆円ものお金が後始末ではなく、電気を作りだすために投じられたなら、日本全国、家庭だけではなく、業務も、産業も含めたすべての電力を8年間分は作れたわけです。

こうした大きな、通常の生活からでは想像を超えてしまうような「位」の規模のお金を前にしたとき、私たちはいつも思考停止し、無力になります。ですから、有意義か、有意義ではないか分かりませんが、少なくとも把握できる数値に換算してみましょう。

70兆円の処理費用とは、国民1.25億人で割り勘すると、国民一人当たりの負担額は56万円です。子供も高齢者もすべて含めて。これって高い? 安い?

70兆円の処理費用とは、現在の日本のすべての生産年齢人口(1564歳)である0.72億人(7200万人)で割り勘すると、一人当たりの負担額は97万円です。これって高い? 安い?

70兆円の処理費用とは、今の子どもたちの世代が成人し、その子どもたちが、また子どもたちを授かるようになる例えば23年後の2040年、日本のすべての生産年齢人口(1564歳)である0.55億人(5500万人)で割り勘すると、一人当たりの負担額は127万円です。これって高い? 安い?

いろいろな見方ができるわけですが、最悪のシナリオでは、あの311の一瞬の事故によって、国民の富が1人あたり50130万円程度、瞬間的に失われたわけです。ちなみに、これには大部分の自然や環境へのダメージ、居住者への精神的、肉体的、文化的なダメージは算入されていません。

これらの途方もない作業は、今後もほぼ永続的に続いてゆきます。

 

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★MIT村上の共著の出版 『海外キャリアのつくりかた』

皆さんの生活に欠かせないエネルギー。とは言っても、とりわけ日本の若手にとって、エネルギーは目に見えないので、エネルギーとは何か、なぜ必要なのか、私たちはどのようにエネルギーを使っているのかを意識したことは少ないかもしれません。

この本を書いている5人は、それぞれのきっかけからドイツに住むようになり(1人はドイツ生まれですが)、日本のエネルギーのあり方に疑問を持ち、ドイツのエネルギーに対する取り組みを見つめながら仕事をするようになりました。

学生をはじめとする日本の若手の皆さんに本書では、「ドイツのエネルギー転換」と「5人の海外における仕事は何か?  どんな経緯で、何を考えて、何をドイツでしているのか?」の2つのテーマについてお伝えできればと思います。
http://amzn.to/2hDY5Tx

 

!お知らせ!

ソーラーコンプレックス社による日本語ニュースレター

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、南ドイツの市民エネルギー企業ソーラーコンプレックス社が発行するニュースレターの日本語版の作成をサポートしています。同社の活動は、日本で地域密着の再生可能エネルギー事業に取り組む方々にも参考になると考えます。下記リンクからニュースレターを読むことができます。
http://www.solarcomplex.de/aktuell/newsletter.html

 

!お知らせ!

★100%再生可能エネルギー地域のブログ

100%再生可能エネルギー地域のブログ」では、新エネルギー新聞(新農林社)の了承を得て、同誌に掲載された滝川執筆のニュース記事の一部を転載しています。下記リンクからご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/eunetwork/

 

今回のメールニュース、いかがでしたか? それでは、次回もお楽しみに!

 


新エネルギー新聞(新農林社)に滝川薫が寄稿した国際ニュースのバックナンバーの一部を、新エネルギー新聞の許可を得て、このブログに転載していきます。

掲載誌:新エネルギー新聞http://www.newenergy-news.com/

 

【下記、新エネルギー新聞2017年1月23日70号より転載】


スイスソーラー大賞の集合住宅 ~ プラスエネルギー、電力直売、高度な省エネ(上)

 

スイスでソーラーエネルギーの普及に寄与したパイオニア的な建築や人物、団体を毎年表彰するスイスソーラー大賞。本稿では同賞を2016年末に授賞した3つの住宅建築の事例を紹介する。特徴は、プラスエネルギー、電力の直売や自家消費、高度な省エネ性能である。

 

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写真:チューリッヒ市内に建設協同組合が建てた
68世帯の入るプラスエネルギー集合住宅地。©Schweizer Solarpreis 2016




事例1: 68世帯の入るプラスエネルギー集合住宅

スイスソーラー大賞は今年で27年目を迎える歴史ある賞であるが、6年前よりプラスエネルギー建築の表彰に力を入れている。プラスエネルギー建築とは、高度な省エネ対策により熱・電力の消費量を最小化した上で、太陽熱温水器や太陽光発電により年間収支で消費量よりも多くのエネルギーを生産する建築のことである。その際に同賞では、デザイン面においてもソーラーエネルギー設備を屋根材や外壁材として、美しく取り込んでいるプロジェクトを特別に高く評価している。

 

なかでも建築デザイン的にとりわけ優れたプラスエネルギー建築に授与されるのが「ノーマン・フォスター・ソーラーアワード」である。世界的に著名な建築家ノーマン・フォスター氏の事務所が審査に参加している特別賞だ。今回この部門で第一位を受賞したのは、チューリッヒ市内に新築された68世帯が入る、床面積1万400平米の賃貸集合住宅である。都市部の高密度な住宅建築におけるプラスエネルギー化はまだハードルが高く、事例も少ないため、パイオニアとして評価された。

 

高度な省エネ性能により自給率117%

表彰された集合住宅地は、木造4階建ての5棟の建物から成る。外壁の断熱材の厚さは3145㌢、屋根は49㌢、床下は5272㌢、窓はもちろん断熱三層窓である。家電や照明には省エネランクが最高の製品を採用し、住宅地全体の暖房には地中熱ヒートポンプを利用している。建物の躯体も設備もパッシブハウス基準に相当するレベルだ。集合住宅全体の一年の熱・電力の消費量は設計値で39万7194㌔㍗時となっている。

 

建物の屋根は周辺の景観に合わせた切妻屋根となっており、東西向きの屋根と南北向きの屋根があるが、その全面を屋根材一体型の太陽光発電が綺麗に覆っている。単結晶セルのソーラーパネル556㌔㍗が設置され、年46万6345㌔㍗時を発電する。こうして、上述した高度な省エネ対策との組み合わせにより、規模の大きな集合住宅でありながら、年間収支で117%のプラスエネルギー率を達成している。余剰電力により49台の電気自動車を年1・2万㌔㍍走らせることができる計算になる。

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写真:屋根材一体型の太陽光発電。屋根からの電気は賃貸人に販売されている。©Schweizer Solarpreis 2016




賃貸人への電力直売を市営電力がサポート

このプラスエネルギーの集合住宅を建設したのはチューリッヒ一般建設協同組合である。チューリッヒ市内でリーズナブルで良質な賃貸住宅を供給する非営利の組織だ。この集合住宅の太陽光発電設備は同組合が所有する。そして、同組合では屋根から得られる電力を、買取制度は利用せずに住民に直売している。同組合にとっては初めての取り組みで、チューリッヒの市営エネルギー公社(以下、EWZ社)が提供する「ソーラースプリット」というサービスを利用した。太陽光発電を搭載した建物の家主が、賃貸人に太陽光発電からの電力を直売する際に必要な業務を請け負うサービスだ。

 

具体的には、集合住宅における発電量と各世帯の消費量をスマートメーターでリアルタイムに計測し、電力の不足時にはEWZ社の電力を供給し、余剰時にはEWZ社が買取り、賃貸人には請求書を発行し、家主には住民への売電とEWZ社への余剰売電からの収入を払い込むという内容である。この一連の作業の手数料としてEWZ社では、賃貸人に販売する電力に㌔㍗時あたり3ラッペン(約3・3円)を上乗せしている。

 

将来性の大きな賃貸人への直売

賃貸人への電力販売価格は、家主あるいは設備所有者が自ら設定することができる。チューリッヒ一般建設協同組合では、EWZ社の一般電力と同じ価格に設定した。そして、これまでにすべての住民と電力販売契約を結ぶことができているという。同組合でエネルギーを担当するレト・ザイラー氏はこう語る。

 

「私たちの建設協同組合では、これまでの多くの集合住宅の屋根に太陽光発電を設置してきました。これまでは系統に売電していた電力を、今後は『ソーラースプリット』サービスを利用して、賃貸人に直売していく形に変えていきたいと思っています。」

 

チューリッヒ一般建設協働組合は市内に4550戸の住宅を所有しており、これらの集合住宅の大幅な省エネ化を目標に掲げている。長期的には一次エネルギー消費量が3分1の社会を目指して、省エネ改修や建て替えの計画を着実に進めている。スイスでは、このほかにも多くの建設協働組合が同様な目標に掲げて活動している。こういった協働組合たちにより、都市部の賃貸集合住宅地における、太陽光発電からの電力直売が今後確実に普及していくだろう。(滝川薫)
【次号、71号(下)に続く】

 

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写真:木造
4階建ての高度な省エネ建築。屋根材には556㌔㍗の太陽光発電が使われている。年間収支でのプラスエネルギー率は117%であるが、リアルタイムの自給自足率は50%程度になる。©Schweizer Solarpreis 2016

欧州在住ジャーナリストの村上・池田・滝川の主催するミット・エナジー・ヴィジョンでは、2017年6月に下記の日程で募集型での視察・セミナーを企画しました。

 

テーマは「ポストFITの再エネ・省エネ事業」で、下記のようなプログラム概要を予定しています。

プログラムのダウンロードはこちらより

 

ドイツでは小型PVを除いてFITが終了し、FIP・入札制度に移行しています。そんな社会の中での法制度、新事業モデル、進捗中の新しいプロジェクトなどについて視察とセミナーの機会を提供します。

催行は決定しましたが、あと数名の参加をお受けすることができます!

参加をご希望の方は下記のメールアドレスにご一報ください。

info@mit-energy-vision.com

 プログラム概要

 

66日(火) 到着日
夕方(
18時ごろまでを想定)、フランクフルト空港第一ターミナル到着ロビーBのミーティングポイントに集合

貸し切りバスでホテルに移動 (滝川)

泊:マインツ郊外の農村部

 

67日(水) マインツ近郊とフランクフルト市  担当:滝川

午前: 太陽光発電業者にて自家消費型太陽光発電事業と蓄電池設置事業についてプレゼン

午後: フランクフルト市の集合住宅団地における太陽光電力の賃貸人への販売事業(賃貸人販売モデル)についてのレクチャーと視察

 泊:黒い森北部     

 

68日(木) 黒い森北部               担当:池田
午前: 北シュヴァルツヴァルトの市民エネルギー協同組合による配電インフラ新設、熱供給事業 

     (レクチャーと視察)

午後: 中部シヴァルツヴァルトの市民エネルギー共同組合による再エネ電力の直売、賃貸人電力、産業に

     おける自家消費事業 (レクチャーと視察)

泊:フライブルク市内         

 

69日(金) フライブルク市周辺          担当:村上

午前: 自治体のシュタットベルケ(都市エネルギー公社)でヒアリング

①  シュタットベルケの再公営化による地域経済・政治への効果

②  ガスコジェネによる地域暖房とその電力の使用について

午後

➂  ヴァインガルテン住宅地の省エネ改修と地域暖房、ヒートステーションの視察でセクターカップリングに

    ついてレクチャー

④  フライブルク技術市役所のプラスエネルギー建築を外から見学、EVによるカーシェアリングの躍進に

    ついて解説

⑤ 再エネのFIP&入札制度の振り返り、取りまとめ

   それにより生じたバーチャル発電所VPPと電力市場2.0について

泊:フライブルク

 

 610日(土) フライブルク

午前: 視察セミナーのまとめとワークショップ(池田・村上)

 午後: フライブルク市内での自由時間(お客様のみ)

 

611日(日) フライブルク

 朝: 希望者への追加レクチャーゾンネン社のバッテリーと小型蓄電池を利用したVPP「ゾンネンコミュニティ」について(村上)

 

※希望されない方は日曜日・朝のフライブルク市内をご自身でゆっくりと散策

 

昼頃: フランクフルト空港へ貸し切りバスにて移動(池田)

夕方(17時ごろまでを想定)、フランクフルト空港で解散

       

※プログラムは現在調整中です。訪問先の都合によって変わる可能性があります。 

参加費用: 2600ユーロ(現地集合、現地解散、シングル利用)

 

お問合せ: info@mit-energy-vision.com

 

 

このMIT視察セミナーのプログラムがはじまる直前の531日(水)~62日(金)は、ドイツ・ミュンヘンにおいて欧州最大規模のソーラーメッセ『インターソーラー』が開催されます。昨年はテスラ社のバッテリーが脚光を浴びたように、今年の注目は、Sonnen社のバッテリー&ヴァーチャル発電所になることでしょう。

 

http://www.intersolar.de/en/home.html

 

 

MIT視察セミナーと合わせてこちらも訪問されると、ドイツ再エネ市場の「今」を垣間見ることができるでしょう。また、「インターソーラー」のアテンド・通訳もMITでは引き受けています。こちらも個別にお問い合わせくださいませ。

新エネルギー新聞(新農林社)に国際ニュースを寄稿しています。新エネルギー新聞の許可を得て、バックナンバーをこのブログに転載していきます。

掲載誌:新エネルギー新聞http://www.newenergy-news.com/

 

【下記、新エネルギー新聞2016年12月12 日 ・26日発行67・68号より転載】


スイスアルプス:標高2500㍍、欧州最高のウィンドパークが運転開始


9月末、スイスアルプスの中部、イタリアへの国境近いグリース峠に、欧州で最も海抜の高いウィンドパークが誕生した。4基の風車が標高2500㍍、氷河から取水する水力用ダムのすぐ隣に建っている。設置出力は計9・2㍋㍗。一年に約3100世帯分の消費電力量に相当する11㌐㍗を発電する予定だ



 Windpark a












写真©Swisswinds/Oliver Maire


10
年以上の準備期間を経て

直接民主制のスイスでは、風力開発には10年以上の年月を要することも稀ではない。計画の様々な段階で住民投票をクリアすることが必要になるほか、風力利用に批判的な景観保全や環境保全の団体からの抗議に対応し、コンセンサスを築いていく必要があるためである。そのため、住民や地域に密着したプロジェクトや事業主体であることが、事業の成功に不可欠な要素になっている。

 

スイスアルプスのグリース峠でこの秋に運転を開始したウィンドパークも例外ではなく、計画のスタートは2003年に遡る。開発を手掛けたのは地元の風力開発会社スイスウィンズ社。立地自治体のオーバーゴムズ村は、周辺自治体と共にエネルギー自立を目指して活動する先進地域でもある。2008年に村の住民決議では、自治体の土地への風車建設が全会一致で可決された。そのことからも分かるように、住民からのプロジェクトの受容度は非常に高い。

 

パイロット設備を2011年から運転

標高2500㍍という欧州で前例のない標高での風車建設であることから、プロジェクトは二段階に分けて実現された。第一段階ではまず、2011年にパイロット設備として2・3㍋㍗の風車を1基建設した。開発と運転に携わるスイスウィンズ社のトーマス・ブルゲナー氏は当時の経験をこう語る。

「プロジェクトパートナーたちは、当初、このような標高と地形において風力設備を建設できるものなのか懐疑的でした。しかし、パイロット設備の建設と運転により、実施可能性を証明することができました。それがウィンドパークへの拡張に繋がったのです。」

 

パイロット設備での良好な経験を受けて、スイスウィンズ社は残りの3基の建設計画に着手した。様々な許認可手続きと平行して、2014年には環境団体WWFと半年に渡る交渉を重ね、こうもりと渡り鳥の保全に関する追加対策について合意を達成。これにより、環境団体からの抗議もクリアすることができた。そして2015年に建設許可が下り、今年ようやく建設に漕ぎつけたというわけだ。

 

アルプスという立地でのチャレンジ

建設においてはアルプスという立地ならではの困難が伴った。工事は、雪のない6月から9月の間にしか行うことができない。2015年のうちに建設用路を整備し、基礎の穴を掘っておいた。そして2016年の6月中旬には大量の残雪を除去し、基礎を打ち、同時に特殊車両によりトンネルや峠道を介してアルプスの山上に風車の部材を輸送した。風車の建設は1週間に1基のスピードで行われた。組み立て場所が狭い状況での建設は容易ではなかったという。

 

今回増設された風車は、エネルコン社のE92という製品。ナセルの中心までの高さは82㍍、ブレードの長さは46㍍で、総高は131㍍、出力は各2・3㍋㍗となっている。パイロット設備では、ブレードがこれよりも一回り短かったが、増設においては風受け面をより大きくすることで発電量を増やした。

 

設備の運転においては、厳寒に備えたブレードの凍結防止用ヒータが、アルプスの気候では重要な対策であるという。パイロット設備ではこのヒータにより、8か月に渡る冬の間も良好に運転を行うことができている。

 

水力ダムと隣接するメリット

グリース峠のウィンドパークは、既存の9・5㍋㍗のダム式水力発電設備に隣接して建てられている。アルプスに多くある水力ダムに近い立地には、風力開発にとって大きなメリットがある。

「既存のインフラストラクチャーを水力設備と共同で活用できることが、水力と風力の設備を隣接させる利点になっています。グリース峠の場合、既存の水力ダムへの道路が存在し、送電インフラもありました。今回は新たに水力と風力の事業者が共同で利用する変圧設備を設置しました。」(ブルゲナー氏)

 

こういった立地には他にもメリットがある。水力利用により自然環境や景観が既に損なわれている立地を風力開発にも活用することにより、地域内のまだ自然や景観が損なわれていない場所での開発を回避できるという点だ。それによりプロジェクトの社会的な受容度が高まる。

 

またグリース峠の水力設備は揚水式ではないが、水力が揚水式である場合には、風力の余剰電力を揚水ダムに貯めておくといった連携した運転も考えられる。実際に、スペインのエル・イエロ島やオーストリアのケッチャッハ・マウテン村ではそのような運転が行われている。

 

風力はスイスの需要ピーク時の貴重な電源

内陸国のスイスでは、風況の優れた立地はアルプス山脈やジュラ山脈といった山地の上に多い。

「連邦のエネルギー戦略2050でも明確に強調されていますが、スイスの電力供給に風力が貢献してゆくべきならば、選抜された標高の高い立地へのウィンドパークの実現が必要です。」と、スイスウィンズ社のブルゲナー氏は語る。

 

水資源に恵まれた山国のスイスは今日、電力需要の6割を水力でまかなっている。連邦は、将来的には省エネと再エネの拡張により100%再生可能エネルギーによる電力供給を目指している。その中で水力に次いで大きな割合を担っていくべき電源は太陽光発電である。風力については、ポテンシャルはさほど大きくないものの、将来的には少なくとも電力の7~10%を担うことが期待されている。

 

そして風力は、寒冷なスイスの電力需要がピークになる冬に発電量が多い。実際に、グリース峠の風車でも、発電量の6割が冬の間に生じている。そのため風力の増産は、夏に発電量の多い太陽光や水力を補う冬の電源を構築するという意味で非常に重視されている。(文:滝川薫)

 


写真キャプション:

標高2500㍍のグリース峠ウィンドパーク。2011年に建設された1基のパイロット設備は良好に稼働し、高山における風力利用の実施可能性を証明した。残りの3基はこの秋に竣工。水力ダムの隣に立地しているため、既存の道路や送電設備を利用することができる。水力発電の変圧設備を更新する必要があったため、水力の運営会社と風力の運営会社が共同出資して新しい変圧設備を設置し、共同で利用している。背後には氷河が見える。

※今日はミット・エナジー・ヴィジョン社のメールニュース2017年冬号を転載します。

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皆さま、明けましておめでとうございます。2017年もよろしくお願いします!

さて、クリスマス明けから欧州では寒波が到来し、一面雪景色になっています。日本でも1月中盤にはこの冬一番の寒波がやってきていますから、毎日がきりっと引き締まりますよね。

とりわけ冬においては、定期的な運動で体を温めて、耐性ある風邪やインフルエンザに強い体を維持することが大切です。でも、毎日の忙しさにかまけているとそんな時間は・・・現代の暮しは日本でも欧州でも世知辛いです。

さて今回も、MITメンバー3名から、皆さまにコラムと各種の告知についてメールニュースをお送りします。今回は、滝川村上池田という順で告知を挟みながらコラムを書いています。最後までお楽しみください(村)。

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MIT:滝川

都市部で広がる太陽光の賃貸人販売モデル

先日、2016年にスイスソーラー大賞を受賞したプラスエネルギー建築の集合住宅について取材する機会を得ました。チューリッヒ市で最大の建設協同組合が立て替えた建物で、木造4階建ての5棟の建物に68世帯が賃貸で入居しています。プラスエネルギー建築とはスイスでは、高度な省エネ性能を持たせた上で、一年の収支で建物で消費する電気と熱の量よりも多くのエネルギーを、建物上の太陽光や太陽熱の設備により生産する建物のことを言います。

取材した団地も、外壁の断熱材の厚さは3145センチで、パッシブハウス仕様の外皮と家電・照明になっています。暖房・給湯の熱源は、スイスでは一般的な地中熱ヒートポンプです。そして切妻型の屋根の全面は、屋根材になっている556キロワットの太陽光発電で綺麗に覆われています。この建物は徹底した省エネのおかげで、117%のプラスエネルギー率を達成していました。余った電気で、電気自動車49台を各1.2万キロメートル走らせられるそうです。これは同集合住宅で所有されているよりも多くの自動車台数に相当します。

この集合住宅では建設協働組合が太陽光発電を所有し、そこで作られる電力を賃貸人に販売しており、全世帯が購入契約を結んでいます。清算や余剰買取、不足分納入は、チューリッヒ市の都市エネルギー公社が新サービスとして手掛けています。ドイツやスイスの都市部の集合住宅団地で近年増えている「Mieterstrom(直訳すると賃貸人電力)」という事業モデルの一つです。FITに頼ることなく、賃貸住宅の多い都市部での太陽光普及や、再エネの地産地消、そして賃貸人への安定価格の電力の提供という意味でも、有意義なサービスです。

今年6月にMITで企画している視察では、こういった新しいサービスや事業を日本の現場で再エネ普及に取り組む皆さんと見学できることを、メンバー一同楽しみにしています!

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!お知らせ!

★MIT企画募集型視察セミナー企画

「ポストFITの再エネ・省エネ事業」 66日~11

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、6月に下記の日程で募集型での視察・セミナーを企画しました。

テーマは「ポストFITの再エネ・省エネ事業」で、下記のようなプログラム概要を予定しています。

ドイツでは小型PVを除いてFITが終了し、FIP・入札制度に移行しています。そんな社会の中での法制度、新事業モデル、進捗中の新しいプロジェクトなどについて視察とセミナーの機会を提供します。参加をご希望の方は弊社にメールでご一報ください。

プログラム概要

66日(火) 夕方(18時ごろまでを想定)、フランクフルト空港に集合

67日(水) フランクフルト市:

・集合住宅団地における太陽光電力の賃貸人への販売事業(賃貸人販売モデル)

・省エネ改修についてなど予定、レクチャーと視察

68日(木) 黒い森北部:

・市民エネルギー協同組合による新電力(再エネ発電&電力小売り事業)

・再エネ電力の直売と産業における自家消費事業についてなど予定、レクチャーと視察

69日(金) フライブルク市周辺:

・コージェネによる電力直売

ESCO事業

・電気自動車のカーシェアリング

・セクターカップリングについてなど予定、レクチャート視察

610日(土) 黒い森南部:

・午前中:森林散策と自然の多様性について

・午後:フライブルク市内で自由時間

611日(日) フライブルク市:

・午前中:取りまとめのワークショップ

・午後:移動の後、夕方(17時ごろまでを想定)、フランクフルト空港で解散

参加費用: 2600ユーロ(現地集合、現地解散、シングル利用)

お問合せ: info@mit-energy-vision.com

このMIT視察セミナーのプログラムがはじまる直前の531日(水)~62日(金)は、ドイツ・ミュンヘンにおいて欧州最大規模のソーラーメッセ『インターソーラー』が開催されます。昨年はテスラ社のバッテリーが脚光を浴びたように、今年の注目は、Sonnen社のバッテリー&ヴァーチャル発電所になることでしょう。

http://www.intersolar.de/en/home.html

MIT視察セミナーと合わせてこちらも訪問されると、ドイツ再エネ市場の「今」を垣間見ることができるでしょう。また、「インターソーラー」のアテンド・通訳もMITでは引き受けています。こちらも個別にお問い合わせくださいませ。

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MIT:村上

2016年のドイツの再生可能エネルギーの総括

2016年の再生可能エネルギーによる発電は、電力総消費量の32.3%に留まりました。2015年が31.5%でしたから、0.8%しか上昇していません。陸上風力がかなり建設されたのに、この程度しか進展しなかったのは、

1.2015年の風況が平均値を大きく上回るほど良かったのに対して、2016年は例年以下だったこと

2.2016年の日射量も平均以下で太陽光発電もふるわなかったこと

という理由になります。

また、天然ガス価格が低い水準で推移したことから、石炭や褐炭、原子力よりも柔軟性のある発電源である天然ガス発電が大幅に増加し、全体では13.2%になりました。したがって褐炭、石炭、原子力という従来型の発電は、軒並み発電量を減らしています。

ただし、全体的な発電量は648TWhと歴史的な記録に達成し、国内消費量593TWhとの格差は開く一方で、輸出超過の電力量は、発電量において8%を超える割合を占めるようになりました。これは、とりわけ石炭発電であり、隣国(オーストリア、スイス、フランス、オランダの順で)において活発に利用されています。

オーストリア向けの輸出量が飛び抜けて大きいのは、広域系統と電力取引市場はドイツとオーストリアがセットになっているからであり、税や系統拡張、再エネのサーチャージなどを負担していないオーストリア国民が、安価なドイツ電力を優先的に利用する形態が固定化しており、一種のフリーライダーとなることで、問題が生じています。

また、スイスとフランスでドイツ電力の輸入量が急増した背景は、原発のトラブルが続いたり、原子炉圧力容器に使用される日本製の鋼材の強度不足の懸念が判明し、停止して大掛かりな検査などをしなければならない事情などによるものでした。

電力市場における取引価格の推移からもこのことは明らかで、電力価格の安価な北欧、ドイツ・オーストリア、ポーランド、オランダに対して、2016年の下半期はとりわけフランス、ベルギー、イギリス、スイスと電力が高値で取引されています。

こうした背景の情報(客観的な事実)には踏み込むことをしないで、ドイツの家庭用電力の小売り価格だけを取り出して、「ドイツ=電力高い=再エネ失敗」という論調を張ったり、未だに、日本では「ドイツ=脱原発=フランスから原発電力を輸入」というような、まったく事実に基づかない主張をされている方が目立っています。

ということで、英語にはなりますが、非常によく取りまとまった「客観的事実」を取り集めた資料が存在しますので、そちらをご興味のある方は、是非、ご覧くださいませ(Agora Energiewende):

https://www.agora-energiewende.de/en/press/agoranews/news-detail/news/coal-power-is-on-the-decline-yet-emissions-have-increased-2016-was-a-year-of-mixed-success/News/detail/

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!お知らせ!

★MIT村上の共著の出版 『海外キャリアのつくりかた』

皆さんの生活に欠かせないエネルギー。とは言っても、とりわけ日本の若手にとって、エネルギーは目に見えないので、エネルギーとは何か、なぜ必要なのか、私たちはどのようにエネルギーを使っているのかを意識したことは少ないかもしれません。

この本を書いている5人は、それぞれのきっかけからドイツに住むようになり(1人はドイツ生まれですが)、日本のエネルギーのあり方に疑問を持ち、ドイツのエネルギーに対する取り組みを見つめながら仕事をするようになりました。

学生をはじめとする日本の若手の皆さんに本書では、「ドイツのエネルギー転換」と「5人の海外における仕事は何か?  どんな経緯で、何を考えて、何をドイツでしているのか?」の2つのテーマについてお伝えできればと思います。

http://amzn.to/2hDY5Tx

 

★MIT村上が主宰している一社クラブヴォーバンが、若手が集う『持続可能なまちづくりサークル』を開始!

上記の本の出版とともに、一社クラブヴォーバンでは2017年の行動目標として、若手の支援事業を計画しています。

進路に迷う高校生、就活に忙しい大学生、そして社会人として疑問を感じながら働く20代の若手など、「まちづくりや地方創生に興味がある」「再エネや省エネに興味がある」「海外で働くことに興味がある」という方が集い、お互いの悩みや問題意識を議論したり、共同で興味のある講師を招き情報をインプットする、こうした分野の就活や採用情報を共有する、など、様々な企画を支援してゆく予定です。

第一回の集いの会は5/16(火)からスタートします。詳しくは以下のサイトからチラシをダウンロードしてください。

https://www.club-vauban.net/2016/11/29/20161019/

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MIT:池田

続けること、とりあえず置いておくこと、捨てること

昨日、子供のサッカーの試合の観戦中、チームの親との世間話の中で、黒い森のスキー場の話になりました。「黒い森のこの辺の小さなスキー場は、将来性はほとんどないね」と。理由は気候変動の影響と思われる暖冬続き。南ドイツは、先週から寒くなり、雪が降り、スキーができるようになったのですが、標高1000m程度の中級山岳地域では、ここ数年、暖冬で、スキーができる日数が少なくたっています。今年のクリスマスと年末年始は、一番お客さんが来る時に、全く雪がなく、スキー場とその他観光業者は、大きな痛手を受けています。

前回のニュースレターで閉鎖が決まったという私の住むヴァルトキルヒ市のカンデルスキー場は、市長のアピールもあって、起死回生、とりあえず2年間、臨時経営体制でリフトを動かすことが決まりました。スキー好きな市民にとっては嬉しいですが、将来性がない、経営的に苦しいことがわかっているスキー場を、無理して運営することは、果たして持続可能か、と疑問を持ちます。市長は、昨年初当選した新人で、「カンデルスキー場が閉まるということは、あってはならない」と、関係者にハッパをかけて、とりあえずの継続になったのですが

社会や環境や人間関係は、時とともに変化していきます。その中で人は、頑固に続けるもの、とりあえず置いておくもの、捨てるものを選択していきます。

私の町の市長とスキー関係者は、無理してもスキー場を継続することを選択しました。市長が力を入れたのは、スキー場が閉鎖されると町のイメージも、自分の評価にもマイナス影響を与えるからでしょうが、その意地とプライド、自尊心のために、どれだけのダメージや負担が将来的に生じるのか、よく考えなければならないことだと思います。

続ける価値があるかどうか、持続可能の概念のもと、代価案も含め、多角的に検討しなければならないと思います。プライドや自尊心が傷ついても、とりあえず据え置きしたほうがいいもの、捨てたほうがいいものもあリます。諦める、捨てることで、別の発想、別の解決策が浮かんで来ることもあります。一方で、頑固に続ける価値があること、続けることが将来のためになることもあります。市民によるボトムアップの民主的なエネルギーヴェンデはそれに該当すると私は思います。

何を続けるか、何をとりあえず置いておくか、何を捨てるか、私も、プライベートでも仕事でも、私自身に絶えず問いかけるようにしています。判断、選択、決断は、容易なことではありませんが。

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ソーラーコンプレックス社による日本語ニュースレター

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、南ドイツの市民エネルギー企業ソーラーコンプレックス社が発行するニュースレターの日本語版の作成をサポートしています。同社の活動は、日本で地域密着の再生可能エネルギー事業に取り組む方々にも参考になると考えます。下記リンクからニュースレター2017年第1号を読むことができます(ページ下部のsolarcomplex-Newsletter 2017.1 Japanからダウンロードできます )。

http://www.solarcomplex.de/aktuell/newsletter.html

 

!お知らせ!

★100%再生可能エネルギー地域のブログ

100%再生可能エネルギー地域のブログ」では、新エネルギー新聞(新農林社)の了承を得て、同誌に掲載された滝川執筆のニュース記事の一部を転載しています。下記リンクからご覧ください。

http://blog.livedoor.jp/eunetwork/

 

今回のメールニュース、いかがでしたか? それでは、次回もお楽しみに!

 


ミット・エナジー・ヴィジョン社では、南ドイツの市民エネルギー企業であるソーラーコンプレックス社の日本語版ニュースレターの翻訳作成に協力しています。2017年第一号のニュースレターを下記に転載します。
写真付きのオリジナルは、下記リンクよりご覧になることができます。
ソーラーコンプレックス社のページへ

(以下転載)
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ソーラーコンプレックス社ニュースレター20171

 

 

年明けにあたり考えること

 

年明けにあたっては、いわゆる新たな「良き」抱負や目標を立てることが恒例です:禁煙する、もっと運動する、肉を食べる量を減らす、といった型どおりのものです。しかし内なる怠け者の方がやはり強くて、相変わらずのままで終わってしまった、という痛い目覚めも定期的なことです。上手く行かないのが普通なのです。

 

これは個人であればしょせん些細な事ですが、集団での失敗となると今日では全てか無かという事態になります。1年前、ほぼすべての国がパリ協定に署名しました。ドイツもです。同様にほぼすべての国では、ドイツも含めて、温暖化を二度以下に抑える目標を、実際に達成するための行動が十分に行われていません。この矛盾は深刻で、短期的にしか隠せるものでありません。一方には多くの批判的な観察眼が、他方には科学的な事実があるからです。

 

ドイツでCO2排出量を大幅に削減しようとするならば、段階的で計画的な石炭・褐炭発電からの脱出に着手しなければなりません。遅くとも次の連邦総選挙の後には、どのような政府構成になろうとも、このテーマは議事項目に取り上げられます。そうでなければ国の気候保全目標の反故は決定的です。

 

しかし、「政治」に要求をつきつけるだけでは不十分で、月並みです。「お上」だけでは成し遂げられないことですから、「下々」、つまり私たち誰もが歩みを共にしなければなりません。これは納得の行くことですし、不快です。私たちの交通移動の様式そのものが生き残り不能なものならば、省エネカーについて考えるだけでは不十分です。私たちの生活形態やライフスタイルの側面が根本的に議論の対象となります。

 

私たちにとって、個人的に(!)、そしてその集合体の社会として、何が優先順位をもつのでしょうか?未来の世代を犠牲にして、既に高い生活スタンダードをより高めることでしょうか?それとも未来の世代の生き残りを保証することでしょうか?ここに短期的な関心事と長期的な関心事の葛藤があります。

 

ソーラーコンプレックスの2017年の抱負をお聞きになられるならば:それは企業史上、最も成功する一年と言えます。成功は、実現されたプロジェクトやCO2削減量、そして建設に投じたユーロ額で計られます。ウィンドパークや熱供給網、太陽熱温水器や太陽光発電への投資総額は、2017年、5000万ユーロに達するでしょう。これまで最高記録です。ところで:2017年末にはこの抱負に基づいて私たちを評価して頂きます。

 

 

ソーラーコンプレックスなご挨拶と共に

 

フローリアン・アルムブルスター、ベネ・ミュラー、エバーハルト・バンホルツァー





ウィンドパーク・フェレーナフォーレンは順調に進行

 

コンスタンツ郡初の現代風車設備によるウィンドパークの工事は、工期・コスト共に予定通りに進行しています。運転開始は2017年第2四半期を予定しています。将来的な年間発電量は、へガウウィンド㈲合資会社ウィンドパーク・フェレーナフォーレンによると、約2000kWh が予定されています。現在はタワーが施工中で、週末には定期的に多くの見物人が訪れています。

 

 

 

ウィンドパーク・レンゲに連邦イミッション規制法の許認可

私たちのウィンドパーク・レンゲのプロジェクトに、担当郡より連邦イミッション規制法の許認可が下りました。私たちにとって個別のプロジェクトとしては最大規模となる同プロジェクトは、順調に進展しています。このほかの必要な許認可が揃い次第、建設用地の伐採を開始し、2017年春には建設用路の工事に着手します。

 

 

 

フェーリンゲンドルフ村の地域熱供給網

 

フェーリンゲンドルフ村(シグマリンゲン郡)ではNRS社初の熱供給網の工事が順調に進んでいます。「シグマリンゲン地域熱供給(NRS)」は、ソーラーコンプレックス社とシグマリンゲン都市エネルギー公社の共同会社です。プロジェクトのコストは約250万ユーロ。竣工は2017年夏の予定です。1月から建物へ熱供給が開始されます。地元の再生可能エネルギーでほぼ自給する農村地域がまた一つ増えます。

 

 

 

ビンゲン村の野立て太陽光発電

 

自治体ビンゲン(シグマリンゲン郡)の産業地区にソーラーコンプレックスは、2017年第1四半期に750kW弱の野立て太陽光発電所を建設し、年80kWh のクリーンなソーラー電力を生産していきます。ソーラーコンプレックスでは、埋立地跡や砂利採掘場後、産業地区で残った敷地など、購入や賃借が可能な適切な土地を探しています。ご連絡は経営者まで。

 

 

好評のゲヌスシャイネ(受益債権の一種)

 

私たちのゲヌスシャイネという形でのエコロジカルな投資には、引き続き高い関心が集まっています。一口3000ユーロにて、「晴れ晴れ3%」の固定金利が付きます。最短償還期間は3年間です。私たちが売りに出した1000万ユーロ分のうち、すでに半分以上が購入されました。

 

 

 

日本語刊行物のダウンロードリンク

 

ドイツのヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所の発行による冊子「都市エネルギー公社の新設と再公有化」が、日本語に翻訳されました。この翻訳は、ソーラーコンプレックス株式会社のスポンサリングにより実現したものです。下記のリンクから、冊子のPDFをダウンロードすることができます。

http://epub.wupperinst.org/frontdoor/index/index/docId/6075

 

 

ソーラーコンプレックス社の視察案内

 

ソーラーコンプレックス社では、専門従業員により、ソーラーコンプレックス社のプロジェクトへの視察案内を行っています。省エネ建築、バイオエネルギー村、風力発電等。お問い合わせに応じて、具体的なご提案とお見積もりを作成致します。お問い合わせは、担当者Jutta Gauklerまで。: gaukler@solarcomplex.de

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ソーラーコンプレックス社のニュースレター日本語版は、ミット・エナジー・ヴィジョン社の協力により実現されています。

ミット・エナジー・ヴィジョン社では、南ドイツの市民エネルギー企業であるソーラーコンプレックス社の日本語版ニュースレターの翻訳作成に協力しています。2016年秋号のニュースレターを下記に転載します。
写真付きのオリジナルは、下記リンクよりご覧になることができます。
ソーラーコンプレックス社のページへ

(以下転載)
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お金が萎むと希望が膨らむ?

 


最近では投資により良好な利子を得ることは
かなり難しくなっており、大きな額では罰則金をとられる恐れも出てきています。投資するお金を持つ人たちはこのことを嘆いています。しかし、この集団的に不慣れな経験にはポジティブな側面があり、ひょっとしたらそれは健康的ですらあるかもしれません。そういう挑発的なテーゼを提示させて頂きます。

 

プラス金利の時代にはお金が不思議な方法で増殖しましたので、「お金そのもの」を所有することが努力の対象になり、ほとんどの人がそのように行動していました。もっとお金を!というわけです。しかし現在の傾向としては、そもそも何のためにお金を所有するのかという問いが重みを増してきています。つまり、関心がお金という交換手段から、交換できるモノの方に移ってきているのです。仮想の媒体から現実のモノへ。例えば自分の家へ。

 

省エネ総改修や省エネ家電への投資は昔から有意義なことでしたが、ここに動機がもう一つ加わります:利子の付かない口座にお金を寝かしておきたくない、というものです。親愛なる皆さま、こういった押しがこれまで実際に欠けていたならば、今がその時です。皆さんのお金を手に取って、喜んで(!)有意義なモノゴトに投資しましょう。ひょっとしたら差し迫ったマイナス金利の力添えで、建物の省エネ改修率を恥ずべき1%から気候保全に必要な3%に上げられるかもしれません。私たちには省エネ改修を成し遂げるのに100年もの時間は残されていませんから。

 

現在の金利水準は、我々ソーラーコンプレックスにとって、もう一つの希望をもたらすものです。それは、控えめな利回りの投資先が魅力的になるというものです。数年前までは侮蔑的に笑われていた投資先が突然、非常に魅力的なものになっています。私たちの利回り3%のゲヌスシャイネ(受益証券の一種)がその一例です。ここに払い込まれた資金は、口座に一時的に置かれるものの、寝かせることはせず、地域内の具体的かつ実在する有意義なプロジェクトに投入されます。

 

皆さんは、このようなものの見方を不愉快に思われ、ナイーブだと思われるかもしれません。しかし互いに正直でありましょう:お金は、これまでにも十分にありました。ただそれは非常に不均衡に分配され、大半が間違ったモノゴトに投資されてきました。ですから、この金利の切れ目を考え直すきっかけにしようではありませんか。

 

ソーラーコンプレックスなご挨拶と共に

 

フローリアン・アルムブルスター、ベネ・ミュラー、エバーハルト・バンホルツァー


ウィンドパーク・フェレーナフォーレンを着工

コンスタンツ郡では現代風車を用いた初のウィンドパークの実現が近づいています。着工式にはこの事業に参加する11の地域エネルギー企業と、自治体テンゲン市の市長であるマリアン・シュライアー氏、そしてヴィークス地区のガブリエーレ・ライヒェナウアー区長が参加しました。運転開始は2017年第二四半期の予定です。将来的な発電量は年約2千万キロワット時です。現在は基礎工事が進行中です。

 

ウィンドパーク・フェレーナフォーレンのウェブサイトへのリンクはこちら


 

フェーリンゲンドルフ村の地域熱供給網

フェーリンゲンドルフ村(シグマリンゲン郡)では、NRS社初の地域熱供給網の建設作業が進行中です。NRS(シグマリンゲン地域熱供給)は、ソーラーコンプレックス社とシグマリンゲン都市公社が共同で設立した会社です。96日に総工費250万ユーロの同プロジェクトを着工し、2017年の夏までに竣工します。地元の再生可能エネルギーにより、ほぼ自給する村がまたひとつ増えます。配管工事と並行して、高速インターネットのケーブル管の敷設が行われますので一石二鳥です。

 

バイオエネルギー村フェーリンゲンドルフ

 


リッケルスハウゼン村のソーラーパーク、拡張後の運転が好調

 

リッケルスハウゼン村のゴミ埋立地後にある既存のソーラーパークの拡張設備(2.6MWの追加)は530日に発電を開始し、好調な運転状況です。815日までにすでに100万キロワット時以上を送電しました。これにより最終工期の施設が、同パーク内にある複数の工期の施設のうち、もっとも発電量が多い設備になっています。

 

ソーラーパーク・リッケルスハウゼンについて

 

 

ゲヌスシャイネ(受益債権の一種)のパンフレット更新

 

連邦金融監督所の規則に従い、私たちのゲヌスシャイネのパンフレットの有効期間は1年となっており、毎年更新が必要です。数日前に金融監督所より新しいパンフレットが許認可され、印刷が仕上がったところです。今後もご存じのコンディションでゲヌスシャインを発行することが可能です:一口3000ユーロにて、「晴れ晴れ3%」の固定金利が付きます。最短償還期間は3年間です。

 

ソーラーコンプレックス社のゲヌスシャインネについての情報はこちらから

 

 

日本語刊行物のダウンロードリンク

 

ドイツのヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所の発行による冊子「都市エネルギー公社の新設と再公有化」が、日本語に翻訳されました。この翻訳は、ソーラーコンプレックス株式会社のスポンサリングにより実現したものです。下記のリンクから、冊子のPDFをダウンロードすることができます。

http://epub.wupperinst.org/frontdoor/index/index/docId/6075

 

 

ソーラーコンプレックス社の視察案内

 

ソーラーコンプレックス社では、専門従業員により、ソーラーコンプレックス社のプロジェクトへの視察案内を行っています。省エネ建築、バイオエネルギー村、風力発電等。お問い合わせに応じて、具体的なご提案とお見積もりを作成致します。お問い合わせは、担当者Jutta Gauklerまで。: gaukler@solarcomplex.de

 

 

ソーラーコンプレックス社のニュースレター日本語版は、ミット・エナジー・ヴィジョン社との協力により実現されています。


※今日はミット・エナジー・ヴィジョン社のメールニュース2016年年末号を転載します。

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皆さま、ご無沙汰しています。南欧州も黄金の秋(Goldener Herbst)が終わり、いよいよ冬が到来しました。今年はとりわけ秋が暖かく、夏から一気に冬に突入という急激な冷え込みがなかったためか、例年以上に美しい紅葉、農村風景が見られました。

ただし、夏からの雨量不足は深刻で、川や湖の水位も低いまま、今年は本当に農家の方々は大変だったと思います。一方の日本では秋の日射量が不足し、長雨や台風に見舞われて農家の方々も大変だったと聞いていますが、このような気象の激しさはますます猛威を振るって来るのでしょうね。また、雨量不足が続くと森林のストレス増加も心配になります。

そんなタイミングであっても、日本では気候温暖化対策に対しての優先度合いは低いままのようで・・・パリ協定では完全に出遅れた形となってしまいました。

さて今回も、MITメンバー3名から、皆さまにコラムと各種の告知についてメールニュースをお送りします。今回は、村上滝川池田という順で告知を挟みながらコラムを書いています。最後までお楽しみください(村)。


MIT:村上
電気自動車と「セクターカップリング」

201610月には、ドイツ連邦参議院において、「2030年以降は、ドイツにおいてガソリンエンジン、およびディーゼルエンジン自動車の新車登録を禁止にして、電気自動車のみにするべきだ」、という推奨される政策の方向性が打ち出されました。これをもって、すぐに「2030年以降ガソリン車禁止!」というニュースが世界を駆け巡りましたが、もちろん、禁止を謳う法案が可決したわけではないので、まだまだこの先、どうなるのかは分かりません。

ただし、ドイツを含めて多数の欧州の国々、アメリカ、中国やインドなどの巨大な新興国では、20202030年ぐらいの間に、社会の車交通を電化する方向性を打ち出すようになっています。

それでは、なぜそのような事柄が政治的なテーマとして取り扱われるようになってきたのでしょうか? それは、再生可能エネルギーの推進、そして気候温暖化対策と無縁ではありません。

このような方向性を打ち出してきている国のほとんどすべてでは、電力供給における再生可能エネルギーの割合の急増を政治的なテーマとしています。その理由は国によって様々ですが、
・化石燃料を使用し続けることによる経済リスクと政治リスク、地政学的なリスク(石油をめぐる戦争や資源量の枯渇に向かう際の価格高騰など)
・気候温暖化対策、大気汚染浄化対策
などが大きなものだと思います。

ただし、近年、太陽光発電や風力発電による発電原価が510/kWhを大きく下回る事例などからも明らかなように、もっとも経済的な電力が再生可能エネルギーになりつつあることへの対応であるともいえます。

ドイツでも電力消費における再生可能エネルギー割合は増加を続け、今では1/3を超えています。相変わらず15%の壁を打ち破れず、この先もそれほど上昇の見込めない熱供給における再エネや5%以上はバイオ燃料を供給しようがない交通部門における再エネとは、電力部門は一線を画すようになっています。

そこで、社会全体を再エネ化するためには、電力部門における再エネ割合の増強をより一層推し進め、再エネ電力を、高効率ヒートポンプで熱部門へ、電気自動車によって交通部門へ波及させてゆこうという「セクターカップリング」という思想が、学術界だけでではなく、産業界、政治の世界にも大々的に進出してきています。

ガソリンやディーゼルエンジンの自動車の熱効率は、平均的な使用のケースで1520%程度です。ハイブリッド車であっても、熱効率はせいぜい35%程度で、40%には届きません(残りは大気に熱として捨てられます)。それに対して、電気自動車の熱効率は、インプットされる電気を100とすれば、熱効率は7080%にも到達します。

しかし、日本の場合は、熱効率3540%程度の火力・原子力メインで発電をしていますから(つまり60%のエネルギーは排熱として海に捨てられる)、0.4×0.728%、あるいは0.4×0.832%とハイブリット車と電気自動車の熱効率、あるいは環境性能は変わることがありません。

ただし、ドイツでは製造・設置・廃棄・リサイクルで投入エネルギーに対して、発電で得られるエネルギーが10倍以上の太陽光発電、100倍以上の風力発電メインで電力の1/3がすでに作られ、将来的にはそれで大部分を賄うことにしているため、電気自動車の推進が大幅に排熱をカットする省エネも兼ねた理にかなった政策になるというわけです。

とはいえ、伝統的に高度な技術力を必要とする内燃機関でビジネスをしている自動車産業界は徹底抗戦をする構えです。赤字経営に陥り、分社化などを余儀なくされた電力大手の事例と同じく、既得権益にしがみつく産業は滅ぶだけと私は考えていますが、さて、この先が楽しみですね。


!お知らせ!
★MIT
の募集型視察・セミナー20176月についてのご案内

ミット・エナジー・ヴィジョンでは来年度、下記の日程で募集型での視察・セミナーを企画しています。

201766日(火)ドイツ着~11日(日)ドイツ発(フランクフルト空港発着予定)

メインテーマ「ポストFITの再エネ事業」

ドイツでは小型PVを除いてFITが終了し、FIPへ意向が完了しており、2017年からはFIP&入札制度へと移行します。そんな社会の中で、

・太陽光発電事業の次のステップ
(自家消費モデルの躍進)
・熱コントラクティング事業
2016年からのコジェネ法の改正、再エネ法の新指針によって、電力の自家消費をよりアクティブに活用する熱供給の数多くの新しいビジネスモデルが登場しています)
・電力と熱と交通のセクターカップリング

などにかかわる法制度、新事業やビジネスモデルの制度設計、進捗中の新しいプロジェクトなどについて視察とセミナーの機会を提供したいと考えています。

参加をご希望の方は弊社にメールでご一報ください。年内などいち早くお申込みの場合には、視察・セミナープログラムにご希望を反映させることが可能です。具体的な訪問先、プログラムなどは年が明けてから決定させていただきます。
info@mit-energy-vision.com


MIT:滝川

原発寿命についての国民投票

スイスは紅葉も終盤、朝には地表に霜が降りる季節となりました。そして11月末には、再び国民投票・住民投票の週末がやってきます。

直接民主制のスイスでは、年に4回ほど国民・住民投票が行われますので、常に何らかの投票前の賛否キャンペーンが進行している状態です。住民も、毎回真剣に考えようとすると結構大変ですので、普通は関心のある案件しか勉強しませんし、特に国民が発議するイニシアチブ案については、良く分からないことは否決しておくか、指示政党の推薦に従う人が多いようです。

自治体や州のレベルの身近なプロジェクトや法律に関しては、直接民主制は有意義に機能していると感じます。しかし、国のレベルでは投票案件を理解し、大量の情報から賛成派と反対派の論点を吟味して判断することは、国民投票に慣れているスイス人であっても困難です。特に国民が発議するイニシアチブ案は可決されることは稀で、環境・エネルギーヴェンデ系の法案もその例に漏れません。

特に環境・エネルギーヴェンデ系の投票では、既得権団体であるスイスの経団連や産業連盟が高額な否決キャンペーンを展開してきます。住民を不安にさせ、自由・お金が失われると脅すのが特徴です。9月には地球一個分の資源消費の国作りを求める国民イニシアチブ法案「緑の経済」が投票されましたが、投票一月前には60%の支持率であったのに、ネガティブキャンペーンが功を奏して否決されました。

そんなスイスで現在、非常に激しい投票前論戦が進行中です。11月27日に、原発の寿命を定める国民イニシアチブ法案「計画的脱原発」が投票されるためです。原発の運転終了年が明確化されているドイツと異なり、スイスの脱原発には運転終了年が存在しません。この国民イニシアチブ案は原発の寿命を45年に制限することを求めるものです。というのもスイスにある5基の原発のうち3基が、運転開始から既に45年前後になっており、原子炉素材の劣化等が深刻な問題になっているためです。

賛成を支持する多くの市民や団体が、これまでにないほど頑張って(かなりの資金を投じて)賛成キャンペーンを展開しています。新聞・ネット上では読者の声の欄で毎日のように意見が戦わされ、テレビやイベントでの討論も盛んです。もちろん大手電力と産業連盟を中心とした反対派は、より潤沢な資金を投じて保守派新聞や業界新聞で毎日のように脅しのメッセージを送っています。そこでは未だにブラックアウトや経済の大混乱、石炭輸入電力が増えるといった昔から変わらぬ主張が広げられています。

世論調査によると、現在、スイス人の56%が「計画的脱原発法案」に賛成だそうです。一般的には厳しい数字です。しかし、今回の投票について希望があるのは、反対勢力の主張が明らかに破綻しており、そのことをメディアも積極的に取り上げている点です。例えばスイスでは今、2基の原発が安全上の問題により長期間に渡り運転停止されており、この冬も稼働できません。現実に投票法案よりも多くの原発が止まっていますが、大混乱は起きていません。再エネ・プロジェクト数も十分にあります。

そのような中、私は外国人ですので投票はできないのですが、微力ながらスイスの人たちがこの法案に今度こそ賛同して、自らの国土と生命、経済を守ってくれることを願い、できる限りの活動・支援をしているところです。そういう意味で、直接民主制は実にはらはらさせられる、住民のエネルギーを消耗する制度であると身に染みて感じる今日この頃です。


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★100
%再生可能エネルギー地域のブログ

100%再生可能エネルギー地域のブログ」では、新エネルギー新聞(新農林社)の了承を得て、同誌に掲載された滝川執筆のニュース記事の一部を転載しています。下記リンクからご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/eunetwork/


MIT:池田
地元のスキー場が閉鎖された

10日ほど前にはシュヴァルツヴァルトの標高1000メートル以上のところで雪が降りました。我が家の車も冬タイヤに履き替え、先週日曜日には、隣町の毎年恒例の中古スキー市で、3人の子供のスキー道具を揃えました。成長期にある子供で、1~2シーズンしたらサイズが合わなくなるので新品などもったいない。上の子のお下がりか中古で十分。

南西ドイツシュヴァルツヴァルトは、標高1000メートル前後の山が連なる地域で、気候は日本の東北地方と同じくらいです。ドイツのスキーの発祥の地で、ディーター・トーマやスヴェン・ハナバルト、マルティン・シュミットといった有名なジャンプの選手を生み出しています。アルプス地域のような大きなスキー場はなくて、ほとんどがリフトが2つか3つくらいの小さなスキー場です。

私が住むフライブルク市近郊のヴァルトキルヒ市には、標高約1300メートルのカンデルという山があって、そこにもTバーが2つの小さなスキー場があリます。家から車で山を登って20分くらいなので、仕事の合間とか、ちょっとした空き時間に回数券で2時間くらい子供と滑って帰ってくる、ということができるところです。

そこが、今シーズンから閉鎖になってしまいました。市所有のスキー場で、ここ12年間、市の財政難を受けて、地元の2つのスキー団体が市から施設を安く賃貸して運営していました。スキーが好きな市民の多くのボランティアによって支えられていました。しかしここ数年は、温暖化の影響か雪が少なく、特に昨年は、一番稼ぎ時のクリスマス・新年にほとんど雪がない、という事態でした。2 つの市民スキー団体は、今年にあった5年ごとの市との賃貸契約の更新を、経営リスクの観点で断念してしまいました。安くアットホームなスキー場でしたので、残念です。

シュヴァルツヴァルトには、たくさんこのような小さなスキー場があるのですが、同じような経営の問題を抱えています。そしてそれを解決するために、過去10年あまり、人工降雪機(スノーマシーン)が導入されています。水と空気を使って雪を人工的に作る機械ですが、大量のエネルギーが必要になります。普通サイズのマシンで1時間あたりおよそ1000 kWhの電気が必要になります。1000kWhというと、家庭の1人あたりの「1年間」の電力消費量です。また水は、河川や湖、溜池から取水されるのですが、大量の水が一気に取水されるので、河川や湖や池が凍り易くなり、生態系に大きな影響を与えてしまうことが、環境保護団体から懸念されています。

我が家も昨シーズンは、裏山カンデルのスキー場に雪が少なかったので、1時間ほどのところにあるスノーマシンを備えた別のスキー場によく通っていたのですが
今シーズンはスノーマシンが必要ないくらい雪がたくさん降ってくれることを祈ります。


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ソーラーコンプレックス社による日本語ニュースレター

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、南ドイツの市民エネルギー企業ソーラーコンプレックス社が発行するニュースレターの日本語版の作成をサポートしています。同社の活動は、日本で地域密着の再生可能エネルギー事業に取り組む方々にも参考になると考えます。下記リンクに、間もなくニュースレター秋号がアップされます。
http://www.solarcomplex.de/aktuell/newsletter.html


今回のメールニュース、いかがでしたか? それでは、次回もお楽しみに!



新エネルギー新聞(新農林社)に国際ニュースを寄稿しています。新エネルギー新聞の許可を得て、バックナンバーをこのブログに転載していきます。

掲載誌:新エネルギー新聞http://www.newenergy-news.com/

 

【下記、新エネルギー新聞2016年10月3日第62号より転載】




スイス:農家による地域熱供給事業

~糞尿・残渣バイオガスと木質バイオの組合わせ

 

スイスでは、最終エネルギー消費の5割以上を熱分野が占めている。熱分野の再エネ率はまだ2割程度であるため、温暖化防止政策やエネルギー政策において、熱分野の省エネ化と再エネ化は最も重要な対策分野とみなされている。熱分野の再エネ化については、熱消費密度の高い地域では地域熱供給を行うことが効率的であり、実際に都市部だけでなく農村部でも数多くの地域熱供給網が運転されている。

 

こういった地域熱供給の事業者は、自治体や自治体のエネルギー公社である場合が多いが、民間の地域企業が実現・運営する施設も少なくない。主に製材所や工務店、そして農家などが業務で生じるバイオマスを利用して、敷地の一部に設けた熱供給施設から周辺地域に熱販売を行うというケースが典型的である。

 

ウンターブック農場~ミュラー家の場合

そのような例のひとつが、北スイスの人口5000人の自治体タイインゲンにあるウンターブック農場である。3代目の専業農家であるミュラー夫妻が運営する同農場では、100㌶の農地で年1000㌧のジャガイモと400頭の肉牛が生産されている。若く、企業家精神旺盛なミュラー夫妻はエネルギー事業に進出すべく2006年から準備を重ね、2012年にミュラー・エネルギー社を設立。以来、発電および熱供給事業を農場で行ってきた。

 

「きっかけは天候や農業政策に左右されない事業の柱をひとつ作ることでした」と、共同経営者のアンドレア・ミュラー夫人は語る。

 

2012年にはまず、地元の間伐材チップを用いた地域熱供給を開始した。熱供給事業に豊富な経験を持つ地元のエンジニア事務所が夫妻のコンサル役を担い、出力550㌔㍗のチップボイラー1台と8・5万リットルの蓄熱タンク、熱供給管などが設置された。

 

続いて2013年には、納屋と住宅の屋根に211㌔㍗の太陽光発電を設置した。その際に、買取り制度の適用を受けることができなかったため、太陽光からの電気は市場で売電し、環境的な付加価値(グリーン電力証書)を隣町のエネルギー公社に販売している。

 

そして2015年には、念願のバイオガス・コージェネの運転が開始した。発電出力は130㌔㍗で年1300㍋㍗時を生産し、買取り制度を利用して売電している。発熱出力は175㌔㍗で、今日ではこの熱が地域熱供給の大部分を担うようになった。

 

農家から200世帯と4企業に高効率な熱供給

ウンターブック農場から最寄の住宅地や産業地帯までは、道路を挟んで200㍍ほど。熱供給事業を行うには恵まれた立地である。熱供給事業は、当初、長さ600㍍の熱供給網を介して21世帯に暖房・給湯用の熱を供給することからスタートした。その後、段階的に顧客数を増やし、供給網を延長していった。現在は2400mの熱供給網を介して、200世帯と4企業に熱供給を行っている。熱供給契約の期間は25年なので、2038年までの確かな収入源である。

 

ミュラー夫妻は初め、地域の顧客対象となる世帯に個別に手紙を書き、営業を行っていった。地域での知名度や信用も上がった今年には、大手銀行クレディスイスが施主となる集合住宅地がミュラー夫妻の地域熱供給網に接続した。

「先方が決意した論点は環境的な付加価値でした!価格割引を要求されることもなく、とても前向きに交渉が進みました」と、ミュラー夫人は語る。

 

この地域熱供給施設では、夏の間はバイオガス・コージェネの排熱のみで熱供給を行い、暖房シーズンが始まり熱需要が高まると、チップボイラーが追加で稼働する。また、熱需要が少ない夏には余った排熱を利用して、地元の木質バイオマス販売業者の薪やチップを乾燥する事業も行っている(写真3)。スイスの買取り制度では、バイオガス発電からの排熱の70%以上を利用することが良好な買取り価格を得る条件となっているため、徹底した排熱の活用・販売に力が入れられているのだ。現在の排熱の利用率は、夏の間は7割、冬は100%となっている。

 

エネルギー作物を使わない発酵資源

スイスでは、農地で作ったエネルギー作物を、バイオガスの発酵原料とすることが許されていない。そのため、ウンターブック農場のバイオガス設備では、糞尿と残渣といった廃棄物を発酵原料としている。自家農場からの家畜の糞尿が年5000~6000㌧。これに収穫残渣や緑肥、近所の製粉工場のもみ殻や養鶏場の鶏糞など年8000㌧を混合したものである。発酵残滓は、液肥として自家農場や近辺の農家の畑に撒き、年200㌧の化学肥料を節約することに繋がっている。

 

同農場のバイオガス設備の大きな特徴は、発酵炉や発酵残滓、バイオガスのタンクを地下に埋設している点だ。それにより、周辺からは発電建屋以外の施設は見えず、臭気もまったくない。住宅地に近い施設ということで、景観や臭いには細心の注意が払われている。発酵炉を地下化することには別のメリットもある。地上型設備よりも熱損失が少なくなり、発酵炉を温める熱を節約できるという点である。その他、ガスタンクの温度が通年して安定するので、ガス品質を良好に保つことができるという。

 

助成金に頼らない事業計画

ミュラー夫妻が実現してきたこれらのエネルギー事業は、バイオガス発電が買取り制度を利用している点を除いては、一切助成金を得ずに建設、運営されている。自力での経営を成立させるために、上述した排熱の徹底利用など様々な努力が積み上げられている。そんなミュラー夫妻の将来のビジョンは、タイインゲン村を100%再生可能エネルギーにすることだ。

 

少なくとも熱分野については、次のステップが見えてきている。現在、タイインゲン村にある既存の地域熱供給網をウンターブック農場が引き継ぐ交渉が、自治体との間で進められている。既存の古い熱源を交換する代わりに、ウンターブック農場の熱源に接続するという意味だ。これが決まると、学校と50世帯が新たな顧客に加わる。そうなるとピーク時需要の供給を保証するために追加のチップボイラーの設置が必要となる。ミュラー夫妻のエネルギー事業は今後もまだ拡張してゆきそうだ。

 

ウンターブック農場は、経営能力の高い農家が、食物とエネルギーの生産を両立させ、地域にバイオマス資源の循環がもたらした好事例である。(滝川薫)

 

 

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ウンターブック農場の全景。左側が地下化されたバイオガス発酵炉の設備。右側が住居と納屋。熱供給設備は納屋の一部にある。建物の屋根は太陽光発電で覆われている。
©www.unterbuck.ch


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ウンターブック農場からタイインゲン村の住宅地や産業地帯に熱供給管を埋設する様子。
©www.unterbuck.ch

 

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バイオガス・コージェネの夏の排熱を活用した薪とチップの乾燥設備。
©Takigawa/Wassmann

 

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(上)発酵原料を混ぜるミキサー。地下化された発酵炉の上に設置されている。
©Takigawa/Wassmann

 (下)ウンターブック農場のバイオガス発電機。排熱は地域暖房網の主要な熱源として用いられている。熱需要の高まる暖房期にはチップボイラーを併用している。©Takigawa/Wassmann






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新エネルギー新聞(新農林社)に毎月国際ニュースを寄稿しています。新エネルギー新聞の許可を得て、バックナンバーをこのブログに転載していきます。

掲載誌:新エネルギー新聞http://www.newenergy-news.com/

 

【下記、新エネルギー新聞2016年8

月8 日第58号および8月22日第59号より転載】

ドイツ:再生可能エネルギー法改訂 ~ 再エネ業界、さらなる縮小への懸念も

 

ドイツの連邦議会は7月8日、再生可能エネルギー法の改訂を可決した。これにより、野立て太陽光だけでなく、来年からは風力とバイオマス発電も入札制度に移行する。2年前の改訂に続き、再エネ電力増産にさらなるブレーキをかける本改訂の概要を、ドイツの再エネ業界の視点を交えて紹介する。

 

●2014年の改訂を振り返る~スピードダウンと大手主体への誘導

まずはじめに今回の再エネ法改訂の基盤を成す2年前の改訂を振り返ってみよう。

ドイツでは2000年に施行された再生可能エネルギー法により、市民や地域密着の中小の事業体が主体となった、ダイナミックな再エネ電力の増産が引き起こされ、電力消費の33%を再エネが担うようになった。しかし2014年の再エネ法改訂では、この急速な発展にブレーキをかける様々な仕掛けが導入された。大手電力や石炭・褐炭発電業界の影響を強く受けたメルケル政権の目標は、2025年までに再エネ電力の割合を45%以下に抑えることであり、これまでの増産スピードではこの上限を超えてしまうからである。

 

そのため前改訂では、風力、太陽光、バイオマスについて、低い増産目標量(上限量)を導入。そして設置量が目標を上回ると買取価格が低下する仕組みを取り入れた。そして100㌔㍗以上の発電設備には直売を義務化し、フィードインプレミアム(FIP)に移行させた。また野立て太陽光(10㍋㍗以下)については入札制度を導入。これまでに4回、625㍋㍗分の入札が実施されている。さらに、太陽光発電などの10㌔㍗以上の発電設備からの電力を自家消費する場合には、課徴金の一部が課金されるようになった。

 

こうした事業環境の不安定化・複雑化の結果、昨年の新規設置出力は太陽光が1・43㌐㍗、バイオマスはわずか101㍋㍗と低調で、今年も改善する見込みはない。太陽光は目標を1㌐㍗も下回ってしまった。唯一、陸上風力は比較的好調で、目標を上回る3・6㌐㍗が建設された。また野立て太陽光の入札制度では、予想されていた通り、資本力の大きな企業が強く、市民エネルギー協同組合は入札量のわずか0・22%しか落札できていない。これまでドイツのエネルギー大転換を支えてきた市民エネルギーが入札制度により排除されていく構図が具現化してきた。

 

●2017年の改訂~750㌔㍗以上は入札制度へ

このような中、今回決定され、2017年から実施される改訂の内容は、連邦経済エネルギー省によると、次の三つの根本方針に基いて策定されている。①コスト効率の高い増産、➁入札におけるプレイヤーの多様性確保、➂増産目標の順守、である。一番大きな特徴は、750㌔㍗以上(バイオマスについては150㌔㍗以上)の設備の入札制度への移行である。つまり風力やバイオマス、大型の屋根置き太陽光も入札制度に移行し、増産量の80%が入札の管理下に置かれる。その際に、後述する対策により市民エネルギープロジェクトにも配慮するという。

 

各分野ごとには、次のような改訂の概要になっている。

・風力:陸上風力は、来年から2019年まで年2・8㌐㍗が入札にかけられる。これには古い機材のリパワリング出力も含まれる。その際、系統容量がひっ迫していると定義される地域については、新設を2013~15年の平均設置量の58%に制限するという項目が入れられた。 2016年末までに建設許認可を得た設備に関しては、これまでの買取制度が適用される。洋上風力については目標は変わらず、年2030年までに設置出力を15㌐㍗に増やす予定だ。

 

・太陽光:大型太陽光は年650㍋㍗が入札にかけられる。全体の設置目標は年2・5㌐㍗だ。750㌔㍗以下の設備では、これまで通りFIP(100㌔㍗以上)かFIT(100㌔㍗以下)を利用したビジネスが展開できる。「これに関して業界はほっとしています。屋根置き太陽光の大部分が入札へのシステム転換の影響を受けずに済んだことは良いことです。」と、ソーラー経済連盟の事務局長カルステン・ケルニッヒ氏はコメントしている。

 

・バイオマス:2019年まで年150㍋㍗が入札にかけられる。新規設備だけでなく、古い設備の10年間の系統接続延長に関しても入札に参加することが可能だ。入札では、電力需給状況に応じたフレキシブルな運転を行うことが条件となった。今後は常時発電するのではなく、風力や太陽光の発電量が少なく、発電需要がある時に発電せよという意味である。

 

●業界からの批判の声

今回の再エネ法改訂は、前改訂により引き起こされた分散型再エネ増産へのネガティブな影響をいっそう強める「再エネ阻止法」であるとして、主要な再エネ業界や環境団体は準備の段階から改善を求めてきたが、残念ながら大きな効果はなかった。これらの団体が強く批判するのは特に下記の点である。

 

・2025年に再エネ電力45%という目標設定: そもそも目標値が低すぎて、ドイツが署名したパリ協定の目標との整合性が取れていないという批判だ。環境団体グリーンピースのレポートによると、ドイツがパリ協定の目標を満たすためには電力分野は2030年以前に100%再エネを達成する必要があるという。特に再エネ電力は、熱分野や交通分野においてもCO2削減の鍵となる要素である。よって温暖化政策の視点からは、再エネ電力の増産と脱石炭・褐炭は大幅にスピードアップさせる必要がある。

 

・陸上風力の入札制度への全面的な移行:陸上風力は、将来的にドイツの電力供給の大部分を担っていくことが期待される重要なエネルギー源である。この分野が資本力の弱い事業者が入り込みにくい入札制度に移行することにより、これまでの重要な推進力であった住民出資や地域密着の中小事業者の活動が阻まれ、それにより増産目標量が達成できないことが懸念されている。ドイツでは風力プロジェクトへの住民や自治体の理解と賛同を得るためには、地域密着のプロジェクト開発を行うことが不可欠な側面になっているためだ。

 

風力連盟の理事を務めるヘルマン・アルべス氏は、「立法者は、順調に伸び、(発電コストが)大変安価な風力に大きな困難を突き付けました。我々は、ドイツのダイナミックで多様性のある市場を発展させるためには、入札制度は難しいツールであると考えます。業界は市場プレイヤーという面からの構造崩壊に直面しています。」と、強い危惧を表明している。また、再生可能エネルギー連合の事務局長ヘルマン・ファルク氏も、「2017年の再エネ法で実施される入札システムへの転換は、分散型エネルギー大転換にとって明確な後退です。」と、コメントしている。

 

●再エネ業界にとってポジティブな項目

このように今回の改訂ついてのドイツの再エネ業界のプレスリリースは、ほとんどが批判的な内容となっているが、例外的にポジティブな評価を受けている改訂項目もある。例えば、過剰供給時において系統安定化のために再エネ設備の出力制限を行う代わりに、余剰電力を暖房や給湯用のヒートポンプや電気ヒータといった熱分野に使うことを進めるツールを導入するという点だ。今後、再エネによる余剰電力を熱や交通の分野に利用していくための第一歩として評価されている。

 

あるいは太陽光については、賃貸集合住宅の屋根に設置された太陽光から、賃借人に電力を直売する事業モデルへの障害が緩和されることになった。今後このような「賃借人電力」は自家消費電力と同等に扱われ、課徴金額が低減される予定だ。これにより屋根からの太陽光電力を購入する賃借人は、一般電力よりもかなり安い電力を入手できるようになる。「ソーラー電力の賃借人向け直売は、エネルギー大転換を都市部に持ち込むでしょう。これは大きな成功です。」と、ソーラー経済連盟のケルニッヒ氏はコメントしている。

 

また今回、法律の中で「市民エネルギープロジェクト」が初めて定義され、これを満たす事業者に対して陸上風力の入札条件が緩和された点も、業界では歓迎されている。具体的には「10人以上から成り、議決権の半分以上を現地住民が有し、どの出資者も議決権の10%以上を持たない事業団体」で、プロジェクトの大きさは「最大で6基、18㍋㍗」とされている。こういった「市民エネルギープロジェクト」は、用地確保と風況鑑定さえ準備すれば、環境悪影響保護法の許認可を取得する前の段階で入札に参加できる。しかしこういった配慮を以てしても、ほとんどの市民エネルギー事業体にとっては入札に伴う経済的リスクは大きすぎるので参加は不可能だろう、という見解が業界では強い。

 

●市民エネルギーの底力への期待

このようにドイツの再エネ業界や中小の市民エネルギー事業体にとっては、成長や活動の場が制限される厳しい年月が当面は続きそうだ。ただ、産業や住宅における太陽光の自家消費設備や賃借人電力の市場、あるいは市民エネルギーからの電力直売など、入札制度とは関係なく成長が見込める市場もまだある。また風力の入札においても、地域の市民エネルギー協同組合や市民エネルギー企業、自治体のエネルギー公社らが事業共同体を形成することにより、第1回の入札に挑戦してみたいとの声も関係者からは聞こえてくる。

今回の法改訂によりドイツの市民エネルギー、地域エネルギーには、新しいビジネスモデルを作り上げる底力や結束力が試される時代が到来した。(滝川薫)


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