100%再生可能エネルギー地域のブログ

ヨーロッパの各国、ドイツ、スイス、オーストリア、デンマーク、イタリアにおける再生可能エネルギー(新エネルギー、自然エネルギー)によって自立を目指す地域や自治体を紹介した本をより詳細に知るためのページです。

※MIT Energy Visionのニュースレター2018年3月(告知)から転載します。
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皆さま、MITの村上です、こんにちは。今回は、MITで企画したもの2点について告知させてください。
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!お知らせ!
★ 2018年6月、MIT企画の中欧視察セミナー開催
「ポストFIT ~持続可能な再エネビジネス」の催行が確定
まだまだ追加の参加者を募集しています!


ミット・エナジー・ヴィジョンでは今年も、下記の日程で視察・セミナーを企画しています。最低参加人数のお申込みがありましたので、この視察セミナーの催行が確定しました。まだまだ追加の募集を受け付けていますので、新しい再エネビジネス動向をお知りになりたい方、検討してみてください。

2018年6月21日(前日までに各自でドイツ・ミュンヘン入りしていただき、早朝に市内に集合)
~6月26日(前日の夜でプログラムは終了し、この日の朝にドイツ・フライブルクで解散)
費用:1人2700 ユーロ(現地集合・現地解散、宿泊費シングル利用5泊)
メインテーマ「ポストFITと持続可能な再エネビジネス」

今年は、FITを卒業したドイツにおける新しい再エネビジネスというテーマと並んで、日本では野立ての太陽光発電が数多くの問題を引き起こしているため、自然保護を両立させる持続可能な再エネ開発をテーマに視察セミナーを行います。また同時期に開催される欧州最大のソーラーメッセである「インターソーラー・ヨーロッパ」を訪問し、蓄電池分野に重点を置いて見学します。参加をご希望の方は弊社にメールでご一報ください。

視察先(一部はまだ候補)とテーマ:
・メッセ・インターソーラーを案内付き見学(蓄電池関連を中心に)
・エネルギー自立農村のヴィルトポルツリード村を訪問
・ソーラーシェアリング視察
・近自然型管理・デザインによる野立てソーラーパーク
・エネルギーシフトの要である団地改修と地域熱供給、そしてプラスエネルギー建築
・セクターカップリングとVPPのレクチャー
・風光明媚な中山間地域での風車の開発(自然保護対策・代替対策・景観保全、自然保護団体との協働)

参加をご希望の方は弊社にまずはメールでご一報ください。
info@mit-energy-vision.com

多少の修正、変更はありますが、具体的な訪問先、プログラムなどは以下のホームページからプログラムをダウンロードください。
https://www.mit-energy-vision.com/
 
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!お知らせ!
★ 「進化するエネルギービジネス―100%再生可能へ! ポストFIT時代のドイツ」を出版しました!


これまでMITでは、ドイツをはじめとする欧州の再エネ推進の状況について、「欧州のエネルギー自立地域」「ドイツの市民エネルギー企業」という2冊の共著を執筆してきました。
今回は、この「100%再生可能へ!」シリーズ三部作の集大成ともいえる新著が出版されましたのでお知らせします。FITという助走が終わったあとの新しい再エネビジネスを中心に、MIT3名に加えて、2名の豪華な専門家を加えた共著となっています。

タイトル:「進化するエネルギービジネス―100%再生可能へ! ポストFIT時代のドイツ」
出版社:新農林社
著者:村上敦他
ISBN-13:978-4880280950
 488028095X












内容:
ポストFIT時代に突入した、「ビジネスとしての欧州再エネ」の新側面に迫る!自然と調和する持続可能な発電設備のデベロップメントから、自家消費、直売、VPP、系統の柔軟化、デジタル化、セクターカップリングまで。欧州在住ジャーナリストがエネルギー自立の進化を現場からレポート。分散型エネルギー社会実装によって変容するエネルギービジネスはどこへ向かうのか?
http://amzn.to/2u9O0V4

現在、ネットでは下記のサイトでのご購入が可能です。

新農林社 www.shin-norin.co.jp/shop/24_5494.html

楽天ブックス https://books.rakuten.co.jp/rb/15415890/

TSUTAYA      http://tsutaya.tsite.jp/item/book/PTA0000VUJM3


その他、以下の書名などを示していただければ、全国どこの書店でも取り寄せは可能になっています。アマゾンでの販売にはもうしばらく時間がかかる予定です。


※今日はミット・エナジー・ヴィジョン社のメールニュース2018年冬号を転載します。

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皆さま、明けましておめでとうございます! 本年もよろしくお願いいたします。

ついさっき始まったばかりのように思える2017年もあっという間に終わり、2018年に突入しました・・・時の経つのが早すぎます(汗)。

今回も、MITメンバー3名から、皆さまにコラムと各種の告知についてメールニュースをお送りします。今回は、池田→村上→滝川という順でコラムを書いています。

さて、今年の欧州の冬は、年末近くまで例年になく寒く、湿っていました。積雪やみぞれ、気温05度前後の雨など、なかなか外に出るのは億劫な毎日でした。ただし、クリスマス前には急に温暖になり(日本には爆弾低気圧という恐ろしい名前のものが到来し冷え込んだようですが)、10年に1回ぐらいしかやってこないホワイト・クリスマスを楽しみにしていた子供たちは、今年も雪景色を楽しむことはできませんでした。ということで雪の話題は池田が取りまとめています。

また今回の告知では、今年6月に企画している「中欧視察セミナー参加者募集」を開始したことについて掲載しました。これに関連して、村上、滝川がコラムを書いています。

それでは、最後までお楽しみください(村)。

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MIT:池田

お金と水とエネルギーで冬を買う

私の冬の楽しみはスキーです。

今年は年末年始の休みは、シュヴァルツヴァルトでもスキーができそうですが、ここ数年は、温暖化の影響で、暖冬が続き、スキーができない日が多くありました。スキー場は、人工降雪機を装備して、リフトの稼働日数をなんとか維持しようと頑張っています。それに対する批判も、とくに自然保護団体から上がっています。1スキーヤーとして責任もあるので、人工降雪機の問題を調べてみました。

人工降雪機で雪をつくるのには、まず原料として大量の「水」が必要になります。ヨーロッパアルプス地域スキー場では、1haあたり1シーズンおよそ4000m3の水が必要になります。黒い森の一番大きな中規模スキー場「フェルトベルク」は、およそ1シーズン80000m3の水を使用していますが、自然の雪水や雨水を人工の溜池に貯水し、それを使っています。「空からその場所に降ってきた自然の水で、それが人工雪となってその場所に撒かれる。原料は水だけで添加物も入れないので、自然環境への悪影響はほぼない」とスキー場運営事業体は主張していますが、自然保護団体のNABU BUNDは、「自然の小川や周りの土地に分散される水が貯水池に集中するので、他の場所での水不足を招き、凍りやすくなり、生態系に悪影響を及ぼす」と批判的な見解を持っています。

また、人工降雪機を稼働させるためのエネルギー使用量も問題視されています。自然保護団体BUND のレポートによれば、アルプス地域(オーストリア、スロベニア、イタリア、ドイツ、スイス、フランス)のスキー場の滑走路約10万ヘクタールのうち、7万ヘクタールが人工降雪機を備えています(2014年の調査)。年間の予想エネルギー消費量は2100 GWhで、約50万世帯分に相当します。温暖化で雪が少ないという問題を解決するために、大量のエネルギーを消費し、温暖化をさらに助長する、という悪循環の構図があります。

人工降雪設備のコストはどれくらいでしょうか? ドイツスキー連盟によると、コース1kmあたり平均65万ユーロ(約8600万円)の初期投資費用がかかります。スイスでは、平均100万スイスフラン(約12700万円)です。年間の経費は、ドイツで1km あたり約35,000ユーロかかっています。

中規模以上のスキー場がある地域では、スキーは地域経済の需要な柱であり、多くの人の生活が支えられています。それを守り維持するために、税金を使い、補助金を使い、ここ10数年、多大な投資がされています。

しかし、温暖化は進む一方。雪が少なくなるほど年間経費は高くなり、人工降雪機へのさらなる投資の需要も増してきます。しかし現在使用されている人工降雪機のほとんどは、夜間気温がマイナス2度以下になってはじめて技術的に機能します。また貯水槽のなかに十分な水がたまるくらい雨や雪が前もって降っていなければなりません。それらの前提条件が整わない日も増えています。たとえば昨年のクリスマスは、シュヴァルツヴァルトのもっとも高い山フェルトベルクでも暖かすぎて、人工降雪機が稼働できず、スキー場のリフトは動きませんでした。

冬の観光はスキーだけではありません。冬山散策や博物館、スパなど、観光やレジャーの多様性は増してきています。自然保護団体などを中心に、スキーだけに拘ること、それだけに多額の不確実な投資をし、しかも環境に負荷を与えることを批判する声が高まっています。「現在のようにスキーができなくなる近い将来のことを考えて、オルタナティブな観光、レジャーに多面的な投資をしていくべきだ」と。

私が子供とよく行くスキー場は、家から車で20分、Tバーリフトが2つだけの、小さいスキー場です。人工降雪機はなく、環境負荷は少ないのですが、経営は赤字で、現在臨時経営体制で運営されており、新しい運営事業体、投資家を募っています。

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!お知らせ!

★ 20186月、MIT社が企画する 中欧視察セミナー開催のご案内

「ポストFIT ~持続可能な再エネビジネス」の募集がはじまりました

ミット・エナジー・ヴィジョンでは今年も、下記の日程で募集型での視察・セミナーを企画しています。

2018621(前日までに各自でドイツ・ミュンヘン入りしていただき、早朝に市内に集合)626(前日の夜でプログラムは終了し、この日はドイツ・フライブルクで解散)

費用:12700 ユーロ(予定)、(現地集合・現地解散、宿泊費シングル利用5泊)

メインテーマ「ポストFITと持続可能な再エネビジネス」

今年は、FITを卒業したドイツにおける新しい再エネビジネスというテーマと並んで、日本では野立ての太陽光発電が数多くの問題を引き起こしているため、自然保護を両立させる持続可能な再エネ開発をテーマに視察セミナーを行います。また同時期に開催される欧州最大のソーラーメッセである「インターソーラー・ヨーロッパ」を訪問し、蓄電池分野に重点を置いて見学します。参加をご希望の方は弊社にメールでご一報ください。

視察先の選定候補とテーマ:

・メッセ・インターソーラーを案内付き見学(蓄電池関連を中心に)

・エネルギー自立農村のヴィルトポルツリード村を訪問、再エネ設備を視察

・ソーラーシェアリング視察

・近自然型管理・デザインによる野立てソーラーパーク

・エネルギーシフトの要である団地改修と地域熱供給、そしてプラスエネルギー建築

・セクターカップリングとVPPのレクチャー

・風光明媚な中山間地域での風車の開発(自然保護対策・代替対策・景観保全、自然保護団体との協働)

参加をご希望の方は弊社にまずはメールでご一報ください。

info@mit-energy-vision.com

多少の修正、変更はありますが、具体的な訪問先、プログラムなどは以下のホームページからプログラムをダウンロードください。

https://www.mit-energy-vision.com/

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MIT:村上

ドイツをはじめとするエネルギー業界の転換

社会には統計数字には表れない事柄も存在します。ドイツの電力だけではなく、熱と交通などの分野も含まれた「最終エネルギー消費」における再生可能エネルギーの割合は、2000年の3.7%から2012年の13.1%まで、毎年およそ1%ずつ順調に成長してきました。しかし、その後の5年間は伸びがぱったりと止まり、2017年末までの再エネ割合は15%程度に留まっています。

それでは、数字として伸びていないなら、再エネ世界、エネルギー業界では、過去5年間、何も進展しなかったのでしょうか? いいえ、私の答えは「いや激動の5年間でした」というものになります。激動と表現する出来事をキーワードで表すなら、「太陽光発電の自家消費モデルの普及」、「微風風力発電の普遍化」、「仮想発電所(VPP)の大躍進」などが該当しますし、「電力システムの柔軟化対策」、「電力取引市場2.0」、「セクターカップリング」などの概念はすでに一般化しています。

これらのキーワードは5年前まではあまり使われてこなかった概念や取り組みですが、2017年現在では日常のこととしてリアルに事業が推し進められています。つまり、段階的に2012年を境にFITから卒業した再エネは、FIP(フィードインプレミアム)に突入、それを引き金にして生じたエネルギーヴェンデの第二段階「再エネの電力システムへの統合」を表す事柄です。

残念ながらドイツではFIT賦課金の高騰が2012年ごろには社会的な大きな問題として取り扱われ、再エネの量を増加させる政策はメルケル政権が大々的に抑制し続けています。しかし、すでに安価になり、市場競争力をある程度持つようになった太陽光と風力は、自身の形態を進化させ、既存の電力システムの枠組みも変更されてゆく中で、しっかりとした次の基幹電源としての準備が進められるようになりました。

さらに残念ながらドイツでは、2017年の総選挙では支持率を落としながらもメルケル首相と保守政党は再任された形となり、再エネのブレーキは少なくともあと4年間は、かけ続けられることとなりました。しかし、その次の総選挙の際には、国が補助する形の推進策がなくとも再エネは独り立ちしてそのプレゼンスを強められる段階に入っているのではないか、と期待しています。

そんな過去5年間で進められた激動の変化について、MIT3人は共著を執筆し、現在校正中です。書籍名はまだ仮題ですが「100%再生可能へ! 進化するエネルギー自立とビジネス」、副題・帯文句は「ポストFITのドイツにおけるエネルギービジネス」という感じの本となって、皆さまのお手元に2018年の2月末までには届けられると考えています。

また、前項で掲載させていただいたMIT企画の「欧州の再エネ・視察セミナー」もこの趣旨で計画しています。なにはともあれ、2018年もMITではドイツやスイスなどの情報を皆さまに届けられるように活動を続けてゆきますので、今後ともよろしくお願いします!

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!お知らせ!

★ソーラーコンプレックス社による日本語ニュースレター

下記リンクからソーラーコンプレックス社の日本語ニュースレター年末年始号を読むことができます。ミット・エナジー・ヴィジョンでは、南ドイツの市民エネルギー企業ソーラーコンプレックス社が発行するニュースレターの日本語版の作成をサポートしています。同社の活動が、日本で地域密着の再生可能エネルギー事業に取り組む方々の参考になることを期待しています。

http://www.solarcomplex.de/aktuell/newsletter.html

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MIT:滝川

「自家消費コミュニティ」でスタートするエネルギー戦略2050元年

この冬は雪と霧が多く、太陽にお目にかかれない天気が何週間も続いています。それでも2018年はドイツだけでなく、スイスも「ソーラーエネルギーが面白い年」になりそうです。

2017年は、スイスでは脱原発を含むエネルギー戦略2050が国民投票で可決された年でした。だからと言って劇的に変わったことはありませんが、民主的に着地点が決まり、方向性が明確になったことにより、市民も、エネルギー業界の人も、お役人も、何だかすっきりとしたように感じられます。

2018年からは、エネルギー戦略2050に関連した諸法令の改訂が、晴れて施行されます。それにより太陽光発電の自家消費事業に増々広がりが見られそうです。スイスではほとんどの太陽光設備がFITを利用できない制度の中、自家消費中心の市場が形成されてきました。今日、発電量に占める太陽光の割合はまだ3%ばかりですが、その32が買取制度を利用しない設備になっています。

今回の法改訂でも太陽光発電の自家消費をいっそう促すための工夫が取り込まれていますが、中でも「自家消費コミュニティ」の形成が可能になる点が注目されています。これまでの自家消費は、屋根からの太陽光発電の電気を、系統を介さずに建物内や団体内で使ったり、販売するというものでした。それがこれからは、所有者の異なる隣接する敷地の建物(の利用者)とも「コミュニティ」を形成して、太陽光の電力を売買することができるようになります。これにより分譲住宅地や街区、産業地帯、あるいはお隣さん同士での自家消費が進む見込みです。各地のシュタットヴェルケも、こういった「コミュニティ」向けのサービス販売に乗り出しています。どのようなコミュニティが生まれてくるのか楽しみです。私たちの暮らす集落でも是非提案してみたいと思っています。

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!お知らせ!

★ 「フォーアールベルク州における持続可能な建築」が発刊されています

パンフレット「フォーアールベルク州における持続可能な建築」の日本語版が発刊されました。日本でも注目されている持続可能な建築の先進地域である西オーストリア・フォーアールベルク州の取り組みを、美しい写真と共に紹介した約30頁の冊子です。著者はエネルギー研究所フォーアールベルク。日本語版の翻訳はミット・メンバーの滝川が行い、東北地方の省エネ建築に携わる企業や団体により発刊が実現しました。下記より、お取り寄せが可能です(一冊500円)。

ご注文先: 岩手県中小企業同友会  info@iwate.doyu.jp、TEL 019-626-4477

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今回のメールニュース、いかがでしたか? それでは、次回もお楽しみに!

 

ミット・エナジー・ヴィジョン社では、南ドイツの市民エネルギー企業であるソーラーコンプレックス社の日本語版ニュースレターの翻訳作成に協力しています。2017年第3号のニュースレターを下記に転載します。
写真付きのオリジナルは、下記リンクよりご覧になることができます。
ソーラーコンプレックス社のページへ

(以下転載)
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こんにちは

 

 今年も温暖化の進行と関連して極端な気象現象が数多く記録されています。

 

 それによって幅広い市民の意識は高まるどころか、反対に緩慢に進行する慣れでもって反応するようになってきています。社会的な議論では、温暖化防止や化石エネルギーの再エネによる代替は重視されることがないのに対して、安全と安心への強い要求が支配的な位置を占めています。連邦議会選挙では、エネルギーヴェンデの継続は全く話題にされません。これは致命的なことです。
 なぜなら温暖化を(産業革命前の時代と比べて)二度以下というまだ何とかなるレベルに抑えることなく、安全は得られないからです。世界中の移民の波は静まることなく、その反対に増えることでしょう。これに関してEUは外界からの隔絶を試みていますが、EU圏内の市民が大々的な移動を始めるようになったら、どのように反応するのかが見どころです。
 ポルトガルやスペイン、イタリアといった南欧のいくつかの国では干ばつや森林火災、水不足が頻発し、農業や観光にも影響を及ぼしています。ここでも人々が未来への希望を失い、EU内での移民となるのは時間の問題です。その時に「ドイツのための選択肢」党は、地中海ルートの代わりにピレネー山脈を通過する道路や鉄道や航空路を閉鎖しようというのでしょうか?ヨーロッパの理念の支柱である人の移動の自由を廃止しようとするのでしょうか?
 隔絶が、我が身を救わんとするばかりの無力で不適切な試みであることは明確です。深刻さが増幅する結果の方を修正するのではなく、温暖化を防止した方が明らかに安い、という理解が浸透する頃には、すでに時間切れになっているでしょう。今日のドイツは、他の文明国のような高速道路への速度規制すら導入できないのです。しかもそれは突破口ではなく、始まりにすぎないのです。

 

 連邦風力連合、バーデン=ヴュルテムベルク州のソーラークラスター、バイオガス専門連合、バーデン=ヴュルテムベルク州自然保護連合、ボーデン湖基金、シェーナウ電力そしてソーラーコンプレックス社は、この状況に甘んじることなく声を上げます:

 エネルギーヴェンデは後押しが必要です!一緒に進めて行きましょう。

 

 

ソーラーコンプレックスなご挨拶と共に

 

フローリアン・アルムブルスター、ベネ・ミュラー、エバーハルト・バンホルツァー


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●新しいソーラーパーク

 ビンゲン村とシュトルツィンゲン村の産業地区(シグマリンゲン郡)の2カ所にて、各750kWの出力のソーラーパークの運転を開始しました。ソーラーパネルの下には、エコロジー的な価値が高い緑地として貧養性の草地を作ります。ソーラーコンプレックス社では、太陽光発電に適した敷地を今後も探していきます。例えば閉鎖後の砂利採掘場やゴミ埋め立て跡地、産業地区の残余区画などです。

 

 

●ランデック村の太陽熱温水器

 現在、2000㎡以上の太陽熱温水器の入札プロセスが進行中です。この太陽熱温水器は、既存の地域熱供給網に後付け設置するものです。建設はランデック村の地域熱供給センターが立地するフライシュマン家の敷地で年内に行われる予定です。パネルの建設後には、ここでもパネルの下に種の多様性の豊かな緑地を作る予定です。私たちはランデッカー・オッティリエンクウェッレ社のオーナーであるフライシュマン家との良好な協働に感謝しています。

 


●ウィンドパーク・フェレーナフォーレンが運転開始

 コンスタンツ郡初のウィンドパークであるフェレーナフォーレンで、3.3MWの風車3基が運転を開始しました。プロジェクトのホームページでは数週間以内にリアルタイムの発電量を見ることができるようになります。運転1年後には2000kWhを達成するはずです。



●シグマリンゲン郡での熱供給網
 フェーリンゲンドルフ村では、NRS社初の熱供給網が間もなく完成し、シュトルツィンゲン村では数週間前に工事が着工しました。いづれの熱供給網も、熱の大半にバイオガス設備の廃熱を使っています。NRS社(シグマリンゲン地域熱供給社)は、シグマリンゲン都市エネルギー公社とソーラーコンプレックス株式会社の共同出資による会社です。

 

●シュルッフセー村の熱供給網
 シュヴァルツバルト高地の観光地であるシュルッフセー村にて、ソーラーコンプックス社は大型太陽熱温水器を伴う地域熱供給網を計画しています。2018年に着工となります。冬の間は地場材の木チップからの熱を、夏の間は6000㎡の太陽熱温水器からの熱を使います。温暖化防止と地域の経済的付加価値の創出の完璧な組み合わせです!

 

●ソーネット社への熱供給
 エコロジカルな洗剤メーカーであるSonett社が必要とするエネルギーは、将来、ソーラーと木質バイオマスにより供給されます。現在ソーラーコンプレックス社では、135kWのペレットボイラーを計画しており、廃熱も利用する予定です。ソーラーコンプレックス社では今後これらの設備からの熱を、契約で決められた条件に基づいてSonett社に供給していきます。(熱コントラクティング事業、英語のコントラクト=契約)

 

●日本語刊行物のダウンロードリンク

 ドイツのヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所の発行による冊子「都市エネルギー公社の新設と再公有化」が、日本語に翻訳されました。この翻訳は、ソーラーコンプレックス株式会社のスポンサリングにより実現したものです。下記のリンクから、冊子のPDFをダウンロードすることができます。

http://epub.wupperinst.org/frontdoor/index/index/docId/6075

 

 

ミット・エナジー・ヴィジョン社では、南ドイツの市民エネルギー企業であるソーラーコンプレックス社の日本語版ニュースレターの翻訳作成に協力しています。2017年第2号のニュースレターを下記に転載します。
写真付きのオリジナルは、下記リンクよりご覧になることができます。
ソーラーコンプレックス社のページへ

(以下転載)
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こんにちは

 

 気候変動は否認できるものでも、祈って解決できるものでも、トランプを以て無くせるものでもありません。それはすでに抑えることしかできないものになっています。気候に害を及ぼす化石エネルギーを、気候に優しい再生可能エネルギーにより早急に排除していくことによって。

 これを成功させるには、エネルギー・環境・経済政策において新しい方向性が必要です - 気候に優しいエネルギーを助成するのではなく、気候に害を及ぼすエネルギーを計画的かつ徹底して値上げしてゆくのです。環境汚染に関して私たちは、二つ事を文明的な自明の理として実践しています。固形ゴミは「森に捨てられる」のではなく、規則に則ったゴミ回収に出され、その費用は支払われます。液状ゴミは下水道に流され、その浄化の費用も同様に支払われています。これに続く三つ目のステップが欠けています。なぜなら(特に化石エネルギーの燃焼による)ガス状のゴミは、大気中にほぼ無料で「廃棄」されることが許されているからです。

 なぜそうなのでしょうか?私たちは視覚的な存在であり、ガス状のゴミは目に見えません。これを変えて行かなければなりませんし、このゴミにも当然ながら値札が必要です。それがCO2課徴金です。ドイツでは効果的なCO2課徴金を政治レベルで実現することだけを目的としたNPOが設立されました。気候保全を大切に考える企業や個人は誰でも参加することができます。www.co2abgabe.de

 私たちは参加をお勧めします。

 

 

ソーラーコンプレックスなご挨拶と共に

 

フローリアン・アルムブルスター、ベネ・ミュラー、エバーハルト・バンホルツァー


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●ウィンドパーク・ヴェレーナフォーレンが送電開始

 コンスタンツ郡初のこのウィンドパークでは3基の風車の建設が終了し、試験運転が行われています。事業会社は建設期間とコストが計画通りに守られ、大きな支障や事故がなく竣工できたことを嬉しく思っています。

 

ウィンドパーク祭り 2017715

 コンスタンツ郡初のウィンドパークの運転開始のお祝いを行います。興味のある市民の皆さまを対象に、13時からインフォメーション提供、飲食、音楽演奏、福引が行われるほか、一基の風車を訪問することができます。

 

シグマリンゲン郡の熱供給網

 フェーリンゲンドルフ村ではNRS社の初の地域熱供給網の工事が順調に進み、一部の建物への熱供給が始まりました。シュトルツィンゲン村でも建設工事がこの夏から開始されます。この村でも供給される熱エネルギーのほとんどがバイオガス設備の廃熱によりまかなわれます。NRS社(シグマリンゲン地域熱供給会社)は、シグマリンゲン都市エネルギー公社とソーラーコンプレックス社による合同会社です。

 

●ソーラーパークの増設

 自治体ビンゲン村の産業地帯に750kW弱の野立てソーラーパークを建設します。このパークは今後年80kWhのクリーンな電気を供給する予定です。このプロジェクトのすぐ後にシュトルツィンゲン村でも750kWのソーラーパークの建設作業を開始します。ソーラーコンプレックス社では、今後も適切な用地を探しています。廃棄物の埋立地後や、砂利採掘場後、あるいは産業地帯で使われずに残っている土地などが適しています。

 

●ランデック村の太陽熱温水器

 既存の地域熱供給設備に、野立ての太陽熱温水器を補足します。これにより夏の間の木質バイオマス消費を大幅に減らします。設備のコンセプトはビュージンゲン村の地域熱供給設備と同じですが、太陽熱温水器の大きさは二倍の2000㎡以上になります。適切な用地の賃借契約はすでに結ばれており、現在はプロジェクトの地区計画に関するプロセスが進行中です。

 

2016年の決算

 今年も公認会計士による監査証明書が出来上がりました。2016年は複雑な印象の年となりました。固定資産も(昨年の5350億ユーロから5600億ユーロへ)、バランスシートの総額も(昨年の6300万ユーロから6400万ユーロへ)増えました。ざっくり言えば企業の価値が上がったということです。対して純益を見ると、初期のバイオエネルギー村で実施していたオイル価格保証(オイルによる熱よりも安価な熱価格を保証する)のネガティブな影響が表れています。2016年はオイル価格が極端に安かったことから、約50万ユーロ分の熱販売に対して請求を行うことができませんでした。税金と利子、減価償却を引いた後の収益は「わずか」10万ユーロとなりました。そのため取締役と監査役会では配当を諦め、その代わりに収益を2017年に繰り越すことを今年の総会で提案する予定です。

 

本「ゴミ箱行きのヴィジョン」のご紹介

 ドイツのエネルギージャーナリストであるベルンヴァルト・ヤンツィング氏がドイツにおける原子力の歴史をコンパクトで分かりやすくまとめました。当初の原子力陶酔から60年代の初期の反対運動、そして7080年代にエスカレートする紛争まで。ドイツを変えた社会運動の歴史。

 

日本語刊行物のダウンロードリンク

 ドイツのヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所の発行による冊子「都市エネルギー公社の新設と再公有化」が、日本語に翻訳されました。この翻訳は、ソーラーコンプレックス株式会社のスポンサリングにより実現したものです。下記のリンクから、冊子のPDFをダウンロードすることができます。

http://epub.wupperinst.org/frontdoor/index/index/docId/6075


※今日はミット・エナジー・ヴィジョン社のメールニュース2017年冬号を転載します。
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皆さま、こんにちは。9月に入り、ドイツでは夏が終わりました。今年は35度を超える猛暑日が頻繁にあったライン平野の夏でしたが、現在は最高気温も20度に届かず、雨の多い日が続いています。

今年の日本の夏は多くの地域で雨が異常に多かったようです。アメリカにも現在、史上最大規模のハリケーンが到来しています。気候変動の影響だとは一口に言い切ることはできませんが、不穏な感じがしています。

さて今回も、MITメンバー3名から、皆さまにコラムと各種の告知についてメールニュースをお送りします。今回は、村上滝川池田という順で告知を挟みながらコラムを書いています。とくに今回は、電気自動車についての論考です。大量のマイカー(ガソリン、ディーゼル車)をそのままそっくり電気自動車に置き換えるだけでは問題は解決しないようです。さて、最後までお楽しみください(村)。

 

MIT:村上

ドイツ居住者にとっての日本という国

今年の夏休みには子どもたちを連れて日本に帰省し、休暇を楽しみました。通常、私は仕事とプライベートは完全に分けることを家族との対話で取り決め、心掛けているのですが、今回は少し特別にこの休暇で子供たちが感じたことをここでお伝えしたいと思います。

私の子供たちは、私という父親の職業柄、再生可能エネルギーや環境保護というのものに多少の興味は持っているものの、とりわけそれを強調して教育してきたことはありません。環境保護などのテーマについては、ごく一般的なドイツに居住する歳相応の若者の知識と態度を有しているだけのように感じています。

そんな子供たちですが、日本に滞在しているとドイツをはじめとする欧州とのあまりの違いに愕然とすることが多々あったようで、「なぜ日本では○○なの?」ということを繰り返し私に聞いてきました。その内容を取りまとめると以下のような4つのタイプに分けられます。

1.正気とは思えない過剰包装

コンビニでペットボトルの水を一本買っただけでも袋に自動的に入れられ、テイクアウトのコーヒーを買っただけでも袋に入れられ、新幹線でコーヒーを買うと、飲んだ後のカップを捨てるための新品のプラスチック袋を手渡され、スーパーでお菓子を買えば中身は愕然とするほど少ないので一瞬で食べてしまいますが、包装容器のゴミの山が残るこんなにプラスチックを無駄に消費することに罪悪感は感じないのだろうか?

2.自動販売機

キオスクで飲み物を販売しているすぐ隣の駅構内に留まらず、街中でも、コンビニの隣でも、スーパーの出入り口の近くでも、見渡す限り何もない人里離れた農村でも、常に、社会の至る所にキンキンに冷えた飲み物が出てくる自動販売機がくまなく設置されている様に愕然。便利というには行き過ぎた「量」に、こんなに無駄に電気を消費している自販機を大量に設置することに罪悪感は感じないのだろうか?

3.テレビ・音楽との付き合い方

デパート、商店街、プール、道の駅、カフェ、レストラン・・・日本の公共スペース、半公共的なスペース、そして商業スペースには、キンキンと音程の高いキッチュな音楽が無限ループで大音量で流れていてウンザリまた、多くの飲食店や販売店などでは、誰も観ていないのにテレビが流しっぱなしになっていてでも、電車内での携帯電話は周りの人に迷惑なので禁止されているというのには??? 日本人の耳はどうなっているの?

4.生物との付き合い方

水族館ではあまりの水槽の狭さ、雑多さなど、欧州水準の生物との付き合い方とは異なる(彼らにとっては)虐待としか映らない展示に、入って早々に半泣きで退場

もちろん、日本の素晴らしいところもたくさん発見してくれましたが、日本人の父親として自身の故郷を子供たちに紹介する際、こんなところを指摘されると、すぐに改善して欲しいなあと思っています。

 

!お知らせ!

 「フォーアールベルク州における持続可能な建築」が発刊されました

パンフレット「フォーアールベルク州における持続可能な建築」の日本語版が発刊されました。日本でも注目されている持続可能な建築の先進地域である西オーストリア・フォーアールベルク州の取り組みを、美しい写真と共に紹介した約30頁の冊子です。著者はエネルギー研究所フォーアールベルク。日本語版の翻訳はミット・メンバーの滝川が行い、東北地方の省エネ建築に携わる企業や団体により発刊が実現しました。下記より、お取り寄せが可能です(一冊500円)。

ご注文先: 岩手県中小企業同友会  info@iwate.doyu.jp、TEL 019-626-4477

 

MIT:滝川

オーストリアの農村部で増えるE-カーシェアリング

9月は視察が特に多い季節です。先週はお隣の国であるオーストリア中東部を訪れる機会を得ました。オーストリアでもエネルギーヴェンデや気候保全に野心的な目標を立てて取り組んでいる地域では、どこを訪れても交通という問題分野に悩んでいるという報告を聞きます(多角的な対策や努力にも関わらずCO2排出量が減らない)。そのような中、電気自動車の普及は多くの対策の一つにすぎませんが、オーストリアの州や自治体では豊富な再エネ電力を背景として、特に力が入れられているように感じました。

中でも興味深かったのは、町だけでなく、農村部で普及してきているE-カーシェアリングです。村庁舎の業務用社を電気自動車に交換し、それを住民にカーシェアリング車としても提供するモデルはかなり普及しています。その他、住民が中心となって10世帯ほどで電気自動車を共同購入し、それに必要な機材を取り付けてシェアするタイプも多いそうです。いづれにしても農村部の家庭で2台目の車を節約することが目的です。

例えば、ウィーンを取り囲むニーダーエスターライヒ州では、州の70カ所でそのような農村型E-カーシェアリングが実現されており、州の推進政策も受けて、その数はどんどん増えているそうです。人口165万人の同州では、2020年までに自動車ストックの5%を電気自動車に転換することを目標としています。そのような政策と裏合わせるように、2015年には電力分野での100%再生可能エネルギー目標を達成しました。豊富なドナウ川の水力に加えて、豊かな風資源を生かし、電力の3割を風力で供給しています。風力と太陽光については電気自動車の普及やセクターカップリングに備えて今後も拡張を継続していく戦略です。

私はスイスでの経験から、カーシェアリングと言えば主に公共交通の便の良い場所が適した立地であると思い込んでいました。しかし、電気自動車の機能向上と安い再エネ電力により、今日では農村部にも適したモデルに進化していることをオーストリアで目の当たりにした次第です。

 

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★MIT村上の共著の出版 『海外キャリアのつくりかた』

皆さんの生活に欠かせないエネルギー。とは言っても、とりわけ日本の若手にとって、エネルギーは目に見えないので、エネルギーとは何か、なぜ必要なのか、私たちはどのようにエネルギーを使っているのかを意識したことは少ないかもしれません。

この本を書いている5人は、それぞれのきっかけからドイツに住むようになり(1人はドイツ生まれですが)、日本のエネルギーのあり方に疑問を持ち、ドイツのエネルギーに対する取り組みを見つめながら仕事をするようになりました。

学生をはじめとする日本の若手の皆さんに本書では、「ドイツのエネルギー転換」と「5人の海外における仕事は何か?  どんな経緯で、何を考えて、何をドイツでしているのか?」の2つのテーマについてお伝えできればと思います。

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MIT:池田

電気自動車の問題、課題

電気自動車は、政治的な支援も受けて、今後急速に増加していくことが予想されています。しかしいくつかの問題、課題があります。

電気自動車の環境メリットは、走る場所では、気候変動ガスを排出しない、電源が再生可能エネルギーであればさらに良い、ということです。

しかし自動車の製造、特に蓄電池の製造における気候変動ガス排出は、今年発表されたIVLスウェーデン環境研究所の研究分析によれば、かなりの量があります。例えば日産リーフの場合は5.3トン、テスラーSであれば17.5トンの二酸化炭素が製造で排出されています。同じクラスのガソリン車と比較すると、日産リーフでガソリン車の走行3年分、テスラーS8年分です。

また、電池の主要原料であるリチウムの採取の際の環境負荷の問題もあります。リチウムの産地は、ボリビア、アルゼンチン、チリ、アフガニスタンなどの限られた地域ですが、採取に大量の水が必要とされ、採取後に汚染水が生じることなどで、周辺地域で水不足や農地の汚染の問題が生じています。また、現在においては電気自動車は全体の1%以下ですが、これが今後急速に増えていくとなると、資源不足が起こることが予想されます。蓄電池の性能の強化、革新がどれくらいのスピードで行われるかにもよりますが。

また、現在のリチウムイオンバッテリーは、そのほとんどがリサイクルされずに廃棄されています。リサイクル技術の研究開発も大きな課題です。

 

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ソーラーコンプレックス社による日本語ニュースレター

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、南ドイツの市民エネルギー企業ソーラーコンプレックス社が発行するニュースレターの日本語版の作成をサポートしています。同社の活動は、日本で地域密着の再生可能エネルギー事業に取り組む方々にも参考になると考えます。下記リンクからニュースレターを読むことができます。

http://www.solarcomplex.de/aktuell/newsletter.html

 

 

今回のメールニュース、いかがでしたか? それでは、次回もお楽しみに!

 



新エネルギー新聞(新農林社)に滝川薫が寄稿した国際ニュースのバックナンバーの一部を、新エネルギー新聞の許可を得て、このブログに転載していきます。

掲載誌:新エネルギー新聞http://www.newenergy-news.com/

 

【下記、新エネルギー新聞2017年2月6日71号より転載】

スイスソーラー大賞の集合住宅(下) ~ プラスエネルギー、電力直売、高度な省エネ



スイスでソーラーエネルギーの普及に寄与したパイオニア的な建築や人物、団体を毎年表彰するスイスソーラー大賞。本稿では同賞を2016年末に授賞した3つの住宅建築の事例を紹介する。特徴は、プラスエネルギー、電力の直売や自家消費、高度な省エネ性能である。

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写真:ブリュッテン村のオフグリッドの
9世帯集合住宅。高度な省エネ対策を行った上で、太陽光発電からのエネルギーだけで通年して熱・電力エネルギーを自給する。蓄電池と水素で蓄電。©Schweizer Solarpreis 2016


事例2:オフグリッドの快適な集合住宅


建築デザイン面で特に優れたプラスエネルギー建築に与えられる「ノーマン・フォスター・ソーラーアワード」部門の第二位に入賞したのが、チューリッヒ近郊のブリュッテン村に昨春竣工した、9世帯が入るオフグリッドの集合住宅である。オフグリッド建築であるため、電気やガス、地域暖房といったエネルギー系統に一切接続していない。太陽光発電から得るエネルギーだけで通年して100%の自給自足率を維持する実験的な建物だ。

 

エネルギー源は、屋根材と外壁材として設置されている126・5㌔㍗の太陽光発電。屋根材には効率の高い単結晶セルのパネルを用い、外壁材には太陽光発電と気が付かないような焦げ茶色でマットな質感の薄膜セルのパネルを用いている。一年の発電量は9・2万㌔㍗時が予定されている。

 

このエネルギー予算の範囲で、快適な住環境を実現するために徹底した省エネ対策が行われている。熱損失の少ないコンパクトな形の躯体は30㌢の断熱材で覆われ、冬の日射を取得するための大きな窓は断熱三層窓である。排気中の熱を回収するタイプの機械換気設備やシャワーの排水から熱を回収する装置、省エネ型の家電・照明や節水ノズルが設置された。全館床暖房と給湯の熱源には、地中熱ヒートポンプと廃熱を利用している。9世帯の住宅が必要とするエネルギー量は、1日に1時間の日射が照れば得られるという省エネ性能だ。

 

短期と長期の蓄電設備
ブリュッテン村のオフグリッド集合住宅では、短期的な蓄電設備と長期的な蓄電設備を分けて設置している。短期用の設備は約3日分の電力需要の容量を備えるバッテリーが担う。対して、長期用の設備は日射の豊富な夏と日射の乏しい冬の間のバランスをとるためのもので、水素がその役割を担う。水素は余剰電力を用いた電気分解装置により水から生産し、地下のタンクに貯めておく。そして電力の不足時には燃料電池で電熱併給を行う。

 

この他、余剰の電力の一部を用いてお湯を作り、長期用の大型貯湯タンクに熱という形でも貯めている。またこの集合住宅には、住民が利用することができる電気自動車が一台設置されており、余剰電力はそちらにも使われる。余剰電力をどの時点で、どこに貯め、どこに用いるのかはスマートな制御装置が管理する。


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写真:屋根材には単結晶セル、外壁材にはマットなこげ茶の被膜セルを利用。一見、太陽光発電に見えないデザインの製品だ。

©Schweizer Solarpreis 2016

 

エネルギー料金込みの家賃

住民は一般的な住宅と変わりない生活を送っているが、やはりオフグリッドであることから、家主側では住民の省
エネ行動を促す工夫も取り入れている。特に賃貸住宅では、同じ省エネ性能の住宅であっても住民の生活スタイルによってエネルギー消費量が大幅に異なるので、啓蒙やインセンティブは欠かせない。

 

ブリュッテン村の集合住宅では各世帯にタブレットを設置し、暖房・温水・電力に分けたエネルギー消費量の見える化を行った。その際に、家主が各世帯ごとに月々の「エネルギー予算」を定義。タブレットでは、1日に換算した予算のうち、その世帯がどれくらいのエネルギーを消費しているのか住民に表示している。そしてひと月の消費量が予算内に収まっている限り、住民のエネルギー料金は無料としている。ただし「エネルギー予算」をオーバーした住民は、超過分のエネルギー料金を支払わなければいけないという仕組みを導入した。

 

竣工後、はじての冬を迎えた同住宅。上記のオフグリッド対策により、寒冷で、日射の乏しく、エネルギー需要がピークを迎える冬を快適に乗り切ることができるのか、スイスでも注目が集まっている。


事例3:築251年の古民家を美しくプラスエネルギー化



2016年のスイスソーラー大賞「プラスエネルギー建築一般」部門では、前述のプロジェクトとは対照的な伝統建築が最優秀賞を受賞した。ベルン州農村部に1765年に建てられた木造古民家の二世帯住宅で、省エネ改修と太陽光発電の組み合わせにより345%のプラスエネルギー率を達成している。受賞では、歴史的な建物の保全と高度なエネルギー性能の両立が評価された。

 

施主は、長年空き家となり煤けていた古民家を、パッシブハウス基準の省エネレベルに改修した。建物の特長を成している南側の外観は厳格に保全しつつ、その他の外壁には厚さ30㌢の断熱材を施し、窓は断熱三層窓に交換した。照明はLED、家電は最高効率の製品に交換。暖房設備は、地中熱ヒートポンプによる全館床暖房を設置した。地中熱の設備は、夏に室内をやんわりと冷やすことにも使われる。夏に室内の熱を取り除き、地中内にその熱を送り込むことで、冬までに地中の温度を回復させることができる。これらの対策により、改修前と比べると建物のエネルギー消費量は-87%低減した。

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写真:1765年建設のベルン地方の古民家を省エネ改修し、屋根材として全方位に太陽光発電パネルを利用。二世帯住宅でプラスエネルギー率は345%。

©Schweizer Solarpreis 2016




この地方の伝統古民家の特長である大屋根
東・西・南・北の全面には、屋根材として太陽光発電パネルを用い、非常に美しい収まりとなっている。設置出力は89・4㌔㍗で、一年の発電量は9万500㌔㍗時。対して800平米の床面積を持つ建物の熱と電力のエネルギー消費量は2・6万㌔㍗時である。

 

省エネ改修の推進は、スイスの温暖化防止政策とエネルギー政策の中で最も重要な対策分野として位置付けられている。もちろん省エネ改修を必要とする建物のほとんどは歴史的な価値のある建物ではない。しかしこの事例では歴史的な建物であっても、高度な省エネ改修により、建物の元来の美しさを回復・保全しながら、現代の快適性とプラスエネルギー化を実現できることを示している。

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写真:屋根材として用いられている太陽光発電の古民家にふさわしい美しい収まり。

©Schweizer Solarpreis 2016



※今日はミット・エナジー・ヴィジョン社のメールニュース2017年春号(3月18日発行)を転載します。

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皆さま、こんにちは。アメリカ東部ではブリザードが吹き荒れたり、日本の一部ではまた冬に逆戻りといった状況もあるようですが、ドイツ南部やスイス北部はもう春の日差しが到来し、早咲きの桜もあちこちで開花しています。

まだまだ、これから1か月は寒くなったり、温かくなったりの繰り返しですが、カーニバルもすでに終わり、4/16のイースターを迎えるころには、欧州は初夏が到来しているように思います。

さて今回も、MITメンバー3名から、皆さまにコラムと各種の告知についてメールニュースをお送りします。今回は、滝川池田村上という順で告知を挟みながらコラムを書いています。最後までお楽しみください(村)。

 

MIT:滝川
北ドイツ農村の元気なバーチャル発電所会社

北スイスに住む私にとって、同じドイツ語圏と言っても北ドイツは、風土や文化、方言も大きく異なるとても遠い場所、という感覚があります。先日、そんな北ドイツの北端で再エネの直売代行業とバーチャル発電所を運営している中小企業N社の経営者の方に電話取材する機会がありました。

N社のある地域は風力利用が非常に盛んで、地域の需要よりも多くの再エネ電力が生産されています。取材では直売義務化の流れの中で、需給に合わせて大量の変動電源を運用する再エネビジネスが、(水力中心のスイスと比べて)思った以上に進んでいることにまず驚きました。

N社では、再エネ設備1,1ギガワット分(設備1000台)のバーチャル発電所と、デマンドサイドマネジメント800メガワット分を活用したビジネスを展開しています。再エネのポートフォリオは風力、太陽光、バイオガスから成ります。これらを独自のアルゴリズムに従って制御し、顧客や市場への直接販売や、調整用出力(予備力)の市場で収益を上げています。

記事には活用できませんでしたが、経営者の方は受話器に充てた耳が痛くなるまで、たくさんの面白い話を聞かせて下さいました。例えば、予備力市場にこれまではバイオガスのプールだけで参加していたのが、今後は風力や太陽光のプールでも参加できるようになる話。瞬時予備力市場に顧客の大型バッテリーを参入させる話。

デマンドサイドでは、地域の都市エネルギー公社のパワートゥヒート設備の運用を委託されている話(再エネ余剰時に地域熱供給のお湯を作る)。同様に顧客のパワートゥガス設備の制御を準備中の話。そして大型消費産業に安い再エネを供給していく具体的な計画・・・等々。北ドイツからいち早く、需給を一致させた100%再エネ社会を実現するという目標に向かって猛進している印象でした。

そんなN社が人口900人の農村に拠点を置いて、たった17人の社員で最先端のエネルギー・ロジスティック・サービスを提供していることにも驚きました。もちろん大容量のインターネットとコンピュータがあれば、この種のサービスに立地は関係ないのでしょう。単なる顔の見えない都会の直売代行業者ではなく、地域の再エネ生産者とのパートナーシップを大切にし、再エネ流通を通じて北ドイツにより大きな付加価値を創出せんとするエネルギッシュなN社。年内に是非一度訪問したいと思っています。

 

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★3月末に募集締め切り! MIT視察セミナー

「ポストFITの再エネ・省エネ事業」 66日~11日 

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、6月に下記の日程で募集型での視察・セミナーを企画しました。

テーマは「ポストFITの再エネ・省エネ事業」で、下記のようなプログラム概要を予定しています。

ドイツでは小型PVを除いてFITが終了し、FIP・入札制度に移行しています。そんな社会の中での法制度、新事業モデル、進捗中の新しいプロジェクトなどについて視察とセミナーの機会を提供します。

参加をご希望の方は3月末までに弊社にメールでご一報ください:
info@mit-energy-vision.com
※4月5日追記:催行決定しましたが、まだ数名の参加が可能です。

プログラム概要

66日(火) 夕方(18時ごろまでを想定)、フランクフルト空港に集合

67日(水) フランクフルト市:
・集合住宅団地における太陽光電力の賃貸人への販売事業(賃貸人販売モデル)
・省エネ改修についてなど予定、レクチャーと視察

68日(木) 黒い森北部:
・市民エネルギー協同組合による新電力(再エネ発電&電力小売り事業)
・再エネ電力の直売と産業における自家消費事業についてなど予定、レクチャーと視察

69日(金) フライブルク市周辺:
・コージェネによる電力直売
ESCO事業
・電気自動車のカーシェアリング
・セクターカップリング、VPPについて、レクチャーと視察

610日(土) 黒い森南部:
・午前中:森林散策と自然の多様性について
・午後:フライブルク市内で自由時間

611日(日) フライブルク市:
・午前中:取りまとめのワークショップ
・午後:移動の後、夕方(17時ごろまでを想定)、フランクフルト空港で解散

参加費用: 2600ユーロ(現地集合、現地解散、シングル利用)

このMIT視察セミナーのプログラムがはじまる直前の531日(水)~62日(金)は、ドイツ・ミュンヘンにおいて欧州最大規模のソーラーメッセ『インターソーラー』が開催されます。昨年はテスラ社のバッテリーが脚光を浴びたように、今年の注目は、Sonnen社などのバッテリー&ヴァーチャル発電所になることでしょう。
http://www.intersolar.de/en/home.html

MIT視察セミナーと合わせてこちらも訪問されると、ドイツ再エネ市場の「今」を垣間見ることができます。また、「インターソーラー」のアテンド・通訳もMITでは引き受けています。こちらも個別にお問い合わせくださいませ。

 

MIT:池田

お金には換算できないソフトなファクター

今週火曜日から、「木の文化」と称して、オーストリアと南ドイツで、視察セミナーを開催しています。木工、家具、建具、キッチン、建築における古き良き木の文化の復古の事例、伝統とイノベーションを組み合わせた事例、健康と快適さを求めたコンセプトやデザインなど、見学視察しています。

ここ10年あまり、制度的な後押しもあり、省エネ建築に関心が集中し、高断熱、高気密住宅の建設や省エネリフォームが増え、私もそのテーマでたくさんの視察を組んできましたが、今回は、伝統技術や古材の再利用、個性的なデザイン、省エネと健康・快適さの両立と、住まいと生活を多角的で包括的な観点から捉えて見ました。

また、200年、300年の建物に使用されていた古い梁や柱を加工し、モダンなデザインの古材キッチンやテーブル、壁板が作られている現場も見ましたが、それは持続可能な木材利用であり、ロマンがある、人の感情に訴えるものでもあります。木材は、しっかりとしたコンセプトで使用し、手入れすれば、数百年、千年もつものです。日本には、法隆寺という世界最古の木造建築があります。

そこで見えてきたものは、人々は、省エネ=ランニングコストの減少=経済的なメリットという狭い観点だけでなく、快適さや個性、古いものへの憧れと繋がりを求めており、お金や数字には換算できないソフトなファクターが大切だということです。また、現代の建築における様々な問題や課題も、過去の古き良きものの中に、解決のヒントがあるということにも気づかされました。

 

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★MIT村上の本の出版 『ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか』

ドイツでも、日本でも、1万人程度の人口の自治体において、市民や経済活動の「移動の自由」という「便益」を得るために、毎年およそ5060億円の「コスト」が支払われています。問題は、その大金の大部分は、地域経済をそれほど潤すことなく、特定の地域や国に流出していることです。人口流出や高齢化が叫ばれているこのご時世に、この状況を続けてゆくことは可能でしょうか?

エネルギーの場合と同様に、交通・移動という部門において支出されているお金を、どのようにしたら地域内の経済的な付加価値の創造につなげられるのか、そのための変革の鍵を紹介する、これが本書を貫くテーマです。著書『kWh=¥』に続く、交通・まちづくりを取り扱った『km=¥』のコンセプト。315日に発売となりました。
http://amzn.to/2ki1U0u

 

MIT:村上

お金の規模が分からない

保守系のシンクタンク「日本経済研究センター(JCER)」が新たにまとめたレポート「エネルギー・環境選択の未来 福島原発事故の国民負担」を読みました。ここでは、福島第一原発事故の処理費用にかかる費用の見通しとして、廃炉・汚染水処理・賠償・除染を合わせた合計で、合計40年間で50兆~70兆円までとする試算が公表されています。
http://www.jcer.or.jp/policy/concept2050.html

この巨大施設・巨大事故処理という抽象的にもなってしまう対象について、「兆」の位の計算根拠が示されても、まったく何が正しくて、何が異常なのか分からなくなります。

国は当初の見積もりを11兆円としていました。それが突然201612月に22兆円へと倍増しました。そして、国会の決議もないままで、国民負担として電力系統の託送量に2.4兆円分も上乗せされることが決まっています。

さらに上述した資料のように保守系のシンクタンクですら50兆~70兆円とするような試算が出てきています。なにやら嫌な予感だけが漂ってきます。子どもたちに負の遺産をたっぷり残してしまうのではないか、という予感です。

日本国内の総電力消費量は微減を続けており、年間1kWhの大台を震災後は下回るようになり、現在は9000kWh程度に落ち着いてきています。もし、これらの発電原価の平均値が10/kWhだとしたら、1年間の発電のために必要なコストは9兆円、もし70兆円ものお金が後始末ではなく、電気を作りだすために投じられたなら、日本全国、家庭だけではなく、業務も、産業も含めたすべての電力を8年間分は作れたわけです。

こうした大きな、通常の生活からでは想像を超えてしまうような「位」の規模のお金を前にしたとき、私たちはいつも思考停止し、無力になります。ですから、有意義か、有意義ではないか分かりませんが、少なくとも把握できる数値に換算してみましょう。

70兆円の処理費用とは、国民1.25億人で割り勘すると、国民一人当たりの負担額は56万円です。子供も高齢者もすべて含めて。これって高い? 安い?

70兆円の処理費用とは、現在の日本のすべての生産年齢人口(1564歳)である0.72億人(7200万人)で割り勘すると、一人当たりの負担額は97万円です。これって高い? 安い?

70兆円の処理費用とは、今の子どもたちの世代が成人し、その子どもたちが、また子どもたちを授かるようになる例えば23年後の2040年、日本のすべての生産年齢人口(1564歳)である0.55億人(5500万人)で割り勘すると、一人当たりの負担額は127万円です。これって高い? 安い?

いろいろな見方ができるわけですが、最悪のシナリオでは、あの311の一瞬の事故によって、国民の富が1人あたり50130万円程度、瞬間的に失われたわけです。ちなみに、これには大部分の自然や環境へのダメージ、居住者への精神的、肉体的、文化的なダメージは算入されていません。

これらの途方もない作業は、今後もほぼ永続的に続いてゆきます。

 

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★MIT村上の共著の出版 『海外キャリアのつくりかた』

皆さんの生活に欠かせないエネルギー。とは言っても、とりわけ日本の若手にとって、エネルギーは目に見えないので、エネルギーとは何か、なぜ必要なのか、私たちはどのようにエネルギーを使っているのかを意識したことは少ないかもしれません。

この本を書いている5人は、それぞれのきっかけからドイツに住むようになり(1人はドイツ生まれですが)、日本のエネルギーのあり方に疑問を持ち、ドイツのエネルギーに対する取り組みを見つめながら仕事をするようになりました。

学生をはじめとする日本の若手の皆さんに本書では、「ドイツのエネルギー転換」と「5人の海外における仕事は何か?  どんな経緯で、何を考えて、何をドイツでしているのか?」の2つのテーマについてお伝えできればと思います。
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ソーラーコンプレックス社による日本語ニュースレター

ミット・エナジー・ヴィジョンでは、南ドイツの市民エネルギー企業ソーラーコンプレックス社が発行するニュースレターの日本語版の作成をサポートしています。同社の活動は、日本で地域密着の再生可能エネルギー事業に取り組む方々にも参考になると考えます。下記リンクからニュースレターを読むことができます。
http://www.solarcomplex.de/aktuell/newsletter.html

 

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★100%再生可能エネルギー地域のブログ

100%再生可能エネルギー地域のブログ」では、新エネルギー新聞(新農林社)の了承を得て、同誌に掲載された滝川執筆のニュース記事の一部を転載しています。下記リンクからご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/eunetwork/

 

今回のメールニュース、いかがでしたか? それでは、次回もお楽しみに!

 


新エネルギー新聞(新農林社)に滝川薫が寄稿した国際ニュースのバックナンバーの一部を、新エネルギー新聞の許可を得て、このブログに転載していきます。

掲載誌:新エネルギー新聞http://www.newenergy-news.com/

 

【下記、新エネルギー新聞2017年1月23日70号より転載】


スイスソーラー大賞の集合住宅 ~ プラスエネルギー、電力直売、高度な省エネ(上)

 

スイスでソーラーエネルギーの普及に寄与したパイオニア的な建築や人物、団体を毎年表彰するスイスソーラー大賞。本稿では同賞を2016年末に授賞した3つの住宅建築の事例を紹介する。特徴は、プラスエネルギー、電力の直売や自家消費、高度な省エネ性能である。

 

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写真:チューリッヒ市内に建設協同組合が建てた
68世帯の入るプラスエネルギー集合住宅地。©Schweizer Solarpreis 2016




事例1: 68世帯の入るプラスエネルギー集合住宅

スイスソーラー大賞は今年で27年目を迎える歴史ある賞であるが、6年前よりプラスエネルギー建築の表彰に力を入れている。プラスエネルギー建築とは、高度な省エネ対策により熱・電力の消費量を最小化した上で、太陽熱温水器や太陽光発電により年間収支で消費量よりも多くのエネルギーを生産する建築のことである。その際に同賞では、デザイン面においてもソーラーエネルギー設備を屋根材や外壁材として、美しく取り込んでいるプロジェクトを特別に高く評価している。

 

なかでも建築デザイン的にとりわけ優れたプラスエネルギー建築に授与されるのが「ノーマン・フォスター・ソーラーアワード」である。世界的に著名な建築家ノーマン・フォスター氏の事務所が審査に参加している特別賞だ。今回この部門で第一位を受賞したのは、チューリッヒ市内に新築された68世帯が入る、床面積1万400平米の賃貸集合住宅である。都市部の高密度な住宅建築におけるプラスエネルギー化はまだハードルが高く、事例も少ないため、パイオニアとして評価された。

 

高度な省エネ性能により自給率117%

表彰された集合住宅地は、木造4階建ての5棟の建物から成る。外壁の断熱材の厚さは3145㌢、屋根は49㌢、床下は5272㌢、窓はもちろん断熱三層窓である。家電や照明には省エネランクが最高の製品を採用し、住宅地全体の暖房には地中熱ヒートポンプを利用している。建物の躯体も設備もパッシブハウス基準に相当するレベルだ。集合住宅全体の一年の熱・電力の消費量は設計値で39万7194㌔㍗時となっている。

 

建物の屋根は周辺の景観に合わせた切妻屋根となっており、東西向きの屋根と南北向きの屋根があるが、その全面を屋根材一体型の太陽光発電が綺麗に覆っている。単結晶セルのソーラーパネル556㌔㍗が設置され、年46万6345㌔㍗時を発電する。こうして、上述した高度な省エネ対策との組み合わせにより、規模の大きな集合住宅でありながら、年間収支で117%のプラスエネルギー率を達成している。余剰電力により49台の電気自動車を年1・2万㌔㍍走らせることができる計算になる。

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写真:屋根材一体型の太陽光発電。屋根からの電気は賃貸人に販売されている。©Schweizer Solarpreis 2016




賃貸人への電力直売を市営電力がサポート

このプラスエネルギーの集合住宅を建設したのはチューリッヒ一般建設協同組合である。チューリッヒ市内でリーズナブルで良質な賃貸住宅を供給する非営利の組織だ。この集合住宅の太陽光発電設備は同組合が所有する。そして、同組合では屋根から得られる電力を、買取制度は利用せずに住民に直売している。同組合にとっては初めての取り組みで、チューリッヒの市営エネルギー公社(以下、EWZ社)が提供する「ソーラースプリット」というサービスを利用した。太陽光発電を搭載した建物の家主が、賃貸人に太陽光発電からの電力を直売する際に必要な業務を請け負うサービスだ。

 

具体的には、集合住宅における発電量と各世帯の消費量をスマートメーターでリアルタイムに計測し、電力の不足時にはEWZ社の電力を供給し、余剰時にはEWZ社が買取り、賃貸人には請求書を発行し、家主には住民への売電とEWZ社への余剰売電からの収入を払い込むという内容である。この一連の作業の手数料としてEWZ社では、賃貸人に販売する電力に㌔㍗時あたり3ラッペン(約3・3円)を上乗せしている。

 

将来性の大きな賃貸人への直売

賃貸人への電力販売価格は、家主あるいは設備所有者が自ら設定することができる。チューリッヒ一般建設協同組合では、EWZ社の一般電力と同じ価格に設定した。そして、これまでにすべての住民と電力販売契約を結ぶことができているという。同組合でエネルギーを担当するレト・ザイラー氏はこう語る。

 

「私たちの建設協同組合では、これまでの多くの集合住宅の屋根に太陽光発電を設置してきました。これまでは系統に売電していた電力を、今後は『ソーラースプリット』サービスを利用して、賃貸人に直売していく形に変えていきたいと思っています。」

 

チューリッヒ一般建設協働組合は市内に4550戸の住宅を所有しており、これらの集合住宅の大幅な省エネ化を目標に掲げている。長期的には一次エネルギー消費量が3分1の社会を目指して、省エネ改修や建て替えの計画を着実に進めている。スイスでは、このほかにも多くの建設協働組合が同様な目標に掲げて活動している。こういった協働組合たちにより、都市部の賃貸集合住宅地における、太陽光発電からの電力直売が今後確実に普及していくだろう。(滝川薫)
【次号、71号(下)に続く】

 

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写真:木造
4階建ての高度な省エネ建築。屋根材には556㌔㍗の太陽光発電が使われている。年間収支でのプラスエネルギー率は117%であるが、リアルタイムの自給自足率は50%程度になる。©Schweizer Solarpreis 2016

欧州在住ジャーナリストの村上・池田・滝川の主催するミット・エナジー・ヴィジョンでは、2017年6月に下記の日程で募集型での視察・セミナーを企画しました。

 

テーマは「ポストFITの再エネ・省エネ事業」で、下記のようなプログラム概要を予定しています。

プログラムのダウンロードはこちらより

 

ドイツでは小型PVを除いてFITが終了し、FIP・入札制度に移行しています。そんな社会の中での法制度、新事業モデル、進捗中の新しいプロジェクトなどについて視察とセミナーの機会を提供します。

催行は決定しましたが、あと数名の参加をお受けすることができます!

参加をご希望の方は下記のメールアドレスにご一報ください。

info@mit-energy-vision.com

 プログラム概要

 

66日(火) 到着日
夕方(
18時ごろまでを想定)、フランクフルト空港第一ターミナル到着ロビーBのミーティングポイントに集合

貸し切りバスでホテルに移動 (滝川)

泊:マインツ郊外の農村部

 

67日(水) マインツ近郊とフランクフルト市  担当:滝川

午前: 太陽光発電業者にて自家消費型太陽光発電事業と蓄電池設置事業についてプレゼン

午後: フランクフルト市の集合住宅団地における太陽光電力の賃貸人への販売事業(賃貸人販売モデル)についてのレクチャーと視察

 泊:黒い森北部     

 

68日(木) 黒い森北部               担当:池田
午前: 北シュヴァルツヴァルトの市民エネルギー協同組合による配電インフラ新設、熱供給事業 

     (レクチャーと視察)

午後: 中部シヴァルツヴァルトの市民エネルギー共同組合による再エネ電力の直売、賃貸人電力、産業に

     おける自家消費事業 (レクチャーと視察)

泊:フライブルク市内         

 

69日(金) フライブルク市周辺          担当:村上

午前: 自治体のシュタットベルケ(都市エネルギー公社)でヒアリング

①  シュタットベルケの再公営化による地域経済・政治への効果

②  ガスコジェネによる地域暖房とその電力の使用について

午後

➂  ヴァインガルテン住宅地の省エネ改修と地域暖房、ヒートステーションの視察でセクターカップリングに

    ついてレクチャー

④  フライブルク技術市役所のプラスエネルギー建築を外から見学、EVによるカーシェアリングの躍進に

    ついて解説

⑤ 再エネのFIP&入札制度の振り返り、取りまとめ

   それにより生じたバーチャル発電所VPPと電力市場2.0について

泊:フライブルク

 

 610日(土) フライブルク

午前: 視察セミナーのまとめとワークショップ(池田・村上)

 午後: フライブルク市内での自由時間(お客様のみ)

 

611日(日) フライブルク

 朝: 希望者への追加レクチャーゾンネン社のバッテリーと小型蓄電池を利用したVPP「ゾンネンコミュニティ」について(村上)

 

※希望されない方は日曜日・朝のフライブルク市内をご自身でゆっくりと散策

 

昼頃: フランクフルト空港へ貸し切りバスにて移動(池田)

夕方(17時ごろまでを想定)、フランクフルト空港で解散

       

※プログラムは現在調整中です。訪問先の都合によって変わる可能性があります。 

参加費用: 2600ユーロ(現地集合、現地解散、シングル利用)

 

お問合せ: info@mit-energy-vision.com

 

 

このMIT視察セミナーのプログラムがはじまる直前の531日(水)~62日(金)は、ドイツ・ミュンヘンにおいて欧州最大規模のソーラーメッセ『インターソーラー』が開催されます。昨年はテスラ社のバッテリーが脚光を浴びたように、今年の注目は、Sonnen社のバッテリー&ヴァーチャル発電所になることでしょう。

 

http://www.intersolar.de/en/home.html

 

 

MIT視察セミナーと合わせてこちらも訪問されると、ドイツ再エネ市場の「今」を垣間見ることができるでしょう。また、「インターソーラー」のアテンド・通訳もMITでは引き受けています。こちらも個別にお問い合わせくださいませ。

新エネルギー新聞(新農林社)に国際ニュースを寄稿しています。新エネルギー新聞の許可を得て、バックナンバーをこのブログに転載していきます。

掲載誌:新エネルギー新聞http://www.newenergy-news.com/

 

【下記、新エネルギー新聞2016年12月12 日 ・26日発行67・68号より転載】


スイスアルプス:標高2500㍍、欧州最高のウィンドパークが運転開始


9月末、スイスアルプスの中部、イタリアへの国境近いグリース峠に、欧州で最も海抜の高いウィンドパークが誕生した。4基の風車が標高2500㍍、氷河から取水する水力用ダムのすぐ隣に建っている。設置出力は計9・2㍋㍗。一年に約3100世帯分の消費電力量に相当する11㌐㍗を発電する予定だ



 Windpark a












写真©Swisswinds/Oliver Maire


10
年以上の準備期間を経て

直接民主制のスイスでは、風力開発には10年以上の年月を要することも稀ではない。計画の様々な段階で住民投票をクリアすることが必要になるほか、風力利用に批判的な景観保全や環境保全の団体からの抗議に対応し、コンセンサスを築いていく必要があるためである。そのため、住民や地域に密着したプロジェクトや事業主体であることが、事業の成功に不可欠な要素になっている。

 

スイスアルプスのグリース峠でこの秋に運転を開始したウィンドパークも例外ではなく、計画のスタートは2003年に遡る。開発を手掛けたのは地元の風力開発会社スイスウィンズ社。立地自治体のオーバーゴムズ村は、周辺自治体と共にエネルギー自立を目指して活動する先進地域でもある。2008年に村の住民決議では、自治体の土地への風車建設が全会一致で可決された。そのことからも分かるように、住民からのプロジェクトの受容度は非常に高い。

 

パイロット設備を2011年から運転

標高2500㍍という欧州で前例のない標高での風車建設であることから、プロジェクトは二段階に分けて実現された。第一段階ではまず、2011年にパイロット設備として2・3㍋㍗の風車を1基建設した。開発と運転に携わるスイスウィンズ社のトーマス・ブルゲナー氏は当時の経験をこう語る。

「プロジェクトパートナーたちは、当初、このような標高と地形において風力設備を建設できるものなのか懐疑的でした。しかし、パイロット設備の建設と運転により、実施可能性を証明することができました。それがウィンドパークへの拡張に繋がったのです。」

 

パイロット設備での良好な経験を受けて、スイスウィンズ社は残りの3基の建設計画に着手した。様々な許認可手続きと平行して、2014年には環境団体WWFと半年に渡る交渉を重ね、こうもりと渡り鳥の保全に関する追加対策について合意を達成。これにより、環境団体からの抗議もクリアすることができた。そして2015年に建設許可が下り、今年ようやく建設に漕ぎつけたというわけだ。

 

アルプスという立地でのチャレンジ

建設においてはアルプスという立地ならではの困難が伴った。工事は、雪のない6月から9月の間にしか行うことができない。2015年のうちに建設用路を整備し、基礎の穴を掘っておいた。そして2016年の6月中旬には大量の残雪を除去し、基礎を打ち、同時に特殊車両によりトンネルや峠道を介してアルプスの山上に風車の部材を輸送した。風車の建設は1週間に1基のスピードで行われた。組み立て場所が狭い状況での建設は容易ではなかったという。

 

今回増設された風車は、エネルコン社のE92という製品。ナセルの中心までの高さは82㍍、ブレードの長さは46㍍で、総高は131㍍、出力は各2・3㍋㍗となっている。パイロット設備では、ブレードがこれよりも一回り短かったが、増設においては風受け面をより大きくすることで発電量を増やした。

 

設備の運転においては、厳寒に備えたブレードの凍結防止用ヒータが、アルプスの気候では重要な対策であるという。パイロット設備ではこのヒータにより、8か月に渡る冬の間も良好に運転を行うことができている。

 

水力ダムと隣接するメリット

グリース峠のウィンドパークは、既存の9・5㍋㍗のダム式水力発電設備に隣接して建てられている。アルプスに多くある水力ダムに近い立地には、風力開発にとって大きなメリットがある。

「既存のインフラストラクチャーを水力設備と共同で活用できることが、水力と風力の設備を隣接させる利点になっています。グリース峠の場合、既存の水力ダムへの道路が存在し、送電インフラもありました。今回は新たに水力と風力の事業者が共同で利用する変圧設備を設置しました。」(ブルゲナー氏)

 

こういった立地には他にもメリットがある。水力利用により自然環境や景観が既に損なわれている立地を風力開発にも活用することにより、地域内のまだ自然や景観が損なわれていない場所での開発を回避できるという点だ。それによりプロジェクトの社会的な受容度が高まる。

 

またグリース峠の水力設備は揚水式ではないが、水力が揚水式である場合には、風力の余剰電力を揚水ダムに貯めておくといった連携した運転も考えられる。実際に、スペインのエル・イエロ島やオーストリアのケッチャッハ・マウテン村ではそのような運転が行われている。

 

風力はスイスの需要ピーク時の貴重な電源

内陸国のスイスでは、風況の優れた立地はアルプス山脈やジュラ山脈といった山地の上に多い。

「連邦のエネルギー戦略2050でも明確に強調されていますが、スイスの電力供給に風力が貢献してゆくべきならば、選抜された標高の高い立地へのウィンドパークの実現が必要です。」と、スイスウィンズ社のブルゲナー氏は語る。

 

水資源に恵まれた山国のスイスは今日、電力需要の6割を水力でまかなっている。連邦は、将来的には省エネと再エネの拡張により100%再生可能エネルギーによる電力供給を目指している。その中で水力に次いで大きな割合を担っていくべき電源は太陽光発電である。風力については、ポテンシャルはさほど大きくないものの、将来的には少なくとも電力の7~10%を担うことが期待されている。

 

そして風力は、寒冷なスイスの電力需要がピークになる冬に発電量が多い。実際に、グリース峠の風車でも、発電量の6割が冬の間に生じている。そのため風力の増産は、夏に発電量の多い太陽光や水力を補う冬の電源を構築するという意味で非常に重視されている。(文:滝川薫)

 


写真キャプション:

標高2500㍍のグリース峠ウィンドパーク。2011年に建設された1基のパイロット設備は良好に稼働し、高山における風力利用の実施可能性を証明した。残りの3基はこの秋に竣工。水力ダムの隣に立地しているため、既存の道路や送電設備を利用することができる。水力発電の変圧設備を更新する必要があったため、水力の運営会社と風力の運営会社が共同出資して新しい変圧設備を設置し、共同で利用している。背後には氷河が見える。

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