寄稿

2007年06月01日

〜スーツで歩いた巡礼路8〜 巡礼のクライマックス

やっとのことで聖地の土を踏んだ。しかし想像していた高揚感がない。
どうしたことか。

サンチャゴには辿り着いた巡礼者たちが必ず訪れる場所がある。
まず最初に行くのが巡礼事務所。ここで最後のスタンプを押して
もらい、巡礼審査を経て、輝く巡礼証明書をもらう。
道中の教会スタンプがチェックされ、徒歩か馬車
(なんと現代でも馬での移動をたまに見かけることがある)
であれば100キロ以上、自転車だったら200キロ以上という
条件をクリアした者に証明書が手渡される。

我々はバス旅であったので当然貰えない。
しかし我々の巡礼手帳にも到達した日付が打刻された。
その瞬間、「ついにやったぞぉ〜っ!」という嬉しさが込み上げてきた。
恐らく、巡礼者たちのゴールは最後のスタンプを押し、
巡礼証明書を手にした時なのかも知れない。

サンティアゴにて(山田しげる様撮影)

大聖堂の西側にまわり、オブラドイロ広場から聖堂を仰ぎ見る。
頭の中でイメージしていた場所はまさにここだった。
夕暮れ時の光線が聖堂の壁に当たって、真っ赤に燃えているようだ。
広場では晴れ晴れした顔の巡礼者達が記念写真を撮ったり、
広場に座ったり、寝そべったり、中には熟睡している人もいる。
好き勝手なことをしつつ、視線を辿っていくと、
その先には必ず大聖堂があるのは不思議。
様々な場所から集まった、バラバラの他人でありながら、
想いは同じなのかも知れない。

サンティアゴにて2(山田しげる様撮影)

何はともあれ、我々の巡礼旅は終わった。

辛く苦しい!??巡礼旅も気持ちや工夫次第では一層楽しく
なります。「巡礼」とは言うものの、気構えることは一切ありません。
明るく陽気なスペインですからキリスト教徒でない人も、充分楽しめる
ところ切羽詰まって旅立つ必要もありませんので、ふらりとお出かけ下さい。
ツアーでのご参加だったら、着の身着のまま、スーツと革靴でも走破
できそうです。

最後に巡礼路を楽しく走破するための秘訣をご紹介します。

ホタテ貝と杖
(巡礼のシンボルホタテ貝。これが無ければ巡礼者とは言えません。
 首からぶら下げると一層巡礼者気分になること間違いなし。
 杖もセットでいかがでしょうか?パンプローナ以西で売ってます。)

巡礼手帳

(これも必須、巡礼手帳。たいていの巡礼宿で1ユーロで分けてくれます。
 道中の教会でスタンプを押して下さい!但しツアーご参加の場合は
 見学場所と時間の制約により手に入らないことがあります。)

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2007年05月31日

〜スーツで歩いた巡礼路7〜 ついに聖地サンチャゴへ

いよいよ我々の巡礼も、あともう少しで終わりを迎える。
聖地の大聖堂は目前だ。

最後の巡礼ハイキングはゴゾの丘から大聖堂までの約4,4キロ。
この区間はもうサンチャゴ市街なので、街中を歩くことになる。
ゴゾの丘の少し手前にある巡礼者宿泊施設でバスを降りて、歩き始めた。

ゴゾの丘とは「歓喜の丘」という意味。
長い長い巡礼路上で一番最初に聖地サンチャゴの大聖堂が見える場所だ。
大聖堂の方角を指さして感激している中世の巡礼者像が立っている。

ゴゾの丘























遥か彼方に霞むサンチャゴ大聖堂の尖塔を目にする時、
どんな巡礼者であれ聖地を目指してきた人々には、
誰しも何か心にこみ上げてくるものがあるはずだ。
私の場合は到達したという達成感だった。
道中の苦労が大きければ大きいほど、喜びも大きい(はずだ。)
一応は我々も道中を歩いてきたので、時にはカンカン照りの炎天下を、
時には美しい花々の丘を、暴風雨の中をスーツで歩いたことなどを
思い出してみる。添乗員でなかったら、泣いていたかもしれない。

大聖堂まであと2キロ






















今まで通りにホタテ貝と黄色の矢印に従って歩いてゆく。
ホタテ貝の下にある2キロという表示に励まされる。
しかしずっとアスファルトの道路上を歩くので、
足への負担が大きく、蒸しかえる暑さは今までと違う。
すぐにカフェで休憩。絞りたてのオレンジジュースでビタミンCを
補給する。再び市街を歩き、しばらくすると
「道の門(ポルタ・デ・カミノ)」という旧市街の入口に着く。

ゴゾの丘ハイキング、サンティアゴ入口






















ここから大聖堂はもう目の前。
そして気付かないうちに大聖堂の北側に到着していた。
大聖堂に到達した瞬間は気持ちの高揚を予期していたのだが、
ゴゾの丘と較べて意外にもあっさりしたものだった。

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2007年05月30日

〜スーツで歩いた巡礼路6〜 ちょっと寄り道、巡礼路の花々

鉄の十字架・ハイキング












辛くも険しい!?巡礼路の旅も、道中ではたくさんの楽しみがあります。
様々な国から遥々やってきた巡礼者や地元スペイン人との出会い、
美味しい郷土料理、疲れた時は立ち飲みのバールでの「ちょっと一杯」、
忘れられないような美しい風景・・・挙げればきりがありません。

今回の旅では、特に道端の小さな花々が印象に残りました。
スペインの野花は概して小さく、どことなくはかない感じがします。
しかし、ジリジリ照りつける太陽の下、時には急激な気温低下にも耐え、
過酷な大地にしっかりと根を張っている底力のようなものを感じます。
炎天下の中を歩き続け、立ち止まった折に目にした花々に、
何度となく安らぎを与えてもらったことか。
我々が800キロの巡礼路を走破できた(ほとんどバス移動ですが)のは、
野花たちのお陰かも知れません。
肝心な地元のスペイン人たちは花にほとんど興味がなく、
名前すら知らないという人も結構います。

そこで我々が感謝を込めて、
普段は地味な生活を送っている北スペインの花々の姿をご紹介しましょう。

エウナテ・ハイキングの風景フィテーロ橋付近











鉄の十字架・ハイキング鉄の十字架・ハイキング











鉄の十字架・ハイキングカストロヘリス城塞跡

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2007年05月29日

〜スーツで歩いた巡礼路5 〜 カメとウサギの巡礼者2

強烈な太陽光線がジリジリと肌を焼く。
おしゃべりな現地ガイドに尋ねると、周辺は標高2000Mの山々が
連なっているという。
もともと周辺の大地は標高900Mほどの高原だったので、
それほどの標高を実感できないが、初夏の今でも遠くの山頂には
雪が残っているのが信じられない。気温32℃だというのに。

ゴール地点の鉄の十字架までは、なだらかな斜面をゆっくりと登ってゆく。
巡礼の旅の大原則はとにかく、「自分自身のペースを守ること。」 
巡礼者の中には自転車こぎのツワモノが結構いて、
信じられないが山の斜面をグイグイ登っているのだ。
当然のことながら早速追い抜かれる。
さらに後ろからやってきた歩きの巡礼者たちにも
どんどん追い抜かれてゆく・・・。
我々は汗ダラダラ、必死の形相となっているのだが、
彼らは決まって爽やかな笑顔で挨拶を交わし、
軽い足取りで去ってゆく。
「自分のペース、自分のペース」と言い聞かせるも、
抜かれるとやっぱり悔しい。
彼らは一歩の間隔、コンパスが長いから?しかしペースも速い。
彼らは我々よりも長旅で疲れているはずなのに・・・。 

早々と第一回目休憩の時間をとった。
方々のリュックサックからは様々なおつまみがどんどんでてくる。
私も負けじとお菓子を提供する。
ふと小学校の遠足を思い出した。
ハイキングの楽しみはこれだ!これなのだ。
各方面からいろいろなおつまみを貰う小さな喜び。
すぐに両手が一杯になる。お弁当に各家庭色がでているように、
はるばる日本から運ばれてきたおつまみにも各家庭の想いが
滲み出ているような気がする。

休憩をしながら5キロほど登ると途中の宿場村フォンセバドンに到着。
またもやカフェで休憩。我々が休憩ばかりしている間に、
ひと通りの巡礼者に追い抜かれたようだ。
もはや我々の後ろには誰もいない。
抜かれる心配もないので、のんびりと歩き始める。
標高が次第に上がり、あたり一面野の花だらけとなる。
ここだけひと足遅い春を迎えている。
ピンク色のヒース(エリカ)や黄色のエニシダ、
名も無い(というかスペイン人が知らないだけ)白い野花など、
ひたすら登りだけだったら、へこたれていたであろうところを
花に助けられた。一面の色とりどりのワイルドフラワーに心が和み、
疲れていた心身ともに花に癒される。

鉄の十字架への道、花盛り!(5月)






















ついにゴール地点の鉄の十字架に到達。
登り遂げたという達成感で一杯だ。吹き抜ける風が気持ちいい。
皆で輪なって手を繋ぎ、サンチャゴまでの無事をお祈りした。
巡礼者たちが積み上げていった石積みに自分達の持ってきた石を
そっと重ね、これにて終了。
今日の進行状況により、我々の巡礼シンボルマークは
「ホタテ貝とウサギ」に決定しました。

鉄の十字架

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2007年05月28日

〜スーツで歩いた巡礼路4〜  カメとウサギの巡礼者1

本日は朝から雲ひとつ無い快晴。どうやら今日は暑くなりそうだ。
前回のハイキングからは2日ほど空いており、
その間にブルゴスやレオンと言った大都市の教会を巡り、
スペインで最も美しい回廊のサント・ドミンゴ・デ・シロス修道院を訪れた。
神の声のように澄んだ修道士達のグレゴリオ聖歌で心が癒される。
この2日間のあいだに我々は心身ともに充分休息がとれたらしく、
みな歩く気合が全身にみなぎっていて、気合充分。
聖地サンチャゴまではあと250キロ。
アストルガを出発してしばらくすると、小麦の田園地帯が次第に
山がちになり、巡礼路は現代の幹線道路から逸れて山中を進んでゆく。
車やトラックがひっきりなしにビュンビュン通過する幹線道路沿いとは
違って音を感じない、
静かな田園風景が印象的だ。周りに人工的な建物は一切無い。
紫のラベンダーの中や山中を黙々と歩き続ける巡礼者たちの姿が、
しっかりと風景の一部に溶け込んでいて、何だかカッコいい。
私も今すぐバスを降りて汗まみれ埃まみれの巡礼者になりたいとも思う。

フロミスタ近郊






















さて、我々もいよいよ下車する時がやってきた。
途中の宿場村、標高1200Mほどの
ラバナル・デル・カミノでバスを降りる。
私以外のお客様は早速、慣れた様子で準備体操を始め、
今にも走り始めそうな勢い。
迷子だった私のスーツケースも一昨日に到着し、
今日は私もスーツを脱ぎ、軽やかな服装になったのだ。
負けてはいられないぞ。
今日のハイキングは高低さ300M、全長7キロ、全行程登りっぱなし。
今までで一番過酷な巡礼が予想される。
そして我々は最終ゴール地点の「鉄の十字架」目指して歩き始めた。

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2007年05月25日

〜スーツで歩いた巡礼路3〜 マツタケとホタテ貝

一夜明けて迎えた朝は、まだ薄暗く小雨が降っている。
今日の旧道歩きは北部スペインのちょうど真ん中に位置する
ブルゴス近郊。
このあたりはメセタと呼ばれる標高900Mほどの高原地帯。
天気が崩れると気温も一気に15℃くらいまで下がり、
ひんやりと肌寒くなる。
周辺の丘陵は見渡す限りどこまでも広がる小麦畑だ。

国道沿いの小さな礼拝堂がある、
エルミタ・デ・ヴァルデス・フエンテスでバスが止まった。
最初にバスを降りてきたのは、革靴にスーツ姿の場違いな服装の男。
そう、私の荷物は未だ行方不明のままなのだ。
ドライバーに借りた傘をさし、鞄代わりのビニール袋をぶら下げ、
最悪の状況でハイキングスタート。
周りにはお店もカフェも何もなく、
なんだか雨の中を無理やり降ろされた感じがしてならない。
早速礼拝堂内の聖ヤコブに道中の安全をお祈り。
泥濘を心配していた旧道は以外にも水はけがよく、
雨にも関わらず水溜りもほとんど無いので意外と歩きやすい。
道端には白や黄色、紫色などの花々。
とにかく小さく可愛らしい花々が多い。
ガイドに聞いてみると帰ってくる答えはすべて「野の花」。
やはりこちらの人々はあまり花の名前に興味がないようだ。
しばらくは赤松と樫の森を切り開いた土道を歩いてゆく。
赤松といえば思い出すのは松茸。
これだけ赤松があれば相当な松茸が採れるだろう。
しかし何度聞いても答えはNO。松茸にさえ興味がないのだろうか。
この周辺は天気の移り変わりが激しく、
5分間隔で雨と晴れ間の繰り返しが続く。
晴れ間に垣間見える青空は最高に爽やかだ。

ずっと一本道を歩いてきたが、突然別れ道となる。
さて、この場合どうするか。
実はサンチャゴまでの長い長い道中、
別れ道や道端には巡礼のシンボル、ホタテ貝の道標が点在していて
巡礼者たちをしっかりと聖地まで導いているのだ。

帆立貝のお導き























だから、ガイドブックが無くても、地図が無くても、
そしてカバンが無くても、とりあえず聖地までは
辿り着けるようになっているから安心だ。
旧道歩きも終盤にさしかかってきたところで雨も
すっかり上がって、新緑が更に眩しくなった。
ゴール地点の聖ファン・デ・オルテガの巡礼宿では
先に着いた巡礼者たちが靴を脱いで休息している。
我々も4個目の巡礼スタンプをもらい、全員が無事に到着した。

聖ファン・デ・オルテガ

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2007年05月24日

〜スーツで歩いた巡礼路2〜 お気楽な巡礼の旅へ出発

エウナテよりハイキング開始


























さて、聖地サンチャゴを西へ西へと目指す巡礼者は
果たしてどのような旅をしているのだろうか。
大きなバックパックを背負った彼らの朝は早い。
日の出前に起き出してもう暗いうちから歩き始める。
午前中の涼しい時間帯に5〜6時間ほど歩いて
お昼には巡礼宿に入り、昼食後は今後の旅に備えて
しっかりシエスタをとる。
だいたい一日25〜30キロを歩く計算だ。
我々の旅が始まったのは、巡礼路途中のパンプローナ。
聖地サンチャゴまではまだ約700キロ近くあるので、
ずっと歩いていくと少なくとも一ヶ月はかかるだろう。
しかし我々は日数が限られているパックツアー。
基本的にはバスで町々を観光をしながら、
時折景色のいい場所を選んで、旧巡礼街道を1時間半〜2時間ほど
歩くイイトコ取りの旅なのだ。

ここは牛追い祭りで知られるパンプローナの郊外、
畑の真ん中に佇む小さなエウナテ教会。
ここからプエンテ・ラ・レイナという町まで
約6キロの道のりを歩くのだ。
お客様は皆、リュックに帽子、運動靴と気合十分、準備は万全。
一方、添乗員の私は上下スーツに革靴、よれよれのビニール袋。
ハイキングとは程遠い服装・・・。
実は私のスーツケースだけが現地に到着せず、
成田空港出発時からずっと同じスーツ姿。

そんな訳で私の「スーツで歩く巡礼路」の旅が始まったのです。

空を見上げると、明るい日差しが眩しい。
北スペインの初夏はカラッとした陽気と青空が印象的だ。
今日は絶好のハイキング日和。
時間にもゆとりがあったので予定には無かったハイキングを決行。
雰囲気が良さそうな田園地帯を選んだ。
歩き始めるとすぐにじんわりと汗がにじみ出てきて、息が切れる。
日頃の運動不足を痛感。ちょうど膝の高さまで伸びて、
青々とした小麦が風にたなびいている。
汗がスウッと引いて久しぶりに清々しい気分になる。
車がビュンビュン行き交う国道わきを歩く日本のお遍路さんと違い、
スペインの道中は何と言っても景色が良い。
昔ながらの土ぼこり道を野を越え丘を越えて歩いてゆくのだ。
周りに近代的な建物がほとんどないので、
旧道のルートは緑の畑や小川を渡り、鄙びた村々を通りすぎてゆく。
バス移動では決して気付かない道端の小さな花々を観察したりと、
歩いているだけでも結構楽しくなる。
フランスから始まった4つの巡礼路が一つに合流する
プエンテ・ラ・レイナ(王妃の橋)という町が今日のゴール地点。
早速巡礼宿で巡礼手帳を手に入れて、
記念すべきひとつ目のスタンプを押してもらう。
約6キロ・1時間30分ほどの巡礼路ハイキングは
意外とあっという間だった。
何と言ってもスーツで歩けるくらいですから。

エウナテ巡礼宿でスタンプ入手!

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2007年05月23日

〜スーツで歩いた巡礼路1〜 巡礼って?

サンティアゴ大聖堂

























このブログの管理人が珍しく旅に出ました。
果たして無事に帰ってくるでしょうか?
ともかく、しばらくの間は私がピンチヒッターとなりました。
どうぞ宜しくお願い致します。
ちなみに簡単な自己紹介をしますと、
私も過去に何度か「U田」という名前で登場しています。
野球選手で言えば、あの松井選手と同じ歳。
億単位の年棒をバンバン稼いで秘かに社会貢献の為に
惜しみなく寄付をする松井選手は同年代人にとっては
まさに光かがやく聖人であります。
私はつい先日、北スペイン巡礼路の旅から戻りました。
数々の教会を巡ったものの、
やはりそう簡単には聖人にはなれませんでした。
皆様にはこれから巡礼の話をご紹介します。
題して「スーツで歩いた巡礼路」。

「巡礼」ってあまりなじみのない世界ですが、
知ってしまうと奥が深くて、信者さんでなくとも
旅に出たくなること必至です。最後まで覚悟して読んでください。
キリスト教世界には、エルサレムとローマ、
そしてサンティアゴ・デ・コンポステーラ
(以下サンチャゴと略す)という3大聖地があります。
それぞれの聖地を目指す巡礼は中世の頃から盛んでしたが、
現在も聖地を目指す巡礼者はいます。
聖地を詣でること自体が目的です。
現代の巡礼は宗教色が少なくなっていて、
ヨーロッパ各地からやってくる「巡礼者」と呼ばれる人々は
目的地到達よりもむしろその過程を楽しむトレッキング感覚で
歩いているようです。
巡礼の旅に出る動機は実にいろいろ。
単なるスポーツ感覚の人や人生にトラブルがあり悩みを
抱えた人もいれば、真っ黒に日焼けした日本の大学生まで見かけます。
様々な国々からやってきた人々を飲み込んで、
巡礼路は聖地へ続くのです。

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2005年12月29日

アーモンドのおはなし

本日は、年中添乗に忙しいY口さんの手稿より。


 シチリアの春の訪れは地中海でもとびきり早く、アグリジェントでは
年が明ける前からアーモンドが薄桃色の蕾を開き始めます。
この5弁から成る桜に似た花が「神殿の谷」を埋めつくす2月には
毎年花祭りが行われ、民族音楽が鳴り響き1年でも一番華やぐときです。
そしてシチリアは世界でも一二を争うアーモンドの産地なのです。
その樹種には甘味種と苦味種があり、食用にするのは甘味種の方です。
胡桃と同じように種子の中にある仁の部分を食べます。苦味種の方には
アミダグリンという強い香りの成分があり、アーモンド・エッセンスに
なったり咳止め薬にも使われます。共に良質の植物性脂肪とたんぱく質、
ビタミンを豊富に含み、脂質を構成するリノール酸は血管の硬化を防ぐ役割が
あるので高血圧の方におすすめなのだそうです。なにより、シチリアの
アーモンドは香りが高くてさすがに美味しいです。パスタに魚料理の味付けに、
甘いデザートやお菓子に、旅行中にもテーブルにのぼります。

 古代ローマの人はアーモンドを「ギリシャの木の実」と呼んでいました。
これには有名なギリシャ神話のお話があります。あるとき、デモフォーンという
船乗りが難破してトラキアの地に流れ着き、王女フュリスに助けられて
ふたりは恋に落ちるのですが、船が直るとデモフォーンはひとり故郷に
帰ってしまいます。そして、すぐに戻ってきて結婚するという王女との
約束を忘れ、他の娘に夢中になってしまいます。フュリスは毎日海岸で恋人が
帰ってくるのを待ちつづけますが重い病気にかかってとうとう死んでしまいました。
貞操の女神、アルテミスは一途に恋人の帰りを待ちつづけたフュリスを
哀れに思い、彼女の亡骸をアーモンドの木に変えます。やがて時が経ち、
デモフォーンはフュリスを思い出してトラキアを訪れました。そして自分を
待ちつづけて変わり果てた姿になったフュリスを見て、自分のした仕打ちを
後悔し泣きながら木を抱きしめました。フュリスのアーモンドの木は恋人が
戻ってきたことを喜んで満開の花を咲かせました。そして、デモフォーン自身も
アーモンドの小さな木の芽になってふたりは永遠に結ばれましたとさ。


2006年アーモンド祭にご案内する人気コースはこちらから!
http://www.eurasia.co.jp/search/europe_russia/it_g/index.html#south_malta


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2005年12月27日

タベルナで食べるね。

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今年のクリスマスは、成田のツリーの下でケーキを食べる代わりに
コスタリカへ旅立ったF田さんの手稿より転載です。

「食べるな」と聞き取ってしまいそうなギリシア語、「タベルナ」。
ギリシア全国にある、ギリシア料理を食べさせてくれる食堂のことです。
予約や正装が必要なレストランとは異なり、タベルナはどちらかと言えば
いわば大衆食堂といった感じですが、どの街にもたくさんあり、そして
その種類も実に様々です。質素で簡単な“町の食堂”といったものから、
ギターやブズキなどの民族楽器を使った演奏をしてくれるところ、
ギリシア各地の民族舞踊やベリーダンスなどが楽しめるところ…など、
多種多様です。
 タベルナのメニューには、その街の地方色が見事に反映されています。
アテネやペロポネソス半島では、串焼肉専門の「プシスタリア」と
呼ばれるタベルナや、沿岸部の港町やエーゲ海の島々では「プサロタベルナ」
というシーフード専門のタベルナもあります。野外で営業する海辺のタベルナで、
自らガラスケースから選んだ新鮮な海の幸を、その場で塩焼きしてもらって
食べる魚やエビ、イカなどはまさに格別です。
 ギリシア料理というとあまり日本では馴染みがありませんが、
「アラブ諸国のスタイルと南欧スタイルをミックスさせたような料理」と
言われることがあります。復活祭などのお祝い時に羊の丸焼きを食べる
“アラブ風”の習慣もあれば、料理にトマトやチーズ、ハーブ類などを
ふんだんに使う“南欧風”のスタイルも定着しています。特にオリーブ油や
ガーリックをたっぷり使って調理する方法はギリシア料理の大きな特徴でも
あります。
 ぜひギリシアをご旅行の際には、自由時間などにその街のタベルナで
ギリシアの食前酒「ウゾ(ブドウの皮から造る蒸留酒でアルコール度40度以上)」
とともに、その土地の独特なギリシア料理を召し上がってみて下さい。
その味わい深い郷土料理から、この国が歩んできた歴史の奥深さも感じることが
できることと思います。
 最後に、多くのタベルナで食べることができる代表的なギリシア料理をご紹介します。
●ムサカ〜油揚げしたナスやジャガイモ、ミートソースなどを交互に重ね、
オーブンで焼いたグラタンのような料理で、粉チーズやベシャメルソース
などをかけて食べます。ギリシア料理の代表格です。
●ドルマデス〜ブドウの葉で包んだ挽肉入りのピラフを、そのタベルナごとに
異なるスープでじっくりと煮込んだ、ギリシアならではの料理です。
●スティファード〜いわゆるギリシアのシチュー。ウサギの肉や牛肉などを、
たくさんの野菜とともに赤ワインやトマトなどでじっくりと煮こんであります。
とろけるようなお肉の柔らかさはまさに絶品です。
●カラマーリャ・ティガニタ〜ビールのおつまみにも最適!輪切りにしたイカや
ホタルイカなどを油でカラッと揚げたもの。アツアツの「イカリング」に
レモン汁をかけてお召し上がり下さい。

間もなく花に色めく春が訪れるギリシアへ是非どうぞ!
身も心も胃袋も満足できます!

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