アメリカの友人

小説と詩を書くブログ。

2008年10月

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 いままでブログに掲載してきた小説のあらすじを一覧にまとめてみました。読むときの参考にしていただければと思います。
…euReka
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S008
【短編】青い猫
(08年)
▽青い猫はどこからやって来た?…なぜ青い?…人々は青い猫を見ると、あれこれ考えずにはいられない…。この世でもっとも特別な、もっとも普通の猫のお話。

S009
【短編】届けもの
(08年)
▽「白い犬の胎児のようなブヨブヨしたやつ」の処分に困った主人公は、そいつをリュックに詰めて街へ出る。緑色の髪の女と出会った主人公は、女に導かれながら問題の核心へと迫っていく…

S010
【短編】夢の中
(08年)
▽真夜中の電話。「さっき夢の中で会ったものだが」と電話の主は変なことを言ってくる。主人公は翌日、会社帰りに突然拳銃を突き付けられた。「ゆうべの電話、覚えてるよな?」。

S011
【短編】草むらの猫
(08年)
▽「公園の草むらで子猫がウンコしている姿を、僕たちは少し離れた場所から眺めていた…」。結婚した僕と彼女の間に子供が産まれる。10歳の誕生日を迎えた数日後、子供は車に轢かれて死んでしまう…

S012
【短編】新しい神様
(08年)
▽「神様の話を聞きに行きませんか?」。道端で宗教の勧誘を受けた主人公は、連れて行かれた喫茶店で「新しい神を探す宗教」の話を聞かされるが…

S013
【短編】犬の木
(08年)
▽「旦那、オイラ死んじまったよ…。死ねば楽になると思っていたんだが、そうじゃないんだね…。オイラ、寒くてしょうがないんだ…」。冬の路上で出会ったさみしがり屋の犬が、死んで木になった話。

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 いままでブログに掲載してきた小説のあらすじを一覧にまとめてみました。読むときの参考にしていただければと思います。
…euReka
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L01
【小説】グロリア(未完)
(07年~)
▽どうしようもなく醜い犬グロリアをとりまく人々の、どうしようもなくとりとめのない物語。主人公をほったらかしにして、自分の物語を長々と語り出す謎の女マリリン。民族学者の赤坂典子との出会いや夢の話、さらに物語は中国大陸へと広がって行く…

S001
【短編】気がかりなこと
(07年)
▽「あいにくだけど、自殺を止めるのがわたしの仕事なの」。ビキニの女の制止を無視して都会のビルから飛び下り自殺をした主人公。でもなぜか彼は青い海の広がる砂浜で目を覚ます。彼のたどりついた場所は楽園だったのか、それとも…

S002
【短編】ピアニスト
(07年)
▽天才ピアニストの突然の引退。理由は誰にもわからない。世間からの批判や噂話をよそに、ピアニストは一人で旅へ出る。街から街へ、国から国へ…。果たしてピアニストは、旅で何を見つけたのか?

S003
【短編】天使
(07年)
▽突然届いた天使からのメール。友達になって欲しいと訴える天使のメールを、主人公は誰かの悪ふざけだと思って無視する。そして10年後、クリスマスの街で主人公は思いがけないものと出会う…

S004
【短編】太鼓
(07年)
▽図書館が好きな盲目の主人公。ある日彼女は、図書館でアルバイトを始めた若者と出会うが、ろくに話すことも出来きないまま季節だけが変わっていく…

S005
【短編】バッファロー
(07年)
▽動物園で一番人気のない動物、バッファロー。主人公は動物園に行った日の夜、バッファローとバーで酒を飲む夢を見る。夢の中でバッファローは人生の孤独を語る…

S006
【短編】冷たい手
(07年)
▽「ハロー!」。ある日突然、部屋の冷蔵庫から見知らぬ女があらわれる。「あたしはただの女で、目的は冷蔵庫に住むこと…」。そう勝手に宣言する女と、主人公は同居を始めるが…

S007
【短編】屋上
(08年)
▽いつもビルの屋上で仕事をさぼっている主人公。屋上には自殺をしようとする女が次々とあらわれるが、主人公は誰一人自殺を止めることが出来ない。そしてついに説得をあきらめた主人公の目の前に、派手なドレスを着た不思議な女があらわれる…

《熊は誰かの心配をしてる》


伯父さんは

父さんより若い

よく家に来て父さんと話をしてる

母さんは少し離れた場所で編み物をして

わたしは縫いぐるみとお喋りをしてる

ウサギとキリンは仲が悪い

それを熊は心配してる

誕生日に伯父さんが

熊の縫いぐるみを買ってくれたときから

熊はいつも誰かの心配をしてる

伯父さんはもうすぐ結婚すると言ってた

結婚したら遠い国へ行くのだと言ってた

ウサギとキリンは仲直り出来そうにない

熊は誰かの心配をしてる

―end―

《姉さんは突然わたしにフルートをくれた》

姉さんは髪が長くて

きれいで

フルートを吹いていた

わたしがフルートに触ると

姉さんは怒った

きれいな顔が台無しだった

姉さんは恋人と別れて

髪を切った

夏だから切ったのだと姉さんは言った

その髪型素敵よとわたしが言ったら

姉さんは黙ってた

午後の風が部屋のカーテンを揺らした

姉さんは突然わたしにフルートをくれた

そしてわたしを抱き締めた

姉さんは母さんみたいにいい匂いがした

―end―

book-791765_1280
「神様の話を聞きに行きませんか?」
 女は、道を歩いていた僕を引き止めるとそう言った。「すぐ近くなんです。時間、ありませんか?」
「神様の話? それって、宗教の勧誘かい?」
「ええ、そんなところです。宗教はお嫌いですか?」
「興味ないね」
 僕がその場を去ろうとすると、女は僕の腕を掴んで言った。「ねえ、ちょっと待ってよ」と女は言うと、蛇のようにするりと腕をからませてきた。「一緒にお茶を飲むだけだったらいいでしょう? わたし、寂しいの…」
 そのまま腕を振りほどいて立ち去るべきだった。でも結局僕は、女に手を引かれるまま喫茶店らしき建物へ入った。奥のテーブルで白髪頭の男が酒を飲んでいる姿が見えた。他に客はいないようだった。
「先生、連れてまいりました」と女は言うと、その男の向いの席へ座るよう僕にすすめた。
 僕は今すぐ帰りたいと思った。
「まあ、座りたまえ」と男は赤い顔をしながら僕に言った。「君、酒はいけるのかね?……そうか、ダメなのか。残念だなあ…」
 あのう…と僕が言いかけると、男は手のひらを見せて僕を制止した。
「君の言いたいことは分かっておる」と男は言うと酒を一口飲んでシャックリをした。「ヒックゥ…。ところでつかぬことを訊くが、君は神を信じるかね?」
「いいえ、信じてませんが」
「ほほう、君はいい筋をしている。なあ、ユミコくん」
 男がそう言うと、女はええそうですね先生と言って頷いた。
「我々の宗教はだな」と男は言った。「神というものを持っておらんのだよ。神は死んだと言われて久しいが、我々の宗教は神が死んだところから始まるのさ。つまり我々の宗教は新しい神を探すことを目的とした宗教なんだよ…。ユミコくん酒を持って来てくれ…」
 女がカウンターの奥で酒を探していると、男はア~とかウ~とか言いながらソファーにごろんと横たわり、そのままイビキをかいて眠ってしまった。
「あらあら…」と女はあきれたように言いながら、男に毛布を掛けてやった。「さて、わたしたちも帰りましょうか」

 男を残して店を出ると、僕と女はしばらく歩きながら話をした。
「変なことに付き合わせちゃったわね」と女は言った。「先生はね、わたしの働いてるキャバクラの常連なの。だからたまに先生のこと手伝ってあげてるのよ」
 僕たちは、疲れた顔の会社員や自転車に乗った学生と擦れ違った。
「わたし、これから仕事なの」と女は言うと、僕にピンク色の名刺を渡した。「今度うちの店にも遊びにきてよ。じゃあね」
 女は人込みに混ざってすぐに見えなくなった。手を開くとピンク色の名刺が緑色の葉っぱに変わっていた…。僕はその葉っぱを家に持ち帰って本の間に挟んだ。

 数年後、僕と結婚した女が僕の本を開いてあの葉っぱを見つけた。彼女は葉っぱの付け根を指でつまむと、指先をこするように動かしながら葉っぱをクルクルと回した。その様子を見て僕は、彼女に新しい神様の話をした。すると彼女はフ~ンと言って葉っぱを本に戻した。
「で、そのユミコって女となんかあったの?」と彼女は、僕を見ないで言った。「別にどうでもいいけど…」
 僕は笑いながら彼女に言った。「だから、その女は狐だったんだよ」
「馬鹿みたい…」

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