アメリカの友人

小説と詩を書くブログ。

2009年03月

「今ね、春なんだって」
「へえ…、どおりで空気が暖かいんだ」
「春だからね、ウズウズするでしょ?」
「する…。たしかに…。ところでさ、ウズウズってなんだい?」
「心がね、自分の居場所をさがしてるの」
「じゃあさ、どうやったら心の居場所がみつかるんだろう?」
「とりあえず…」
「とりあえず?」
「夜空の星をね、ただぼんやりと眺めてみたらいいと思うの」
「ぼんやりと…」

地面に落ちた
黒い影を眺めていた

それは人間のような形をしていて
懐かしくて
悲しい形をしていた

影はときおり
不安げに揺れた

それで私
影に話しかけたのだった

君の好きな場所へお帰り
もう充分だから
もう悲しいことなんて
何もないから

影は
夕暮れの鈍い光の中で
長く長く伸びて
もう形も
何もなくなって

さよならも言わず
帰っていった

間もなくして私
見上げた暗い空に

一番星みつけた

白と黒

好きと嫌い

言葉と言葉の間には

見えない言葉があって

きっと

数えきれないほどの言葉が

無限にあって

だからいつも

迷子になる

白と黒の間で

私の大好きな人は
きっと正しくて
強くて
いい匂いがする

いつも世界を敵に回して
闘ってるの

何のタメに?

正しくあるタメ
強くあるタメ

いつもいい匂いで
いるタメよ

人知れず
吹き溜まりに集まった
枯れ葉や
砂や
よく分からない
塵(ちり)としか呼べないような
何か

昔はみんな
形あるものだった

きっと誰かにとって
価値のあるものだった

しかしあるとき
捨てられ
バラバラに砕け
行き場を失い
風に飛ばされながら
ようやく
辿り着いた

人はそんな場所を
吹き溜まりと呼ぶ

でもそんな場所から
誰も気にしない場所から
何かが

もう一度始まっていくような気がした

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