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■じぇじぇ。じぇじぇじぇ!! まるで白磁に吹き墨みたい。車に火山灰なんてこんなのはじめて■

朝からご近所が何やら騒いでいらっしゃる。時折、水をかけているような音も。
連休ゆえ車などきれいにしてご家族でお出かけでしょうかね。そんなことを思いながらゆっくりと起きて、階下に住む大王さまの元へ朝のご挨拶に。

「おはようござりまする。今日はご機嫌いかがでありましょうか」

ここのところずっとずっとテンションだだ下がりの大王さま。何ごとも朝の挨拶がその日を決する最も重要な儀式であるという処世術を学んでいる私。関節痛の痛みをこらえながら階段を下りて朝イチのご機嫌伺に出向きました。

「兄さん、大変だよ。阿蘇山が爆発的噴火したらしいよ」

「爆発も噴火もそれはあんたでしょうが。火山性微動のようなイライラばっかりでわたしゃ生きた心地がずっとしておりませんがね」

「オレのイライラの原因は決まってるでしょ!! まぁとにかく36年ぶりの大噴火らしいよ」

すぐにカーテンと窓を開けてオーマイガァのびっくり。
庭じゅうが、道が、何もかもグレーに染まって灰まみれ!! それに硫黄のニオイが立ち込めてて。やばい!! 車にも灰が積もっているかもと慌てて見てみると案の定真っ黒。こんな景色は初めての体験です。ご近所の賑わいのこれで謎が解けました。朝早くから洗車をしていたのですね。開けた窓をすぐに閉めなきゃ大王さまのぜんそくに響きます。

 

いろいろがお腹にたまった不機嫌を脇に置かせて大王さまにもマスクをさせて洗車の手伝いを。とにかくホースでひたすらザブザブとジェットの勢いで水をかけてもらいました。それが終わってウッドデッキやら玄関のテラスやらにも水をぶちまけて、流れ落ちる火山灰の水の汚さはまるで薄めたセメントみたい。雪が降って真っ白な景色なら嬉しさもありますが、一面真っ黒はまるでしくじった白髪染めが流れ出したすごい顔みたいにも見えました。

こんなのを放置していたら、我が愛車のハリハリちゃんも、動く御影石の墓石みたいになってしまうかもしれませんでした。そうこうしていたら大方のご近所さんも同じように洗車し、家の外壁や玄関アプローチに水をかけては火山灰を流していました。

半世紀以上生きていてこんな体験は初めてのことでした。自然の脅威を家にいながら身をもって体験してしまいました。

 

また熊本でした。

春の地震、夏の豪雨、そして今回は阿蘇山の爆発。不幸中の幸いであったことは、風が東に吹いたので火山灰が阿蘇山から東側に降ったことです。阿蘇山の西側にある地震で甚大な被害を受けた益城町などに降灰しなくてまずよかったと思っています。

しかし今年は九州の自然災害の多さには驚き以上に恐怖を感じています。あの地震も阿蘇山大爆発の予兆かもとついつい思ってしまっています。阿蘇山がカルデラ噴火したら大分市などひとたまりもなく一発で壊滅絶滅するそうです。こればかりはどうしようもないことですね。腹をくくって過ごさねばという今を生きる者の覚悟のひとつです。

そして鹿児島の友人がよく言っている、「桜島が爆発したら『へ』が降っていつも大変」という言葉を思い出しました。今回、思いもかけない景色に遭遇して、自然災害と常に背中合わせの生活の難しさと不自由さを改めて感じました。南海トラフ地震や阿蘇山カルデラ噴火など身近なことです。身近が大きすぎるだけに、もはや他山の石の悠長さなんて日本全国どこに行っても無いんじゃないかと身に迫る危険を感じています。