■レイと加持の会話シーンはない。マルドゥック機関の意味、レイに無知なゼーレ

全26話を通して、レイと加持の会話シーンは1度もない。
同席すらしておらず、つまり加持は、レイとの接触を許されなかった。 

これは、加持は、レイの正体が、「人間ではない事」を知らない
と言うだけでなく
「ゼーレも綾波レイの正体を知らない」
という事だ。

ゼーレ側のサードインパクトに、綾波レイは必要なかった。
シンジ、初号機、リリス、量産機、ロンギヌスの槍だけで起こすつもりだった。
そこにレイや、カヲルの細胞が組み込まれたのは、イレギュラーである。


キール:
「零号機パイロットの尋問を拒否。代理人として君をよこしたのだよ。赤木博士」

なぜゼーレは、レイを尋問しようとしたのか?
レイの素性をまったく知らない為だ。

ゲンドウやリツコ、諜報部が、
加持とレイとの接触を徹底して妨害した為である。

何せ、加持の死後になって、レイは
カヲルと同等のATフィールドを展開し、飛行したとしか思えない場所に立ち、
MAGIに使徒と識別された。

ゼーレがレイの正体をまったく知らないのは当然で、
つまり、「普通の人間だ」と思っていた。

ゲンドウにとってレイは虎の子であり、補完計画の要である。
しかしゼーレは、「テスト機のパイロット」としか聞いていなかった。 

レイの正体を隠しきれたのは、マルドゥック機関がある為だ。



 ■ マルドゥック機関の必要性とは?

「マルドゥック機関」
「エヴァンゲリオン操縦者選出の為に設けられた人類補完委員会直属の諮問機関」
「組織の実態は、未だ不透明」

これは内務省の視点で見た見解である。
実態は分からずとも、かなり真相に近付いている。
しかしなぜ内務省が、マルドゥック機関を調査しているのか?

加持と内務省は、マルドゥック機関の正体がゲンドウである事を知っている。
しかし一方、人類補完委員会など、国連関係者達は知らなかった。

ではなぜ、エヴァパイロットを選出する機関が、
これほど重要な件であるかのように扱われているのか?

この情報は、加持が独自にスッパ抜き、
日本政府に流したので、委員会だけじゃなく、ゼーレすら知らないのだ。



 ■ 加持がマルドゥック機関を調査すると何がマズいのか?

内務省工作員:
「貴様の仕事はネルフの内偵だ。マルドゥックに顔を出すのはまずいぞ」

内務省には、加持がマルドゥック機関問題に首を突っ込むと困る理由があった。

調査の依頼主が、日本政府だった事が洩れると、
加持を消したがっている中国などに、日本が目を付けられてしまう。

エヴァパイロットは、実際はゲンドウ達が決定しており、
実は、ネルフの自作自演だった事が各国に流出する事態を、
この内務省工作員は懸念しているのである。

悔しいかな、日本政府は自分を守るために、ネルフの味方をしているのだった。



ゲンドウが、委員会や国連に事実を伏せてまで、
マルドゥック機関なる、名ばかりの機関を組織する必要があった。

まず、エヴァパイロットの選出はゲンドウが担当している。
これは、ゲンドウ個人のコネで乗せてもらっている
シンジやレイを保護するためである。

なぜなら、もし、マルドゥック機関の正体がバレてしまうと、
実は、構造上の理由から
『ゲンドウが推薦する子供しか乗れない事』
が明らかになり、各国からネルフへの投資がストップするからだ。

ゲンドウは、エヴァ建造国から送られてくる、
胡散臭いパイロットなど預かるつもりはない。

各国の幹部達は、委員会を通じて、
『是非とも我が国の子供をエヴァパイロットに』
とアピールしているのだ。

つまり、ゲンドウが、エヴァの搭乗権を競売にかけたのである。

エヴァ建造国は、もちろん補完計画なんかではなく
軍事利用を前提にエヴァを欲しがっているので、
機体の少ないうちは、自国の子供をパイロットに推薦するだろう。

そうして競争率を上げ、ネルフへの投資を競争させるのだ。


だが生憎な事に、パイロットの資格を持つ子供は、
第壱中学校2年A組の生徒だけなのだ。

委員会や国連は、カモにされているとも知らず、
『いずれは我が国の子供もチルドレンに加えてもらおう』と、
本気で思っているのだった。

シンジやレイがパイロットに選ばれたのは、単にゲンドウの一存なのだが、
各国は、108個もの組織に認められたのだと、本気で信じているのだ。




 中国人スパイ:
 「ただ、パイロットがまだ見つかっていないという問題はありますが。」

第7話。

中国は、エヴァ建造権を取得できたが、
実はゲンドウに使い勝手のいい子供しか許可できない事、は分かっていない。
自国の子供を乗せるのが当然だ、という口振りで喋っている。

こうしてゲンドウは、パイロット選抜の真相を隠したまま、
各国に、予備のエヴァを作らせているのである。

また、ゼーレは最初からダミープラグを積む予定であり、
このままみすみず、中国の兵器としてくれてやる気はない。


実は、キールとゼーレも、ゲンドウに一杯喰わされている。

シンジとアスカは、その母親が、
ゼーレにとって重要人物だから認めても無理はない。

しかし、出自がまったく不明な綾波レイが、
エヴァパイロットでいられるのはあまりにも不自然だ。
キールやゼーレは、綾波レイの正体をまったく分からず、
ゲンドウに騙されるがままに、エヴァ零号機の席を許可しているのである。

さらに、綾波レイの正体を探り、ゼーレに教えるべきは、加持の仕事のはずだ。
それがなかなか出来ないから、劇中において、
『加持とレイが会話するシーン』
が1度もないのである。

加持がレイに近付けないように、ゲンドウが諜報部に命じているのだ。


つまり、もし加持がなりふり構わず、レイの正体を暴いた場合、
ゼーレや委員会は、ネルフへの投資をストップして、エヴァの維持費を絶ち、
戦自や国連軍でのネルフ本部摂取作戦を始めるかも知れないのだ。



また、このマルドゥック機関のトリックは、レイを保護するための仕掛けでもある。
そもそも、レイは裏口入学である。

レイがこうしてパイロットでいられるのは、
『投資のおかげですよ』と、ゲンドウがゼーレにも委員会にもアピールしているのだ。
ネルフに予算を出せば、こんな出自不明のレイでさえ
パイロットになれると宣伝しておくと、
レイが、ネルフにいてもおかしくない口実を作れるのである。


そもそも、そんな口実がなければ、零号機の席を奪うために
こぞって各国が争奪戦に乗り出してしまう。

それでなくても、エヴァは数が少ない。
3機しかなく、そのうち2人は、母親がゼーレ関係者で、
1人が出自不明の子供なのだ。

マルドゥック機関にまつわる裏の裏を最初に解き明かしたのは、
なまじ、エヴァパイロット達と直に触れ合っていた加持だった。
なぜレイが、ゼーレ関係者を母親にに持たないのに
パイロットでいられるのかが納得しがたいのだ。

加持は、真相究明が途中でありながらも、
ゼーレや日本政府に流して打診を促した。



エヴァに乗れるか否かの基準は、投資などといった安直な理由ではない。
 
技術的な問題なので、シンジとアスカだけに限り、
生まれる前から搭乗を約束されていた事実は、
くれぐれも、外部に知られてはならない。

誰の子でも乗れるのであれば、それこそ争奪戦になってしまう。
軍事力でエヴァの座を奪おうとするからだ。
ゆえに、この2人は特別のようで特別ではない、
だのと宣伝しても支障がないようにと、裏口選出を装う必要があった。


他人の子ならともかく、ゲンドウの子供であるシンジまでもが、
マルドゥックの報告書ひとつで招致できるなど、なんとも遠回りである。

ゲンドウが、マルドゥックの報告書という、偽の道具を使った裏には、
指令の息子という肩書きだけではエヴァには乗せれないという、大原則が窺える。
実際は、専用の機体とのシンクロが大前提だからだ。

そもそも、指令の息子がたまたま初号機とシンクロできたなんて話が
あっていいはずはない。
だからこそ加持は、シンジの存在を、搭乗するその日まで気付かなかったのだ。
だから後手に回ってしまう。
投資さえすれば誰でも乗れる、という触れ込みが利いている証拠である。



マルドゥック機関の正体がゲンドウである事を、

知っている
・ネルフ諜報部
・ネルフ監査部
・日本政府内務省


知らない
・人類補完委員会
・ゼーレ