伊豆高原の自然と森を守るブログ

私たちは伊豆高原の山林を大規模に伐採して計画されるメガソーラー計画に反対しています。
伊豆高原メガソーラー建設反対運動の記録を綴るブログです。

【裁判】条例に関する地位確認請求事件 判決 その1【伊豆メガソーラーパーク×伊東市】

令和5年6月29日、伊豆メガソーラーパーク合同会社が伊東市を訴えていた裁判の「条例に関する地位確認請求事件」の判決が静岡地裁で言い渡されました。

この裁判は、事業者が伊東市に対して行っている「河川占用不許可取消請求事件」と同時に起こされた裁判で、伊東市美しい景観等と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例、いわゆる伊東市の太陽光条例に纏わる裁判として起こしていたものです。結果は、確認の利益が認められないとして訴えを却下する判決でした。

事業者側が請求していた内容は2つ。

・条例に定められた「市長の同意」を受ける義務がないことの確認
・条例の勧告に従い事業を中止する義務を負わないことの確認

伊東市の太陽光条例は、伊東市内で太陽光発電施設を設置しようとするものは事業に着手しようとする60日前までに条例に定める届け出を行い、市長の同意を得る必要があります。
事業区域の全部又は一部が抑制区域内にある場合、市長は原則これに同意しない(但し事業面積が12000㎡以下はこの限りではない)、というものです。

市長の同意を得ずに事業に着手した場合は、期限を決めて必要な措置を講じるよう勧告が出来ると定められています(条例13条2項2号)

伊東市美しい景観等と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例

伊豆メガソーラーパーク側は、条例制定時に「現に太陽光発電設備設置事業に着手している者」は市長の同意を得るための届け出を必要としないとされていることから、自分たちには条例は適用されない、と主張していました。

伊東市の条例が施行されたのは平成30年6月1日で、伊豆メガソーラーパーク側はその時既にメンテナンス道路や建設工事の工事車両が通行するための道路を設置するための伐採工事を行っており、その為の伐採届は平成28年8月4日に提出している。必要な法的手続きを行って「事業に着手している」としています。

伊東市側は、条例上の着手は、必要な法的手続きを行った上でパネルや発電設備を設置を行う為に樹木の伐採や土地の改変を行うものを指すのであって、現地調査や測量、資材搬入などの準備行為は含まれない(ボーリング調査を行う為の作業用道路の設置は事業の着手にあたらない)としていました。

==================

事情が複雑ですが、静岡県の林地開発許可の審査過程で住民側が事業者が事業面積を改ざんしている疑いがあることを発見し、平成30年2月15日に許可されていた伊東市の宅地造成工事許可が見直され、変更許可申請(修正)が加えられました。
静岡県の林地開発許可がおりたのは平成30年7月2日。伊東市の宅地造成工事の変更許可が下りたのは平成30年7月9日。よって「事業を開始するにあたって必要な法的手続きが揃った」のは平成30年7月9日、ということになります。(条例の開始は平成30年6月1日)

判決文に具体的に条例前着手についての記載はありませんが、事業者が平成30年5月24日付けで宅地造成工事許可に基づく工事を行うとして着手届けを提出したが、伊東市側は変更許可が下りないうちに工事を行わないように要請する通知を出したことが事実として認定されているので、事業者側の条例の開開始前に自分たちは事業の着手を終えている、という主張は採用されていないことが覗えます。

林地開発許可も変更許可も下りていない中で事業者側は「林地開発許可の区域外で、変更許可のかかっていない元の許可部分で事業に5月31日に工事をした」という主張もしていますがこれも認定事実として採用されていません。

着手の時期云々については今回の裁判の主たる争点ではありませんが、メガソーラー事業者や反対運動をする住民にとっては重要なポイントになります。
今回、調査やメンテナンス道路の工事着手や準備工をもって「事業に着手した」という主張は認められなかった、ということになります。

この裁判自体、本命ともいえる八幡野川への「河川占用不許可処分取消請求」の裁判(条例違反事業であるから不許可)や、経産省からの改善命令(伊東市の条例に従えというもの)を意識して行われたように思えますが、判決の内容は、そもそも義務がないことの確認は、確認することの利益が認められないという門前払いの内容となりました。

一般的に関心が高いのはやはり「着手の要件とは何ぞや」という部分なので今回はその部分を抜粋しましたが、判決の主眼は別のところにありますので、追ってまた書いていきたいと思います。


(できるだけ正確にわかりやすく書けるように最大限努力していますが、私は法律や行政法の専門家ではありませんのでその辺りはご容赦下さい)


その2へ続く。


条例に関する地位確認請求事件 判決文参考資料




【用語解説】
※訴えを提起するには「訴えの利益」が必要であり、
訴えの利益とは、裁判を用いて紛争を解決するに値するだけの利益・必要性のことを言う。
原告の請求に対して、判決をすることが当事者間の紛争を解決するために有効かつ適切であるかどうかで判断され、これを欠く訴えは不適法として却下される。

地位譲渡契約?トーエネックがブルーキャピタルと東京産業を提訴【静岡県函南町メガソーラー】

伊豆の函南町でメガソーラー事業を計画、撤退を表明していたトーエネックが
ブルーキャピタルと東京産業を訴えた、という情報がSNSに上がってきました。

各地でメガソーラーに関する訴訟は多くなっていますが、入ってくる情報のほとんどは行政を相手取った行政裁判。
事業が頓挫したことによる民事の損害賠償や返金請求の情報は珍しいです。

ここでへぇ?と思ったのは、訴訟が「太陽光発電関連地位譲渡契約の解除による原状回復請求」であることです。


トーエネック訴訟東京産業トーエネック訴訟BCM
      東京産業株式会社【当社に関する訴訟の提起に関するお知らせ】     株式会社トーエネック【訴訟の提起に関するお知らせ】
      ※クリックすると拡大

   

流石に業界人ではありませんのでメガソーラー事業のビジネスモデルに精通してはいませんが
訴訟を起こしたトーエネック側のプレスリリースを読むと、「当社は本事業計画の関係事業者である東京産業およびブルーキャピタル社との間の契約をそれぞれ解除し・・・ 既払金の返還を求める訴訟を提起」とあります。

既払金の返還請求の理由は「原状回復」。

契約書を見ていないので何とも言えませんが、要するに、経産省の発電した電力の固定価格買い取り資格のIDを土地に付け、単に売買契約をして終了という形では無いのだろうな、と察します。

函南町からのメガソーラー事業撤退を決めたのはトーエネックですが、譲渡された太陽光発電事業の地位(この場合は恐らく売電によって収益を得ることができる立場)が成り立たなくなったので、原状回復しろ(既に払った金額を返せ)、という主張になっています。

「原状回復」は、例えば私たちが部屋を賃貸した場合など、その部屋の契約が解除になって出ていく際に、借りる前の状態へ戻す行為を指します。

色々と興味深いですね?

それぞれの地域で問題を起こしているメガソーラー事業がどのような形態の契約になっているのかを見る機会はなかなかありませんが、このようなビジネスモデルで運用されている計画もあるのですねー。
トーエネック側の主張が通るか否か裁判の行方が気になりますが、少なくとも事業撤退を決定すると、こういう権利関係や金銭の精算話が持ち上がる事業もある、ということです。

事業が事実上頓挫しているのになかなか撤退を決定しない計画が多い裏事情には、こういった権利・金銭の絡み合いが関係しているのかもしれません。



◆トーエネック、太陽光撤退巡り提訴 既払い金返還求め ー日経新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD028I30S3A600C2000000/


伊東市が新たな宅造変更許可を半年前に出していたことが判明!その真意は?

伊東市が約半年前、令和4年7月に大規模な宅造の新しい変更許可を出していたことが発覚し、膠着状態にあった事態が大きく動き始めました (((( ;゚д゚)))

令和5年1月13日。八幡野区や裁判の原告を抱える自治会の代表、伊豆高原メガソーラー訴訟を支援する会が急遽、伊東市小野市長に面談し抗議文と公開質問状を手渡す ↓


img_230114kiji




これほど重要な事を何故、住民に一切知らせなかったのか。

小野市長は「担当からの報告をもとに、住民に知らせるのにそぐわないと判断した」
とコメント。


「そぐわない」は、相応しくない、釣り合わないという意味の言葉ですが
一体何が、どこにどうそぐわなかったんでしょう?

行政の側から「●●日付けで、許可を下ろしました」と記者会見で自ら発表することは特に珍しいことではありません。
現に、伊東市は平成30年2月、伊豆メガソーラーパーク合同会社に対して宅造許可を下ろした時には記者会見を開き、その経緯について小野市長が詳細に発表しています。

・・なので、今回の変更許可で突然「知らせることが相応しくない」と言われても整合性が取れません。

img_27190701kakuzoukaikenn



また、許可前の申請時に事業内容について住民説明をするのは主に事業者ですが
伊東市に限らず、どの行政も、省庁も、こういった開発行為に対しては「住民説明を行うこと」は努力義務としていて、十分な説明が無い事業者に対しては「住民にきちんと説明するように」と指導をします。

5年前に宅造を下ろした時の会見での市長コメントでは「工事における安全管理についてあらかじめ地元区・町内等に説明すること」「地域住民等と対話を図り、地域住民への事業説明を行い、理解が得られるよう努めること」という、住民への説明義務が何度も出てきます。

伊東市は最初の許可の時に、自らこのような義務をつけて強調していたにもかかわらず
何故、今回は住民に「知らせるのにそぐわない」などと言い出したのでしょう???

ちょっとホントに、何を言っているのか理解が出来ないです (´;ω;`)


こういう方法がまかり通ってしまうと
とりあえず、住民が騒がないような計画内容で一旦、許可を取ってしまえば
あとから黙っていくらでも好きなように変更できる、ということになります。

住民説明も、住民と事業者で結ぶ協定書も、これでは何の意味もありませんよね?  (; ̄Д ̄)


そして今回、大きな問題がもうひとつ。

今回、事業内容に大きな変更許可の上書きをした伊東市の宅造の許可は
住民が取消請求を訴訟している最中の許可です。

裁判していると中で、まったく違う事業内容を上書き許可されてしまうと
住民がここまで続けてきた裁判の行方は、いったいどうなってしまうのでしょうか???

判例から考えると、裁判で今争っている事業内容は新しい許可で上書きされてなくなってしまう
→ 今、争ってる内容での事業はもう行われなくなった = 裁判強制終了。 

という可能性が高いと言います。

しかし、「今争っている内容の事業」は行われなくなったとしても、「新しく許可した事業」が上書きされて生きています。

許可の取消請求訴訟の提訴期限は、原則として半年。

7月に新しい許可が下りたとなると、その許可の取消を求める為の裁判の提訴期限は
8、9、10、11、12、1・・・(゚Д゚≡゚д゚)エッ!?

1月の24日までに新しい許可に対する取消裁判を起こさなければいけない!

( うーん。これはつまり?どういうことなんでしょう 。゜゜(´□`。)°゜。)



↓ 面談の際に持参した伊東市への抗議と要請の文章  PDFへのリンクは こちら


20230113伊東市への抗議要請文(確定).docx_0001_000120230113伊東市への抗議要請文(確定).docx_0001_0002
今回の、秘密裏に進められていた伊東市の新しい2回めの宅造変更許可。

読み解いていくと、いろんな ????? が浮かび上がってきます。

事態が入り組んでいるので、ゆっくりじっくりと
わかりやすく解説していきましょう。


その2へ続く、


プロフィール

evergreen_izukouge...

ギャラリー
  • 地位譲渡契約?トーエネックがブルーキャピタルと東京産業を提訴【静岡県函南町メガソーラー】
  • 地位譲渡契約?トーエネックがブルーキャピタルと東京産業を提訴【静岡県函南町メガソーラー】
  • 伊東市が新たな宅造変更許可を半年前に出していたことが判明!その真意は?
  • 伊東市が新たな宅造変更許可を半年前に出していたことが判明!その真意は?
  • 伊東市が新たな宅造変更許可を半年前に出していたことが判明!その真意は?
  • 伊東市が新たな宅造変更許可を半年前に出していたことが判明!その真意は?
  • 伊豆高原メガソーラー事業地、作業用道路崩落
  • 伊豆高原メガソーラー事業地、作業用道路崩落
  • 伊豆高原メガソーラー事業地、作業用道路崩落
Twitter プロフィール
伊豆高原の自然と森を守る活動をしています。大規模に森林を伐採して計画される伊豆高原のメガソーラー発電所計画に反対しています。
QRコード
QRコード