2006年05月23日

半島を出よ

「半島を出よ」を読み終わった。読み終わってみると面白かったが、いやはや、読みはじめから読み終わりまで3ヶ月近くかかってしまった・・・。最初、ペースが上がらなかったなぁ。(以下、本の内容に触れる部分があります)


北朝鮮の策略により、北朝鮮からの反乱軍と名乗る軍隊が福岡に上陸し、占拠する。で、その状況打開に乗り出したのが社会的にドロップアウトした人たちの集団。そんなちょっとありえそうな社会の舞台と、きっとありえない事件解決の話。

この物語は、まず出てくる登場人物の多さに圧倒される。上下巻それぞれの最初のページに数ページにわたる登場人物のリストがある。それがなければ、誰が誰だがすぐにわからなくなってしまい、物語を読み進められないような登場人物の多さである。多分、これほどの登場人物の多い物語を読んだのは初めてだと思う。これが原因で、かなり読み進めるのが遅くなってしまった。
その一人ひとりについて、自分の背景を語らせている。自分がここにたどり着くために関係した家族や事件。この丁寧な語りは、読み始めはとてももどかしい感じがするが、後半になると、語らせた効果が現れる。一人ひとりのことがわかっているから多くのシーンがすとんと落ちてくる。登場人物全部がなんとなく「脇役」じゃなくてでも物語的には「主役」でもなくて・・・。言葉にすると難しいけど、とても自然な感じがした。

後半、自分たちが事故で殺してしまった仲間を海に沈め、死者を送るろうそくを載せた紙の舟を仲間で眺めるシーンがある。このシーンで

「共有する感覚というのは静かなもんなんだ」

「みんな一緒なんだと思い込むことでも同じ行動をとることでもない。手をつなぎあうことでもない。それは弱々しく頼りなくあいまいで今にも消えそうな光を、誰かとともに見つめることなのだ。」

とひとりの少年が思う。

この部分を読んだとき、なんとなく、そうか、そうなんだ。と納得してしまった。
それは、それまでの彼らの「背景」がしっかり見えていたからかもしれない。でも、この部分を読んだとき、少年が「思ったこと」としてではなく、私が「思ったこと」のような気がした。

そんな感覚が「自然な感じ」だったのかもしれない。


who is who
ここに候
アゴヒゲ商店

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by しろくま   2006年05月23日 22:22
村上さんの本は、最近読んでません。

『イン・ザ・スープ(?)』を中学生で読んで、あんまり好きじゃなかったからかな〜でも、これはアクションもので楽しそうですね☆ アクションもの好きなんですよ〜

北朝鮮ものでは『プラチナ・ビーズ』という五條瑛という作家の作品がリアルな感じで、とってもオモシロいです。
2. Posted by ひとしこいし(ここに候)   2006年05月24日 08:44
トラックバックありがとうございました。

僕は語彙と文章力が貧弱なのでこのようなレビューが書ける人がうらやましいです。

またよらせてもらいます。
3. Posted by taca   2006年05月25日 23:47
しろくまさん
私も久しぶりに村上さんのを読みました。面白かったですよ。でも、残酷シーンがちょっとすごいです。時々よみながら、「わぁ」って仰け反ってしまうようなシーンも。ここのところこれほどな残酷なシーンを読んでいなかったので(綾辻行人以来かも)辛かったですね。それが大丈夫なら面白いですよー。
『プラチナ・ビーズ』今度、図書館で借りてみようかな。

ひとしこいしさん
はじめまして。ひとしこいしさんのレビューも、本の雰囲気を良く伝えてるなーって思って、楽しく読ませていただきました。ぜひぜひ、またいらしてくださいね。私もブログ読ませていただきますね(^^)/。
4. Posted by blog.livedoor.jp   2011年04月29日 21:55
3 50734886.. Keen :)

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔