ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ

眼科診療をしながら気がついたこと、最近気になったことを書いてみました

高齢者の方のまぶたの皮膚が赤くなる:治療が不必要なのに、治療をしてかえって悪くしてしまっていることがあります

高齢者の方が、まぶたが赤くなったと言って来院されることがあります。

しかし、その中には治療しなくてもいいのに治療をしてしまってかえって悪くしてしまっているケースがあるので、要注意です。



●治療が必要なケース


多いのは湿疹で、その中でも皮脂欠乏性皮膚炎といって皮脂の欠乏によってまぶたがカサカサになってかゆみを生じ、そして湿疹へと発展していくケースが多いのです。



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このように、若いうちは皮膚の表面にある健康な角質が外からの刺激から守っています。




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しかし、加齢とともに皮脂の減少とともに、角質の脂が不足してかさかさしてきます(若い時のようにお肌がみずみずしさを失ってきますよね)。そうすると角質でブロックできずに抗原が皮下まで侵入し血管や知覚神経に作用し、かゆみを起こしてしまいます。

かゆいので思いっきり掻いてしまい、湿疹へと発展してしまいます。


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すなわち!!

皮脂の減少⇒ 角質の傷み⇒ 抗原の皮下まで侵入⇒ 血管や知覚神経への刺激⇒ かゆい⇒ 掻く ⇒ 湿疹⇒ さらなる角質の傷み⇒ 湿疹がさらにひどくなる 

といった、悪循環が起こってしまうので、すぐに治療をする必要があるのです。




一方、
●治療が不要なケース


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このような健康な角質も



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加齢とともに皮膚が延びて薄くなってきたため、皮下の毛細血管が透けて赤く見えることがあります。

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これらの写真は、他の医院でまぶたの湿疹と診断され、治療をしても治らないため受診された方のものです。


いずれも、皮膚がたるんで薄くなったため皮下の毛細血管が透けて見えているだけなので、治療をしても治ることはありません。

そればかりか、湿疹で使うステロイドの軟膏は長期使用で皮膚の色素沈着を起こすことがあり、かえって悪くさせることもあるのです。


湿疹との違いはかゆみや違和感があるかどうかです。

かゆみなどの違和感がなく、軟膏を使っても全く改善傾向がないのであれば、治療を中断して、改めて医師に相談されることをお勧めいたします。





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どんな時に眼圧を上がる? どんな時に下がる?

緑内障の患者さまにとっては眼圧の値は気になるものです。

そうでない方も、眼科を受診した時には眼圧を測定することが多いので気になってる方も多いかと思います。


そこで、眼圧の値に関係するものについてです。


1.年齢

欧米の調査では、年齢は眼圧をあげるといわれています。

それには、血圧上昇、心拍数の増加、肥満の影響が関係するといわれています。

ただし、日本の研究では年齢とともに眼圧は下がるとの報告もあります。

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2.性

40歳以上の女性は男性よりも眼圧は高い

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3.人種

白人よりも有色人種が眼圧が高い



4.時間

午前中にピークがあり、午後から夜間にかけて眼圧が下がるパターンが多い



5.季節

夏よりも冬に高い

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6.体位

座っている位置から仰向けになると6mmHg上昇すると報告されている

ヨガの姿勢で眼圧が上昇して緑内障が進行した




7.運動

定期的な運動は眼圧を下げる。一方、重量挙げのような激しい運動では一過性に眼圧が上がる

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8.吹奏楽器

トランペットやオーボエなどの強く吹く楽器は眼圧が上昇


9.たばこ

一過性に眼圧をあげる


10.アルコール

一過性に眼圧を下げる




11.ホルモン

ステロイドは眼圧をあげ、性ホルモンは眼圧をあげる


12.ストレス

心理的ストレスは眼圧を上昇させる



(以上、溝上志郎:眼圧調整のメカニズムと変動.日本の眼科88:992-996.2017を参考にしました)



それ以外に

13.衣服

ネクタイなどの釘をきつく締めることで眼圧は上昇


14.大量の水分摂取

眼圧を上昇させることがある


15.夜間の睡眠時無呼吸症候群

無呼吸になっているときには眼圧は下がっていますが、低酸素状態で緑内障になる危険性が上がります。






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熱中症で失明? 網膜静脈閉塞症はヘマトクリット値が上がると発症しやすい。ストレスやたばこ、血圧の高い人も要注意

ある日、急に見えなくなったと受診されました。

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この写真のように、広範囲に眼底出血が起こり、視力は低下していました。

病名は網膜静脈閉塞症。40歳以上の日本人の2.3%に発症する病気で、けっして珍しい病気ではありません。

医学書には、網膜の静脈が閉塞する病気で、主に高血圧が原因で50歳以上の方に生じやすいと書かれてあります。


しかし、この方は40歳代で高血圧もありません。


あれっ?


診察時に、病気の説明と今後の生活についてご説明しているときに

「今後、マラソンを続けて行ってもいいですか?」 

とお尋ねになられました。


あっ。これだっ!


実は、2007年福岡県久山町の疫学調査により、高血圧以外に、高いヘマトクリット値網膜静脈閉塞症の発症に関与することが示されました。



ヘマトクリット値は赤血球の濃度で、ヘマトクリット値が高い人は血液がドロドロしており、血の塊ができやすくなって血管の閉塞を起こしやすくなります。



この方は暑い中、連日ジョギングをして脱水をおこし、体内の水分量が減って相対的に血液の濃度が上がって眼底出血を生じたようです。

running


ヘマトクリット値が上がるとその他の血管にも障害を生じ、70歳以上の高齢者がヘマトクリット値が52%を超えると脳卒中の発症が100%というデータもあります。同様に血管の病気である心筋梗塞の原因にもなります。


寒いところに起こるイメージのある脳梗塞や心筋梗塞も、実際のピークは6月から8月にあるようです。


夏場には発汗で血液の粘度が上がります。
太陽


ヘマトクリット値があがるのは、脱水以外にストレスやたばこも原因と言われています。


血液とは、血+液 です。液体成分が少なくなってくると血が濃くなってきます。

健康診断などでヘマトクリット値が52%を超えている方は、汗をかくとさらに血がどろどろになり、血管が閉塞しやすくなります。

夏の暑い時だけではなく、年中しっかりと水分補給を取りましょう。

健康のためにやっているスポーツも、この方のようにかえって健康を害することがあり要注意です。

ラグビー


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屋外でスポーツをしていて紫外線で充血を繰り返しているうちに眼球の横に黄色いできもの、瞼裂斑ができていませんか

屋外でスポーツをしている子供さんで、紫外線によって充血を繰り返しているうちに、ふと見てみると眼球の横に黄色いできものがある。


それが心配して来院される方がいらっしゃいます。

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これは瞼裂斑というもので、紫外線やコンタクトレンズなどの眼球の結膜に慢性の刺激をすることでできると言われています。

ある調査では、クラブ活動など外にいる時間が長い中学生ほど瞼裂斑ができているという結果でした。
野球部(61.5%)、サッカー部(42.9%)など外にいる運動部ほど高頻度でできているようです。


もしも、小さいうちに瞼裂斑ができてしまったり、大きくなってくれば、充血しやすくなったり外見上の問題に加え、違和感の原因にもなって、将来コンタクトレンズも快適に使えなくなってしまうこともあります。

それではどうすればよいかというと、その対策は眼鏡です。

サングラスでなくても大丈夫です。



中学生の瞼裂斑の発症率ですが、

眼鏡使用(12.1%)

眼鏡時々使用(35.6%)

眼鏡非使用(40.1%)

と眼鏡が瞼裂斑の予防に効果があります。

屋外でのスポーツをやっていて紫外線ですぐに充血する人は、視力がよくても度なしの眼鏡を使うと瞼裂斑の予防ができます。

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超一流アスリート(オリンピック代表選手)と一流アスリート(代表になれなかった候補選手)の視力の違い

ロンドンオリンピックの代表選手と推薦はされたが代表にはなれなかった候補選手の視力を比較した論文を紹介させていただきます。


候補選手でも一流アスリートですが、オリンピック代表選手となるとアスリートの中でも超一流アスリートです。

今回の論文のテーマは、超一流と一流のアスリートの視力にどれくらいの違いがあるのかの比較です


●視力(裸眼、眼鏡やコンタクトレンズでの視力も含む)が1.0以上あるものの割合

オリンピック代表選手(84.7%)>候補選手(78.0%):代表選手のほうがより視力が良好



●裸眼で競技しているものの割合

オリンピック代表選手(69.4%)>候補選手(63.9%):代表選手のほうが裸眼で競技しているものの割合が多い



●眼鏡やコンタクトレンズでの視力が1.0以上あるものの割合

オリンピック代表選手(81.4%)>候補選手(76.7%):代表選手のほうが眼鏡(コンタクトレンズ)が良い人が多い

眼鏡やコンタクトレンズによる矯正視力が代表選手に多かったのは、多くの代表選手は強化指定選手に指定されており、様々な専門家ら指導を受けており、視力も専門家からの指導により適切に矯正されているものと思われます。



以前、プロ野球の広島カープの選手の視力が、レギュラー>補欠>二軍 となったように(詳しくはこちら)、やはり代表選手のほうが視力が良かったのは、超一流になるためには視力はすごく重要ということを表しています。

さらに、

こういったところに、競技での成績に差が出るのかもしれません。


(枝川宏ほか.ロンドンオリンピックの代表選手と候補選手の祖力と視力矯正方法について:あたらしい眼科34.903-908.2017を参考にしました)

コンタクトレンズでの乾燥感:人工涙液を使っても乾燥が取れないときにはジクアス点眼が効果があります

コンタクトレンズの使用で目の乾燥を訴えた患者さまには、薬局で人工涙液を買って使用することをお勧めしています。

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しかし、いくら人工涙液を使用しても少しも乾燥感が改善しないと訴える方もいらっしゃいます。

茨城西南医療センターの大上智弘先生たちは、1dayと2weekの使い捨てソフトコンタクトレンズの使用中で、ドライアイと診断された患者さんを対象に、片眼に人工涙液、片眼にジクアス点眼をしてもらって、ドライアイの所見と自覚症状、コントラスト感度の改善具合を比較してみました。

その結果、ジクアス点眼を使った方の目は、ドライアイの所見、自覚症状、コントラスト感度、すべてにおいて人工涙液を使った目よりも改善したと報告されています。


さらには、ジクアス点眼を使用したコンタクトレンズや眼球には、人工涙液を使用したものと比較しても変化を認めず、ジクアス点眼のコンタクトレンズ上での使用も安全であることも示されました。

(以上、第60回日本コンタクトレンズ学会総会:2017年大阪、抄録集を参考にしました)

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ジクアス点眼には涙液の分泌と涙液の安定度を増すムチンを出す作用があります(ジクアス点眼についての詳しい説明はこちら

片眼に人工涙液を、片眼にジクアス点眼をという比較試験で、改めてジクアス点眼の優位性が証明されましたので、ドライアイで薬局で人工涙液を購入して使用しているにもかかわらず症状が改善されない方は、眼科で相談してみてはいかがでしょうか?




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オリンピック選手の視力矯正はコンタクト? 眼鏡? それともレーシック?

ロンドンオリンピックの日本代表選手294人についての調査です。

全体の34.7%が視力矯正をしており、そのうちコンタクトレンズが89.7%で最も多く、眼鏡が4.7%、LASIKが4.4%、Ortho-k(オルソケラトロジー:就寝中に特殊なコンタクトレンズを付けて視力矯正をする方法)が1.2%でした。


オリンピック選手は視力矯正にコンタクトレンズをもっとも使用しています。

コンタクトレンズは激しい動きのある競技においても邪魔にならず、より広い視野を保てるので選ぶ人が多いようです。

とくに激しい動きのある体操系競技では全員がコンタクトレンズを使用しており、広い視野を要するサッカーやテニス、卓球などの球技系競技でも93.2%と高い頻度を持ちます。

一方、LASIKはアーチェリーやライフル射撃などの標的に対しての技能を競う競技において11.8%が行われており、じっと瞬きをせずに注視をすると目が乾いてしまうのがコンタクトレンズを選ばない理由のようです。また自転車競技などのスピード系も7.2%がレーシックを受けており、風が当たってコンタクトが乾燥して見えにくくなるのが理由と思われます。

一方、柔道やレスリング、ボクシングの格闘技系ではLASIKをしているものはおらず、LASIKで眼球が弱くなるのを嫌うようです。一方、Ortho-Kが8.6%おり、コンタクトを嫌うものは眼球が弱くならないOrtho-Kを選ぶ傾向にあるようです。

(枝川宏ほか.ロンドンオリンピックの代表選手と候補選手の祖力と視力矯正方法について:あたらしい眼科34.903-908.2017を参考にしました)

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加齢性黄斑変性症は野菜不足だけではなく、お肉や油の摂りすぎもその原因

加齢性黄斑変性症は欧米では失明原因の第一位になっており、我が国でも10年前では失明原因の圏外でしたが、最近では3番目に多い失明原因と上がってきています。
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その原因は食生活の欧米化にあるといわれており、欧米人や最近の日本人はルテインを多く含む野菜を食べなくなっているためといわれています。

しかし、最近の研究ではそればかりではないようです。



広島大学の益田俊先生たちは、ロサンゼルス在住の日系人を対象に、加齢性黄斑変性症の発症にはどのような食べ物が影響しているかを調べました。

その結果、タンパク質、糖質、植物性脂質、ビタミンA,B1,B2,Cの摂取量には差はなく、動物性脂質と飽和脂肪酸が影響していると報告されました。

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飽和脂肪酸とは、お肉に含まれているだけではなく、バター、ラード、ココナッツオイルにも多く含まれている油です。

一般的にお肉を食べる人は野菜不足になりやすく、加齢性黄斑変性症の発症や進行を抑えるためには、肉食から草食に食生活を変えていかれたほうが良いでしょう。

第121回日本眼科学会総会(2017.4.東京):抄録集を参考に書きました

(関連ブログ)

加齢性黄斑変性症は視力を維持する治療から回復させる治療へ:新たな治療が

加齢性黄斑変性はどのような人がなる? 50歳以上の地域住民1486人を調査したデーターです。

タバコが原因で視力を落とすことも 

60歳から必要な目の栄養分とは?それは年齢とともに減少し体で作られず食べものから補給しないといけない黄斑の色素生成に必要なもの

必須ミネラルの亜鉛。亜鉛は加齢性黄斑変性症の進行を遅らせるという報告が

 

パソコン上でできる簡単な加齢性黄斑変性症のチェックはこちら

 

加齢性黄斑変性症の治療はこちら

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低濃度アトロピン:マイオピンは本当に近視の進行を遅らせるのか?

子供の近視を遅らせる目的で、低濃度アトロピン(マイオピン)というお薬があります。
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シンガポールから出された臨床研究にて、0.01%アトロピンは子供の近視の進行を60%も軽減させ、副作用もほとんどなかったというデータが報告され、日本のいくつかの施設でもそのお薬が処方されるようになりました。

その結果に期待をして毎日がんばって使ってられる子供さんも多いことと思います。

しかし、このシンガポールで出された論文には、比較試験は行っていない、偽薬との比較も行っていないなどの問題も多く、この点眼が日本人の子供にも効果があるかどうかが問題です。


しかも、日本では認可がされずに保険診療ができないため、患者さんは高い治療費を払って治療しています(日本のきまりでは混合診療が禁止されているため、お薬代だけではなく検査も実費になってしまうのです)。


そのため、この論文が出された後、日本の大学などの研究施設では追試験が行われました。

その中の一つである東京医科歯科大学の西山友貴先生たちのグループは、第121回日本眼科学会総会(2017.4.東京)にて、低濃度アトロピン(マイオピン)には近視進行を抑制させる効果がなかったと報告されています。

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2年間の追跡調査ですが、近視が進行すると眼球の軸が延びて視力が低下しますが、アトロピン点眼をしているグループの平均の延びが0.82mmに対し、なにもしていないグループの平均の延びは0.79mmと有意な差はなく、何と平均値だけでは何もしなかった方が延びは少なかったという逆の結果になりました。

この大学でも大きな副作用はなかったようです。

一つの施設だけでは何とも言えませんが、なにせ非保険診療で治療費が高く、おまけに予防治療なので治療期間が長くて経済的な負担も大変だと思います。

今、治療中で、今後どうしようなかって思っておられる方は、一つの結果としてご参考いただければと思います。

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運動で眼圧は上がる? 下がる?

適度な運動は血圧を下げて健康に良いといわれています。

はたして眼圧についてはどうでしょうか?

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九州大学の藤原康太先生たちは、1871名を対象にして、運動回数の増加、運動時間の延長で眼圧が下がるかどうかを調べました。その結果、運動によって眼圧が下がることを報告しています。

そして、それは高血圧、糖尿病、肥満の有無にかかわらず、多くの方に眼圧が下がる傾向があるようです。

(以上、第121回日本眼科学会総会講演抄録より)


また別の報告では、3か月の有酸素運動で眼圧は下がることは言われていますが、一方、ダンベルやバーベルなどの筋肉に負荷を加える運動では、逆に眼圧が上がるようです。

さらに、頭の位置を長時間、下に下げる動作は眼圧が上がるといわれており、健康のために行ったヨガで緑内障が進行したとの報告があり要注意です(詳しくはこちら)。



しかし通常の有酸素運動では問題はなく、しかも血流の低下が緑内障の進行と関係があるといわれていますので、血流を上げてくれる運動は二重の効果が期待できるのです。

緑内障患者さんが生活習慣で気を付けるべきことは、適度な運動を欠かせないことであると言えます。



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