ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ

眼科診療をしながら気がついたこと、最近気になったことを書いてみました

レーシック手術は長期にわたって視力が維持できるのか?近視の戻り

レーシック手術が行われてから約20年近くが経過し、


「レーシック手術は、はたして長期にわたって視力を維持できるのか?」 


「レーシック手術をした直後はよいけれども、後から徐々に近視が戻ってくるのではないか?」


といった疑問が出てきています。




そこで、レーシック手術後の近視の戻りについて調べたデーターを紹介させていただきます。 


ある海外のデーターによると、手術前の平均近視度数が-7.27Dという強度近視97眼の手術直後に対する10年後の近視の戻りを調べたところ、10年間で-1.04Dの近視が戻ってきているとのことです。

0.25Dが眼鏡やコンタクトレンズの1段階ですから、10年間の間に約4段階もの近視が戻ってきているという結果でした。



宮田眼科の森洋斉先生は、レーシック手術を行って調子が良い方はその後眼科には通院しない。

そのため、主に調子の悪い方が多く含まれている可能性があり、統計上修正する必要があると考えました。


そこで宮田眼科で行ったレーシック症例579例1127眼で、データーの補正を行って解析を行いました。


その結果、10年間で-0.63Dの近視の戻りがあったとのことです。眼鏡の度数にして約2-3段階近視が戻るようです。


さらにその経過は術後6か月で近視化を認め、術後9年までは徐々に近視化する傾向があったとのことです。


(以上、森洋斉:レーシック後長期の視機能.あたらしい眼科33.1601-1602.2016を参考に書きました)

医師

レーシック手術後、徐々に近視が戻る原因はいまだはっきりとはされていませんが、術直後のようには見えなくなったと感じられている方は、近視が戻っている可能性があります。



●当院に実際に受診されたレーシック手術後の不調例

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読書はどれくらい子供の近視の進行に影響するのか

子供の読書はどれくらい近視の原因になるのか?


興味のあるところですが、それについて調べた研究を紹介します。




●読書時間は子供の近視の原因となる?


2339人の11歳から14歳の小児で調べた報告によると、


30分以上連続して読書する小児は、連続読書時間30分以下の小児と比べ、1.5倍近視になりやすい




●読書する距離は近視の進行する原因となる?


読書する距離が30cmよりも近い場合、30cm以上離して読書する場合と比較し、2.5倍近視になりやすい




●読書の量は近視の進行する原因となる?

7歳から9歳の小児1005人で調べたデータでは、1週間に2冊以上の本を読む小児は、3倍近視になりやすい。


 

やはり、従来から言われている通りの結果となりました。


過剰な読書は近視の進行する原因となるようです。


適当な休憩が必要なようです。 


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「子供の近視の進行が止まらない」 「強度近視にはさせたくない」最新の近視進行抑制治療

「子供の近視の進行が止まらない」


「この進行を止める方法はないんですか?」


と聞かれることがあります。


保護者の方にとっては学校検診の度に視力低下を指摘され、その都度眼鏡の度数を上げていく。


「どこまでうちの子供の視力は悪くなるの?」 と


すごく不安になってられると思います。


眼科医の立場としても、何とかこの近視の進行を止めていかなければなりません。


というのは 


日本人の失明原因のなかで、7.8%の方が強度近視で失明しています

詳しくはこちら) 



 さらに15歳を過ぎると近視の進行は緩やかになりますので、小中学校時が近視対策を行う時期なのです。

あまりもたもたしてられません。

詳しくはこちら



近視進行抑制治療といっても、近視は遺伝的な要因が大きいからとあきらめている方もおられるかもしれません。


しかし、近視が進行中の一卵性双生児に片方の子に眼鏡、もう片方の子に近視の進行抑制治療として注目されているオルソケラトロジーを行ったところ、オルソケラトロジーを行った子供さんの近視の進行が抑制できたと報告されています。


このように近視進行抑制治療を行うことで、遺伝や環境に影響されることなく近視の進行を抑えることができる世の中になってきました。



そこで最新の近視進行抑制治療について書いてみます。



●眼鏡

遠近両用眼鏡

近くを見るときの負担を軽減させるために、子供用にデザインされたMCレンズの入った眼鏡をさせた結果、15%の近視進行抑制効果が合った報告されています(詳しくはこちら)。

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MyoVisionレンズ

網膜周辺部のずれが近視の原因であるという理論の元、近視の進行を抑制するために作られ、中国では30%の近視進行抑制効果が得られたと発表されました(詳しくはこちら)。

その結果をもとに、我が国でも2年間にわたって追跡調査を行った結果、近視抑制効果がないという結果になりました。




●コンタクトレンズ

オルソケラトロジー(ハードコンタクト)

オルソケラトロジーとは、睡眠中に特殊にデザインされたハードコンタクトレンズを装用することで眼球を変形して近視を矯正し、日中にコンタクトや眼鏡なしでも生活できるようにしようとするものです。

このオルソケラトロジーによる眼球の変形が、近視の進行の原因とされる周辺部網膜のずれを軽減し近視進行抑制効果が期待できるのです。


日本人のデーターでは眼鏡装用と比べ、36%の近視抑制効果があったと報告されています。


(このオルソケラトロジー治療は保険適応になっておらず、初期費用として両眼で15~20万円前後が必要です)




遠近両用ソフトコンタクトレンズ

コンタクトレンズを遠近両用とすることで、近くを見るときの負担を軽減させるのと周辺網膜のずれも軽減できます。


中国のデータですが、眼鏡装用と比べ34%の近視抑制効果があったと報告されています。


また日本のデータでも、通常のソフトコンタクトレンズと比べ、47%の眼球の軸が伸びが抑制できた(近視は眼球の軸が伸びることによっておこる)と報告されています。


(こちらは通常の遠近両用ソフトコンタクトレンズを使用しますので保険診療はできますが、小さい子供さんには合わせることができません)


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●お薬

低濃度アトロピン点眼(Myopine)


シンガポールで5年間Myopine点眼を使用した場合の近視の進行程度が、無治療の2.5年間の同世代と同じであったとのことで、Myopine点眼には50%の近視抑制効果があったと報告されました。


しかし、この論文には比較試験は行っていない、偽薬との比較も行っていないなど問題点が多く、現在、日本の7大学においてプラセボ点眼も用いて本当に近視抑制効果があるのかについて追試験中です。


そのためMyopineは我が国ではいまだ認可されておらず、このお薬を使った治療を保険診療をすることができません。



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幼児の視力障害が見落とされる可能性。それは幼稚園、保育園での眼科検診が十分にできていないことも

眼科の分野にも小さいうちに発見しなければいけない病気がありますので、幼児期の健診は非常に重要です。


頻度から言っても特に重要な幼児の病気が斜視と弱視で、

一般的に、少なくとも斜視は6歳、弱視は8歳 までに発見できなければ十分な治療効果が得られません。



そのため、早期発見が重要なのですが、実際に現在行われている幼児の斜視や弱視を早期発見するための我が国のシステムは十分ではないのが現状です。


そこで、早期発見するための我が国のシステムの実態と問題点を考えてみます。

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●三歳児検診

 まず、幼児の目の病気が発見される最初のチャンスです。


今行われている一般的な三歳児検診のやり方です。


「0.5の視標を読ませる視力検査表」を市町村から各保護者に配布され、それを使って各家庭で保護者が視力検査を行います。


しかし、各家庭で正しく実施されていなければ視力低下が見逃される可能性があります


そこで、視力が怪しいとなると二次健診となり実際に医師の診察を受けます。


しかし、ここでの二次健診でも眼科医が診察している市町村はわずか4.8%

眼科以外の医師が実施 26.8%

保健婦、視能訓練士が実施 36.4%

行政と契約した医療機関が実施 8.7%

その他 23.4%

眼科の専門医以外が診て本当に目の病気が発見されるのかという問題点があります。





●幼稚園・保育園での視力検査・眼科検診

次の幼児の目の病気が発見されるチャンスです

にもかかわらず

幼稚園での視力検査の実施率 48.3%

保育園での視力検査の実施率 34.7%



また、

幼稚園での眼科検診実施率 15.2% (一方内科検診99.0%)

保育園での眼科検診実施率 28.4% (一方内科検診98.0%)


さらに

眼科園医のいる幼稚園 25.4%

眼科園医のいる保育園 11.4%

(眼科医のいる小学校74.1%、中学校73.0%、高校68.9%)





●就学時健診

ここが学校に上がるまでの目の病気が発見される最後のチャンスです

しかし、実際には

眼科医による就学時検査員が実施されいているところ 46.8%

と半分にも満たない結果でした。

(不二門尚:学校健診の問題点.あたらしい眼科33:1389-1396.2016を参考に書きました)



まだまだ我が国の幼児の目に対する早期に発見をするための制度は十分ではないようです。


目の病気の中には早期発見、早期治療が必要の病気もあります。

保護者の方が、見えにくそうにしている、目の位置がおかしいなどおかしいところに気が付けば、眼科を受診して診察を受けるようにしてください。 



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緑内障になりやすい睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時に呼吸が一時的に止まってしまっている病気で、以前、夜間バスの運転手が居眠り運転で大きな事故を起こして有名になりました。

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しかし、この睡眠時無呼吸症候群の患者さまは緑内障になりやすいと言われています。



その原因を北海道大学の新明康弘先生たちのグループは調べました。



睡眠時無呼吸症候群の患者さんの睡眠中の眼圧を調べましたところ、無呼吸になっているときにはむしろ眼圧が下がっているという結果でした。



ではなぜ眼圧が下がっているにもかかわらず緑内障になるのかについては、呼吸が停止しているときには血液中の酸素も減少し、それよって視神経線維を傷めてしまうのが原因のようです。


無呼吸中の低酸素状態が続き、視神経繊維の傷みが進んで緑内障へと発展するようです。



睡眠時無呼吸症候群の患者さまは約2倍の緑内障になる危険性があるといわれています。



たとえ眼圧が正常であっても睡眠中の低酸素状態によって知らない間に緑内障が進行している可能性があります。



いまだ眼科を受診されていない睡眠時無呼吸症候群の患者さまは一度眼科を受診されることをお勧めいたします。


また緑内障で眼科を受診されている睡眠時無呼吸症候群の患者さまは、いくら眼科で眼圧を下がっていても睡眠中の低酸素で緑内障がさらに進行することが考えられます。


睡眠時無呼吸症候群なんて大丈夫って思わず、主治医の先生に自分が緑内障であることを伝えてもらった方がよいでしょう。


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交通事故の発生の58.8%が見ることに関連しておこっています

警視庁の発表によると、交通事故の発生は30.6%が安全不確認、16.8%が脇見運転、11.4%が動静不注視といった全体の半分以上が「見ること」に関連しています。

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その交通事故と関係のある見る機能に関係するのが、いかに広い範囲を集中してものを見ていられているかという「有効視野」というものです。


この有効視野がもっとも低下するが、



携帯電話の操作で、

その次がカーナビの操作だそうです。


また道路の混雑度が上がってくると低下し、、年齢とともに低下してくるようです。



実際に事故経験者ほどこの有効視野が低下していたというデータがありますので、もともと視力低下や視野障害を持っている方は、なおさら慎重な運転が望まれます。


横から複雑な内容の会話をされると有効視野が低下してくるようです。


助手席の方もあまり刺激をしないほうが良いようです。


運転免許更新時の視力適性検査で見逃される可能性のある視野障害。高齢化社会の中、交通事故多発の原因にも




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50歳以上でものが歪んで見えたら黄斑前膜(上膜)かもしれません。ほうっておくと悪くなる?変わらない?それともよくなることもある?

●黄斑前膜(上膜)の主な原因は:

眼球の中の硝子体というゼリー状の物質が加齢により縮んでくる時に、網膜の中心部分である黄斑に残存した硝子体が黄斑前膜の本質であるといわれています。

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(このように黄斑に膜が付いています)



具体的に言いますと 



(20歳以前の眼球の状態:眼球の中には硝子体という透明なゼリー状の物質が詰まっています)





 
(20歳以降の眼球の状態:加齢により硝子体が縮んできて、一部透明な液体に置き換わります。後部硝子体剥離と言いますが、通常は硝子体は黄斑から分離します)



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(黄斑前膜とは:後部硝子体剥離が起こらなかった黄斑に残存した硝子体が原因となります)





それ以外に、網膜剥離、網膜裂孔、ぶどう膜炎など二次性のものもあります。






●どれくらいの方が黄斑前膜になっているのか

54歳以下:1.4%

55-64歳:5.1%

65-74歳:8.9%

75歳以上:9.8%


とやはり加齢により黄斑前膜になる方が増えてくるようです。 




●このままにしておくと悪くなる?  よくなる?  変わらない?

5年の経過観察で、

変化なし:38.8%

縮小:25.7%

進行:28.6%


症状がなければ、5年間で進行する方は28.6%ですから、何もせず経過観察をするのも一つの方法です。





●手術をするとすぐに見えてくる?

すぐには見えてくることは少なく、

1年くらいで徐々に視力が上がってくる方が多いようです。





●手術はいつする?

術後12か月で視力が1.0になるのに影響するものに


年齢

症状持続期間

初診時の視力

黄斑の傷みの程度



これらの四項目は手術は早くした方が良いことを示しています。

しかし、黄斑の傷みの程度が強くない方は視力も良好な方が多く、場合によっては手術によって視力が低下することもありますので、手術をする時期はよく主治医の先生と相談してください。





ものが歪んで見えるもう一つ考えられる病気:加齢黄斑変性症はこちら




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医師が患者を傷つかせる言ってはいけない発言(ドクターハラスメント)、医師が多用するのはよくない発言をまとめてみました

私は眼科医です。 



診断、治療するだけではなく、病状の説明も重要な仕事であります。


しかし、最近、医師のささいな発言で患者さまを傷ついてしまったり不信感をもたれたりするドクターハラスメント(ドクハラ)が問題となっています。


そこで、患者さまからはどのような発言がドクターハラスメントになるのかを考えてみました。

説明1






◎患者様を傷つかせる言ってはいけない医師の発言


●私のことが信用できないならよそに行ってください

患者様とのコミュニケーションがうまくいかないとき、医師が冷静になれていないときにこのような発言が出るかもしれません。

その医師を頼りに来院している方に決して言ってはいけない言葉です。


患者様の信頼感を傷つけてしまうだけではなく、転医した場合には一から検査をする必要があり、患者様のそれまでの時間と出費が無駄になってしまいます。


そのようなときには少し冷静になって、

「今の診断や治療に納得ができないのであれば、セカンドオピニオンとしてほかの先生の意見を聞いてみられてはいかがでしょうか。よろしければ今までの経過をまとめたものを紹介状として書かせていただきます」

とすべきところでしょう。





●高齢者に対して「あんた何歳まで生きるつもり?」

医師は冗談でこのような発言しますが、このような言葉をかけられた患者様の気持ちは傷つきます。

少しでも長く生きてられるようにその医師を頼って来院されているにもかかわらず、健康な患者さまにこの発言はショックだと思います。


自分の外来でも、患者様のほうから

「もう先が知れていますから」

「もうぼちぼちお迎えが来ますわ」

と冗談で言われることがあります。


それを真に受けて、医師のほうから患者様の生死についての冗談はタブーであると思います。






●これは前にも言ったでしょ

●これは先ほど言いました


忙しいときに同じ質問をされた時には、ついつい言いそうになるセリフです。

しかし、同じ質問をするということは、最初の質問が理解できなかったということです。

めんどくさくても、患者さまの理解度の向上と不安の除去のために説明するべきであると思います。





●おじいさん、おばあさん

いくらお年がいっていても、気が若くて元気な方が多くいらっしゃいます。

そんな方におじいさん、おばあさんはその方のプライドを傷つけます。

また、よほど研修医上がりの医師でない限り、医師の年齢からはおじいさんおばあさんではなく、お父さん、お母さんの年齢であると思います。

どうしても愛着を込めて呼びたいときには、「おとうさん」 「おかあさん」 と呼ぶようにしています。





●なぜこんなことができないんですか?

糖尿病や高血圧など生活習慣病のかたが、もう少し血糖値や血圧をコントロールしていただければ病状が良くなるのにと考えた時についつい思ってしまいます。しかし、患者さまも努力はされています。決して口に出してはいけないでしょう。



●(お子さんやご主人の前で)これは遺伝的な病気なので治りません


遺伝的な病気といわれると、お子さんは自分にも同じような症状が出るのではないかと不安になり、もしも子供さんにも同じような病気が出た時には、お子さんやご主人からその方が非難される可能性があります。


やはり、プライベートな空間を作って説明すべきで、患者さまの許可を取ったうえでお子さんやご主人にも説明すべきであると思います。



●本当にお薬を飲んでいますか?

薬が効いていないのが原因かもしれないのに、患者のせいにする責任転嫁です




●(診察の間隔があいて久しぶりに来院された時に)勝手に治療を止めてはいけませんよと罵る

体調や経済的事情など、何か事情があって来院することができない方がいらっしゃいます。まずは、どうされていたんですかとそれまでの事情を心配してあげるべきです。




●本当に痛いんですか?  ●少し大げさですね


これは言語道断。患者さまの来院理由を否定しています。

その時に異常がなくてもあとから異常が出てくることもあり、神経症といって精神的な要因で症状が出ていれば異常所見は出ません。

そういうのも含めて症状を改善させるのが医師の役割であると思います。

「今の状態は、症状ほどは強くはありません。ですから今の症状は徐々に改善してきますので、心配はありません。逆に今よりもさらに症状が強くなって来れば、今回発見できなかった新しい病気が出ている可能性がありますので、その時にはもう一度ご来院ください」

あるいは神経症的な患者様には

「このお薬はすごく効果があります。きっと治ると思いますよ」

と安心させることが治療の最初だと思います。







●遊んでいるから(不摂生をしているから)こんな病気になるんです

糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の方に教育的な指導も含めて、発言することがあるかもしれません。


しかし、生活習慣病には遺伝的な要因もありますので、すべての方が不摂生な生活をしていたとは限りません。

あるいは精神的なストレスで数字が悪くなった可能性もあり、こんな言葉を医師が投げかけるとさらに病状が悪くなるかもしれません。


まして、医師はその方の生活を実際に見ているわけではありませんので、このような発言は慎むべきでしょう。


実際に、質素な生活をしているにもかかわらず発症しているのであれば、患者様をより傷つけてしまいます。


ただし、患者様を励ますために医師は多少きつく言うことがあります。いわゆる愛のむちです。


そんな時でも、努力の結果、データが良くなれば褒めてあげることも忘れてはいけません。





●仕事をしていないんですか? いい御身分ですね

病気が原因でお仕事ができない方もいらっしゃいます。 これも言ってはいけない言葉です。







●これくらいのことで次は来ないでくださいね

●こんなんだったら次は来なくてもよいですよ


忙しいとき、軽症の患者さまが来院された時にはついつい思ってしまいます。

しかし、軽症かどうかを判断するのは医師です。

患者さまにとってはこれは一大事と思って医院を受診するわけです。

「次に同じくらいの程度であれば、来院されなくても勝手に治りますので大丈夫です。ただし、もしもそれが心配であればまた受診をしてくださいね」

ただし、中には不安で不安で少しのことで来院されるかたもいらっしゃいますので、十分な説明が必要であります。




その他、


●(医師の説明時、わからないことを質問した後) こんなこともわからないの?



●あなたねぇ。素人さんでしょう。









◎ドクターハラスメントではありませんが、患者さまを不安にさせる一言

●変わりはありませんでした。もう少し様子をみましょう

もう少し様子をみましょう・ドクターというのがあるようです。

いつ行っても、「もう少し様子をみましょう」「もう少し様子をみましょう」とだけ言われ、病名や病状の十分な説明もないまま診察が終了する医師のことだそうです。


自分もとくに悪化予防が目的の患者さまが、悪化傾向がないときについつい「もう少し様子をみましょう」と発言してしまいます。


けっして間違った説明ではないと思いますが、毎回毎回同じことを言われているうちに、患者さまとしても新たな説明がほしくなるようです。


「様子をみる」を辞書で調べると物事の動向や成り行きを見るとありました。

すなわち病状の動向をみることで、病状が悪化しないかを見ることです。

であれば、患者さまの知りたいのは病状が悪化したときにどのような症状が出るのか、どのようなことに注意したらよいのかです。の説明を付け足してあげたほうがより親切です。

『幸い変化はありませんでしたが、もしも変化が出てくれば〇〇のような症状が出てきます。そうならないように△△のようなことに注意していってください』

と説明するようにしています。できるだけ「もう少し様子をみましょう」の言葉は使わないように注意しています。





●大丈夫です。お薬をお出ししておきます

外来でよく聞く言葉です。

しかし、中にはこのセリフだけで診察が終了しては患者さまの不安は取れません。

何が大丈夫なのかの説明を付け足してあげたほうが、患者さまはより安心できますし、ましてお薬をお出しするのであれば、お薬の目的なども説明してあげたほうが親切です。




●これは専門外だからわかりません


不確かなことを患者さまに説明するのはよくはないと思いますが、多用はよくないと思います。

ある程度確信できることであれば、専門外ですがと断っておき、自分の知識で説明することがあります。




●自信がないけど〇〇だと思います

このセリフは患者さまを傷つけは致しませんが、不安にさせます。

ついつい他に鑑別すべき病気の可能性があるとき、どちらかなっと思った時に言いそうになります。

しかし、医師はクイズの回答者ではありません。

患者さまはその医師を頼って診察を受けているわけで、自信がないけどと言われると、果たして最後までお薬を使ってくれるのか。もしも治りが悪い時には、途中で治療を中断して転医するかもしれません。


そういう時には次のように言っています。

『よく効くお薬をお出ししますね。おそらく△週間で治ると思います。しかし、□□の病気の可能性もありますので、1週間しても症状が改善しないときは、再度ご来院くださいね』

自信がなくてもよく効くお薬というと、頑張って使ってくれます。

眼精疲労の患者さまには、非常によく効くお薬ですよと説明すると、プラシーボ効果もあり作用が増強されることもあります。

またお薬を使って改善傾向のあるときには、多少大げさに

「すごくお薬が効いていますよ。この調子で使って下さい」

と言って説明しています。



他に鑑別すべき病気の可能性も説明しておくと、もしも治らなくてもまた戻ってきてくれて、新しい治療にすぐに転換できます


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私たちは友人、夫婦、ご近所関係など、よりよい言葉を慎重に選んで良いコミュニケーションが成り立っています。

その中でも、医師と患者の関係は特別です。

患者さまは、医師を頼って来院されます。

その時に傷つけてしまう言葉を発言することは、その信頼を裏切ることになり大きなショックを受けることになります。

また病気を患っている患者さまの精神状態は落ち込んでいますのでなおさらです。


今回は自省の意味も込めてまとめてみましたが、そういう立場の医師は些細な言動で患者さまの気持ちを傷つかせることを十分に理解して発言する必要があると感じました。





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子供の遠視は9月生まれに多く、4月生まれに少ない。強い遠視や弱視の原因となり秋生まれの子供さんはその危険性があります。

遠視の程度と生まれつきとの関係を、枩田眼科の枩田亨二先生たちが13.757例の小児の遠視や近視の程度を測定する屈折検査から調べました。


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その結果、+3D以上の遠視になる危険性は4月生まれの0.68に対し、9月生まれは1.30になり、この間の月はこの両月をピークとして典型的なS字カーブのグラフとなりました。


ということは、何か小児の遠視の程度の発生に関係するものがありそうです。


そこで、調べられたのが日長時間(夜明けから日没までの時間)の変化です。


 前月からの日長時間の変化(時間)

1月:0.24
2月:0.81
3月:1.05
4月:**1.09
5月:0.91
6月:0.47
7月:-0.23
8月:-0.79
9月;-1.05
10月:*-1.06
11月:-0.95
12月: -0.49

日長時間がより少なくなった月に生まれた子供さんほど遠視になりやすいという傾向が示されました。


(枩田亨二ほか、行列方程式による屈折と生まれつきの関係の逆解析.日眼会誌120:533-539.2016 を参考に書きました)


強い遠視は将来弱視の原因となります。


秋生まれの子供さんは、今は小さい子どもさんでも遠視かどうかを調べることができますので、一度眼科を受診されてはいかがでしょうか


新しい小児の屈折検査
 


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子供の近視の予防: 弱い目の眼鏡が子供の近視の進行の抑制によいのか、きっちり合わせたほうがよいのか、強い目がよいのか

小さい子供さんが近視になると一気に近視が進行することをよく経験します。

そこで、その時に処方する眼鏡の度数を調整することでこの近視の進行を少しでも抑制できないかということが以前から言われていました。



昔は子供の眼鏡をかけさせるときには弱い目の方ががよいという時代がありました
(自分が眼科医になった時には子供の眼鏡を合わせるのは0.8から0.9くらいがよいと言われていました)。


しかし、その後いろいろな検証が行われ 、

近視の眼鏡は弱い目に合わせるよりも本来の近視の度数に合わせたほうが近視が進行しにくいということがわかってきました。

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同志社大学の竹林陸先生の研究によると、本来の近視の度数よりも-0.5D(眼鏡の度数にすると2段階)弱い目に合わせた眼鏡をつけている児童と、本来の近視の度数に合わせている児童を2年間追跡調査を行いました(平均年齢8.5歳)。



その結果、

弱い目に眼鏡を合わせた児童は、2年間で1.60D進行

一方、本来の近視の度数に合わせた児童は2年間で1.16D進行


弱い目に眼鏡を合わせた児童のほうが近視が進行していました。


海外からの報告でも弱い目の児童のほうが年間0.15D近視が進行しているという結果でした。



以上の結果から、近視の子供さんには弱すぎず強すぎず、本来の近視の度数に合わせるのがよいようです。


また本来の度数よりも度数を落とすほど近視の進行が大きくなることも言われています。


同様に、視力が低下しているにもかかわらず眼鏡をかけずに放置している子供たちも、眼鏡をかけないと近視の進行速度が速くなりますので、ある程度近視が進行してくれば眼鏡をかけるようにされたほうがよいでしょう。





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