両親が近視であれば、両親が近視でない方に比べ、子供の近視率は8倍も増えると言われ、

片親が近視の場合でも、両親が近視でない方に比べ、子供の近視率は2倍増えると言われています。


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ある日の松本眼科での外来にて

 

医師 「今の状態は仮性近視ではなく、すでに近視になっているものと思われます」

 

メガネ

 

 

 

 

 

 

 

 

母 「この子はゲームや携帯電話でメールばかりしているから目が悪くなったんですわ。先生からもきつく叱って下さい」

 

ゲーム

 

 

 

 

 

 

 

(しょんぼりとする子供さんを見て)

 

医師 「お母さん。この子ばかりが悪いのではないんですよ。お母さんも一見強そうなメガネをかけていらっしゃいますが、ゲームやテレビを長時間見ていると目が悪くなる以外に、近視には遺伝的な要因もあるのです」

 

 

 

(それまで下を向いてしょんぼりしていた子供は母親の方を見て)

 

子供 「おかーさん!!」

 

 


 

さて、

 

この子供さんが近視になったのは、

 

子供さんの今までの環境が悪い?

親の遺伝子が悪い?

 

 

今回は近視の遺伝子について触れてみたいと思います。

 

 

近視はよく言われているように「環境的な要因」「遺伝的な要因」が関係するといわれています。


外国での小児の追跡調査で、最も近視の進行に影響したのは遺伝的な要因であったと言われています(詳しくはこちら

一方、20歳代のパソコン従事者は半分以上が近視が進行したと言うデーターもあります(詳しくはこちら

 

一般的に言われているのは、

  • 弱度の近視では、「環境的な要因」
  • 強度の近視では、「遺伝的な要因」

 

また、実際に 近視の遺伝子が見つかっています。

Marfan症候群やStickler症候群といった全身症状を伴う遺伝性近視群、

また、全身症状を伴わないケースでも染色体上に「強度近視を起こす遺伝子」

が見つかっています。

 

 

しかし、これらのように単因子遺伝するのは一部の近視で、

実際の近視の多くは多因子遺伝と言われています

 

 

多因子遺伝とは、その病気になりやすい体質の人(遺伝)が、その病気と関連する環境因子(生活習慣)にさらされた時に発症すると考えられているのです。

 

 

これは、糖尿病や高血圧と同じで、それらになりやすい体質の人が、糖尿病ならば肥満や運動不足、高血圧ならば食生活や精神的ストレスなどにさらされると発症するというもので、それが近視ならば、近視になりやすい体質の人が、ゲームやテレビ、パソコンなどを長時間することで近視を発症するということになります。

 

 

上の親子は、どちらが悪いとも言えないわけです。

子供さんももう少し気をつけていれば近視にならなかったかもしれませんし、

あるいは、遺伝的な要因がなければ、目は悪くならなかったのでしょう。

東大に入るような秀才がすべてメガネをかけていないのは、いくら目を酷使しても、近視になりにくい体質を持っている人もいるからなのです。

 

 

 

このような親子げんかも笑い話では済まされないことがあります。

以前もこのブログで、強度近視は、日本人の失明原因では7位(全体の約6%)と書きました

 

 

強度近視の方の中には、ある程度年齢がいってくると、網膜の中心の黄斑というところに新生血管が出てきて、最悪の場合失明してしまうような悪性の近視があるのです。

 

こうなるとメガネをかけても見えなくなってしまうのです。

 

 

近視にはなっても強度の近視にならないようにしていかなければなりません。

 

 

ある調査では、親子3世代すべてに近視がある遺伝的な要因が強い近視の方は、遺伝的な要因が少ない近視の方に比べてみると、近視になるのは早いものの、新生血管が黄斑に出てくる率は、遺伝的な要因がない方と変わらず、むしろ、近視の発症が遅い方ほど新生血管が発症しやすい結果になったと報告されています。

 

すなわち、遺伝的な要因が強い強度近視で黄斑に新生血管が出てきたために失明した方は、子供にも自分のように将来近視が強くなり、失明してしまうのかと心配されていることと思いますが、この調査の結果ではそのような心配は少ないということになります。

 

 

現在、近視になってしまった方は、将来、黄斑に新生血管が出て失明しないためには、遺伝的な要因よりも、今後の近視を進めないような環境的な要因が重要であるということになります。

 

遺伝で近視になったのはしかたはありませんが、これ以上進行させないように目が悪くならないような環境を作る日常生活に配慮していってください。

 

(岡田正喜:「近視の遺伝子」あたらしい眼科19(9):2002 を参考にいたしました)

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