「老眼を止めることはできないんですか?」

「老眼鏡なしで近くのものを見る方法はないんですか?」

と聞かれることがあります。

残念ながら老眼は加齢変化なので止めることはできません。そのため、お薬や手術でも老眼を治すことはできないんです」(私)

「なんとしてでも、少しでも治す方法はないのでしょうか」(患者さま)

説明1

 

 

 

 

 

と聞かれることが時々あります。

 

確かに老眼は今まで見えていた近くのものが見えにくくなりますし、無理に見ようとすれば疲れやすくなるし、さりとて眼鏡はできたらかけたくはないし、何とかしたいというお気持ちはよく分かります。

 

老視

 

 

 

 

 

 

 

そこで今回は目を温める温熱治療を行って老眼が少し改善したというデーターを紹介させてただきます

(高橋洋子:老視年齢に対する温熱療法.あたらしい眼科22(8):1061-1066、2005より)。


 

この研究で使われた温熱療法とは、ホッカイロという携帯カイロを眼周囲用に改良し、さらにそこから水蒸気も発生するようにしたアイスチーマーを使ったもので、それを10分間使用して眼周囲を温めることで老眼がどれくらい改善したかを調べたものです。

 

その結果、老眼年齢の50歳代の方10名(平均54.2歳)の方で調べたところ、0.4D(ジオプター)の調節力の改善効果が認められたとのこと。

 

0.4Dの調節力の改善効果とは、

たとえば目の前40センチくらいまで離さないと焦点が合わなかった老眼の状態が34センチまで近づけて焦点が合うようになったとのこと。

さらに同じことを平均39.3歳の方に行った結果、0.5Dの改善効果が向上、すなわち33センチくらいで焦点が合うようになったとのことで、年齢が若いほど効果があったとのことです。

 

さらにその持続効果を見るために平均39.7歳の方10名に毎日、寝る前に温熱療法を行い、調節力の低下する午後4時ごろに調節力の改善具合を調べた結果、使用2週間目から老眼の改善効果がでてきて、その効果は調査を行った8週間目まで効果が持続したとのことです。

 

 

それでは、温熱治療でどうして老眼の程度が改善したかというメカニズムですが、著者の高橋先生は

  • 温めることで、副交感神経が刺激され、ピント合わせに働く毛様体筋が働きやすくなったこと
  • 毛様体筋の血液循環がよくなったこと
  • さらに水蒸気を含んだ温熱治療によりより深部まで温熱が伝わったこと

と考えてられます。

自律神経系に関与するという点では、以前このブログで紹介させていただいた「鰹節だしが眼精疲労に効果がある」というメカニズムと同じことです(詳しくはこちら

 

ちなみに冷却しても老眼の改善効果は得られなかったとのことで、また、温めるだけでも駄目だったようで水蒸気を加えることで初めて効果が出てきたとのことです。

 

私たちがこの温熱療法を実践するためには、この研究で使われた特別に作成された蒸気の出るカイロに代用するものとして、家庭では蒸しタオルがよいと思います。温度を持続させるためには風呂で少し暖かい目の蒸しタオルを10分間、目の上にのせてみてはいかがでしょうか。さらに、もしもタオルが温度が下がってきたときには再度新しい蒸しタオルを作られてもよいでしょう。

bath

 

 

 

 

 

ちなみに以前このブログでも紹介させていただきましたが、ドライアイの治療にも温めることが効果がありますので、普段パソコンなどをして目がしょぼしょぼする、さらに老眼の年齢でモニターにピントが合いにくくて疲れやすい方には一石二鳥の効果が期待できそうです(詳しくはこちら

 

老眼で困られている方は一度試してみられてはいかがでしょうか。



(関連ブログ)

アイパッド(iPad)を老眼鏡や遠近両用の眼鏡の装用テストの視標に使っています
 

鰹節だしを継続的に摂取すると、長時間のパソコン作業による目の疲れやドライアイ、精神的な疲労状態の緩和にも効果があるようです


どうしてドライアイの患者さんはおふろでは楽なのか




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