ある患者さまが来院されました。

「目の痛みが強く、開けてられないんです」 (患者さま)

 

ulcer

 

 

 

 

「角膜に傷ができています。さらに、その傷に感染が起こっているようです」 (医師)

「どうしてバイ菌が入っちゃうんですか? コンタクトをはずした後、毎日、目を洗眼して、きれいにしているのに」 (患者さま)

「それは目にカップを当てて洗眼するやつですか? きれいにしているつもりでもかえってバイ菌を入れていることもあるのですよ」 (医師)

「洗眼って目を洗うんですよね。 洗うことがどうしてバイ菌を中に入れてしまうんですか? 目を洗えばきれいになるんじゃないんですか?」 (患者さま)

「洗眼した後のカップの中を見たことがありますか? 油や異物などの汚れが浮遊していませんか?」 (医師)

「はい。油や異物が洗眼液にいっぱい浮いているときには今日はずいぶん眼の中の汚れが取れたんだなって、うれしくなります」(患者さま) 

 

「浮いているは眼の中の汚ればかりではないのです。まつ毛についたほこり、瞼についた異物、雑菌もその中に含まれています。 

一日のうちで手洗いは良くされると思いますが、お顔はしょっちゅう洗うことはありませんよね。 だから、夜に洗眼するころには瞼の皮膚やまつ毛には異物がいっぱいついていて、その中の雑菌がカップでの洗眼中に、目をぱちぱちすることで、目の中に入っていってしまうのです 」 (医師)

 

「カップを使った洗眼は、実は、瞼についた異物や雑菌を目の中に入れていることになるんですね」 (患者さま)

「そうなんです。だから、コンタクトを装用中の方は、角膜に小さな傷を作ることが多く、そこに感染が起こる心配があるのです。頻繁に洗眼することはお勧めいたしません」 (医師)

「わかりました。今後気をつけます。では、今後、眼の中に入ったほこりや目やになどはどのようにして洗浄すればよいのですか」 (患者さま)

目の洗浄は点眼が一番です。点眼は直接目の中に入れますので、瞼やまつ毛についたほこりや雑菌を目の中に入れることなく、一番清潔な洗浄方法です」 (医師)

「やはり、点眼ですか。 昔は点眼をしていましたが、まわりの友達がカップを使って洗顔するからそれがよいと思っていました」 (患者さま)

「もしも、カップ型の洗眼をするのであれば、まず顔を洗ってからおこなわれたほうが良いと思います」(医師)


上の方以外に

頻繁に洗眼しているにもかかわらず、目の乾燥が取れない

と言って来院される方もいらっしゃいます。

角膜の表面にはムチンという層が覆っています。それが角膜表面の涙の安定性に役立っており、ムチン層が十分でないと、いくら点眼をしても涙が角膜の上に安定せず、ドライアイの症状を悪化させます。

頻繁に洗眼することはこの涙の安定に必要なムチン層を壊してしまうことになるのです。そうするとますますドライアイの症状が悪化することになります。

洗眼すればするほどドライアイの症状が悪化するという皮肉な結果になってしまいますが、まだまだこのことを知らずにドライアイが治らないと言って何度も洗眼を行っている方がいらっしゃるようです。

 

「洗眼はあまりしないほうがよいのですね?」 (患者さま)

 

「洗眼が良い場合もあります。 アレルギー性結膜炎、すなわち花粉症の時の洗眼は時には良いこともあります。目の中にたまった花粉を洗い流してくれて、冷やすことで炎症も鎮めてくれます。 また、瞼の裏側に回った異物を取るのにもよいかもしれません。 ただし、適度であれば効果のあるものが、過度になってやりすぎてしまうことはよくはありません。先ほど言ったように過度になると感染やドライアイの原因になりますので、ご注意ください」 (医師)

 

その昔、眼科は『目洗い医者』と言われたこともあり、多くの患者さまに洗眼していた時代がありました。今はほとんどの眼科で洗眼することはなくなりました。それはよいお薬が開発されたこともありますが、洗眼の弊害もわかってきたからだと思います。

 

 

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