時々緑内障の患者さまから次のようなことを質問をうけることがあります。

  • 「風邪薬を飲もうとしたのですが、その中に緑内障の方は主治医にお尋ねくださいと書いていました。どのようなお薬がよいのでしょうか?」  (患者さま)
  • 「内科のほうでお薬を出してもらっているのですが、緑内障で眼科を受診していると言ったらお薬を変えられました。今までお薬を服用していたのは緑内障には良くなかったのでしょうか?」  (患者さま)
  • 「今度、大腸の内視鏡検査をうけるんですが、内科の主治医の先生に緑内障で通院していると言ったら、先に眼科に行って内視鏡検査を受けても大丈夫か聞いてきてくださいと言われましたが、どうなんでしょうか?」 (患者さま)

 

このように、緑内障の患者さまには使ってはいけない禁忌のお薬があるのです。それは抗コリン作用を持つお薬、以前もこのブログで花粉症や風邪薬など抗コリン作用を持つお薬はピント合わせがしにくくなる副作用があることを書きましたが、一部の緑内障の患者さまがこのお薬を服用すると眼圧が急激に上がることがあるのです(詳しくはこちら) 

 

その禁忌の意味が一部誤解されているようですので、ここで改めて説明させていただきます。

抗コリン作用を持つお薬には、花粉症や風邪薬以外にも

  • 抗不整脈薬(リズモダン)
  • 血圧を下げるお薬(イスメリン)
     
  • 花粉症薬(ポララミン)
     
  • 咳を止めるお薬(リン酸コデイン)
     
  • 風邪薬(PL顆粒)
     
  • 消化器系のお薬(コランチル、ブスコパン(胃カメラの前によく使われます)
     
  • 抗不安薬(セルシン、デパス)

 

など、普段よくつかわれているお薬です。

薬

 

 

 

 

 

 

しかし、すべての緑内障の方がこれらのお薬で眼圧が上がるわけではないのです。

本当に飲んではいけないのは、狭隅角緑内障または閉塞隅角緑内障と言われているタイプです。

それは、虹彩と角膜に挟まれた隅角という目の中の水の出口が狭いために眼圧が上がりやすいタイプで、抗コリン作用のお薬を服用すると、さらに隅角が狭くなり、やがて完全に水の出口を閉塞してしまい、急激に眼圧が上昇してしまうことがあるのですが、実際のこの閉塞隅角緑内障の患者数は、わが国では緑内障全体の12%程度で、頻度的にはそれほど多いものではありません。

 

つまり、

『一般に緑内障の方が服用してはいけないといわれている抗コリン薬は、一部の緑内障について言えますが、多くの緑内障の方は、抗コリン作用の内服薬を飲んでも問題はない』

ということです。

 

なのに、実際に、緑内障というだけで、花粉症や風邪薬を飲めないと思い、辛い症状を我慢しておられる方、あるいは、緑内障というだけで、血圧や胃腸薬、うつ病などの治療で、抗コリン薬のお薬を変更されている方もいらっしゃるかもしれません。

また、胃腸の内視鏡検査では、ブスコパンという胃腸の動きを抑えるお薬を検査前に打ちますが、そのお薬を使わずに内視鏡検査をうけられている方もいらっしゃるかもしれません。

抗コリン薬が使えないのは緑内障の方のうち12%ですので、もしも緑内障というだけでお薬を制限されている方は、もう一度、どのタイプの緑内障で、抗コリン作用の薬で問題がないかを主治医の先生に聞かれてみてはいかがでしょうか。

もしも、眼圧の上がるタイプではないようでしたら、他科の先生にも

「以前、問診票には緑内障と書いたかもしれませんが、自分は閉塞隅角のタイプではありませんので、抗コリン薬は使っても問題はありません」

と一言、言っておかれたほうがよいかもしれません。

 

逆に閉塞隅角緑内障の方で、知らずに抗コリン薬を使われている方、そのお薬を続けていると、場合によっては急激に眼圧が上昇し、数日で見えなくなることもあります。

閉塞隅角緑内障は、60歳以上の方、女性の方、遠視の方に多い病気です。これらの抗コリン薬を服用されているのであれば、一度、主治医の先生に相談してみてください。


それ以外に、ステロイドにも眼圧をあげる副作用があり、2015年日本緑内障学会で原眼科病院の橋本尚子先生が調べたところによると、全医薬品21311剤中1255剤(5.9%)に緑内障患者には投与してはいけないと記されているようです。けっして少なくはない数です。


緑内障患者さまで、もしも眼圧が十分に下がらなくて困っている方は、今服用中の内服薬に原因があるかもしれません。


 

 

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