このたびの東日本大震災により被災された方々に、心からお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々にお悔やみ申し上げます。

被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


現在も避難所で過ごされている方の中には、お薬が無くなってしまったり、あるいはかかりつけの眼科に通院できない、さらには目の状態が変化してきているなどの不安をお持ちの方もおられるかと思います。


そんな中、このブログを通して少しでもお役にたちたいと思い

『災害に遭った眼科の患者さまへ』

というタイトルで、思いつくままに書いてみたいと思います。


●冷所保存の点眼について

白内障の代表的な目薬:カタリン

緑内障の代表的な目薬:キサラタン


は冷所保存と記されていますが、室内であれば常温で保存してもかまいませんので心配はありません。 そのまま継続して使っていただいて結構です。

詳しくはこちらを参考に




●現在常用のお薬(点眼)について

緑内障のお薬: 緑内障の進行具合にもよりますが、緑内障はいったん進行すると元に戻らない病気のため、できるだけ切らさずに継続されたほうがよいと思います(日本緑内障学会も避難所の方へ注意する点を書いています PDFファイル)。


カタリン、カリーユニなどの白内障のお薬: いったん止めても白内障が急に進行することはありません。お薬がなくなっても心配する必要はありません。


クラビット、ベガモックス、ガチフロなどの術後の抗生物質のお薬: 術後2カ月以上が経過し、それまで術後の経過に問題がないと担当医から言われ、自覚的にも調子が良ければ、お薬が無くなってもあわてなくてもよいでしょう。ただし、手術後からの日数が浅ければ目の周囲はできるだけ清潔に保っておいてください。


ニフラン(プロラノン)、ブロナックなどの非ステロイド系抗炎症薬: 一時的にやめても大きな影響はないと思われます。


ぶどう膜炎の治療として使っているリンデロン、DMゾロン、ビジュアリン、フルメトロン、オドメールなどのステロイドのお薬: 急にやめると再発や悪化する可能性がありますのでできるだけ継続されたほうがよいでしょう。




●早急な治療の必要な状態

眼外傷:

災害で眼球を打撲されている方も多いと思います。

まず左右の眼球を手で覆い左右の見え方を確認して見てください。両目で見ていると片方の目の異常を感じずにすごしていることがあります。 打撲する前と比べて明らかに片方の目の見え方が低下している場合はすぐに眼科受診を依頼されたほうがよいでしょう。

両目で上下左右方向を見て二重に見える、さらに片方の目を隠して二重に見えるのが改善する場合には眼球周囲の眼窩が骨折している可能性があります(眼窩底骨折について書いたブログはこちら)。


化学薬品や薬物が入った場合、それがアルカリや酸であれば早急に治療する必要があります (眼化学外傷について書いたブログはこちら



固体の異物: 時間の経過とともに痛みが強くなってくる時には眼球に刺さっていたり上まぶたの裏側に挟まっている可能性があります。その場合には時間の経過とともにさらにひどくなってきますので処置を急がれたほうがよいでしょう 

角膜異物について書いたブログはこちら

結膜下異物について書いたブログはこちら) 



急性緑内障(緑内障発作):

眼球の中に流れている房水の流れが止まり急激に眼圧が上がっている状態です。片目だけのかすみ、眼痛、眼痛のある側の頭痛、吐き気、嘔吐などが伴うときには急性緑内障の可能性があります。

早急に眼圧を下げないと、視神経が傷み視力障害や視野障害を生じてしまいます。

急いで眼科での診察を受けられたほうがよいと思います。

緑内障発作について書いたブログはこちら


心配








 災害時のコンタクトレンズの取扱い

水道水が使えない状態では手指についた雑菌がコンタクトレンズを介して眼球へ感染が生じる可能性が強くなります。

水道水が使えるまでは、コンタクトレンズの使用は控えられたほうがよいと思います。

また被災地では水道水の放射能汚染が問題となっております。日本コンタクトレンズ学会のホームページによると、ハードコンタクトレンズをすすぐ際の水は、摂取可能な300ベクレル/L以下であれば、そのまま使用していただいても、健康に影響を及ぼす可能性はきわめて低いということです。
cl2








● 視覚障害者の誘導


避難所では視覚障害者の介護も必要になるかもしれません。

誘導には、半歩前に出て誘導してあげる、腕や肘などの体の一部を持たせて歩いてあげるとなおよいと思います。

段差や階段などは「ここに段差があります」 「ここから階段になります」 など声をかけて誘導してあげるのがよいでしょう。


いつも慣れている自宅や施設と違い、慣れない避難所では誘導を誤ると大きな事故になりかねませんので注意してあげてください。



blind














日本緑内障学会(避難所での緑内障治療について)PDFファイル

冷所保存の目薬は旅行の時に持ち歩いてよいのか?

目に入った液体や粉末の異物。目に入って怖い異物は、薬品?石灰?セメント?洗剤?パーマ液?毛染め液?脱毛剤?バッテリー液?シャンプー? その理由は・・・ (眼化学外傷)

角膜に鉄粉がささっている。少しでも早くとらないとさびが角膜の深くまで浸潤し大変なことに

上まぶたの裏側に異物感 自分では異物が見えないために、気がつけば眼球の傷が拡がることも



 

ブログのトップページはこちら

松本眼科のホームページはこちら