「近くをばかり見ていると目が悪くなりますよ」

それはパソコン従事者300名の追跡調査から、20歳代のパソコン従事者のうち51%が近視化する(詳しいデータはこちら)、あるいは子供に遠近両用眼鏡をかけさせて近業作業時の負荷を軽減することで近視抑制効果があった(詳しいデーターはこちら) ことからも事実です。


しかし、近業作業よりももっと近視化させる要因があることが、ある小学生の近視率の比較からわかりました。


それは、シドニー在中の中国人とシンガポール在中の中国人6-7歳の児童における近視率と生活スタイルを調べた報告です。


ともに中国系でしかも両親の近視率の差がないとのことで、人種や遺伝的な要因は排除されます。


にもかかわらず、

●シドニーの児童の近視率は3.3%に対し

●シンガポールの児童の近視率は29.1%と

著しく高い結果となりました。


(Rose,KA et al: Myopia,lifestyle,and schooling instudents of Chinese ethnicity in Singapore and Sydney. Arch Ophthalmol126:527-530.2008 より)



さらに同時に行ったアンケート調査の結果、読書時間はシドニーの子供のほうが長かったのです。 近業作業が近視の原因となるなる従来からの定説とは逆の結果となりました。


その他で差のあったのは屋外での活動時間で、シドニーが圧倒的に長かったのです。


それゆえ、シドニーの子供の近視を抑制した最大の要因は屋外での活動時間が長かったことであると報告しています。



シンガポールは世界第2位の人口密度を持つ国で、子供が外で遊ぶ場所も少ないようです。そんなところから7歳の子供の近視率が29.1%に。


一方、シドニーも都会ですが、オーストラリアの広々としたグラウンドで男の子ならラグビーやサッカー、女の子ならテニスをやっているイメージがあります。そんな環境で子供の近視率は3.3%に抑えられているのでしょう。

ラグビー











また学校での屋外時間と近視率の関係を調べた研究でも、屋外活動の長い小学校のほうが近視率が少なかったと報告されています(詳しいデータはこちら



その理由は、紫外線に当たったときに分泌されるドーパミンが近視の抑制効果があるのではないかと研究されています。



最近、日本の子供も外で遊ぶ子供が少なくなった印象があります。

そんなところから我が国の子供の近視化がますます進んでいる理由かもしれません。

(日本人の近視率についてはこちら)

最新の近視進行抑制治療はこちら



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