最近、「まぶしい」と訴えてくる患者さんが増えています。
そこで、まぶしくなる原因をその頻度順にその理由と対策を説明させていただき、後半では最近普及してきているLEDライトに対するまぶしさ対策を述べさせていただきます
松本眼科のデータベースからまぶしさを訴えて来院された方がどれくらい増えてきているのかを調べてみました(2018年1月から2024年10月まで)
確かにまぶしさを訴えて来院される患者様は年ごとに増えています
(2024年は10月までの値)
●地球温暖化とも関係があるのかなと思って月別を調べ見ました。
たしかに8月は多いですが、1月や2月でもまぶしさを訴えて来院される患者様はいます。暑さとは関係がないようです
そこでまぶしさを訴えて来院される患者様のそれぞれの原因を調べてみました。
1位 疲労、自律神経系の異常(42%)
2位 白内障(21%)
3位 視力低下による瞳孔散大(15%)
4位 角膜炎(14%)
5位 ドライアイ(8%)
という結果になりました
それぞれの原因についてその理由と対策について解説いたします。
●1位 疲労、自律神経系の異常(42%)
なぜまぶしさを感じるのか?
目が疲れてくると網膜の感度があがりまぶしさを感じます。
さらにパソコンやスマホなど長時間の近業作業を行っているとピント合わせの筋肉が過剰に働くため、瞳孔を閉じる筋肉の動きも鈍くなりまぶしさを感じやすくなります。
その瞳孔の動きは自律神経がコントロールしています。自律神経とは体の平衡感覚や汗、胃腸の動きなど無意識に働いている機能で、自律神経のバランスが崩れる更年期障害の方は、ふらつきや急な冷汗などを感じたり、ストレスがたまると胃腸障害もでてきます。
同様に瞳孔の機能も無意識に働いている自律神経がコントロールしているところで、アルコールを飲みすぎた翌日にはまぶしく感じるのはアルコールで自律神経のバランスが崩れて瞳孔の機能が低下しているからです
ストレスや不規則な生活、更年期などでも自律神経のバランスを崩し、瞳孔の機能が低下してまぶしさで日常生活に支障が出てしまいます。
そこで眼科を受診されることになりますが、
対策は?
ストレスをためない
規則正しい生活を心がける
適度な運動
休憩をいつも以上に取る。リラックスできる時間を増やす
睡眠(睡眠不足も睡眠過多もよくはありません)
50歳前後の女性は更年期障害の可能性もあり婦人科で相談してみてください
●2位 白内障(21%)
なぜまぶしさを感じるのか?
白内障は水晶体が濁ってくる病気です。上の写真のように白内障の患者様の瞳孔はまだらに濁りがでてきてそこに映像が入りますので光が散乱してまぶしく感じます。
逆に夜間も見えにくくなってくる方もいらっしゃいます。
視力が良好でもまぶしさだけで眼科を受診されて白内障が見つかることがありますので、症状が続いているときには眼科受診をお願いいたします。
対策は?
白内障は手術をすれば治ります。手術をした当初は網膜の感度が上がって逆にまぶしさが増えることがありますが、時間の経過とともに徐々に改善してきます。
●3位 視力低下による瞳孔散大(15%)
なぜまぶしさを感じるのか?
白い杖を使っている身体障害者がサングラスをかけて歩いているのを見かけることがあるかもしれません
それは緑内障や網膜色素変性症などの視神経や網膜に異常がある方は、光に反応して瞳孔が小さくなる対光反応が減弱しているため光に対して弱くなっています
(急性緑内障で瞳孔が大きくなっている方)
身体障害者の方のように進行した状態でなくても、視神経や網膜に異常が出てくると瞳孔の機能が低下してまぶしさを感じることがあります。
自覚症状がなくてもまぶしさだけでこれらの病気が見つかることもあります
対策は?
症状が続くときには一時的な疲れと思わずに眼科を受診し目の病気が隠れていないかを調べられた方が良いと思います。
4位 角膜炎(14%)
なぜまぶしさを感じるのか?
水晶体に濁りが生じてまぶしさを感じる白内障と同様、角膜炎で角膜に傷がつくと凹凸ができたり混濁で映像が散乱してまぶしさを感じます。
ヘルペス性角膜炎は潜伏していた単純ヘルペスというウイルスが知覚神経をつたって角膜炎をおこします。同時に涙が出る、ごろごろするといった症状があるときにはその可能性があります。
(ヘルペス性角膜炎)
流行性角結膜炎はアデノウイルスが結膜に炎症を起こし角膜炎を併発することがあります。その時にまぶしさを感じます。結膜炎の発症から数週間遅れて角膜炎が発症することもあり、流行性角結膜炎と診断された方があとからまぶしさを感じるときにはその可能性があり要注意です。
(流行性角結膜炎:アデノウイルス)
またコンタクトレンズを使用中の方で、角膜炎を起こすとまぶしさを感じることがあります。
(コンタクトレンズ角膜炎)
対策は?
対策はそれぞれの原因となった疾患に対する治療が必要です。
角膜は治療が遅れるとそのまま混濁を残し視力障害をおこすことがあり早い目の治療が必要です。
症状が続いているときには眼科受診をお願いいたします。
5位 ドライアイ(8%)
なぜまぶしさを感じるのか?
(ドライアイで角膜に傷がついている目:点眼使用前)
乾燥してくると角膜に傷がついたり涙の質が低下するために涙ののっているところとのっていないところが出てくるために映像が散乱します。
パソコンやスマホなどを長時間の近業作業をしていると瞬きの回数が減少して乾燥します。
ソフトコンタクトレンズも涙を吸ってしまうのでドライアイをさらに悪化させます
対策は?
基本は点眼治療で多くの場合には改善します
(上の症例の点眼使用後の写真、傷は改善している)
(他の点眼使用前、使用後の写真)
しかし、点眼を使用しても症状が改善しないこともあり最近では様々な治療が行われています
詳しくは下のビデオをご覧ください
●LEDライトがまぶしい方の対策
なぜまぶしさを感じるのか?
照明を蛍光灯からLEDライトに変えてからまぶしさを感じる
スーパーに買い物に行くとやたらまぶしい
最近対向車のライトがまぶしく感じるようになった
パソコン、スマホ、タブレットをまぶしくて長時間見れない
LEDライトにはブルーライトを含み、映像が目の中で散乱するためにまぶしさを感じやすくなります
最近のパソコン、スマホ、タブレット、車のヘッドライトにLEDライトが使われています。
最近の普及しているLEDライトがまぶしさを訴える患者さんが増えてきている原因かもしれません。
対策は?
パソコンやスマートフォン、タブレットを見ていてまぶしく感じる方は
ブルーライトを遮断する眼鏡や緑色のサングラスをお勧めいたします
夜間の運転、対向車のライトがまぶしい方は
ナイトドライブ用のレンズをお勧めいたします
(詳しくは東海光学株式会社のサイトをご覧ください)
(東海光学のサイトより)
ナイトドライブ用の眼鏡はまぶしさを抑えながら明るさを確保することで横断歩道の人も見やすく、夜間でも安全に運転ができて日中のまぶしさも軽減してくれます。
視界が悪く光が散乱しやすい雨の日の運転や、夜のコンビニエンスストアーのまぶしさ、野球やサッカーなどのナイトゲームの観戦にもいいと思います
●まとめ
頻度的には目の疲労、自律神経の異常などが多いですが、中には白内障や角膜炎、なにか目の病気が隠れていてまぶしさを感じやすくなるケースもあり、気になるときには眼科受診をお願いいたします。