ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ

眼科診療をしながら気がついたこと、最近気になったことを書いてみました

目の病気-角膜

揚げ物の熱い油がはねて目に入った時の対処法

『揚げ物をしていて油がはねて目に入った。激痛と目がかすんで見えなくなった』

と言ってある女性が来院されました。


来院時には激痛で目を開けることができず、

点眼麻酔をして、やっと目を開けてもらうと、


下の写真のように油の入った角膜は白くにごり、視力も低下していました。


 burn3



その日には冷やす目的で洗眼をし、感染予防の点眼を処方し、翌日にまた診させてくださいと言って帰っていただきました。

そして、下がこの方の翌日の写真です。

burn4


なんと、すっかりと角膜の濁りは消え、痛みも視力も回復しました。

わずか1日で完治しました。




また、下の写真も揚げ物中に油が目に入って来院された別の方の写真です。

burn

(角膜が白くなって油の熱で変性してしまっています)



burn2


この方も数日でこのように角膜の白く変性したところはきれいに治りました。


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このように熱いてんぷら油が目に入ると皮膚についてもやけどでものすごく痛いのに、目に入ればこれが激痛となります。

しかも、適切な処置をしないと将来視力の後遺症を残す可能性もあるのです。



それでは、ご自宅で熱い油が目に入った時には、どのように対処すればよいのでしょうか?



1. まず冷やしましょう。まぶたの上から氷を当てるだけで結構です。上のお二人の写真のように角膜に飛んでいれば、角膜の上皮が弱くなっていますので、強く押し当てずに数分軽く当てるだけで結構です。

2. その次に鏡を見てください。問題は油が眼球に入っているかどうかの判断です。
意外ととっさに目を閉じて眼球にまで届いていないことが多いので、鏡を見て眼球にまで油が入っているかを判断しましょう。

3 .油のとんだ目に強い充血や、上の写真のように角膜が白くなっていないかどうか。また、左右で目を隠して、見え方が悪化していないかを確認してみてください。

4. もしも3の状態になっている場合には眼球に油が入っているものと思われます。
やけどで一番怖いのは感染です。すぐに眼科を受診して適切な処置を受けてください。

説明1

適切は処置を行えば視力低下を予防することができます。

 

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(関連ブログ)
 

目に入った液体や粉末の異物。目に入って怖い異物は、薬品?石灰?セメント?洗剤?パーマ液?毛染め液?脱毛剤?バッテリー液?シャンプー? その理由は・・・ (眼化学外傷)




 





 

防腐剤の入っていない人工涙液 ソフトサンティアなどの点眼は1日何回さしても大丈夫?数日で1本使いきるのは明らかに使い過ぎ

『防腐剤の入っていない点眼は何回さしても大丈夫ですからしっかり点眼をして目を乾かさないようにしましょうね』


よくドライアイの患者さんにそういって説明します。


しかし、中には1本の点眼を数日で使い切るヘビーユーザーの方もいらっしゃいます。


「しっかりさすように言いましたが、いくらなんでもそれは使いすぎですよ」


「何回させても大丈夫とおっしゃったじゃないですか?」


「・・・・・」
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たしかにドライアイの患者さんは目が乾燥しているわけですから、点眼で水分を補うのが治療の原則です。


防腐剤は角膜の細胞増殖を抑える働きがあり、さしすぎるとかえって傷を悪化させることになってしまいます。


ソフトサンティアなどの防腐剤の入っていない点眼はそういう意味では頻繁にさす点眼としてはおすすめの点眼です。

soft

ただし、1本を数日で使うのは使いすぎです。


あまりさしすぎると目にとっての大切な涙の成分も流れ去ってしまいます。


ソフトサンティアの添付文章にも1日5-6回と書いてあります。



すなわち、あまりさしするぎると、涙の中の

タンパク
 


ムチン


と言った涙の安定に役立つ成分が消失してしまい、かえって乾燥感が強くなったり、角膜の新たな傷の原因となったり、感染の危険性が増してしまいます。


医師の指示で頻回にしているのであれば別ですが、数日で1本を使いきっているヘビーユーザーの方は、一度主治医の先生と相談されてはいかがでしょうか。


(以上、山田昌和:外来の「めぐすり」.日本の眼科82:614-618,2011 を参考に書きました)

一方、1回あたりの適切な点眼の量はこちらをご覧ください




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2013年のまつ毛エクステ(マツエク)での目の障害から見る最近のトラブルの傾向。年齢、症状、その原因からその実態をみてみました

まつ毛エクステでトラブルを起こして来院される方が相変わらず増えてきてます。


2013年までの年別、お化粧品による目のトラブルの眼障害発症状況です(詳しくはこちら)。


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そこで、当院に受診された2013年のまつ毛エクステでのトラブルをみてみます


●28歳女性:充血と違和感

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人工まつ毛が結膜に当たっていました。





●50歳女性:充血と痛み

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接着剤(グルー)が目の中に入ったものと思われます






●28歳女性:充血、めやに、痛みで来院

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接着剤(グルー)が目の中に入ったものと思われます






●25歳女性:両目の充血

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接着剤(グルー)が目の中に入ったものと思われます






●22歳女性:痛み、充血

(写真はなし)

接着剤(グルー)が目の中に入ったものと思われます







●45歳女性:違和感

(写真はなし)

人工まつ毛が角膜に当たっていました。







●27歳女性:充血と違和感

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接着剤(グルー)が目の中に入ったものと思われます







●57歳女性:充血を訴え来院

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脱落できなかった人工まつ毛が当たったものと思われます







●34歳 めやに、充血、違和感

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接着剤(グルー)が目の中に入ったものと思われます







●31歳女性:充血と違和感

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人工まつ毛が眼球に当たっていました






●35歳女性:瞼の腫れ

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接着剤(グルー)によるかぶれ(接触性皮膚炎)








●36歳女性:腫れと痛み

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接着剤(グルー)によるかぶれ(接触性皮膚炎)







●32歳女性:違和感

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人工まつ毛が眼球に当たっていました





●まとめ

2013年1月から9月まで:

まつ毛エクステによると思われるトラブルを起こされた方:13名(全員女性)(9月の段階で過去最高の2012年のトラブル数を上回っています)

平均年齢: 34.6歳 (22-57歳)

自覚症状: 充血10名(76%)、違和感・痛み969%) 、目やに215%) 、瞼の腫れ215%)(複数回答あり)
原因: 接着剤が目の中に入る6名、人工まつ毛が目の表面に当たる5名、瞼のかぶれ(接触性皮膚炎)2

(2011年日本眼科医会が行った調査と比べると接触性皮膚炎が減少しています。お店でのパッチテストを行われているところが増えているのかもしれません)(眼科医会が行った調査の詳細はこち


障害部位:結膜9名(69%)、角膜323) 、眼瞼215) (複数回答あり)



以上より、接着剤が目に入るのは施術者の技術の問題、より熟練が必要と思われます。

人工まつ毛が眼球に当たるのは、つけたものはやがれとれるのは仕方がありません。ある程度時間が経過すれば新しいものに変えるなどの注意が必要です。


瞼のかぶれは、人によって合う人もいれば合わない人もいます。

施術をする前にグルーに対するパッチテストを行うか、少量つけてみて瞼のかぶれが出ないかをみてみるのがよいと思います。

まつ毛エクステによる瞼のかぶれについてはこちら





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コンタクトレンズによる感染症がおこりやすい季節と気温、夏のコンタクトレンズの使用は要注意、その対策は

コンタクトレンズによる感染症には起こりやすい時期があります。

ウエダ眼科の植田喜一先生たちの研究で、コンタクトレンズによる感染症が起こりやすい時期が明らかになりました。


コンタクトレンズによる感染症が起こりやすいのは、8月をピークとした暑い時期に発症しやすいことがわかりました。

夏の感染症対策についてはこちら

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発症時期は、最高気温が18℃を超えると増加傾向にあるようで、


やはり微生物は高温多湿を好み、繁殖しやすくなるのが原因のようです。



さらに調べてみると、感染を起こした方の93.6%がマルチパーパスソリューションという一液型の消毒液で、この消毒液は簡単なので最も使われている消毒液ですが、消毒効果が非常に弱い消毒液なのです。
(詳しくはこちら)



気温が上がってくる夏のコンタクトレンズの使用は、コンタクトレンズに微生物が付きやすくいつも以上に十分なこすり洗いが必要になります。

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またレンズケースも汚染されやすく、常にきれいにしておかなくてはいけません。


これらの感染症が心配な方は、特に暑くなる季節だけでも消毒液を変えて見られてはいかがでしょうか。


ちなみに主に市販されているマルチパーパスソリューションという消毒液と、消毒力の強い過酸化水素の消毒液の一覧です。




●マルチパーパスソリューション (消毒力が劣る)

レニューマルチプラスR

バイオクレンワンR

フレッシュルックケアR

ロートCキューブソフトワンR

アイネスR

ワンボトルケアR




●過酸化水素消毒液 (消毒力が強い)

エーオーセプトR

コンセプトFR

コンセプトワンステップR


(以上、植田喜一ほか:重症コンタクトレンズ関連角膜感染症の発症地域と発症時期.日コレ誌4:283-287,2012 を参考に書きました)


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オプティフリー・プラスR

レニューR

抗がん剤 TS-1 ティーエスワン の眼科での副作用:角膜障害

●ある日

「目がごろごろする」

と言って患者様が来院されました。


目の表面の角膜に傷がついていました。


「傷を治す点眼をお出しします。 傷は深いものではなく数日で治ると思います。 治らなければまたご来院くださいね!」


と言って帰ってもらいました。

(その当時、軽い気持ちで考えていました)



●しばらくして

「まだごろごろします」

と来院されました。


「キズが増えていますね。 防腐剤のないものに変えてみます」


●その後、お薬を変更したり追加したりするものの改善せず、

どんどん病状は悪化する一方で数か月が経過しました。

ts1
(この白く斑点上状になっているのが角膜の傷、状態はかなり悪化しています)
















初診の時には視力1.2だったのが0.2にまで低下。


「先生、何とかしてください。 痛くて目が開けられず、かすんで車が運転できなくなりました!」


すでに使えるお薬はすべて使い、どうしようかと困り果てていると


「今飲んでいるお薬が原因でしょうか?」



そのお薬手帳には、ティーエスワンと書いてありました。


「これです! 原因は! 

このお薬をすぐに中止できるかを内科の先生に聞いてみます。

紹介状を書きますので近いうちに内科を受診してきてください」



●1週間後、


「すごく楽になりました」


ts2(1週間で角膜にあった白い斑点はほとんど消失しました)















「このとおりすごくよくなっています。  

視力も0.9まで上がってきました。  

これなら車も運転できますね!」


「はい!」


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ティーエスワンは胃癌をはじめとして、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌などで使われている抗がん剤です。


メーカーのサイトによると

目の症状として、

流涙、結膜炎、角膜炎、眼痛、視力低下、眼乾燥が発現することが報告されています。

全体の頻度としては、3.1%と言われています。


頻度的には多くはないかもしれませんが、松本眼科ではTS-1での角膜障害をおこし来院されたのがこの方で3例目です。


角膜に障害が起こると痛みと視力障害が生じ、日常生活にかなりの支障が出ます。


抗がん剤のはお薬の性質状、多くの副作用を持ちますので、いろいろな体調の変化に注意しておく必要があるようです。


過去松本眼科にTS-1の角膜障害で通院された3名の方は、TS-1の中止で角膜は元に戻っていますので心配はないようです。




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アートメイクでの目の危険性。ドライアイや角膜障害などの眼球への障害が。実際にこのような症例がありました。

アートメイクというお化粧の方法があります。


針で皮膚に色素を注入して永続的なお化粧を目的とするもので、お化粧の手間を省くことができ、しかも素顔でもきれいな、いわゆる『すっぴん美人』にもなれるので、最近、普及してきている新しいお化粧法の一つです。
お化粧







ただし、最近のお化粧法の傾向として、かなり目の近いところまで行い眼球をより際立たせて見せる『ばっちりアイメイク』が流行で、眼球に近いところに行えば行うほど眼球に障害が生じる危険性があります。 

松本眼科ではこれまでにもいろいろなお化粧によ眼障害を生じた方が来院されています。


(★各お化粧法別の眼球への障害はこちら ⇒ ファンデーション  マスカラ まつげパーマ アイプチ アイライン まつ毛エクステ クレンジング


アートメイクも同様で、眼球の近いところに施術されると眼球への危険性がましてくるのです。

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ある日のこと患者様が来院されました。

「眼球が乾燥して痛みがあります。いくら目薬をしても追いつきません」

という訴えで来院されました。


「診察しましたところ眼球に傷がついています。この白い斑点、赤い矢印で示しているところが角膜の傷です。」

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「それでしょぼしょぼするんですね」

「やはり、乾燥が原因で角膜に傷がついたものと思われます。

しかし、かなり眼球に近いところまでお化粧されていますね」

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(乾燥を訴えられているこの方の写真)







BlogPaint

(同じくアートメイクをされた他の方の写真:この位置であればマイボーム腺には損傷はない)



(アートメイクをされた他の方の写真と比べると、下まぶたのアートメイクの位置がかなり眼球に近いところにされているのがわかります)




「はい、最近はやりのアートメイクで、お化粧の手間が省けて助かっています」

「このアートメイクをしてから乾燥感が強くなったのではないですか?」

「そういえばそうかもしれません」

「この写真を見てください

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最初の写真が今とったもの。次の写真がほかの方のもので、この二枚を比べましょう。

最初の写真は、自分の指でまぶたを下に引っ張っていますので裏側の一部が見えていますが、裏側のギリギリのところまでアートメイクをされているようです。

一方、2枚目の写真の赤い矢印の先には小さい穴が開いています。この穴はマイボーム腺という油の出る分泌腺の開口部です。

BlogPaint








なんとそのマイボーム腺開口部の上にアートメイクをしているので、ご自身の写真ではマイボーム腺開口部はアートメイクに隠れて確認できません。 マイボーム腺がつぶれているような感じです」


「その油はどのような油ですか?」


「涙の層の上側に存在し、涙の蒸発を抑えてくれる油です。お顔も油分があるからしっとりとして、石鹸で洗顔をするとしばらくは油分がなくて少しカサカサしますよね」


「その油が出ないから眼球もしょぼしょぼして乾燥するのですね」


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アートメイクの危害については「国民生活センター」が注意喚起を行っています。

2006年からの5年間で121件の危害が寄せられており、アートメイクの施術中に角膜に傷がついた例も報告されています。

具体的な障害部位は、眼球、眼球周囲と眉が多いようです。


この患者様は、今でも眼球の痛みで時々通院されています。 5年以上にわたり点眼を切らせられない状態になっています。

一度傷んでしまったマイボーム腺の修復は難しいようです。


アートメイクを施術された方は、この部位にはマイボーム腺という眼球の乾燥を抑える大切は構造物があることを知らないで行ったのでしょう。

国民生活センターでは、アートメイクによる障害の報告の121件の95%が医師免許を持たないものが行ったと報告しています。


アイラインのアートメイクをされてから目の調子の悪い方はこのようになっている可能性があります。お近くの眼科まで相談されてみてはいかがでしょうか。

 


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(関連ブログ)

 






LASIK(レーシック)手術によるドライアイ。ドライアイのある患者さまが手術を受ける時に注意すること


レーシック手術を受けた後、ドライアイが強くなって来院される患者さまがいらっしゃいます。

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「どうされましたか?」


「目が痛いんです。しょぼつきや充血も強く困っています」


「角膜に瘢痕がありますが、近視矯正のレーシック手術を受けられていますか?」


「はい。2年前に。以前からしょぼつきがあってコンタクトレンズをつけるのが苦痛でレーシック手術を受けましたが、レーシック手術を受けてからそのしょぼつきがさらにひどくなってきました」


「レーシック手術を受けた眼科で相談されましたか?」  


「レーシック手術を受けたところの眼科でも相談しましたがドライアイと言われました。 目薬を使うように言われたのですが少しも改善しないのです」


「これが今とった写真です


BlogPaint


白く色が付いている部分は角膜の傷です。レーシック手術によりドライアイがさらに悪化した可能性があります。 まずはこちらでも点眼を使ってこの傷が治るかをみてみましょう」


「ずいぶんとひどいんですね。もう一度点眼を使い乾燥を取ってみます」



(⇒1週間後)

「どうですか?」


「まだよくありません。 相変わらずしょぼつきが残っています」


「そうですね。まだキズが残っていますね。 ひどいドライアイになっているようです。 涙点プラグを入れてみましょう」


「それは何ですか?」


「涙の出ていく出口。涙の排水口に相当するところにプラグでふたをして涙をためる方法です。 この下の写真のように、プラグでふたをして涙をためるのです。 痛い治療ではありません」

BlogPaint



「はい。やってみます」



(⇒数週間後)


「どうですか?」


「はい、すっかり良くなりました。 涙点プラグを入れてからすっかりしょぼつきは治りました」


「逆になみだ目にはなっていませんか」 


「少し涙がたまりますが気になるほどではありません」


「これが今撮った写真です。リング状に色が付いているのはレーシック手術を受けた時の瘢痕でキズではありません。以前の写真と比べてもキズはすっかり治っているでしょ」


lasikpost



「はい。楽になりました」


「涙点プラグを入れた後でも目薬は引き続いて入れておいてくださいね」

レーシック後に起こる眼精疲労と老眼の進行についてはこちら

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レーシック手術の普及とともにこのような患者さまを時々みるようになってきました。


レーシック手術は角膜を切開したあとにレーザーを当てて近視を治すのですが、切開するときに角膜の知覚神経も切れてしまいます。


知覚神経は角膜の乾燥を感じ取って涙腺に涙の分泌を促す機能があります。


レーシック手術直後の目は知覚神経が切断されているために、目が乾いても涙の分泌の命令が神経を介してできず、乾燥状態が持続しています。


また角膜の上皮細胞にはムチンというネバネバ物質を分泌する機能があります。そのネバネバ物質が涙を角膜にくっつけてくれる作用を持ちます。


角膜が切開されたときに上皮細胞にダメージが生じ、ネバネバ物質も不足してきて目薬をいくらさしても角膜に涙がのらない状態になってしまいます。



通常は切断された知覚神経やネバネバ物質の不足も通常は数カ月から1年で回復することが多のですが、中には十分に回復しないこともあります



この方のように、もともとドライアイがひどくてコンタクトができないためにレーシック手術を受けた方が、レーシック手術を受けることでドライアイの症状がさらにひどくなることがあります。


この方は2年たっても改善していないことから今後ドライアイが元の状態に戻る可能性は少ないと思います。


レーシック手術はかなり精度がよくて多くの患者さまがよく見えると満足されています。



しかし中にはこの方のように、レーシック手術を受けてからドライアイがひどくなって困っておられる方もいらっしゃいます。



どんな手術でもそうですが適応を誤るとひどいことになってしまいます。


特に乾燥が強くてコンタクトができないためにレーシック手術を考えておられる方。このような方はごく一部ですが、そのようになる可能性もありますので、十分慎重に考えられたほうがよいでしょう。


またレーシック術後にこのような合併症が生じた時には、術後1年間は保険適用はされず、お薬を含めて全額自費診療になります(詳しくはこちら)。





レーシック手術についての安全性について日本眼科学会と日本眼科医会の見解について書いたブログはこちら

屈折矯正手術についてのガイドラインについて書いたブログはこちら


●コンタクトやレーシック手術はより老眼の影響がでやすいことについて書いたブログはこちら


中高年のレーシック手術について考える



●実際にあったレーシック術後不調の症例


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コンタクトレンズで感染症を起こした方の実態調査からわかったコンタクトのこんな危険な使い方

病気になるのには原因があります。

コンタクトレンズも同様で扱い方を誤ると取り返しのつかない大きな障害を残すことがあります。


病気になった方の原因を知ることは重要で、日本コンタクトレンズ学会は2007年から2年間、コンタクトレンズが原因で各地の病院で治療を行った方の実態調査を行い、その結果を発表しました。


対象としたのは入院して加療を行った方 350症例です。

コンタクトレンズが原因で入院したということはすべてが重症の感染症を起こして、失明の危険性のある方です。


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これらの重症コンタクト感染症を起こし入院まで必要であった方が、どのようにコンタクトを扱っていたかを知ることで、改めてコンタクトレンズを安全に使うための方法を考えてみたいと思います。




● 指示された通りに使い捨てコンタクトを定期的に交換していたか?

 ワンデーのコンタクト

指示を守り、毎日新しいものを使っていた方・・・46.2%

2日以上にわたって使っていた方は・・・ 49.9% (なんと1か月以上にわたりワンデーのコンタクトを使用・・・ 7.7%)




 2週間の使い捨てコンタクト、

2週間以内に交換していた方は・・・ 37.8%

2週間を超えて使っていた方は・・・ 52.6%  (なんと1カ月以上にわたり2週間のコンタクトを使用・・・ 10.7%)






●毎日消毒していたか?
 
毎日消毒していた・・・ 32.9%    

毎日消毒しなかった・・・35.4% (まったく、ほとんど消毒しなかった・・・13.1%)



毎日こすり洗いをしていた・・・ 19.1%  

毎日こすり洗いをしなかった・・・ 47.7% (まったく、ほとんどこすり洗いをしていなかった・・・34.5%)



コンタクトレンズのケースを定期的に交換していた・・・ 35.7%

コンタクトレンズのケースを定期的に交換しなかった・・・ 49.7% (まったく、ほとんど交換しなかった・・・32.6%)



●定期的に眼科の診察を受けていたか?

定期的に受診していた・・・ 42.6%

定期的に受診しなかった・・・ 46.3% (まったく、ほとんど受診しなかった・・・33.7%)





これらの結果を見て、いかがでしょうか。

青文字が本来の正しい扱い方

赤文字が誤った扱い方


です。


本来は、

青文字の数字 > 赤文字の数字  です。


このように重症コンタクト感染症を生じた方は、すべての項目で誤った扱い方(赤文字)が正しい扱い方(青文字)を上回っています。




『人の振り見てわがふり直せ』  『反面教師』 という言葉があります。


重症コンタクト感染症を生じた方がどのようにコンタクトレンズを扱ったために入院にまで至るような重症化したかを知ることで、改めてコンタクトの正しい扱い方を再確認してみてはいかがでしょうか。

(以上、宇野俊彦ほか:重症コンタクトレンズ関連角膜感染症全国調査.日眼会誌115:107-115,2011 を参考に書きました)




関連ブログ

 


 

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まぶたにできたヘルペスは要注意。ヘルペスが眼球にくると視力障害を残すことがあります(ヘルペス性角膜炎)。

ある日のこと。



「まぶたが痛いんです」

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「ヘルペスですね」

「よく口のまわりにできるやつですか?」

「そうです」

「なんだ。だったらすぐに治りますね。よく口のまわりにヘルペスができるのですが、いつもお薬を塗ればすぐに治ります。いつものお薬を出してください。ありがとうございました」

「ちょっと待ってください。まぶたにできたヘルペスは実は怖いんですよ。ヘルペスが眼球にくることがあるのです。

この写真を見てください。この方は角膜にヘルペスが出ました。

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矢印の先。白くなっているのが角膜にできたヘルペスですが、わかりますか?」

「うーん。よくわかりませんが」

「ではこの写真を見てください。同じ方の写真ですが、傷の部分が白く染まっているので角膜のヘルペスがわかると思います」

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「これならよくわかります。もしも角膜にヘルペスが出るとどうなるのですか?」

「これは別の方の写真です。ヘルペスはいったん治りましたが、また再発して角膜に瘢痕を残してしまいました。視力障害が残ってしまっています」


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「怖いんですね」

「まぶたにできたヘルペスは眼球にまでくることがあり怖いんですよ」

「わかりました。がんばってお薬を使います。また明日来ます。ありがとうございました」

「ちょっと待ってください。まだ診察をしていませんが」




  • なんどもものもらいを繰り返す。 調べてみると糖尿病が見つかった方が。
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    コンタクトレンズ処方箋不要の激安通販で眼科の診察を受けずに購入するのは危険。気がつけば角膜潰瘍を生じ視力が低下。定期的な検査を受けていたら防げていたかも。

    ある日のこと。眼球に激痛を訴えた患者さんが来院されました。

    心配







    「目が痛くて開けられないんです」

    「これはひどいですよ。 この写真が今の状態です。角膜に感染がおこり潰瘍になっています」

    internet










    「やはりコンタクトレンズがいけなかったのでしょうか?」

    「そうですね。 それまでも定期的に眼科で診察を受けていましたか?」

    「いいえ」

    「コンタクトが無くなればどうしていましたか?」


    「インターネットの通信販売で購入していました。 そこは医師の診察を受けなくても処方箋不要で購入できたものですから」

    「まずキズを治すため抗生物質で治療しますが、キズが治って痛みが取れても残念ながらキズの部分が瘢痕化して、視力の後遺症を残す可能性があります」

    「わかりました。すいません・・・ 。今後は気をつけます」


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    この方のように、処方箋不要のコンタクトレンズの通販で購入して、目にトラブルを起こして来院される方が増えてきています


    しかも視力低下に及んだ重症のケースになっていることが多いのです。

    spk
    (この写真はカラーコンタクトを通販で購入し続け、かすんで見えないと言って来院された方のものです。白い点状ものが角膜の傷で、矯正視力も0.3まで低下していました)









    今はインターネットの通販サイトで処方箋なしでも気軽にコンタクトレンズが購入できるため、眼科での定期検査を受けずに使っているのが重症化する最大の原因と思われています。



    しかし、残念ながら、わが国ではコンタクトレンズの購入時の処方箋は義務化されていません。


    日本眼科医会ではコンタクトレンズでのトラブルが多発してきており、処方箋を義務化してトラブルを減らした方がよいのではないかと議論されるようになってきました。


    すでに、アメリカではコンタクトレンズの購入時の処方箋はすでに義務化
    されています。


    アメリカでは医師の処方箋が必要なコンタクトレンズを、日本の一部のユーザーは医師の診察を受けずにコンタクトを購入し続けているのです。


    最初だけ医師の診察を受けてコンタクトを使い、その後は調子がよいからと言って同じものを通販で購入し続けている方もいるようです。


    医師の診察で大事なのはコンタクトの形状や度数を決めることではなく、その後の定期検査で目に異常が出ていないかを調べ、未然にトラブルを防ぐことであると思います。


    早期発見早期治療が重要なのです。


    「日本コンタクトレンズ学会」と「日本眼感染症学会」の調査によると、『ハードコンタクトレンズは、重度の視力障害を残す危険性が高い傾向がある』ことが分かりました。 それはハードコンタクトレンズが悪いからではなく、ハードコンタクトレンズユーザーが定期検査を受けない方が多いのが理由であると言われています。(詳しくはこちら)。


    それだけコンタクトレンズには定期検査が重要なのです。


    コンタクトを使用していると小さなキズがついたりするのはもちろんのこと、このような感染やアレルギーが起こる可能性が多くなります。

    春季カタル角膜潰瘍1カイヨウ のコピー









    こうなる前にコンタクトの種類を変えたり、お薬を使うか、いったん中止することで病状が軽ければすぐに治ります。


    また、コンタクトレンズは度数だけではなくレンズの形状もあわさなくてはいけません。レンズの形があっていないため眼精疲労を起こした方も来院されることもあります

    通販で9年間医師の診察を受けずに購入し続け、末期の緑内障が見つかった症例についてはこちら)。


    (形が合わないコンタクトを使っていたため眼精疲労を起こした方についてはこちら)


    改めてコンタクトレンズには定期検査が必要であることを認識していただき、処方箋なしでコンタクトレンズを購入するのは控えていただきたいと思います。



    (関連ブログ)

    カラーコンタクトレンズ(カラコン)はこれだけ危険。トラブルを起こされた方の写真です。2011年2月より規制により一定の品質を持つ者以外カラコンが販売できなくなります。


    コンタクトの定期検査でこんな病気が見つかることも 「近視の方に多い網膜剥離、緑内障」 

    コンタクトレンズの実態調査からわかったコンタクトレンズのこんな危険な使い方




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