ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ

眼科診療をしながら気がついたこと、最近気になったことを書いてみました

目の病気-高齢者の目

糖尿病性網膜症は視力を回復する治療へ:抗VEGFの硝子体注射

糖尿病性網膜症は日本人の失明原因では緑内障に次いで多く、治療法も進歩してきています。

10年以上前は、網膜光凝固で出血の原因となる新生血管や血管の閉塞部位を凝固する治療がメインで、どちらかというと失明を防ぐ治療が目的でした。


しかし、2014年に抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF薬)を硝子体に注入する治療が糖尿病黄斑浮腫に認められ、それが治療の主流となり視力を回復する治療へと変わりつつあります。

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(治療効果のメカニズム)






それではどれくらいの効果があるのでしょうか
東京医科大学眼科での治療成績を診てみます

(清水広之ほか:日本人における糖尿病性黄斑浮腫に対するラニビズマブ硝子体注射の長期治療成績. あたらしい眼科35:136-139・2018 より)





まず治療方法です

●治療方法
抗VEGFの硝子体注射を行い、毎月2段階以上の視力低下、20%以上の網膜の腫れの増加があれば、再発として再注射

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状態を見て追加治療も必要です

●併用した治療法
網膜光凝固:33%
ステロイドのテノン嚢下注射(眼球の後ろ側への注射):22%




そしてその結果です

●視力

治療前の視力0.5以上:57%

6か月後:73%

12か月後:72%

18か月後:78%



このように硝子体注射は視力を回復する治療であることがわかります

しかし、再発しやすく1回の注射で視力が維持できる人は少なく



●再発率(治療18か月期間中)

91%



それではどらくらいの注射が必要でしょうか?


●平均再注射回数

6か月まで:2.3回

12か月まで:3.0回

18か月まで:3.3回



視力を維持するためには、治療開始18か月までに3回以上の硝子体注射が必要のようです

あきらめないでがんばりしょう。



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高齢者の方のまぶたの皮膚が赤くなる:治療が不必要なのに、治療をしてかえって悪くしてしまっていることがあります

高齢者の方が、まぶたが赤くなったと言って来院されることがあります。

しかし、その中には治療しなくてもいいのに治療をしてしまってかえって悪くしてしまっているケースがあるので、要注意です。



●治療が必要なケース


多いのは湿疹で、その中でも皮脂欠乏性皮膚炎といって皮脂の欠乏によってまぶたがカサカサになってかゆみを生じ、そして湿疹へと発展していくケースが多いのです。



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このように、若いうちは皮膚の表面にある健康な角質が外からの刺激から守っています。




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しかし、加齢とともに皮脂の減少とともに、角質の脂が不足してかさかさしてきます(若い時のようにお肌がみずみずしさを失ってきますよね)。そうすると角質でブロックできずに抗原が皮下まで侵入し血管や知覚神経に作用し、かゆみを起こしてしまいます。

かゆいので思いっきり掻いてしまい、湿疹へと発展してしまいます。


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すなわち!!

皮脂の減少⇒ 角質の傷み⇒ 抗原の皮下まで侵入⇒ 血管や知覚神経への刺激⇒ かゆい⇒ 掻く ⇒ 湿疹⇒ さらなる角質の傷み⇒ 湿疹がさらにひどくなる 

といった、悪循環が起こってしまうので、すぐに治療をする必要があるのです。




一方、
●治療が不要なケース


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このような健康な角質も



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加齢とともに皮膚が延びて薄くなってきたため、皮下の毛細血管が透けて赤く見えることがあります。

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2

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これらの写真は、他の医院でまぶたの湿疹と診断され、治療をしても治らないため受診された方のものです。


いずれも、皮膚がたるんで薄くなったため皮下の毛細血管が透けて見えているだけなので、治療をしても治ることはありません。

そればかりか、湿疹で使うステロイドの軟膏は長期使用で皮膚の色素沈着を起こすことがあり、かえって悪くさせることもあるのです。


湿疹との違いはかゆみや違和感があるかどうかです。

かゆみなどの違和感がなく、軟膏を使っても全く改善傾向がないのであれば、治療を中断して、改めて医師に相談されることをお勧めいたします。





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加齢性黄斑変性症は野菜不足だけではなく、お肉や油の摂りすぎもその原因

加齢性黄斑変性症は欧米では失明原因の第一位になっており、我が国でも10年前では失明原因の圏外でしたが、最近では3番目に多い失明原因と上がってきています。
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その原因は食生活の欧米化にあるといわれており、欧米人や最近の日本人はルテインを多く含む野菜を食べなくなっているためといわれています。

しかし、最近の研究ではそればかりではないようです。



広島大学の益田俊先生たちは、ロサンゼルス在住の日系人を対象に、加齢性黄斑変性症の発症にはどのような食べ物が影響しているかを調べました。

その結果、タンパク質、糖質、植物性脂質、ビタミンA,B1,B2,Cの摂取量には差はなく、動物性脂質と飽和脂肪酸が影響していると報告されました。

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飽和脂肪酸とは、お肉に含まれているだけではなく、バター、ラード、ココナッツオイルにも多く含まれている油です。

一般的にお肉を食べる人は野菜不足になりやすく、加齢性黄斑変性症の発症や進行を抑えるためには、肉食から草食に食生活を変えていかれたほうが良いでしょう。

第121回日本眼科学会総会(2017.4.東京):抄録集を参考に書きました

(関連ブログ)

加齢性黄斑変性症は視力を維持する治療から回復させる治療へ:新たな治療が

加齢性黄斑変性はどのような人がなる? 50歳以上の地域住民1486人を調査したデーターです。

タバコが原因で視力を落とすことも 

60歳から必要な目の栄養分とは?それは年齢とともに減少し体で作られず食べものから補給しないといけない黄斑の色素生成に必要なもの

必須ミネラルの亜鉛。亜鉛は加齢性黄斑変性症の進行を遅らせるという報告が

 

パソコン上でできる簡単な加齢性黄斑変性症のチェックはこちら

 

加齢性黄斑変性症の治療はこちら

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50歳以上でものが歪んで見えたら黄斑前膜(上膜)かもしれません。ほうっておくと悪くなる?変わらない?それともよくなることもある?

●黄斑前膜(上膜)の主な原因は:

眼球の中の硝子体というゼリー状の物質が加齢により縮んでくる時に、網膜の中心部分である黄斑に残存した硝子体が黄斑前膜の本質であるといわれています。

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(このように黄斑に膜が付いています)



具体的に言いますと 



(20歳以前の眼球の状態:眼球の中には硝子体という透明なゼリー状の物質が詰まっています)





 
(20歳以降の眼球の状態:加齢により硝子体が縮んできて、一部透明な液体に置き換わります。後部硝子体剥離と言いますが、通常は硝子体は黄斑から分離します)



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(黄斑前膜とは:後部硝子体剥離が起こらなかった黄斑に残存した硝子体が原因となります)





それ以外に、網膜剥離、網膜裂孔、ぶどう膜炎など二次性のものもあります。






●どれくらいの方が黄斑前膜になっているのか

54歳以下:1.4%

55-64歳:5.1%

65-74歳:8.9%

75歳以上:9.8%


とやはり加齢により黄斑前膜になる方が増えてくるようです。 




●このままにしておくと悪くなる?  よくなる?  変わらない?

5年の経過観察で、

変化なし:38.8%

縮小:25.7%

進行:28.6%


症状がなければ、5年間で進行する方は28.6%ですから、何もせず経過観察をするのも一つの方法です。





●手術をするとすぐに見えてくる?

すぐには見えてくることは少なく、

1年くらいで徐々に視力が上がってくる方が多いようです。





●手術はいつする?

術後12か月で視力が1.0になるのに影響するものに


年齢

症状持続期間

初診時の視力

黄斑の傷みの程度



これらの四項目は手術は早くした方が良いことを示しています。

しかし、黄斑の傷みの程度が強くない方は視力も良好な方が多く、場合によっては手術によって視力が低下することもありますので、手術をする時期はよく主治医の先生と相談してください。





ものが歪んで見えるもう一つ考えられる病気:加齢黄斑変性症はこちら




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機能性表示食品えんきんで本当に老眼は回復する?

患者様から

「えんきん」というサプリメントを服用したが、あまり効果が感じられない。このまま服用すべきでしょうか?

と言うご質問をいただきました。



最近テレビでも、この「えんきん」というサプリメントのCMをよく目にします。


そこで「えんきん」の成分を調べてみると

 ルテイン6mg、アスタキサンチン4mg、シアニジン-3-グルコシド2.3mg、DHA50mg

とありましたが、

これらのすべての成分に著明な調節力改善効果があるなんて聞いたことがありません。


これらの成分から期待できるのは血流を上げることによる眼精疲労です。


そこで、インターネットでこの「えんきん」の口コミ欄を調べてみても、

「目の疲れはましになったが老眼が改善したとは思わない」

と言うコメントが見られました。


そこで、なんでこんなサプリメントが機能性表示食品になったかと調べてみました。


そもそも機能性表示食品とは、従来からあった特定保健用食品(とくほ)は国が個別に許可したものに対し、事業者の責任で、科学的根拠をもとに商品パッケージに機能性を表示できるものとして、消費者庁に届けられた食品です。

すなわち、事業者は科学的な根拠があれば届けることができ、国はその効果の検証は行っていないのです。


さらに問題なのはその科学的な根拠となった論文です。

別のサイトで科学ライターの松永和紀さんが、その論文のずさんさを指摘されておられます(詳しくはこちら

主な要点をまとめますと、

  • 論文が掲載された雑誌は、PUBMED(医学者が検索をするときに使用する医学雑誌のデータベース)にも収録されていない二流雑誌であること
     
  • しかも規制改革会議で機能性表示食品の制度をつくられた先生がこの雑誌の主任編集者をされているということ
     
  • 片目では調節量の改善は認めず、両目でやっと認めたくらいで、たとえその効果があっても程度が小さいと思われる。
     
  • 疲れ目への効果についても、効果があったのは「目のかすみ」「肩や首の凝り」だけで、疲れ目、目の痛み、なみだ目、目の充血、頭が重たい、頭痛、小さいものが見えにくい、焦点を合わせにくいについては差がなかったとしている。小さいものが見えにくい、焦点を合わせにくいについて効果がなかった実験結果で、調節力の改善としてよいのでしょうか?
     
  • 各項目の試験の対象者の数がバラバラ、48人の参加者にもかかわらず、肩や首の凝りは41人が参加、目の痛みは9人が参加、都合の悪いデータは削除された可能性があるということです。

などです。



遠近というサプリメントは、いかにも遠近両用の眼鏡を使用しなくても遠近両方とも見えるというイメージを持たせる反面、

この含有する成分から見ても、この機能を表示できるに至った過程から見ても、誇大表示である気がします。

患者様の中にも、えんきんを服用されている方も多いかと思います。

多くの方は、特定保健用食品と機能性表示食品との違いなんて知らず、いずれは老眼鏡をしなくても見えるようになるなんて希望を持って服用されている方もいらっしゃるかもしれません。

服用してみてあまり効果を感じられないのであれば、そのままやめられても良いと思います。

老眼には眼鏡が一番ですから。

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目に良い食べ物 「こんなときにはこんな食べ物」


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眼球が白い。白内障? いいえそれは老人環というものです。

「時々、眼球が白くなってきました。


白内障ではないですか?」


と言って来院される方がいらっしゃいます。


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確かに、眼球の周囲が白くなっていますので、外見上眼球が白く見えるのです。


しかし、これは白内障ではありません!!




●これは何?


これは老人環というもので、白くなっているところは脂質が角膜の周辺に沈着したものです。


ただし、いくら白くなっても視力の低下するものではありませんので、心配するものではありません。




●白内障との違いは?


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上の写真でお分かりのように、老人環と白内障では白くなっている場所が異なります。


白内障では瞳孔の中が白くなりますので、見え方は白っぽくかすんでしまいますが、


老人環は瞳孔から離れていますので見え方に影響するものではありません。



●老人環という名前は?


老人環は年齢とともに出現し、80歳以上では全員に生じるためこのような名前になっていますが、40歳くらいから出現することがあり、その年代の患者さまにこの白くなっているのは老人環というものですと説明するときには、気が引けるのです。



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両目を失明したときに受けられる身体障害者・障害年金・介護保険・特定疾患給付・生命保険高度障害給付金で少しでも家計の負担を軽減

不幸にも失明したときには、最悪、職を失いお金も入らず、しかも家族などの周りの方にも介護の負担がでてきて、本人のみならずその一家全体に多大な経済的、時間的な損失を伴います。


しかし、わが国にはそんな不幸を助けてくれる医療、福祉、保険制度があるのです。



具体的には、身体障害者制度、年金、介護サービス、民間の生命保険による保険金です。

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しかし、それらの多くは自己申告しないと受けられないものが多く、それらの存在を知らないがため損をしているケースが多く見受けられます。



失明者、およびその家族の生活苦は想像を絶しえません。


そこで、今回は本来は受ける権利がある目の状態にもかかわらず、知らずに申告せず経済的困窮に陥っている方のために、失明状態になったときに受けられるそれら各サービスについて具体的にまとめてみました。





●身体障害者 :(家計の出費を少しでも抑えてくれるもの)

自分が身体障害者に相当するのではないかと思ったら、恥ずかしがらずにかかりつけの眼科の主治医の先生に相談してみてください。


今までまったく通院歴のない眼科に行っても、それまでの経過がわかりませんので今まで通院されていた眼科の先生にお尋ねすることをおすすめいたします。


診断書には症状が固定しているかどうかを判断するところがあり、それまでの経過を詳しく書かなければなりません。


初めて行った眼科で、視力検査だけを行って、

「はい、あなたは○級ですね。」

という訳には行かないのです。


まして、他の眼科で治療中のところ、勝手に症状固定とはできませんのでご理解下さい。




また身体障害者を取得されても、等級によって内容が異なります。


(以下に主な等級別のサービスを書きますが、市町村によって多少その内容は異なりますので、詳しくはお住まいの市町村役場、障害福祉課にお尋ねください。


所得税控除:1~2級の方は特別障害者として所得税400.000円、市県民税300.000円の控除を受けられます

(3級以上の方は、所得税270.000円、市県民税260.000円)

また、同居している控除対象配偶者又は扶養親族が1〜2級の障害者である場合、扶養控除に35万円が加算され所得額から控除されます(同居特別障害者加算)


特別障害者手当:常時特別な介護を必要とされる重度の20歳以上の在宅の方。施設に入所せず、病院または診療所に継続して3カ月を超えて入院していないことの条件を満たせば、市町村により月額数万円の手当が支給されます。対象かどうかは診断書から判断されます。



特別児童扶養手当:20歳未満の児童を扶養している父母の方が対象となります。


自動車税の減免:1~4級までの方で本人、家族が生計を一にする家族の方が運転する場合、自動車税、自動車取得税が減免となります。


NHK放送受信料の減免:1~6級までのすべての等級が対象となります


携帯電話料金の割引:1~6級までのすべての等級が対象となります


交通機関の割引:1~2級の方で介護者が同乗する場合は普通乗車券、特急券は半額、介護者も半額、3級以上の方は片道100km以上超えるときは半額。


タクシー:1~2級の方はタクシー運賃が助成されます


有料道路交通費:1~2級の障害者で本人または家族の所有する車を介護者が運転するとき


医療費助成:1~3級、生活保護を受けておらず、本人、配偶者、扶養義務者の方の前年分、前々年分の所得が所得制限額を超えていないことが条件。


盲人安全つえ、義眼・眼鏡などの補装具の購入支援:1~6級までの全等級で、補助があります。



その他、水道料金の割引、美術館の割引、青い鳥はがきの無償配布、スーパーなどの駐車場の身体障害者スペースの利用などのサービスが等級により受けられます。


またそれ以上のまだ程度の軽い方でも、補装具や公立体育館の使用など、市町村によってサービスを受けられます。



ただし、片眼が失明状態であっても反対側が健康な状態であれば身体障害者が交付されません

よく片目が見えないからといって身体障害者交付に来院される方がいらっしゃいますが、現状の制度では対象とはなりませんのでご注意下さい。

ある説では、片目が失明しても反対側が健康であれば自動車の普通免許は取得できるので困らない、とも言われていますが、これには一部の眼科医からも反対意見が多く、今後変わるかもしれません。

しかし現状では片眼が健康であれば身体障害者は交付されませんので、ご理解下さい。


改めて身体障害者の対象になるかを主治医の先生とよく相談してみてください。


申請の相談は、市町村役場の障害福祉課までお願いいたします。




●障害年金

対象となる方:

障害年金が下りるのは、失明となった病気発症時に国民年金、厚生年金に加入中で、さらにその前日までに一定期間納付されており、その後も一定以上未納にしていない65歳未満の方。
ただし、年金支払い義務のない20歳前に傷病を発症した場合は、その限りではありません。


身体障害者と同様、その視力により等級が付きます(身体障害者の等級とは異なります)

また、障害者年金も片目失明、片目健康では対象となりません。


1級:障害基礎年金1級(83.025円/月額)+障害厚生年金1級(在職中の平均給与、在職期間により金額が決まります)

2級:障害基礎年金2級(66.416円/月額)+障害基礎年金2級(在職中の平均給与、在職期間により金額が決まります)

3級:障害厚生年金3級(在職中の平均給与、在職期間により金額が決まります:最低保証額49.816円)


さらに子供がいる場合:1~2級は、受給するときに子供(18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で1級または2級の障害の状態にある子)がいる場合に子の加算が付きます。2人目まで1人月額19,108円、3人目から1人月額6,366円加算されます。

さらに配偶者がいる場合:障害厚生年金1~2級は、受給するときに受給者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合は配偶者年金(19.108円/月額)も付きます。

障害となった目の病気の最初に眼科を受診した初診日に加入した制度で扱われます。そのため病気の初診日に年金未加入の場合は障害者年金が支払われないことになります。


そして、その初診日の日時の証明できるものが必要なのです。


すでにかかりつけの眼科医が過去のカルテから証明してくれれば問題はないのですが、すでにその眼科には長く通院しておらず、カルテが5年以上経過しており廃棄されて残っていない場合に問題となります。



その場合には、保険証の療養給付記録や医療費の領収証で容認される場合があります。
(そのため失明となる病気を発症した場合にはすぐに手続きをされた方が良いと思います)

相談は、社会保険事務所、共済組合事務所
申請の相談は市町村役場の年金係
民間の障害年金相談センターまで



●介護保険 :(家族の介護の負担を軽減してくれるもの)
対象となるのは、65歳以上の方(第1号被保険者)で
原因にかかわらず、視力低下がすすみ介護が必要になった場合は、いろいろな介護サービスを利用することができます。

40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険者)
政令で定める16の特定疾患(眼科でありそうなものは糖尿病性網膜症、糖尿病性視神経症、糖尿病腎症、パーキンソン病関連疾患、閉塞性動脈硬化症、脳血管疾患など)が原因で、視力低下が進み介護が必要になった場合



申請の相談は市町村の介護保険課、地域の包括支援センターまで

申請後に審査を受けますが、患者さまの状況、主治医の意見から審査が行われ、認定されます。



詳しくは日本年金機構のサイトまで






●特定疾患の医療給付 :(家計の出費を少しでも抑えてくれるもの)

厚生労働省の特定疾患であると規定している、網膜色素変性症、サルコイドーシス、ベーチェット病、重症筋無力症、多発性硬化症と診断され、視力低下を認める方。医療費減額サービスを受けられます。


主治医の先生と相談して、該当するようであれば保健所で記載用紙をもらって、医師に記入してもらって保健所に提出してください。





●生命保険保険金 :(家計の収入を増やしてくれるもの)
 
両目が失明に近い状態になった場合、死亡給付金が受けられます。

以外とこの保険金はご存じない方が多いようです。


死亡給付金という名目上、亡くなった時にもらえると勘違いされている方が多いと思いますが、高度障害給付金として、体が元気でも失明状態になった場合先にもらうことができます。

介護で大変な家庭にはこの給付金は大きな援助となります。 


ただし、これは生命保険の種類によっては該当しない場合がありますので、生命保険会社の担当者にお尋ね下さい。


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白内障手術前後の精神状態の変化。手術により認知機能や抑うつ状態が改善する

済生会新潟第二病院眼科の安藤伸朗先生は

白内障の手術を受けた患者様の精神状態を調査し、

手術の前後での

  • 認知機能と
  • 抑うつ状態

について調べました。

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その結果、

白内障手術直後から視力と認知機能が改善し、抑うつ状態は1か月後に改善することがわかりました。




具体的には


術後1週目では

「近くが見えるようになっての行動力」

「遠くの見え方もよくなってきての活動性」

「心の健康」

「周辺視力」

「運転」

「色覚」

「社会生活機能」


が改善し、



術後1か月では

さらに

「健康観」

「自立性」

「社会生活機能」

「役割機能」

が改善したという結果となりました。

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一方、抑うつ状態が改善しなかった方を調べてみると

糖尿病、悪性腫瘍、喘息や関節リウマチの慢性疾患、抗精神病薬使用者が多いという結果でした。



全身状態に何らかの不安を持っている方は、白内障手術を行っても抑うつ状態が改善しなかったという結果となりました。


白内障手術には、視力以外に様々な生活機能を改善する効果があることが証明されました。



(安藤伸朗:白内障手術の効果をQOLからみる.日本の眼科85:1273-1277.2014より) 


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めまいで眼科を受診された方のめまいの原因となった病気。 目に関係のあるめまいの症状は?

めまいで眼科を受診されることがあります。

 
めまいの原因には主に脳と耳の内耳が言われています。



脳からくるものは、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病から脳出血や脳梗塞を起こし、体の平衡感覚がおかしくなりめまいを起こしてくるものです。


それらはすでに 内科を受診されている方が多く、めまいが起こってもまず内科に行かれ、


眼科を受診されることはあまりありません。



眼科を受診されるので多いはそれ以外の原因の方です。



それまで病気のない健康な方が急にめまいを感じ、どこに行っていいのかわからず、目に症状があったので眼科を訪れるケースです。



めまいは、『目が舞うから、目が回るからめまい』と言われているように目の症状で最初に眼科を受診される方も多いようです。



そこで、松本眼科にめまいを訴えて受診された方の主な病気を調べてみました。
 
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●メニエール病


★症状は?

40歳代の女性。 立ってられないくらいのめまいに、吐き気を伴い、ものが揺れて見えるという症状があり、松本眼科を受診されました。


診察してみると、視力は良好ですが、目がすごく揺れていました(眼振) 。


こんな強い眼振が起こるのは 目ではなくて耳だと思いすぐに耳鼻科に紹介しました。


その結果、耳鼻科ではメニエール病と診断されました。




★メニエール病と目との関係

メニエール病とは体の平衡感覚に関与する内耳の腫れによる機能障害です。


そうなると、内耳の働きの低下を眼球が大きく揺れることで補おうとするのです。




★眼球には平衡感覚を保つ機能があるの?

眼球はものを見るためのものなのに、平衡感覚にも関与しているの?

と思われるかもしれません。


実は大いにあるのです。

揺れの激しいバスや車、飛行機、船などの乗り物で読書やゲーム、スマホなど近くを見つめていると気分の悪くなった経験がありませんか?


ふだん眼球は微妙な動きで平衡感覚をとるように頑張ってくれているのですが、近くを見てその動きが止まると、眼球の平衡感覚を補う機能を失い気分が悪くなるのです。




★眼球が内耳の機能低下を補おうとするとどうなるのか?

眼球が機能の落ちた内耳の分も補おうと一生懸命働きます。

その時に眼球は微妙な動きから大きな動きへと変わり、見え方も揺れて見えるのです




★健康な方が内耳が傷んだ時の見え方を実感する方法は?

同じところをぐるぐるぐるぐるとまわってみてください。

目が回りますよね。 まさに人工的につっくっためまいの状態です。


その時には内耳の中にあるリンパ液が回転による遠心力で片側に寄ってしまい、内耳が機能しなくなっているのです。


そうすると目が回って、立ってられないほどのめまいが起こりますが、その時の見え方は揺れて見えていませんか?


内耳の機能障害が起こって、眼球が大きく揺れているのです。


それが内耳が障害された時の見え方なのです。

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●急性緑内障


★症状は?

60歳代男性。めまいと吐き気を訴え内科を受診。

めまい止めと頭痛薬を処方され自宅で様子を見ていたが、目がかすみだしてきたため松本眼科を受診。

片眼の眼圧が60mmHgにまで上昇(正常値は21mmHg以下) 

視力低下も0.1にまで低下していました。

レーザーと内服薬で、翌日には眼圧も正常値になり、めまいも吐き気も改善し、視力も上がってきました。



★なぜ緑内障なのに内科に行ったのか? 

それだけ急性の緑内障はめまい、吐き気、さらには頭痛が強い病気で、まずそれらの症状をなんとかさせたいと思い、内科に行かれる方が多いようです。




★一般的なめまいと緑内障からくるめまいとの違いは?

片眼に視力低下があることです。

眼鏡をかけた状態で、いつもよりも見え方が低下していないかをみてください。

そして、片眼ずつを隠して、片目の見え方を比較してみてください。


通常は両眼同時に急性緑内障発作を起こすことはまれなので、片眼だけ視力が低下があれば緑内障の可能性が強くなります。

さらに片眼だけ充血があればさらにその可能性が強くなります。




★しばらく置いておくとどうなるのか?

眼圧が高い状態が続くと神経が傷んでしまい回復のできない視力障害を残してしまいます。


緑内障の可能性があると判断されたなら、早急に眼科を受診されることをお勧めいたします。






●両眼ともに高度の視力低下のある方


★症状は?

80歳女性: めまいが強く、内科へ行っても耳鼻科に行ってもめまいが治らないために松本眼科を受診されました。


両眼に進行した白内障を認め、両眼とも高度の視力低下を認めました。


結局、その方は白内障手術を受けられ視力が上がり、めまいも改善しました。





★なぜ視力低下があるとめまいが生じるのか?

メニエール病の項目でも書きましたが、眼球は体の平衡感覚をつかさどっているところです。


見ることで体の揺れを認識して、体の平衡感覚を取ってくれているのです。


両目が見えていないと、映像が目に中に入らず目の平衡感覚を取る機能を失っているのです。





★健康な方が視力障害者のめまいの程度を実感する方法は?


片足立ちをしてみてください。


片足でも何とか踏ん張って立ってられると思いますが、それで両目を閉じてみるとどうなりますか?


ぐらぐらして踏んばれなくなってしまいませんか?


それは両目を閉じることで目の平衡感覚を取る機能を失っているのです。


両眼に高度の視力低下を起こしてられる方はこの状態になっているものと推測されます。


特に昔の方は我慢強い方が多く、そのため視力障害を訴えない方がいらっしゃいます。


後で家族が低下した視力を聞いてびっくりすることもあるくらいです。







●眼鏡、コンタクトレンズの過矯正


★症状は?

30歳代女性:最近めまいと吐き気が強くなったと来院。

最近、仕事でパソコン作業が多くなったのと、もっと見えるようにしたいとのことでコンタクトレンズの度数も上げたとのこと。

調べてみると、コンタクトレンズの度数が過矯正になっており、

度数を下げると、めまいや吐き気は改善されました。






●斜視


★症状は?

40歳代女性:めまいと吐き気、目の奥の痛みを訴え来院。

パソコンや携帯を長時間見ているとめまいや吐き気がする症状があり、松本眼科を受診。

眼球の位置が外側にずれており、プリズムの入った眼鏡を処方すると症状が改善。

 




★なぜ、強すぎる眼鏡、コンタクトレンズ、斜視はめまいの原因となったのか?

体の平衡感覚は自律神経も関与します。


自律神経失調症を生じる更年期障害の代表的な症状にめまいがあります。


更年期だけではなく、眼球のピント合わせの機能、眼球を動かす機能も自律神経が関与するのです。


強すぎる眼鏡、コンタクトレンズをかけていると、ピント合わせに負担が出てきます。


そうすると過剰にピント合わせ用と努力するのです。


パソコンや携帯など近くを見るときには余計に負担がかかったものと思われます。


若い方、男性の方でも眼鏡やコンタクトレンズの度数の間違いで更年期障害に似た症状が作れてしまうので、恐ろしいものです。


メガネやコンタクトをしていなくても、老眼の影響のある40歳以降の方では年々負担が強くなってきます。





また外側にずれている外斜視の方も近くを見ようと眼球を内側に寄せると、斜視のない方よりも外側にずれている分余計に負担がかかります。


眼球を内側の寄せるのも自律神経が関与しているのです。


共通した症状としては、パソコンや携帯を長時間見ているとめまいや吐き気が生じるというものです。


胃腸の動きも自律神経が関与していますので、自律神経のバランスを崩すとめまいと一緒に吐き気もでてくるのです。




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何でここまでほおっていたんですか?というケースが時々あります。にもかかわらず目がかすんできたときに眼科を受診する方は4人に1人。

バイエル薬品がインターネットを通じて全国の50〜70代の男女1000人を通じて目についてのアンケートを行いました。


以前よりも目が悪くなったと感じている方・・・84%


それでは見えにくくなったと感じたときに行った行動は?


  • 市販の点眼を使用・・・39%

     
  • 何もしていない・・・29%

     
  • コンタクトレンズや眼鏡を作り直した・・・25%
     
  • 眼科を受診した・・・24%



目に病気があると疑って眼科を受診したのは4人に1人しかいないというのが現状のようです。


実は、これら大したことはないと思って放置している方の中には、知らない間に病気が進行し、症状がひどくなってから受診される方がいらっしゃるのです。


いわゆる


「なんでここまでほおっておいたのですか!」


と思わず言いたくなるケースです。



●ケース1: 眼底出血

911d5f35.jpg


この方は糖尿病があるにもかかわらず、仕事が忙しいため眼科を受診せずに放置していた方です。

この写真のように、眼底には多くの眼底出血が見られました。





●ケース2: 緑内障

1


なんとなく見えにくいと感じているものの痛みがないのでそのまま放置していた方です。


緑内障が進行しており、下のようにかなり視野が欠けていました。


緑内障は痛みが出る病気であると錯覚しておられたようです。


2





●ケース3: 網膜剥離

飛蚊症が出てきたもの

「年のせいだ」

と思って放置していた方です。


徐々に視野が欠けてきたと来院。

網膜剥離を認めました。



3



 ●ケース4: 加齢黄斑変性症

以前からゆがみをかんじていたものの

「年のせいだ」

と思って放置

急に見えにくくなったために受診。

加齢性黄斑変性症があり、そこから眼底出血がおこっていました

55
 



このように

なんでここまでなるまでほおっておいたんですか? 


と思わず言いたくなるケースがあります。


見えにくくなったと感じた方は、市販の点眼や眼鏡の調整で済ませるのではなく、


目の方に異常が起こっているのかもしれないという疑いを持って眼科を受診してください。


 もっと早く治療しておけば!


というケースがあるのです。

  

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Takuya Matsumoto

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