ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ

眼科診療をしながら気がついたこと、最近気になったことを書いてみました

障害

カラコン(カラーコンタクトレンズ)の色落ち、調査の結果、販売されいているカラコンの半分以上に色落ちが認められました

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上の3枚の写真はカラコンで目の障害を訴え来院された3名の方の写真です。

(そのほかのカラコンの障害についてこちら)

危険なカラコンと危険性の少ないカラコンとは




共通するのは眼球の中心部よりも周辺部により障害が生じているということです。



カラコンの色がついている部分は眼球の周辺に当たりますので、これらの周辺部の障害はカラコンの色素がなんらかの原因となっている可能性があります。 


カラーコンタクト



そこでひぐち眼科の樋口裕彦先生は、これらのカラコンの色が眼球への影響を調べるため厚生労働省の承認番号を持つ14社22製品33品目のカラコンを綿棒でこすり、その色落ちの程度を調べられました。



その結果、

色落ちしなかったカラコン:8品目

色落ちしたカラコン:25品目   (色落ち部分 前面:11品目、 後面:13品目、 両面:1品目 )


と半分以上のカラコンに色落ちが認められました。

karakon2karakon(2枚の写真:毎日放送、ちちんぷいぷい、2013年4月30日放送より)








こんな綿棒で強くこするのは現実的ではないという意見もあるかもしれません。


しかし、我々はまばたきをするたびにカラコンは上下に動き、そのたびにカラコンは眼球や瞼の裏側とこすれています。


その力は綿棒でこする力に比べわずかかもしれませんが、通常我々は1日1万5千回から多くて2万回ものまばたきをします。


綿棒でこするだけで色素が取れるようであれば、こんなにも多くのまばたきをするとその蓄積で色素が漏れてくる可能性があるのです。


しかも色素の本質はチタンやアルミニウムなどの金属で、材質的にコンタクトレンズよりもはるかに硬く、まばたきによる上下の動きによって破れて出てくることも考えられます。


それらが柔らかくてデリケートな眼球に当たるとどうなるか。

容易に想像できると思います。


またそれらがたとえワンデーのようにこすり洗いをしないコンタクトレンズでも、装用中まばたきをするたびに何万回と眼球や瞼とこすれれば色素が漏出している可能性があり、安心はできないのです。


実際にワンデーのカラコンでも色落ちによる障害と思われる方が来院されています。



さらに色落ちしたコンタクトレンズを調べてみると、色落ちの部分の表面が凹凸になっていることがわかり、

その凹凸の部分が眼球を機械的にこすっていたり、その部分に微生物や汚れが付着してくることも考えられます。



従来から言われているとおり、カラコンはその悪い酸素透過性に加え、カラコンの色落ちも眼球の周辺に傷が多い要因となっているものと推測されます。

(⇒カラコンの酸素透過性から見た危険性はこちらを参考に )。



今回の調査で色落ちのするカラコンがいまだに多く販売されていることがわかりました。


今でもカラコンで目に傷を作る方が多く来院されており、

このような現状を踏まえ、行政も少なくとも色落ちのするカラコンを販売できないような規制する必要があるのではないかと思います。


また使う方も 『カラコンは目に悪い!』 という認識を持って長時間の装用を控えるようにされたほうがよいと思います。

透明の従来のコンタクトレンズと同じような感じてカラコンを使っていると、そのうちに目の大きなトラブルに会う可能性があります。


(実際にカラコンからの色素が脱落して眼球に付着した症例はこちら)


どのカラコンが危険? どのカラコンが安全? (国民生活センターのカラコン各銘柄別の安全度調査について
)・・・

詳しくはこちらを



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コンタクトレンズ処方箋不要の激安通販で眼科の診察を受けずに購入するのは危険。気がつけば角膜潰瘍を生じ視力が低下。定期的な検査を受けていたら防げていたかも。

ある日のこと。眼球に激痛を訴えた患者さんが来院されました。

心配







「目が痛くて開けられないんです」

「これはひどいですよ。 この写真が今の状態です。角膜に感染がおこり潰瘍になっています」

internet










「やはりコンタクトレンズがいけなかったのでしょうか?」

「そうですね。 それまでも定期的に眼科で診察を受けていましたか?」

「いいえ」

「コンタクトが無くなればどうしていましたか?」


「インターネットの通信販売で購入していました。 そこは医師の診察を受けなくても処方箋不要で購入できたものですから」

「まずキズを治すため抗生物質で治療しますが、キズが治って痛みが取れても残念ながらキズの部分が瘢痕化して、視力の後遺症を残す可能性があります」

「わかりました。すいません・・・ 。今後は気をつけます」


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この方のように、処方箋不要のコンタクトレンズの通販で購入して、目にトラブルを起こして来院される方が増えてきています


しかも視力低下に及んだ重症のケースになっていることが多いのです。

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(この写真はカラーコンタクトを通販で購入し続け、かすんで見えないと言って来院された方のものです。白い点状ものが角膜の傷で、矯正視力も0.3まで低下していました)









今はインターネットの通販サイトで処方箋なしでも気軽にコンタクトレンズが購入できるため、眼科での定期検査を受けずに使っているのが重症化する最大の原因と思われています。



しかし、残念ながら、わが国ではコンタクトレンズの購入時の処方箋は義務化されていません。


日本眼科医会ではコンタクトレンズでのトラブルが多発してきており、処方箋を義務化してトラブルを減らした方がよいのではないかと議論されるようになってきました。


すでに、アメリカではコンタクトレンズの購入時の処方箋はすでに義務化
されています。


アメリカでは医師の処方箋が必要なコンタクトレンズを、日本の一部のユーザーは医師の診察を受けずにコンタクトを購入し続けているのです。


最初だけ医師の診察を受けてコンタクトを使い、その後は調子がよいからと言って同じものを通販で購入し続けている方もいるようです。


医師の診察で大事なのはコンタクトの形状や度数を決めることではなく、その後の定期検査で目に異常が出ていないかを調べ、未然にトラブルを防ぐことであると思います。


早期発見早期治療が重要なのです。


「日本コンタクトレンズ学会」と「日本眼感染症学会」の調査によると、『ハードコンタクトレンズは、重度の視力障害を残す危険性が高い傾向がある』ことが分かりました。 それはハードコンタクトレンズが悪いからではなく、ハードコンタクトレンズユーザーが定期検査を受けない方が多いのが理由であると言われています。(詳しくはこちら)。


それだけコンタクトレンズには定期検査が重要なのです。


コンタクトを使用していると小さなキズがついたりするのはもちろんのこと、このような感染やアレルギーが起こる可能性が多くなります。

春季カタル角膜潰瘍1カイヨウ のコピー









こうなる前にコンタクトの種類を変えたり、お薬を使うか、いったん中止することで病状が軽ければすぐに治ります。


また、コンタクトレンズは度数だけではなくレンズの形状もあわさなくてはいけません。レンズの形があっていないため眼精疲労を起こした方も来院されることもあります

通販で9年間医師の診察を受けずに購入し続け、末期の緑内障が見つかった症例についてはこちら)。


(形が合わないコンタクトを使っていたため眼精疲労を起こした方についてはこちら)


改めてコンタクトレンズには定期検査が必要であることを認識していただき、処方箋なしでコンタクトレンズを購入するのは控えていただきたいと思います。



(関連ブログ)

カラーコンタクトレンズ(カラコン)はこれだけ危険。トラブルを起こされた方の写真です。2011年2月より規制により一定の品質を持つ者以外カラコンが販売できなくなります。


コンタクトの定期検査でこんな病気が見つかることも 「近視の方に多い網膜剥離、緑内障」 

コンタクトレンズの実態調査からわかったコンタクトレンズのこんな危険な使い方




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