裁判員法の附則第9条には、「政府は、法施行後3年を経過した場合、検討を加え、必要があるときは所要の措置を講ずる」と規定されており、平成24年5月21日以降に制度の見直しが行われることになる。このため、法務省は昨年9月、法曹三者の代表や有識者ら11人による「裁判員制度に関する検討会」を発足、見直しに向けた準備が進められている。

 現在、各方面から特に見直しの必要性が指摘されているのは裁判員の守秘義務。現状では「評議の秘密」の口外が禁じられ、6月以下の懲役または50万円以下の罰金といった罰則もある。制度開始前から、負担が重すぎると懸念されていた。

 裁判員経験者からは「評議の中身を話さないのは当然」「特に負担と思わない」と自然に受け止める声もあるが、「範囲があいまいすぎる」とのとまどいも聞こえてくる。今後、死刑求刑事件などの審理が始まれば、負担感が増える可能性もある。

 また、裁判員裁判の対象事件についても改善の余地があるとする声が多い。

 現在は、死刑もしくは無期懲役になりうるすべての罪が対象で、通貨偽造や覚醒(かくせい)剤密輸も含まれる。これらは、国の安定を脅かす犯罪を重く罰するという側面があり、“市民感覚”では量刑を判断しづらい。実際に、通貨偽造事件を担当した弁護人は「裁判員裁判にはなじまないのでは」と疑問を呈した。

 性犯罪も対象から外すべきだとの意見も根強い。実際、性犯罪事件に参加した裁判員からも「被害者が証言台に立つ必要があるなら分けるべきだ」と述べた。また、今年4月には大分県警が被害者の意向を酌み、本来は裁判員裁判対象の強姦致傷事件なのに、対象外の強姦容疑で男を逮捕、送検。起訴時に強姦致傷罪に切り替えられたが、性犯罪被害に詳しい弁護士は「裁判員裁判をおそれて告訴を見送る被害者もいる」と指摘している。

 一方で、電車内での痴漢事件や、政治家のからむ違法献金事件などを対象に加え、国民の常識で判断するべきだとの議論もある。米国の陪審制度のように否認事件に絞ったり、被告に選択権を与えたりするべきかどうかなども含め、今後ますます議論が必要になりそうだ。

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