山口大医学部と工学部(いずれも山口県宇部市)の教授らが、大学と取引がある業者に物品を架空発注するなどし、国などから交付された研究費を業者に預ける不正経理を繰り返していた疑いがあることが、大学関係者への取材でわかった。

 山口大は調査委員会を設け、大学が国立大学法人となった2004年度以降の研究費の支出状況などについて、教授らから聞き取り調査を進めている。調査に対し、複数の教授らが不正にかかわったことを認めており、両学部で退職者を含め十数人が関与し、不正経理の総額は1億円を超える可能性もある。

 関係者らによると、教授らは架空発注した物品の代金を研究費から支出して業者に支払い、「預け金」として保管を依頼していた。また、領収書や納品書を改ざんして実際に仕入れた品物より、高い品物が納入されたことにして、その差額を業者に預けていた。1人で数千万円に上る不正を繰り返した疑いがある教授もいるという。

 こうした不正は、2009年10月に広島国税局が山口大を対象に行った税務調査と取引業者への調査で発覚。指摘を受けた同大は同年12月に学内外の委員で構成する調査委を設置した。

 調査委は、医学部と工学部を含めた全学部の教授や准教授、講師、大学職員計約2000人と約240の取引業者を対象に調査しており、教授らについては、不正に得た金の使途や私的流用の有無を調べている。調査結果は文部科学省などに報告し、不正に関与した教授らの懲戒処分も検討する。

 不正経理をした疑いが持たれている教授の一人は、読売新聞の取材に対し、「その件については何も答えられない」としている。

 大学の研究費を巡る不正が全国で相次いで発覚したため、山口大は08年8月、教職員や取引業者を対象に不正の有無に関する調査を実施。全員が不正を否定していたという。

 丸本卓哉学長は「コメントは控えたい。明らかにできる段階になれば、正式に発表する」と話している。

 研究費や補助金の不正流用は、東京大や名古屋大、岡山大、和歌山県立医科大などでも発覚。各大学は関与した教授や准教授を諭旨退職や停職、減給などの懲戒処分にしている。

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