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「輪廻」を観ました(試写会にて)。
映画監督・松村は実際にあった事件を基に映画を撮ろうとしていた。その事件とは昭和45年にとあるホテルで起こった殺人事件、大学教授が家族を巻き込んで11人を刺殺、自らも命を絶ったというもの。その映画の出演者オーディションに合格した渚、しかしそれから彼女はその事件にまつわる幻覚を見るようになる・・・
Jホラーの牽引者・清水崇監督作品、なので不条理感満載なのかと思っていたら予想とは違う展開を見せてくれた。何と言うか・・・ゾンビの出てくるサスペンス、ホラー仕立てとでも言いましょうか。随所に見られる監督らしさは相変わらず、でも怖いか?と言われると「それほどでもないな」というのが率直な感想。
「以下ネタバレする可能性がありますので気になる方はスルーを」

実に納得のゆくオチであった。「輪廻」によって命運が全て握られているというならば、これもいたしかたあるまい。渚の背景が明かされるにつれてどんどんそんな気になっていった、そして不条理感がどんどん薄れていった。
もちろんこの登場人物達は自分でそれを選んだ訳ではなく、たまたま転生してしまったがために再度殺される運命にあるのだからこれ以上の不条理などないと言ってもいい(笑)。彼ら殺された11人以前にも輪廻転生はあったはずで、そいつらの人格は受け継がれてないのか?とか突っ込み所が満載になっちゃうんだよね、そこで止まってしまうと。
犯人でもある大学教授のたった一つの誤算は、魂の転生によってその「念」も受け継がれてしまうという単純な事に気付かなかった事。たとえ魂だけであったとしても、そこに実体があれば彼らは必ず晴らしに来るのだ、念を。それを輪廻と呼ぶのなら、あのオチも自業自得。この映画的に言えばあの姿形は単なる器であって、彼女では決してないのだから。ただ個人的な好みで言えばホラーは不条理であればあるほど怖い、死の理由など大した意味はなくても構わない。となるとこれはちゃんと筋道があって合点がゆく部分が多かったために、怖さの点からすると「呪怨」なんかよりはどうしても低くなってしまう。
時間軸の交差、パラレルワールドのような場面の展開図は今までの作品で随分慣れてきたのか「あぁこう繋がるのか」と観ていると楽しいくらいで。今回は劇中劇として映画が進行しているつくりなので、その辺りで頭が混乱しなければ実に観やすい。世界公開なんだよね?やっぱりその辺意識してるのかな、わかりやすさの点で。冒頭からグッと心を掴む演出もあるし、今までのテイストを踏襲しつつ手堅い。
優香はきっと話題になるのだろうね、演技の方は上手かったのかどうかさっぱりわからないけど、頑張ってはいたと思う。セリフもなくただ立っているだけで物語るような演技力があるようには見えないけど、あれだけ絶叫すれば絵にはなる。多分、彼女の場合その天然の癒し系故にあんな臆面もなく絶叫出来たのだろうなぁ、色々考えすぎるナイーブなタイプだとちょっと躊躇する場面が多いでしょう?特にラストに近づくほど。
あのラストのニヤリを観る限り、やはり輪廻は際限なく続くのか?ま、輪廻が実証されたって事で父ちゃん的には実験成功だからめでたしめでたしって事かね。