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「ダ・ヴィンチ・コード」を観ました。
ルーブル美術館内で館長ジャック・ソニエールが何者かによって殺された。そして奇妙なことに遺体はレオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」とそっくりに裸で横たわっていた。そこへ捜査協力を依頼されたのがたまたまパリ滞在中の学者・ラングドン。実は遺体のそばにはメッセージが残されていて、ラングドンの名も記されていたのだ。そのメッセージに隠された暗号とは・・・?

「以下ネタバレする可能性がありますので気になる方はスルーを」

完全入れ替え制とは名ばかりで、チケット買えばいつでも途中入場が出来、なおかつ一旦入場してしまえば山手線状態で何度でも観てしまえるユルユルの管理体制の劇場。しかし今回に限っては退場者を確認してから次回上映の受付、確かに大入り満員でこんな田舎でもこの作品に寄せる期待がいかに大きいのか伺わせる。小説を先に読んでいた年輩者さえも巻き込んでのフィーバー?ぶりなのだろう、年齢層も幅広い。しかしストーリーが終わった瞬間に早々に立ち上がる人の何と多いことか、誰も余韻を楽しんでいないかのようだった(笑)色々言いたいこと聞きたいことが各々あるのだろう、皆お喋りに夢中なんだよね。
原作を読んでいることが果たして良かったのかどうか。頭の中で思い描いていた物を目で確認する、まさに挿し絵のオンパレードのような状況で、かといって想像を上回るような衝撃を到底映画中に体験することは出来なかった。原作を読んだ時にも感じたのだけど、私が面白かったのはサスペンスそのものよりもキリストの聖杯伝説そのものの講釈であり、それぞれの立場の人間が独白の形で綴る各々の思いだったんだ。
小説の中の大半を占めると言ってもいいラングドンとソフィー(途中からティービングも加わる)の大学の授業のような史実と独自解釈がごちゃ混ぜになったようなキリスト教周辺事情や秘密結社云々の話、それを読みながらこの話の一番のキモである「キリストは人間でセックスをして子供がいて継承者はマグダラでした」という仮説がいかに世界のある一部の(大半の?)人達にとっては超機密情報であるのかという事を頭に叩き込まれる。それが薄ぼんやりとでも認識できて初めて、シオン修道会やオプス・デイがどうしてそこまで血眼になってそれを探すのかが理解できようというもの。マグダラが・・・と言われても大抵の日本人には「へぇ・・・」ってなぐらいなもんでしょう(笑)私だって原作読んでなきゃ聖杯の重要さなんて伝わらなかったと思う。映画ではとてもじゃないけど時間が足りないよね、かと言って2時間半は映画としては中途半端に長いしさぁ。
そもそもこの一連の事件がなぜ起こったのかというと、オプス・デイの存在を抜きには語れない。彼らが今ヴァチカンの中でどういう状況に置かれ評議会と何を取り決めようとしていたのか、オプス・デイの混乱がなければティービングも動かなかったしシラスもあんな行動は取らなかった。オプス・デイが何をしたかったのか、ちょっとあれではわかりにくかったんではないかなぁ。アリンガローザ司教がどうしてキー・ストーンを探さなくてはならなかったのかがあれじゃあ説明不足で、最後まで事件の経緯が理解出来ないままって人も多いのでは?
あとあれだ、女性崇拝の最たる描写でもあるかつてソフィーが目撃しソニエールと疎遠になるきっかけともなったシオン修道会の「儀式」。映画の中では驚くほど呆気なく過ぎ去ったけど、あれってとっても重要な場面だったんではないかと個人的には思うんだけど。あれが理解できないソフィーの気持ちもわかるし、シオン修道会の連中がどういう価値観で生きてるのかとってもよくわかる場面だったと思うのだけど。
まぁでも配役はとっても豪華だしルーブルも堪能できるし、ダ・ヴィンチの絵は実際ほっとんど楽しめない作品だけど(笑)こういう謎解きは夢があって楽しいよね。結局どこまでいっても謎は謎のままだし、小説の中にもあったように歴史や宗教は時の権力者によってのみ語られる部分が大きいので、改竄があって当然だと薄々感づいてるわけで。サイエンスとは言えない部分での面白さを求めた方が歴史は楽しめるし、こういう絵空事は嫌いじゃない。いつかタイムマシンが出来たら誰か行って来てよ、キリスト生誕の瞬間に(笑)誰の言ってることが正しいのか確かめに。
小説だと主要人物はもちろんベズ・ファーシュやコレ、ティービングの執事にシラスらがその時一体何を思いどう動いていたのか細かく描写されているので、観賞後に読めば頭の中に絵を浮かべながら読めるからわかりやすいんじゃないかなぁ。トム・ハンクスがラングドン役に決まったとき結構ブーイングがあったようなんだけど、私にはそんなに違和感なかったかな。というのも小説を読んでも全くイメージがわかない人だったのよ、ラングドンって。顔が見えないっていうか魅力的じゃないっていうかつまんない男っていうか(笑)だから無味無臭っぽいトム・ハンクスってある意味ラングドンにぴったりな気もする。それよりもアリンガローサ司教はアルフレッド・モリーナって感じじゃあないような、なんかやたら俗物っぽくて・・・どっちかというとベズ・ファーシュ役の方が合ってるなぁ、とかね。なにはともあれポール・ベタニー、あんたは素敵だ(謎)。