前にちょっと書いて、そのままになっていたので、今日は全文を公開します。

 まず、皆様に言っておきたい、この地球上の5つの現実。これがどんどん強くなっているということ。

 詰まり・・・

 1)まあ、結局、この世には、スーパーリッチと言われる、超お金持ちがいて、その人たちが、莫大な献金を行い、政治家を意のままに動かしている、という現実。

 2)EUも米韓FTAもTPPも、彼らが言い出しっぺ。これらは、あくあまでも彼らのためのもので、一般大衆を幸せにするものではないという現実。

 3)さらに、彼らは献金は行うが、税金は払っていないと言う現実。

 4)税金が取れなければ国家は疲弊する。アメリカは世界一、起業家やお金持ちの国が居る所であるが、いつも予算が通らなくて、国立公園を閉鎖したり、自由の女神に入場できなくしている。それもこれも、お金持ちがアメリカに税金を払っていないからであるという現実。

 5)つまり、スーパーリッチの行く所、民も国家も疲弊し、貧乏になるという現実がここにある。

 長いけど、どうぞお読みあれ。

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人民の新しい支配者 スーパーリッチ

 

【序章】

 今のアメリカの現状、ヨーロッパのEU統合、そして、TPP。これは何を意味するものなのだろうか。それは支配者の交代であると私は見ている。

 

 歴史的に考えてみよう。

 

 大昔は、極々小さなエリアを統合する、族長的なものであった.これが時代とともにより広い地域を統合する王、皇帝により、世界は統治されて来た。彼らのパワーは、突き詰めれば武力であった。軍隊であり、人民を統括する警察権力であった。

 

 そして、現代でもこのような形式で統治されていることろも多いが、世界のメジャーは日本でもそうだが、民主政治である。選挙の投票で決まる。民衆が自分たちの統治者を選ぶスタイルとなった。

 

 このシステムの場合、統治者は、票の行方を常に気にしなければならず、本当に大変である。それが統治者側の最たる欠点であった。

 

 それが、変わりつつある。我が国もTPPで大きく変わるであろう。

 

 それがどうも私の思う所では非常に悪い方に変わりそうである。

 

【新しい人民の支配者 スーパーリッチ】

 新しい支配者とは「スーパーリッチ」と言われる人たちになるだろうと思う。

 

 では、スーパーリッチとは何か。まあ、言葉通り、「超お金持ち」という意味である。

 

 日本国で「お金持ち(超がつかない)」の定義として一般的にあるのは、「年収3000万円以上で、金融資産を1億円以上保有」とある。金融資産とは、現金貯金、有価証券(株)などを言い、土地、建物は含まない。これは当然、ハードルとしては高いものだ。ある調査機関の調査では、日本では全体の0.8%しかない。

 

 更にこの上がある。スーパーリッチの親玉みたいな人。金融資産が1兆円以上。プライベージェットで世界中を飛び周って仕事をしたり、バケーションを楽しんだりしている人である。このような人は世界に30人くらいしかいないと言われているが、この人たちこそが、スーパーリッチの親玉で、新しく人民の支配者に台頭する人たちだ。

 

【人民支配の道具はTPPの毒素条項:ISD条項 ラチェエット条項】

 

 彼らはどのように人民を支配しようとしているのか。

 

 TPPの条項を見ているとよく分かるが、彼らは、規制緩和とか、非関税障壁という言葉をよく使う。皆さんも耳にしたことがあるだろう。

 

 例えば、日本の軽自動車。排気量1000cc以下の車であるが、これは自動車税を非常に安く設定している。彼らに言わせると、これが非関税障壁だと言う。税金が安いから日本人は軽四ばかり買うではないか、という非常に手前勝手な言い草である。この言い草を聞いてか、安倍政権は軽四の税金を普通車並みに上げる事を検討している。とんでもないふざけた話である。日本に良い軽四を作って売れば良いだけの話であろう。

 

 TPPの条項にISD条項と言うものがある。これは、企業が我が国の、というかTPP加盟国の法律が貿易やビジネスの障害となっていたら訴える事が出来る、という条項である。

 

 故に我が国の軽四の優遇税制もどちらにしてもTPPが締結されたら、ISD条項で訴えられる運命にあるのだ。

 

 また、東日本大震災の復興にあたり、地場産業に仕事を積極的に回すと言う事を国は行っているが、TPPが結ばれた後はこれもダメである。実は地場産業は国の仕事が入る前に、事前にいろいろと準備をしているわけである。だから、いろいろなことがスムーズに行われた。現に、高速道路は1週間で復旧している。これは高速道路の復旧工事を落札する前に地元の土建会社が準備を進めていたからである。これを「談合」と言って非難するのは簡単だが、落札等正規の手続きを経るとなると、工事に取りかかる事自体が数ヶ月先になっていたことだろう。

 

 このような地場産業と国の阿吽の呼吸と言うものもTPPは崩してしまう。

 

 また、厄介なのがラチェット条項と言うものがある。一度、開放したものを再び閉ざす事は出来ないと言うものである。これも可笑しいものだ。国の経済政策というものは、その時その時の状況により、タイミングよく行わなければならない。これが出来なくなる。つまり、一国の状況が混乱を呈する事になる。

 

 このような非常に無理のあることを国に大企業が押し付けてまで、自分が少しでも利益を得ようと言うのが、新しい世界の人民の支配者となる人たちの発想である。

 

 考えてもみよ。日本で軽四の優遇税制を廃したからと言って、大きなアメ車を買うと思っているのだろうか。アメ車の多くは排気量が大きく、そして、使い勝手が悪い。図体がでかい割にものを収納できない。図体はでかいが、積めるものはゴルフバッグ一個がせいぜい、という車もよくある。

 しかも電気系統が壊れやすいと来ている。軽四の税制が少し変わったからと言ってこんな車を買う人はそんなにいないだろう。でも彼らの発想は違う。それでも少し増えるだろう。それならば「良し」なのである。

 軽四は税金が安いので、お金をあまり持っていない人でも、軽四なら何とか持てる、と言う人が非常に多い。そのような救済的な車なのである。また、交通機関の貧弱な田舎では重要な庶民の足となっているのである。

 そのような状況は、新しい支配者であるスーパーリッチには何ら関係のない事なのである。何の慈悲もないし、政治家なら気になってしょうがない田舎の票も彼らには関係ないのだがら仕方が無いだろう。

 

【ミキタニが図らずしも垣間見せたスーパーリッチの無慈悲さ】

 楽天のオーナー三木谷氏が、薬のインターネット販売の全面解禁で、安倍に何度か噛み付いているのは新聞でご存知だろうか。
 

 市販薬にはその危険性があり、3つに分類されている。そのうち危険性の少ないものは、インターネット販売が許可されていた。しかし、危険性の高いものは、薬剤師の対面販売に限るとしていた。三木谷氏はここに噛み付いた。これは規制ではないか、と。

 これが認められないのなら、規制改革会議のメンバーを降りると子供の様にダダをこねた。すると、安倍はだらしのないことにこれを全面的に認めた。しかし、そのような危険性の高い薬を薬剤師の責任なしに販売して責任を誰が取るのか、と言う話になると話が堂々巡りする。かくして、対面販売認める、認めない、と言う感じで、ミキタニと政府の綱引きが続いている。その度に三木谷氏は、規制改革会議のメンバーを辞めると言ったり、安倍がなだめたり、そしてまた戻ったりを繰り返している。

 三木谷氏にとって、ネット販売を全面解禁させ自分のケンコー・コムというネット販売の会社が儲かればそれで良いと言う発想である。薬害から患者を守るとか、その責任、あと、細々と地域で生計を立てている薬局のことなど頭にはないのである。

 自分たちにとって有利な法律を作らせ、粛々とそれに従う。何が悪いのか。文句は言わせない。そのような発想である。

 まあ,つまり土着している原住民の今までの習慣や伝統にケチをつけ,まずそれらをぶち壊す.なにもなったところで,自分たちの都合の良い法律,都合の良い世の中を作る.これが彼らのやり方である.

 もう一度言う.彼らのやり方.とりあえず,土人共(我々,一般庶民のことです)の世界をぶちこわす. 

 

【スーパーリッチは税金は払っていないと言う現実】

 スーパーリッチは、超大金持ちなので、政治家に沢山献金をして贔屓の政治家を作り自分たちの都合の良い様に政治を操ろうとするのだろうな、と言うのは、だれにでも想像がつくことと思う。

 

 さて、彼らは収入も多いし、また、彼の持っている会社と言うか組織も沢山利益を出しているのだから、当然、応分の税金を日本国に払っているのだろうと思うだろうが、実際はどうなのだろう。

 簡単に言おう. 払っていない. 

 

 現実として、金持ちほど、税金を払わなくても良いというシステムがこの世の中には存在していることを忘れてはいけない。

 

 例えば、住民税に関して言えば、居住国に国税を、そして居住地域に地方税を払うのが筋である。これは我々にとって当たり前の事の様になっているが、となると、「居住」とは何か? その定義は何か?ということになろう。

 

 「居住」とは、1年のうち3ヶ月以上、同一の場所に住んでいる事だと言う。

 

 ならば、世界中に4カ所以上の住宅を持って渡り歩ければ、税金を払わなくても良い、と言う事になる。これは普通の人なら無理であるが、スーパーリッチの人なら可能である。

 

 しかし、税金を払わないというのも、なんとも馬鹿げた話ではなかろうか。我々はこのような人たちに厳しい目を向けるべきであろう。

 

 あと、最近、iTuneストアやらアマゾン等ネット販売が一般的になってきたが、さて、彼らは日本国に税金を払っているのだろうか。

 

 例えば、アマゾンから日本に居る人が2000円なりのものを買ったとして、彼らには100円くらいの利益があるもの仮定すると、たいだい、法人税としてこの100円のうち40円を収めなければならない。

 ところが彼らはまったく納めていない。アメリカに本社があるため、アメリカに税金を納めている。あるいはアメリカではなくて,脱税天国のケイマン諸島にあったりする.このような馬鹿げたことが世界中でまかり通っている。

 

 日本国内にも沢山ネット販売業者があり、我々もよく利用している。しかし、日本語で書いてあるサイトでも、その販売業者の本拠地はどこにあるのであろうか。本社がシンガポールにあれば、シンガポールに税金を払い、ケイマン諸島であれば,ケイマン諸島に払う.日本人が日本国内で買い物をしても、日本国には一銭の税金も入らないという現実がある。

 

 さて、楽天の本社はどこにあるのであろうか?  三木谷氏はどこに住んでいる事になっているのだろうか。果たして、三木谷氏は税金をきちんと払っているのであろうか。

 

 いや、三木谷氏らはご存知のように、規制改革会議の民間議員(議員と呼ばれているだけで、ただの民間人。もっと言えばロビイスト)を務めている。この様な人の後ろには沢山の同様な業者の人が居るものである。つまり子分である。

 先ほど、三木谷氏はどうなっているのかを問いかけたが、彼の子分どもはどうなっているのだろうか。彼らの子分のネット販売をやっている人たちはどうなのだろうか.彼らは税金をきちんと払っているのだろうか。彼らのネット販売サイトの本社はどこにあるのだろうか。彼らは確かに日本国内でビジネスをしていて、日本にいることが多いのであろうが、どこに住んでいる事になっているのであろうか。

 

 結局はこのようなことがあるから、政府は法人税を30%に下げたのである。そのような実体のないことをされて税金が入って来ないのではたまらない。そして、その穴埋めで消費税を上げたのである。

 

 税金もろくに払っていないグループが、規制改革会議のような、内閣総理大臣直属機関に巣食っていて、一国の政策に大きく関わっていることに私は非常に疑問を感じるのである。

 

 

【アメリカはなぜお金がなくなったのか】

 この前、予算の執行を巡って、アメリカ議会が紛糾したことを皆さんは覚えていよう。予算がつかないため、国立公園や自由の女神が一時閉鎖された。なんとか、大統領と議会が折り合いを付けて、予算は執行された。これが、紛糾したままであれば、デフォルトということになり、世界経済にリーマンショック以上の大打撃を与える所であった。

 

 しかし、あのアメリカでなぜこのようなことが起こったのであろうか。いや、最近、何度も起こっているのであるが。

 

 これは詰まりざっくり簡単に言うと、お金がないからである。

 

 アメリカはいろいろと言われているが、世界最大の産業国であり、金持ち国である事は言うまでもない。GDPだって世界最大である。この国でなぜ金詰まりになるのだろうか。

 

 いろいろと難しい事情はおありなのだろうが、ざっくり言うと金がない。税金が入らないのである。

 

 リッチな人が、いろいろ工夫して税金を払っていないのである。新自由主義の先進地なので、このようなことに長けているのである。そして、蓄財に励むのである。

 

 私も医院経営をしているが、税金が大変である。税金を払わなくて良いのであれば、収入は約3倍となる。

 

 しかし、収入を沢山得ている人が税金を払わなければ、国家は持たない。

 

 しかし、スーパーリッチはこのようには考えない。自分の懐具合のことしか考えていない利己的な人たちである。

 

 そして、このような人たちはグローバリズムとか、国境の統合とか、自由貿易とかが大好きである。

 

 日本でビジネスを好きなだけして、会社は別の国にある、と言う感じで税金を払わず蓄財したい。そのためには、グローバリズムとか、国境の統合とか、自由貿易が必須であろう。だからTPPみたいなものに大賛成である。

 

 故にTPPは明らかに間違った考え方である。彼らの好き勝手するための道具なのである。

 

 彼らは腹の弱い安倍政権を焚き付けて、TPPを成立させ、新しいシステムを作り、我々の新しい支配者として君臨することを夢見て今、狂奔しているのである。