2007年04月10日

コミットメントの陥穽5

コミットメントという言葉には従来の日本語になかったニュアンスもあって、近年流行しているように見える。覚悟とも違うし、決定とも違う。関与とも違う。しいていえば全部。覚悟して決定して関与していること。

辞書を引くと、

かかわり合い。肩入れ。
(三省堂大辞林)

(1)かかわり合うこと。肩入れ。
(2)公約。責任。
(三省堂デイリー 新語辞典)

などとなっている。

企業変革や組織開発の現場においてもやたらと聞く言葉だ。

そして最近ではコーチングにおいても多用されている。

何かというとコミットメントを求める人がいる。覚悟を迫り、決定を確認する。

これは罠だ。

特に、文化的に「空気」に流されやすい日本人にとって危険な罠だ。

その場の空気に流されて「コミットメント」する。合意し、確約し、責任を誓う。

本当に納得していないことに「覚悟を決めた」と言っても、それは脆い。

強い意志で決定することよりも、心から納得したことのほうが強い。

様々な成功や幸せが持続しない大きな理由のひとつが、安易なコミットメントである。

ファシリテーターやコーチは安易にコミットメントを押しつけてはならない。コミットメントは本来人の心の内面から湧き上がる納得に基づいてこそ大いなる意味がある。

リアリティを知って、納得した上で、自発的に覚悟して決定して行動すること。そのプロセスをファシリテートすることこそがコーチやファシリテーターの使命であるはずなのに、つい結果を急いでしまう。「時間内」にコミットメントを引き出そうとしてしまう。

AIやコーチングが一時的に「目覚しい成果」を生み出しているように見えて、しばらく時間が経つと後戻りしてしまう理由がここにある。(だからワールドワークなどの創発的なファシリテーションプロセスが肝要なんだ。)

これは大いなる落とし穴。覚悟して注意せよ。

でも、覚悟する前に理解して納得しないとね。

Do not take life too seriously.
You will never get out of it alive.
- Elbert Hubbard

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Profile
metanoia
kimono

■組織開発コンサルタント。企業のエグゼクティブの戦略コーチとして、一対一のコーチングはもちろん、チームや組織のファシリテーションやグループコーチングを行う。
■2002年よりピープルフォーカス・コンサルティング顧問、メタノイア・リミテッド代表。
■野村総合研究所、シティバンク、外資系戦略コンサルティングファーム、情報サービス事業会社を経て独立。得意領域は、人材戦略、マーケティング戦略、IT戦略。メタ思考をベースとする知的プロフェッショナル育成に注力している。
■身長175センチ、体重65キロ、体脂肪率11%、肺活量5400mg。右投げ右打ち左利き。血液型O型 Rh+。3月9日生まれ(魚座)。3人の子供の父親。実家は呉服屋。趣味は散歩。
■上智大学外国語学部(英語学科)卒業、バージニア大学ビジネススクール経営学修士(MBA)。
■著書に『人生をマスターする方法』(2008年)、『組織の「当たり前」を変える』(2006年)、『なぜあの人だと話がまとまるのか?』(2004年)、共著書に『組織開発ハンドブック』(2005年)