2005年03月03日

無権利者ですが。

曲数多過ぎ審査フリーパス、盲点ついた阪神応援歌事件(読売)
 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が管理するのは約720万曲。「被害を受けた側が訴え出ない限り、盗作や詐称は判断しようもない」のが実情だ。
 今回の事件で、中虎連合会は「不詳」の作曲者と作詞者を、同会と詐称したとされるが、不詳の曲は、もともと未登録のためチェックできない。協会は「詐称や盗作は、協会が判断するのではなく、著作権者ら当事者間で争うもの」との立場で、実務上も、膨大な曲を抱えるなかで厳格な審査を行うことは不可能だ。

 いやあ、実に興味深い事件です。
 確かに、誰が真正な著作権者であるかは、自らを著作権者と主張する者などの間で争うべき事柄でしょう。しかし、本件では中虎連合会が真正な権利者でないことははっきりしているのですから、そのことはあまり問題ではありません。
 問題は、払う必要のない使用料をJASRACに払ってしまった利用者という「被害者」に対して、JASRACがどのような立場に立つかです。もっとも、JASRACがこうした利用者を「被害者」と捉えている気配はコメントからは全くうかがえませんが。
 まず、JASRACが徴収しただけで(権利詐称者に)未分配の使用料については、返還義務が生じることは間違いないでしょう。また、分配済であっても、JASRACが受け取った管理手数料については同様と思われます。
 興味深いのはその先です。使用料が分配済の場合に、利用者が払った使用料全額の返還をJASRACに求めたら? 包括的な利用許諾を受けた利用者が「この音楽を使えないのだったら許諾を受けなかった」といって使用料全額の返還を求めたら? ひょっこり真正な権利者が現れて、(JASRACに使用料を払った)利用者に対して「有効な」使用料を改めて払うように要求したら? 更に利用者に対して真正な許諾を得ずに利用したとして訴訟を起こしたら? もし、(JASRACに)使用料を払わないで本件の音楽を利用しているとしてJASRACに訴訟を起こされている利用者がいたら? 等々。
 訴訟の得意なJASRACが判例の蓄積にいっそう貢献できるように、ここはひとつ、いろんな人に頑張ってもらいたいものです。


この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/falfal/15468454
この記事へのトラックバック
←クリックをよろしくお願いいたします。  阪神タイガースの私設応援団『中虎連合会』の元幹部とコロムビアミュージックエンタテインメント」の音楽ディレクターが、阪神の応援歌CDの中に収録されている曲の一部を自分たちが作詞・作曲したと偽り著作権登録したとして、.
阪神タイガース【さわの多事多事論】at 2005年03月03日 12:48
前代未聞の事件が起きた。阪神タイガースの応援歌 「ヒッティングマーチ」の作詞・作曲者が偽者だった のだ。 2日に著作権麻反で逮捕されたのは、私設応援団 「中虎連合会」の元会長、大谷登志雄とレコード会社 「コロムビアミュージックエンタテインメント」の チーフプロ
阪神応援歌作者偽装事件【FUKUHIROのブログ】at 2005年03月26日 03:09