FANTASY GIRLS

お引越ししました! 特に内容も変わらずにTMFA女子サッカー世界の未来のお話しっす この世界の女子サッカーは熱いんだぜぇ(笑)



右手で吊りながらの背負い投げの速度は速い、と言えるものではなかったが、アーカムは後頭部から木の床に叩きつけられていた。

あの刹那、ふたりの体が密着しているときに何があったのか。
目を離さずにいた鈴香、そしてサーティも見えなかった。





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道場の中央付近で睨み合う両者。
アーカムは表情を変えずにナイファンチの構えだが、それまで固く握っていた拳を緩めている。
そして恵美の脇腹と手首を抉った人差し指は未だ赤く染まっている。
恵美も肘を張った橘流深淵の構えを取っているが、僅かに息を荒くしている。







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大きく後ろに吹き飛ばされた恵美にアーカムが追撃の踏み込みで迫る。
だが、恵美はいなすように真横に回り込んでその突撃をかわした。その動きは舞、というよりもスペインの闘牛を彷彿とさせるものだった。
アーカムは恵美に体を向けながらまた、ナイファンチの構えを取った。恵美はやはり下段の構え。
そしてそのピンク色の唇が開いた。

「ふふ、やっぱり出し惜しみしてるとあなたも全部見せてくれないのかしら?」
「そんなことはないぞ」
恵美の言葉にアーカムはそう答えるが、恵美の微笑みは消えない。
そして、恵美の構えが下段から変化を見せる。

「じゃあ、見せましょう。これが橘流の『深淵』よ」

下げていた左腕がゆっくり上がり、肘が天を指す。
とある人気漫画の「かめは○波」をうつ構えにも似た格好。
それは、弟子である鈴香も初めて見る構えだった。




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成田空港。
日本の空の玄関口、そして世界への扉。
それは世界からの風を入り口でもある。


その成田空港ロビーにあつまる日本の報道陣。
雑誌、新聞、そしてテレビクルー。更に大勢の人々が集合している。
そしてその中に、


「おおー、すごいっすねー」
「あんた何のんびりしてんの!折角ベスポジ確保したんだから早く三脚立てなさいっての」
「慌てないで大丈夫っすよ優子さーん。まだ飛行機着いてないんすからー」
女子サッカージャーナルの加藤優子、宮村彰子の名物コンビがここにも出現していた。



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アーカムはワイシャツのボタンを中段くらいまで外し、ブラジャーが隙間から見える。
女性しかいない場と言うこともあるが、アーカムは顔色ひとつ変えずに床にぺたんと座り込んで柔軟を始めた。


「アタシさ、本当に楽しみなんだよ」
芹澤鈴香は楽しそうに、そして羨望の視線をふたりに向けていた。
「アーカムさんは本当に強い。だからきっと見せてくれる」
「何を?」
隣の羽奈がそう聞いた。鈴香は羽奈に顔を向けなかったがその質問に答えた。

「恵美さんの、師匠の本当の姿。橘流の深淵を」
橘流には前段と後段がある。鈴香が恵美から学んだのは前段の柔術の基本、立ち会い組み手の基礎。
橘流が柔術最強と囁かれる本当の理由は鈴香の言う「深淵」で、未だ学ぶとが出来ず見ることも敵わない「後段」。
鈴香の視線に一抹の寂しさが見えるのは、自身の力でその深淵をのぞき込めない不甲斐なさ、苛立ちなのだろうか。
羽奈はそんなことを考えていた。
 




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「わあ、恵美さんだ」
羽奈は顔をぱっと輝かせて橘恵美のところに駆け寄った。それをみた芹澤鈴香はしてやったりのドヤ顔をする。
「ほら、やっぱり羽奈は恵美さんのこと知ってた。お前この辺の元選手は大体知り合いだもんな」
まるでDragon Ashのリリックのようにリズミカルに言う。恵美は鈴香を一瞥し、駆け寄った羽奈の頭を撫でた。

「羽奈ちゃんのお父さんにお世話になってたのよ」
恵美は羽奈の頭を撫でながらそう言った。そして恵美の視線は二人の後ろのアーカムに注がれた。

「あなたもお久しぶりね、キル―」
「アーカムだ。久しぶりだな橘恵美」
恵美の言葉を遮ってアーカムが少し大きめの声をあげた。恵美は一瞬驚いた顔をしたがすぐに元の柔和な表情に戻る。
「そう、今はアーカムさんなのね。どちらにしてもお久しぶり」
恵美は首を傾げてからまた笑顔を見せた。




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本日は30度越えの夏日。
ピッチ場では厳しい日差しに晒されながらも選手たちが必死に練習に励んでいる。
ピッチサイドに立つ女性が勢いよく笛を吹く。選手たちは動きを止めて女性に視線を向けた。

「練習終了ヨ!一次合宿コレデオワリ!」
フィールドコーチのネリー・モーソンは相変わらず妙なイントネーションの日本語で叫んだ。
そしてその言葉に選手たちは歓声をあげた。







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