September 22, 2006

『アンナ』Anna 88点4

(2005/7/17鑑賞)
(監督:Pierre Koralnikピエール・コラルニック。Anna Karinaアンナ・カリーナ, Jean-Claude Brialyジャン=クロード・ブリアリ, Serge Gainsbourgセルジュ・ゲンスブール。1967)

・梗概(Allocineより意訳)
 アンナは田舎から出てきたばかりの女の子。少し前からパリの広告代理店で働き始め、白馬の王子様を夢見ている。一方、その代理店の社長は、彼が写真でしか知らないある若い女性に心を奪われていた。その写真の女はなんとアンナなのだが…。
(Anna, une jeune provinciale, travaille depuis peu dans une agence de publicite parisienne et reve du prince charmant. De son cote, le directeur de l'agence s'eprend d'une jeune femme dont il ne connait que la photo... qui est celle d'Anna.)

・本国フランスでも知らない人が多いミュージカル・テレビ映画

 40年も前の作品なのに、なんておしゃれなんだろう。
 特にアンナ・カリーナ扮するアンナの格好は、現代でも通用するキュート感、ポップ感。当時の流行かもしれないが、ビニール素材が多く使用されている。そしてとってもカラフル。
 僕が大好きなセルジュ・ゲンスブールも出演しているのだが、他の俳優と比べると「ハンサム」という観点では明らかに顔立ちで劣っているものの、立っているだけで醸し出すその雰囲気と何気なく着ている服は、他の俳優と比べて際立ってかっこいい。主役のブリアリが着ている服がなんだか変だからその辺さらに目立つ。
 ゲンスブールは音楽も担当していて、「Sous le soleil exactement(太陽の真下で)」など、ファンならどこかで聞いたことのある歌がこの作品の中でヒロインを演じたアンナ・カリーナによって歌われている。

 上京してきたばかりの田舎娘がパリを歩いている。偶然CMの撮影現場を通りがかる。彼女自身意識せず、また他の誰にも意識されずに、アンナはシャッターを切った瞬間のフレームに入り込んでしまう。そのようにして偶然に写っていたアンナを出来上がった写真の中に見た主人公は彼女の虜になってしまう。真実の彼女は彼の会社で働いているとも知らず…。
 
 白馬の王子様との出会いを求めてパリにやってきたアンナが、知らぬ間に、白馬の王子様と言っていいほどの地位とルックスを持った男に愛されてしまう。
 大々的に広告を打って意中の女性を探そうとする主人公だが、結果は思わしくない(ゲンスブール演じる主人公の親友だけがアンナの正体を見抜いてるっぽい設定も気が利いてる)。
 ここで歌われるのが、「C’est la cristallisation comme dit Stendhal(それはスタンダールが言うところの結晶作用)」。彼女に会えない彼は心の中でどんどん彼女を美化していき、独りで思いを募らせていくのだ。

image1 アンナは普段大きな丸めがねを掛けているのだが、これは今となっては定番の「眼鏡をとったら美人」という設定のはしりだと思うし、このアイテム一つで主人公はアンナに気づかない。
 …という設定なのだが、その不必要に大きい眼鏡さえも可愛いアンナ・カリーナがかけると非常におしゃれに見えるから不思議だ。僕らは真似しないほうがいいだろうけど。

 タモリではないが、僕もミュージカルが好きではない。それなのに、この映画は気にならない。歌い方がわざとらしくないし、なんか適当に口ずさんでるぐらいのいい意味での気の抜け方が違和感を感じさせなかったのかもしれない。登場人物がいきなり踊りだしたりしないのもいい。

 で、ラストも良い。フランス映画である。ハッピーエンドではない。でもそれが真実でしょう。人生というのはすれ違いのほうがはるかに多いもの。都合の悪い出来事のほうが大事な場面で起きるものなのです。
 フローベールの『ボヴァリー夫人』で、ヒロインのエンマと愛人のレオンが歴史ある教会の中で逢引をするシーンがある。そこでは、やっと二人きりになれたところ狙い済ましたかのごとく、頼まれもしないのに建物内の説明をしようとする男が現われる。現実ってそんなもん。

 この映画のDVD、アマゾンでユーズドが1万円オーバーで出品されてた。ビデオは4000円(左画像)。高い…。
 僕はフランス滞在中に探し出して安く買おうと思ったのだが、逆にあちらではDVDにすらなっていないようだった。テレビ放映用に作られた映画だということもあるだろうが、残念でならない。
 アンナ・カリーナやセルジュ・ゲンスブールのファンはもちろん、フランス好きの人だったら絶対気に入ってしまうであろう素敵な作品。置いてあるビデオ屋さんは少ないかもしれないけど、是非観てみて欲しいな。
(吉祥寺のドラマというレンタル屋にはビデオで一本ありましたよん)

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1. ボヴァリー夫人  [ DVD Check ]   January 10, 2007 23:59
ボヴァリー夫人

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