2011年06月08日

2年で14億円を141億円にした現役ヘッジファンドマネジャーに聞いた「勝ち続ける」極意


大きく下落しても、ツレ安していただけの実力株は2週間足らずで元の株価に戻った。ただ、どの企業も今後の状勢が不透明なため、業績は「予想できず」、配当は「未定」の銘柄が続出しそうだ。今号が発売されるころはちょうど、3月本決算企業の業績発表ラッシュ。その結果を見ながら作戦を練ろう。

配当未定の企業は復活したときのインパクトが大きい。復興支援関連、代替エネルギー関連をはじめ、需要が伸びる銘柄は株価も上がっていく。いずれにしても「下げたときこそバーゲン買い」、しかも「全力買い」に吉あり!

こんなときこそ全力買い!ニッポン応援「株」企画第2弾業績・配当未定続出…不安な今の相場、実はバーゲン株の宝庫

2年で14億円を141億円にした現役ヘッジファンドマネジャーに聞いた「勝ち続ける」極意

運用開始からたった2年で資産残高を14億円から141億円まで増やした、気鋭のヘッジファンドマネジャー・山口功一郎さんがマネー誌初登場! 厳しい相場環境が続く中、2009年に30%、2010年に15%という驚異のハイ・パフォーマンスで躍進中。秘密のベールに包まれたヘッジファンドの素顔とは?

「日本株で高収益」なら”買いと売り”両建てのロング・ショート戦略

UBS証券などを経て、シンガポールに本拠を置くヘッジファンド「アキト・ファンド」への投資助言業務を行なう暁翔(あきと)キャピタルのトップ、山口功一郎さん。アキト・ファンドは2009年7月の運用開始以来、年率20%近いハイ・パフォーマンスを叩き出し、運用資産は2年足らずで14億円から141億円まで急増した(現在は資産急増のため募集をいったん停止中)。

現役バリバリのヘッジファンドマネジャーといえば、なかなかメディアに出たがらないもの。山口さんがマネー誌に初登場してくれたのは、「なにかと悪者扱いされるヘッジファンドのイメージを覆したい!」という熱い思いからだ。

そんな山口さんが投資助言するアキト・ファンドのスタイルは、「ロング・ショート戦略」と呼ばれるもの。買いと売りを両建てすることで、どんな相場であっても絶対リターンを狙う。

「日本は人口減少時代を迎えています。高度経済成長が続く中国のように、黙っていても株価が上がる状況にはありません。20年近く厳しい相場環境にさらされる日本市場では、上げ相場でも下げ相場でもコンスタントに収益を上げる必要があります。そのためには、買いだけでなく売りも駆使するロング・ショート戦略をとらざるをえない。日本では、株価が下がるとヘッジファンドのせいにされることが多いです。しかし、売り建てのほうが多いヘッジファンドなんて聞いたことがありません。私たちはカラ売りする以上に日本株を買っているんです」

では、読者が一番知りたい具体的な運用手法はいったいどのようなものなのか? アキト・ファンドが売買している株はざっと200銘柄。

「ロング・ショート戦略にはいろいろな手法がありますが、たとえばソニーを買って東京ガスを売るより、同セクター内のソニーとパナソニックなど、同じような値動きをする株の微妙な格差を狙うほうが、リスクを抑えられます。銘柄の入れ替えは3日とか1週間とか非常に短期間のこともあれば、運用開始以来、ずっと長期保有している株もある。カラ売りできない新興市場の株も投資対象です。そういった場合はTOPIX(東証株価指数)の先物を売るなどして、買いと売りの絶対総額を同じにするのが基本です」

リーマン・ショック、ギリシャ・ショック、今回の震災など、不測の大暴落を何度も経験してきた個人投資家にとっても参考になる資産防衛法だろう。



悪材料出尽くしで必ず買われる。その時期は5月か8月!

そんなアキト・ファンドが今回の株価暴落局面で果敢に買いを入れたのは、PBR(株価純資産倍率)の低い株だった。

「たとえば、缶詰やペットボトルの包装容器を手がける東洋製罐。この会社は借金が少なく好財務で知られています。震災の影響で日本経済が今後どうなるのかがまったくわからない状況では、PER(株価収益率)で株を買うのは難しい。状況が激変し、これまでの好業績が続く保証などどこにもないからです。そういうときは、借金が少なく財務が安定した低PBR株を下げすぎたところで買うほうがいい。PBRを基準に買われる株では、PERを議論してもしょうがないですから」

つまり、株には「業績、すなわちPERで買われる株」と「財務、すなわちPBRで買われる株」があるということ。今後の業績がまったく見通せない状況では、業績うんぬんで売られたり買われたりすることの少ない「下げすぎ低PBR株」を狙うほうが有望といえるのだ。では、未曾有の危機に直面した日本株の今後について、山口さんはどのようにみているのか?

「自動車や電子部品など製造業の今期上半期の業績はかなり厳しいものになるでしょう。しかし今回の危機は、リーマン・ショックのように需要がないからモノが作れないというものではなく、いずれは悪材料出尽くしの局面が訪れるはずです。それが決算発表時期の5月になるのか、下半期の状況が明らかになり始める8月になるのか、見極めたうえで買いたいという思いは強くあります」

製造業といっても生産設備の多くが海外にあり、震災の影響が軽い企業もある。その意味でヤマハ発動機や工業用ミシンのJUKI、タブレット端末のワコムなどもウオッチしている。

個人投資家が好む、テーマ性のある中・小型株も投資対象。

「ソニーやシャープなどの大型株は大手証券会社が大勢のアナリストをそろえて分析し尽くしていますし、大型株をロング・ショートしても高いパフォーマンスは期待できない。大手が手がけないような中・小型株の業績の良しあしを分析する銘柄選別眼が、私たちにとっての生命線になります。こまめな会社訪問も欠かせませんが、小型株の場合は流動性が少なく、売買が難しいというジレンマも……。

その点、スマートフォンや太陽電池など中・小型のテーマ株は出来高があって売買しやすい」

趣味がゲームということもあり、ネットゲーム『ブラウザ三国志』を開発しているAQインタラクティブなども見ている。

「この夏は節電でクールビズが叫ばれるはずですから、関連株のリサーチなどもしています」

ヘッジファンドというと、秘密のベールに包まれて正体不明というイメージが強いが、その着眼点は個人投資家にも参考になるものばかりだ。

「助言するアキトファンドは『年5%で運用してくれればOK、だけど負けるのはNG』という日本国内の企業年金が主な顧客ですが、いずれは個人投資家向けにもファンドを販売できるといいですね」

“暁に翔く(あかつきにはばたく)”という意味が込められた暁翔キャピタル。復興再生を目指す日本の株式市場とそれを支えるヘッジファンド、さらなる活躍に期待したい。

(2011.6.8/ ネットマネー)


fbnews20063 at 23:21│Comments(0)TrackBack(0) 社会 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
月別アーカイブ